21年もいよいよラストGⅠを迎える。競輪界最高峰のグランプリ出場権獲得を巡る争いもここがラスト。上位陣は例年以上にハイレベルな争いを繰り広げていて、まだまだ結末が見えない。6日間のサバイバルシリーズに生まれ変わった大会は今年も大きなドラマを生みそうだ。
主役は譲らない脇本雄
東京五輪が終わって、脇本雄太、新田祐大が帰ってきたことで競輪界の流れは一変した。タフに走り抜いて賞金ランクトップを独走する松浦悠士、松浦を追う郡司浩平が前半戦をリードしてきたが、今は“先行日本一”の名前をほしいままにする脇本を巡る争いとなっている。脇本はオリンピックから中ゼロ日で臨んだオールスターで準優勝。決勝で新田や好位確保の平原康多をシャットアウトし、古性優作をGⅠ初戴冠に導いた豪脚は他の追随を許さない。昨年の競輪祭は一走目に落車して欠場となったのでリベンジしたいところだし、競輪祭を制すればグランドスラムにも近付く。念願だった脇本との連係からタイトル制覇を果たした古性も進化を続ける。天性のダッシュ力、捌きを生かした位置取りからのタテ攻撃はより凄みを増してきているが、脇本とまたタッグを組めれば、番手で睨みを利かした上で抜け出しは十分。古性とともに昨年の競輪祭で決勝に勝ち上がって最後までグランプリ出場権を争った稲川翔ら近畿勢がV争いの中心的な存在となる。
対するは、郡司浩平が軸の南関勢とみる。郡司自身、8月に競走を休んだ以外は順調そのもので、長い距離を踏むこともいとわない自力戦で結果を出しているが、深谷知広、松井宏佑という信頼して前を任せられる2人がいるのが大きい。現に昨年の競輪祭優勝は松井の番手からだったし、今年の全日本選抜の優勝は深谷を抜きには語れない。ラインがしっかり機能すれば、打倒脇本も叶えられる。また、落車禍に苦しんだ一年をいい形で締めたい和田健太郎や自在戦が冴える鈴木裕ら南関には他にも好脚がそろっている。