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81#

決勝戦レポート

浅井康太(三重・90期)

ナイター初のG1王者は浅井康太

 「久々すぎてGIを獲る感覚を忘れてた」
 2度目のタイトルを制覇した11年9月のオールスター以来、7年以上ぶりのGI優勝。こう振り返った浅井康太だったが、もちろん“飛び方を忘れた鳥”ではなかった。15年、昨年と2度のグランプリ(GP)王者にも輝き、今年も記念2VとGI表彰台で賞金を積み重ねて8年連続8回目のGP出場を確定させて迎えたシリーズだった。
 「ダービーと同じ6日間の戦いプラス、今回は5走だった。体力がいるレースだったけど、普段のトレーニング量が増えているんで、その結果が出たのかなと感じてる」
 ナイターで初めてのGIは、6日制のロングランシリーズ。生まれ変わった競輪祭は、特選シードがなくなりS級S班の浅井といえども一次予選からのスタートを余儀なくされた。気の抜けない戦いだったが、終わってみれば12121着のオール連対。豊富な練習量に裏付けされ、高いパフォーマンスが約束された浅井にとっては、当然の結果だったのかもしれない。
 決勝は脇本雄太の番手を弟デシの柴崎淳に任せて、浅井は3番手。究極の判断が迫られる展開だった。
 「平原(康多)さんがいいスピードで来て、自分は内を締めとかなきゃいけなかった。(柴崎)淳君が横に張りながら踏んだ感じもあったけど。そのなかで平原さんが淳君を放り込んだ感じなって、自分はヤバいなと思った」
 太田竜馬の上昇に前受けの脇本が突っ張って、流れは脇本ラインに向いた。4番手から最終2コーナーでまくった平原を番手の柴崎がけん制するが、平原に押し込まれる。浅井は一瞬の判断で平原にコースを塞がれる前に、柴崎の内を突いて直線勝負。ゴール寸前の最後のひと伸びで前をとらえて、脇本のGI3連覇を阻んだ。
 「(最終)4コーナーを回って、結構キツかった。なんとかハンドルを2、3回投げた感じだった。準決が(感触が)悪かったんですけど、セッティングを戻して(4日目の)ダイヤモンドレースくらいの感触になった。このあとは年末(のGP)に向けて、いままで通りしっかりトレーニングに励んで、競輪に向き合っていきたい。それでお客さまの期待に応えられるように。2連覇で3回目(のGP優勝)を達成できるように日々、努力します」
 GPチャンピオンジャージを身にまとっては、初めてのGI制覇。連覇がかかるGPは脇本との別線が濃厚だが、最高の形で年末の大一番を迎えられることは間違いない。
 
 赤板からの突っ張り先行に出た脇本雄太は惜しくも2着。GI3連覇こそ逃したが、完全にレースを支配した。
 「突っ張ることは半分くらい考えてました。太田がなめて押さえてきたし、もう自分の距離だと思って自信をもって行きました。自分のペースに持ち込めたし、僕の中では納得しています。今後の課題も見つかったので、グランプリに向けてしっかりやっていきます」
 
 最終3コーナーから外をまくり追い込んだ清水裕友が3着。賞金ランクで原田研太朗を逆転して、初のグランプリ出場を決めた。
 「(GP出場が決まって)本当ですか。ちょっと言葉が出ないです。太田が早めに切るかなと思ったけど、行かなくてヤバいなと思いました。頭では厳しいかなと思ったけど、あきらめずに踏もうと。良く伸びてくれましたね。ただ、準決の方がキツかった。決勝の方が伸びた感じがありました」
 
 GI初決勝の柴崎淳は、絶好の展開を生かせず4着に終わった。
 「決勝の舞台は面白いですね。経験不足が出たんですかね。(最終)2コーナー過ぎは夢を見ましたよ。余裕もあったし、このままならゴボウ抜きかなって。浅井さんに内からこられて正直、腰砕けになってしまった。でも、あきらめずに踏みました。3着までには入らないとダメですよね」
 
 平原康多は4番手から脇本に挑んだが、柴崎のブロックもあって6着に終わった。
 「まくれなかったですね。でも、ちょっと前は(脇本の先行を)まくりに行く気持ちにならなかったし、付きバテする強さを感じていました。でも、今回はそんな感じはなかったですね。少しは、(脇本との)差を詰められたかな。せっかくのナイター(で初のGI)だったし、一本棒で終わるようなつまらない競輪にはならなくてよかったです。(グランプリまでの)1カ月あるんで、もう1個差を詰められうように」
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レース経過

 スタートでけん制が入ると、内の浅井康太、外の脇本雄太で誘導員を追い、周回は脇本-柴崎淳-浅井-平原康多-諸橋愛-菅田壱道-太田竜馬-香川雄介-清水裕友の並び。
 赤板前から太田が上昇するが、前受けの脇本は1コーナーから誘導員を下ろして太田をけん制する。太田があっさりと車を下げ、隊列が一本棒になると脇本は一度ペースをスローに落とす。最後方だった清水が内から7番手に上げ、下げた太田は8番手で残り1周半の鐘が入る。脇本はホームから徐々にペースを上げるが、そこに2コーナーから平原がまくりで襲いかかる。バックで柴崎の横に並びかけると、これを柴崎がブロック。しかし、一度で止めきれず2センターでも平原とからむと、3番手の浅井が空いた内に切り込む。浅井は脇本との車間を詰めた勢いで外に持ち出すと、粘る脇本をゴール寸前で逆転。平成23年8月のオールスター以来、自身3度目となるGIを制した。逃げた脇本は2着でGI戦3連覇ならず。3コーナーからまくった清水が3着に入線した。
 

車番 選手名 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
1 1 浅井 康太 三重 90期 SS 10.9 追込み
2 9 脇本 雄太 福井 94期 S1 1/4W 11.1 逃残 H B
3 3 清水 裕友 山口 105期 S1 1B 10.8 追込み
4 6 柴崎  三重 91期 S1 1/4W 11.1
5 5 菅田 壱道 宮城 91期 S1 3/4W 10.9
6 2 平原 康多 埼玉 87期 SS S 11.1
7 4 太田 竜馬 徳島 109期 S1 1/2W 10.7
8 7 諸橋  新潟 79期 SS 1/2W 11
9 8 香川 雄介 香川 76期 S1 2B 10.7

梅川風子(東京・112期)

梅川風子が逆転V

 ガールズグランプリトライアルの2日目が終わった時点では、ガールズグランプリの賞金争い圏外。本人も「状態が悪かった」と決勝に進んだ7人中、最低ポイントで勝ち上がった梅川風子。それでも、「信じられないですね」と本人も驚愕の大金星を挙げて、初のガールズグランプリの出場を決めた。
 「グランプリが決まったことは嬉しいです。(優勝を確信したのは)ゴール線までわからなかったですね。差されると思いながら走っていたので。勝因は冷静でいられたことです。でも、(優勝は)実力とは思っていません。自分だけではなくて、(自分と)練習して下さる人たちのおかげです」
 スピードスケートから転身して輪界入り。卒業記念レースを制するなど、在校時代から勝負強さが光った。初ビッグ出場となった今年のガールズケイリンフェスティバルでは準Vと頭角を現してきたが、本人は厳しく自己ジャッジ。「グランプリへのこだわりは他の人より薄いというか、まだ成長しないといけない過程ですし。(ガールズグランプリへは)意識せずに臨んでいました」。それでも、その判断力を今回の大一番で発揮。前受けから打鐘で冷静に引いた梅川は、ホームで仕掛けた石井寛子を冷静に追走。内に切り込んで石井寛子をインからまくると、そのまま力強く押し切った。
 「みんなが一斉に動いて、読み切れなかったです。でも、ホームでは、そんなに踏まないかなと思っていましたね。(内からまくったのは)コースがそこしかなかったので。(デビューから約1年半でのグランプリ出場は)早すぎるくらいです」
 1ケ月後にはガールズケイリンの頂点を決めるレースが控える。残りの時間を綿密にプランニングし、夢舞台で持てる余りの力を出し切る。
 「残りの1ケ月は短いので。計画的にトレーニングを積まないなと思っています。(ガールズグランプリ2018は)インパクトのあるレースがしたいです」

 鈴木美教は7番手で最終ホームを通過。併走からまくった石井貴子を追いかけると、直線で鋭く伸びて準V。獲得賞金を上乗せし、地元の静岡で開催されるガールズグランプリ出場を果たした。
 「展開が激しかったですけど、後ろで冷静に見られました。脚も使っていなかったし、伸びも良かったですね。でも、緊張しました。(ガールズグランプリ出場を決められて)本当に良かったです。(最後まで賞金争いで気が抜けなかったが)ギリギリのラインでグランプリに乗れたことは、来年につながると思います。このあとは練習で追い込んで、優勝できる脚を作ります」

 石井寛子は梅川を追いかけたが、開いた車間が縮まらずに3着。
 「仕掛けると決めていました。グランプリを見据えて、どれくらいいけるか試したくて。でも、踏む距離が短くなってしまったし、抜かれているので。このあとに基礎トレーニングをしっかりして、グランプリを頑張りたいです」

 ガールズグランプリ出場へは優勝が絶対条件だった山原さくら。しかし、石井寛子に上を行かれると、梅川に斬り込まれて態勢を崩す。そのまま態勢を覆せずシンガリ負けに終わった。
 「やることはやりました。脚負けはしていないし、展開次第だと思う。(ビッグレースで)初めて1番人気にもなれたし、成長できているなと思いました」

 石井貴子は併走からまくり上げたが、4着までが精一杯。賞金での出場が決まったガールズグランプリに向けて気を引き締めた。
 「読みも外れたし、課題だらけですね。でも、ピリっとしていんじゃないですか。(ガールズグランプリまでの)残り1ケ月間を頑張ります」

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レース経過

 号砲で勢いよく飛び出した石井寛子だったが、梅川風子の上昇を受けて2番手に。これで周回は梅川、石井寛、梶田舞、石井貴子、長澤彩、山原さくら、鈴木美教の並び。
 赤板の1センターから上昇した長澤が打鐘で先頭に立つと、この動きに続いた山原が3コーナーで前に出る。追い上げてきた石井貴と長澤で山原後位が併走になると、4番手の石井寛がホームから仕掛けて先頭に立つ。上手くこの動きに乗った梅川は石井寛が一瞬空けたインコースから抜け出してそのまま先頭に。立て直した石井寛が追いかけるが、差は縮まらず。押し切った梅川がグランプリ出場権をゲット。追いかけた石井寛が2着かに、石井寛、石井貴の後ろから外を回した鈴木が直線鋭く伸びた。

車番 選手名 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
1 7 梅川 風子 東京 112期 L1 12.5 まくり B
2 5 鈴木 美教 静岡 112期 L1 2B 12.3 追込み
3 1 石井 寛子 東京 104期 L1 1/2W 12.6 捲残
4 3 石井 貴子 千葉 106期 L1 3/4B 12.5
5 2 梶田  栃木 104期 L1 2B 12.6
6 4 長沢  愛知 106期 L1 3/4W 12.5
7 6 山原 さくら 高知 104期 L1 7B 13.3 H

児玉碧衣(福岡・108期)

児玉碧衣が地元タイトル獲得

 

 終わってみれば児玉碧衣の完勝だった。地元の大声援を力に、圧巻のまくりでライバルたちを一蹴。ファンの期待にしっかりと応えた。
 「声援が力になりました。地元の特別なんで、すごいうれしいです。ジャンからみんな動いて団子状態になると思っていたので、それを見極めて行けるところでしっかり行こうと思ってました。3コーナーで止まるバンクなんですけど、そこを乗り越えて出切った時点で決まったと思いました」
 8月平のガールズドリームレースで念願のビッグレース初制覇。それから一段と成長している。
 「なかなかタイトルを獲れないなかで今年はオールスターでタイトルを獲れて、自信がつきました。それから重荷が取れたというか、気持ち的に楽に走れるようになって、今までの練習の努力が出ていると思います」
 年末には最大の目標であるガールズグランプリ2018が控えている。この優勝で1番車が決まった。視界は良好だ。
 「最大の目標はグランプリの優勝なので、今回はグランプリに向けて、いいシミュレーションになりました。このあとは武雄もあるので、一戦一戦、またグランプリに向けて頑張りたいと思います」
 年末の大一番を制して、名実ともにガールズケイリンの頂点を極める。
 
 外併走を耐えながらまくり上げた佐藤水菜が2着。今大会は114期からただひとりの参戦だったが、シリーズを通して抜群の存在感を放った。
 「ちょっとひるんでしまって、仕掛けるべきところで行けなかったです。自分らしい走りができなかった。最後は伸びたので、道中での位置取りを見直したいですね。また練習して見せられるようにしたい」
 
 最終4コーナーで最内を突いた細田愛未が3着に入った。
 「2着には入りたかったです。ジャン前から誰かしら来るかなって思っていたけど、内から(尾崎に)来られてしまって…。もっとダッシュがあれば良かったと思うんですけど、力が足りませんでした」
 
 先行した高木真備はシンガリ負け。年末のグランプリへ気持ちを切り替える。
 「行けるところがあれば、しっかり行こうと思ってました。無理やり行った感じですね。最後は内から行かれてしまったし、しょうがないです。グランプリに向けて、しっかり修正したいと思います」
 
 終始、併走で持ち味を発揮できなかった尾崎睦だが、ガールズグランプリの最後の椅子に滑り込んだ。
 「本当はもう少し力を出したかったんですけど。前に出て、(児玉)碧衣ちゃんが来るのを待ってしまった。先行する気持ちと脚力があれば。(ガールズグランプリ出場は)うれしいですけど、このままだと勝負にならない。しっかり練習し直して、リベンジしたいです」
 
 4着の奥井迪はガールズグランプリ出場を次点で逃した。
 「つかみ取れなかったのが自分の実力。この結果をしっかり受け止めて。今年は出られないけど、来年(のガールズグランプリ)は立川なので。なにが足りなかったのか、しっかり考えて、1年間を戦います」
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レース経過

 奥井迪も前を狙ったが、最内の細田愛未が譲らず正攻法を確保。これで周回は細田、高木真備、奥井、尾崎睦、佐藤水菜、児玉碧衣、大久保花梨の並び。
 赤板ホーム手前からアクションを起こした佐藤は尾崎の外で止まる。後方からの仕掛けもなく、打鐘で誘導員が退避すると、包まれた尾崎は内を上昇して4コーナーから先頭に。そこをホームから高木が叩いて主導権を握る。この動きに続こうとした児玉だったが、尾崎、佐藤とアンコになると1車下げて2コーナーからまくり上げる。高木の逃げに続いた奥井がバックからまくって出るがなかなか車は出ず。大外を伸びた児玉が直線で鮮やかに前団を飲み込みトライアルAを制す。尾崎と併走になりながらも外を粘り強く踏んだ佐藤が2着に。3着には4コーナーから最内を踏んだ細田が食い込んだ。

車番 選手名 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
1 2 児玉 碧衣 福岡 108期 L1 12.3 まくり
2 5 佐藤 水菜 神奈川 114期 L1 1B1/2 12.4 まくり
3 1 細田 愛未 埼玉 108期 L1 1/4W 12.4 追込み
4 4 奥井  東京 106期 L1 3/4B 12.7
5 6 尾崎  神奈川 108期 L1 1/2W 12.5
6 7 大久保 花梨 福岡 112期 L1 1/4W 12.4
7 3 高木 真備 東京 106期 L1 3/4B 12.8 H B