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小倉競輪
KOKURA KEIRIN
81#
決勝戦レポート
郡司浩平(神奈川・99期)
チャンスをつかんでG1初制覇
「ずっと欲しかったG1タイトル、まずはホッとします。獲って出るの、そうでないのは、またグランプリも違ってくる」
昨年、初めてグランプリに出場。S級S班は手に入れた郡司浩平だったが、タイトルに一番近い男と言われながら、なかなかタイトルには届かずにいた。今年は地元、平塚でのグランプリ。獲得賞金で2年連続のグランプリ出場に当確ランプをともしていたが、タイトルホルダーとして地元グランプリに臨む覚悟にブレはなかった。
「今年は平塚なんで絶対に出るぞって。(G1に)優勝すれば出られる。(今年は)その思いだけでした」
郡司の初戴冠をサポートしたの、同県の頼もしい後輩、4日目のダイヤモンドレースでも連係した松井宏祐だった。赤板の1コーナーで松井は迷いなく主導権取りに動く。松井の強烈なダッシュに和田健太郎は付け切れない。南関ラインの連結は崩れたものの、郡司は松井とともに出切って別線の反撃に備えた。
「(松井は)どこで行くのかなって、ちょっとピリピリしていたんですけど。しっかり出切ってからも、アイツのペースで踏み上げてくれたので安心していました」
和田をさばいた古性優作が3番手に入り、打鐘の4コーナーから今度は関東勢が反撃に出る。鈴木庸之が古性に横まで迫ると、郡司は自力にチェンジ。番手まくりを打った。
「結構、(松井)宏佑も掛かっているところで、すかさず(鈴木が)来ていた。僕もヨコに振るのか、すかさずタテに踏むのかっていう迷いはあったん。ちょっと1回、動きを見て落ち着いてから、(最終)2コーナーの立ち上がりのところから行ったので、その分、最後は粘れたかなって感じです」
鈴木は後退して、古性も郡司のダッシュに置いていかれる。が、今度は平原康多が抜群の加速力で郡司を射程圏に入れ、勝負は直線に持ち込まれた。体を並べてハンドルを投げてのゴール。確信がなかった郡司を後押ししたのは九州のファンだった。
「ゴールしてお客さんの声援が一番僕にあったので、それで自分が勝ったんだと」
3度制している“競輪祭男”を半車輪押さえた郡司が、念願のタイトルホルダーの仲間入りを果たした。
「これがマグレと言われないように、タイトルホルダーの自覚をもって走ります」
特別競輪(G1)に出場し名バイプレーヤーとして南関を支えた師匠でもある父、盛夫さん(50期、引退)が果たせなかったG1制覇を郡司が成し遂げた。
「オヤジを越えるにはG1を獲ってからだなって思っていた。僕もそうですけど、オヤジも仕事以外の時は、僕の練習とかに付き合ってくれた。だから、ホッとしているんじゃないかなって思います」
3年前、平塚競輪場で行われたグランプリでは、あと一歩、10番目の次点で悔し涙を流した。あれから3年、濃密な時を経て郡司が地元グランプリの大舞台に立つ。
「3年前から悔しい思いをして、こうやってまたせっかくチャンスが来たんで、このチャンスをムダにしないように。悔いのないように過ごして、グランプリを迎えたい」
最終2コーナーから自力に転じた平原康多が、ゴール前で郡司に詰め寄った2着。
「古性に先に切られてしまって厳しくなりましたよね。チャンスだったんですけど、もういっぱいでした。ずっと外併走で苦しかった。古性を越えて、郡司まで見えたけどいっぱいだった。でも、今の力を全て出し切れたと思うので悔いはないです。本当に郡司が強かったんで」
諸橋愛と古性がからみ、古性マークから直線で伸びた稲川翔が3着に入った。
「1つでも上の着をっていう気持ちで走った(古性)優作のレースには納得しています。そのなかで僕も優勝を狙っていた。どっちかがグランプリに乗れれば良かったけど、力は出し切れました」
レース経過
号砲で飛び出した新田祐大、古性優作、平原康多の3人でスタート争いになり、結局、最内枠の新田が前を取る。2番手になった平原は鈴木庸之を迎え入れて、鈴木-平原-諸橋愛の関東ラインが2、3、4番手。古性-稲川翔の大阪コンビが5、6番手で、松井宏佑-郡司浩平-和田健太郎の南関ラインが後ろ攻めで周回を重ねる。
青板過ぎから松井が徐々に前との車間を空けはじめる。鈴木も後続を警戒して新田との車間を空けると、先に古性が動いて赤板の1コーナーで新田を押さえて先頭に。そこを松井が一気に叩いて2コーナーから先行勝負に出る。しかし、南関ライン3番手の和田は離れてしまい、古性が3番手を確保。後方になった鈴木は打鐘から追い上げて古性の横まで行くが、最終2コーナー手前から郡司が番手まくりで応戦する。同時に、鈴木の後ろから平原も自力に転じてまくり出し、徐々に郡司に迫って最後の直線へ。それでも郡司のスピードは鈍ることなく、そのまま平原を振り切って初タイトルをゲットした。2着に平原が入り、直線伸びた稲川が3着でゴールした。
着 | 車番 | 選手名 | 府県 | 期別 | 級班 | 着差 | 上り | 決まり手 | H/B |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 9 | 郡司 浩平 | 神奈川 | 99期 | SS | 11.5 | まくり | B | |
2 | 3 | 平原 康多 | 埼玉 | 87期 | SS | 1/2W | 11.2 | まくり | |
3 | 8 | 稲川 翔 | 大阪 | 90期 | S1 | 2B | 11.5 | ||
4 | 5 | 諸橋 愛 | 新潟 | 79期 | S1 | 1/4W | 11.4 | ||
5 | 1 | 新田 祐大 | 福島 | 90期 | SS | 3/4B | 11.4 | ||
6 | 2 | 古性 優作 | 大阪 | 100期 | S1 | 1/4W | 11.7 | ||
7 | 7 | 和田 健太郎 | 千葉 | 87期 | S1 | 1B | 11.5 | ||
8 | 6 | 鈴木 庸之 | 新潟 | 92期 | S2 | 7B | 12.5 | ||
9 | 4 | 松井 宏佑 | 神奈川 | 113期 | S1 | 9B | 13.3 | H |
佐藤水菜(神奈川・114期)
佐藤水菜が逆転のグランプリ出場
前の太田りゆとの車間を大きく切った2番手の小林優香が、後方の動きを確認するも誰も動かない。打鐘の4コーナーでようやく5番手から梅川風子が仕掛けると、小林も車間を詰めてペースを上げる。合わせるように太田も踏む。さらに3番手の佐藤水菜も外を踏んでまくり合戦になる。最終バック手前では内から太田、小林、佐藤、梅川のナショナルチーム4人が併走。佐藤のスピードが良く、直線半ばでわずかに抜け出して1着。賞金圏外からの逆転劇で地元のグランプリ出場を決めた。
「去年はこの競輪祭で怪我を経験してツラい1年でした。(競技の)全日本自転車選手権大会でも勝てない相手に自力を出せて勝てたのでうれしいです」
梅川の仕掛けにかぶることなくポジションを確保し、冷静に仕掛けた佐藤の走りが光った。
「初日は自力を出して4着。2日目は展開もあったけど、悔しい3着だった。それがあったからこそレースが見えた。それが勝因だと思います。競輪祭は毎年何かが起きてたんでですけど。今年は何があるかなと思ったら優勝しかないと。自然体で動けました。ナショナルチームに入って、肝が据わりました。メンタル面でプラスになっています。グランプリでもチャンスをつかめるように」
佐藤に外を行かれた小林優香は、グランプリ出場を逃す2着。
「1番車だったので前を取らないとっていうのもありました。ただ、Sはいらなかったです。(打鐘の)4コーナーで一気に仕掛けとけば面白かったですかね」
レース経過
号砲が鳴り、やや見合ったスタートから最内枠の小林優香が誘導員を追いかける。その後ろは佐藤水菜、高木真備の順で並び、最後方から追い上げた梅川風子は、鈴木美教の前に入って4番手。6番手に鈴木奈央が続き、梅川に乗って上昇するも外に浮いてしまった太田りゆは、青板の2コーナーから再び上昇して小林の前に入り、誘導員の後ろで赤板の通過する。
2番手の小林は、徐々に前との車間を空けて後続を警戒する。最終ホームから梅川が仕掛けると、小林も梅川に合わせて踏み上げて、車間を詰めた勢いでそのまままくり出す。さらに、小林に続いた佐藤も梅川より先に2コーナーからスパートし、最終バックでは逃げる太田、小林、佐藤がほぼ横一線の状態でモガき合う。3車並走の一番外を踏んだ佐藤は4コーナーで内の二人を力でねじ伏せると、そのまま小林、梅川を振り切ってゴール線を駆け抜けた。
着 | 車番 | 選手名 | 府県 | 期別 | 級班 | 着差 | 上り | 決まり手 | H/B |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 3 | 佐藤 水菜 | 神奈川 | 114期 | L1 | 11.9 | まくり | ||
2 | 1 | 小林 優香 | 福岡 | 106期 | L1 | 3/4B | 12 | 捲残 | |
3 | 7 | 梅川 風子 | 東京 | 112期 | L1 | 1/2W | 12 | まくり | |
4 | 2 | 鈴木 美教 | 静岡 | 112期 | L1 | 1/2W | 11.8 | ||
5 | 5 | 太田 りゆ | 埼玉 | 112期 | L1 | 1/2W | 12.1 | H B | |
6 | 4 | 高木 真備 | 東京 | 106期 | L1 | 1/2W | 11.9 | ||
7 | 6 | 鈴木 奈央 | 静岡 | 110期 | L1 | 1B | 12 |
児玉碧衣(福岡・108期)
児玉碧衣が圧勝の完全V
3番手の尾方真生が4番手の柳原真緒を警戒するように前と車間を空けて、両者を見るように児玉碧衣が5番手にポジションを取る。柳原が打鐘の2センターからダッシュ良く仕掛けると、尾方は合わせることができず内に包まれる。最終ホームで柳原を追った児玉にとっては、その時点で勝負あり。
「(尾方)真生とヤナギ(柳原)が自分の前にいたんで、2人でモガき合いになると思った。2人が仕掛けなかったら自分で行くつもりでした。そしたらヤナギが行って真生をフタする形になったんで、自分にとってはラッキーでした。初日、2日目は併走から1周モガいていたんで気持ちに余裕がありました」
確信のまくりで後続をちぎって、児玉が圧勝劇を演じた。すでにグランプリの出場権は得ていたが、このVで1番車も決まった。
「またグランプリを(一昨年みたいに)1番車で走れるんで、3連覇を目指していきます。3連覇っていうのはなかなかできることではないし、自分の名前を残したい。あと1カ月ちょっとあるんで、グランプリまでに練習します」
インを突いた久米詩と児玉後位が併走になった荒牧聖未だったが、併走をこらえて児玉に食らいついて2着に入った。
「車番を生かして自分の力を出し切って、3着以内に入ってお客さまの車券に貢献できればと思っていた。内をすくわれそうになるのも警戒していた。離れながらだけど、付いていけて良かった。今度はもっと詰められるようにしたい」
尾方を制して積極的な仕掛けで力を出し切った柳原真緒は3着。
「尾方さんより先に仕掛けようと思っていた。しっかり出切れたんで良かったです」
レース経過
号砲で出た石井貴子が前を取り、追い上げた尾崎睦が2番手に入る。以下は、尾方真生、柳原真緒、児玉碧衣、荒牧聖未、久米詩の順で隊列が落ち着いて周回を重ねる。
赤板過ぎから尾方が前との車間を空けはじめ、その後ろの柳原も若干、車間を切った状態で打鐘を迎える。誘導員が退避して、先頭の石井がスピードを上げないでいると、2センターから柳原が反撃出て、最終ホームから踏んだ石井を2コーナー手前でとらえる。しかし、冷静に柳原の仕掛けに乗った児玉がすかさずその上を一気にまくり出し、段違いのスピードで飲み込んで先頭に立つ。その後も後続を寄せ付けずに4コーナーを回り、堂々と押し切って完全Vを飾った。
着 | 車番 | 選手名 | 府県 | 期別 | 級班 | 着差 | 上り | 決まり手 | H/B |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 児玉 碧衣 | 福岡 | 108期 | L1 | 11.5 | まくり | B | |
2 | 2 | 荒牧 聖未 | 栃木 | 102期 | L1 | 3B | 11.7 | マーク | |
3 | 7 | 柳原 真緒 | 福井 | 114期 | L1 | 3B | 11.9 | 捲残 | |
4 | 4 | 尾方 真生 | 福岡 | 118期 | L1 | 1/2B | 11.9 | ||
5 | 5 | 尾崎 睦 | 神奈川 | 108期 | L1 | 1B | 12 | ||
6 | 3 | 久米 詩 | 静岡 | 116期 | L1 | 1B1/2 | 12.1 | ||
7 | 6 | 石井 貴子 | 千葉 | 106期 | L1 | 8B | 12.9 | H |