今年は新型コロナウイルスの影響により、5月の日本選手権が中止を余儀なくされた。例年通りこの競輪祭が、今年最後のGⅠになる。日本選手権中止も相まって、年末のグランプリシートを巡る賞金争いも、さらに激しさを増している。6日間シリーズのナイターGⅠは、初日から見逃すことはできない。
東京五輪の延期により、大幅なスケジュールの変更があった日本代表に内定している脇本雄太、新田祐大のナショナルチーム2人。脇本は昨年、準Vのグランプリ以来となった6月の高松宮記念杯を4連勝の完全優勝で制覇。完全Vだった昨年の日本選手権に次ぐ4度目のタイトル獲得で、五輪メダル候補が競輪でもナンバーワン健在をアピールした。高松宮記念杯のあとも7月福井記念を無傷の優勝。オールスター1812着。決勝は松浦悠士との壮絶なデッドヒートを演じたが、テクニックの差で松浦に軍配が上がった。が、負けてなお強しを印象づけた。昨年、ナショナルチームの活動により不出場となった競輪祭。一昨年の準Vの分まで、ここは優勝で弾みをつけてグランプリを向かえたいだろう。同じく近畿地区のS班の村上博幸は、地元の向日町記念欠場、共同通信社杯は途中欠場と状態面が心配される。ただ、これまでもたび重なる苦難を乗り越えてきただけに、競輪祭の大一番までに仕上げてくると信じたい。自力でもタイトルを獲れるだけの機動力を有している古性優作も、脇本との連係から初戴冠をもくろむ。近況、調子を戻している三谷竜生は、過去、脇本とのタッグで2度のGⅠとグランプリを獲っているように相性は抜群。決勝に勝ち上がってくればチャンスも十分にある。
脇本と同じくグランプリからおよそ半年ぶりの実戦となった新田は、その高松宮記念杯から徐々に競輪の感覚を取り戻してきている。9月の共同通信社杯では無傷の優出。決勝では山田英明(失格)の押し上げで4着も、アクシデントがなければまくりで前団をのみ込んでいた勢いだった。近況は先行策も辞さず、勝負どころを逃さない反応の良さが目を引く。青森記念では同県の高橋晋也を目標に、ぬかりなくチャンスをモノにした。新山響平、高橋と同地区には前を任せられる若手がいて、佐藤慎太郎をはじめとした追い込み選手もそろい北日本勢は層が厚い。ラインで強固な布陣を築いて、17年以来2度目の競輪祭のタイトルを手に入れる。