いわき平競輪

IWAKI TAIRA KEIRIN

13#


決勝戦レポート

脇本雄太(福井)

圧巻の逃走劇で初タイトル

 10年、GI初出場の寬仁親王牌でセンセーショナルに決勝進出。先行策で市田佳寿浩を初タイトルに導いた。その時、平成生まれとして初めてGIファイナルの大舞台に立った脇本雄太が、平成最後のオールスターを制して念願のタイトルホルダーに輝いた。
 「今年はGIの決勝に何回もあがっているのに、優勝ができなかった。悔しい思いがあったんで、今回はっていう気持ちがあった。すごくうれしいです」
 5月ダービー、6月高松宮記念杯ではともに、脇本がレースを支配して、番手を回った三谷竜生が優勝。自らも3着、2着と表彰台にあがった。“タイトルに一番近い男”であることは、誰が見ても明らかだった。『まくりでもいいからタイトルを』、そんな周囲の声にも、脇本は先行でのタイトル奪取にこだわった。
 「まくりとか自力で勝つよりも、自分が先行して勝つっていうことに価値がある。これで僕のなかでは心おきなく先行日本一と言える」
 終わってみれば脇本の独壇場も、3車で強力な布陣ができあがった中部勢、地元オールスター連覇に燃える渡邉一成とオールスターにふさわしい好メンバーがそろっていた。脇本を警戒しながら赤板2コーナー手前で主導権を握った竹内雄作が、ピッチを上げて逃げる。
 「あのまま待っても自分に勝ち目はないし、なんとしてもどこかで勝負をしないといけない。それがあの位置だった」
 フルアクセルで抵抗する竹内に迫った脇本だったが、打鐘の4コーナーの浅井康太のけん制で外に振られる。それでも再加速した脇本のスピードが鈍ることはなく、外を踏んで最終1コーナー過ぎに中部勢をのみ込んだ。
 「最終ホームからはとにかくガムシャラにモガいた。後ろがどうなっているとか、ラインが(自分の後ろに)ちゃんといるのかとか確認できる状態ではなかった。(2着をちぎってゴールしたのが)僕のなかではものすごく意外だった。それくらい自分に余力がなかった」
 絡まれた古性優作が遅れ、自力に転じた浅井を3車身離して逃走劇を完結。先行の美学を貫いてGI初制覇を遂げた。
 「発走する前からすごい声援だったし、なんとしてもその期待に応えなきゃっていう使命感で走りました。東京五輪のケイリンでメダルを獲りたいっていう強い意志のなかで(GI優勝が)生まれた。毎日、毎日、集中して練習している結果だと思います」
 20年の東京五輪を目標に掲げ、ナショナルチームでのハードトレーニングに明け暮れる日々。一昨年、チーム体制が変わり、昨年は競輪でも思うように結果を残せなかった。
 「去年1年は僕も苦しんだ。1年我慢して、いまは結果が出ているからそれでいいと思う。いままでもっていた理論とかを変えてやっていくには、やっぱり18カ月くらいはかかる。このあとは20日集合で、21日に出国。アジア大会では結果を求められると思うし、しっかりと頑張りたい」
 アジア大会が行われるジャカルタ(インドネシア)に向けて旅立つ脇本が見据える先は、2年後の東京五輪。悲願のメダルまでタイトル獲得はあくまで通過点だ。
 
 浅井康太は近畿3番手の村上義弘をどかして古性にスイッチ。まくってきた渡邉に合わせて最終2センターから踏み込んだが、脇本には届かなかった。
 「めちゃキツかったです。ワッキー(脇本)が見えたんで1回振った。あれを行かれたら僕のラインが終わるんで。ワッキーを振りにいったぶん、古性には当たれなかった。うまいことやったけどダメでしたね」
 
 大会連覇を狙った渡邉一成は3着。ナショナルチームのチームメイトである脇本の優勝を称えながらも、地元で優勝を逃した悔しさから表情は硬い。
 「前から中団、中団に攻めて、すべて読みどおり。でも、村上さんに対しての浅井のブロックが効きました。優勝以外は負け。優勝だけ考えて走ってたので悔しいです。ワッキーが強かった。彼は14回GIの決勝に乗って、自力でつかんだ優勝。いつ優勝してもおかしくないと思ってたので、素直に祝福したい」
 
 脇本に離れてしまった古性優作は、自らの判断ミスを悔やんだ。
 「止まりそうだったんで、脇本さんの位置を確保せなあかんのかなと思って内を見た瞬間に伸びて行った。そこからカバーできる脚力があればいいけど、自分の判断ミスですね。後ろに村上さんがついてるのに申し訳ないです」
 
 単騎の山崎賢人は位置を取ることもできず最後方からの組み立て。脇本の仕掛けに続くことはできなかったが、立て直して外を回すとあわや表彰台かという伸びを見せた。
 「あの位置になったんで脇本さんの仕掛けを待って、モガき合ったところを行こうと思ったけど、(渡邉)一成さんにうまく張られた。厳しいですね」
 
 真っ向勝負を挑んだ竹内雄作だったが、脇本に力負け。「スピードが違う。でもGIの決勝でまだ先行したことがなかったので、1個ずつです」と、レースを振り返った。

レース経過

 渡邉一成が前を取り中村浩士が続く。その後ろは竹内雄作-浅井康太-金子貴志の中部勢が占めた。脇本雄太-古性優作-村上義弘の近畿勢が続き、単騎の山崎賢人が最後方。この並びでしばらく静かな周回を重ねる。
 赤板過ぎの1センターからレースが動きが始めた。竹内が浅井-金子を引き連れて踏み上げると、正攻法の渡邉は車を下げて中部勢の後ろにスイッチ。中部勢を追っていた脇本は主導権を狙って更に踏み込むが、気づいた竹内も全開で応戦する。ジャンから主導権争いに発展したが、最終ホーム過ぎの1センターで脇本が竹内を叩いて先頭に躍り出た。古性は3車身ほど離されながらも続くが、村上は2コーナーで浅井のブロックで弾かれた。最終バックは脇本が快調なペースで飛ばし、3車身ほど離れて古性、村上を飛ばして切り替えた浅井が続き、2コーナーからまくり上げた渡邉が浅井の外まで迫る。脇本はそのまま後続を寄せ付けず悲願のG1初優勝を達成。2センターで古性を交わして出て脇本を追った浅井が2着、渡邉は浅井に迫るも3着。 

車番 選手名 年齢 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 S/B
1 7 脇本雄太 29 福井 94 S級1班 11.9 B
2 1 浅井康太 34 三重 90 S級S班 3B 11.8
3 2 渡辺一成 35 福島 88 S級S班 1B 11.9 S
4 8 山崎賢人 25 長崎 111 S級2班 1/8W 11.6
5 9 中村浩士 40 千葉 79 S級1班 1/2B 11.8
6 3 古性優作 27 大阪 100 S級1班 3/4B 12.1
7 4 竹内雄作 30 岐阜 99 S級1班 D 14.9
8 6 金子貴志 42 愛知 75 S級1班
0 5 村上義弘 44 京都 73 S級1班

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