23年ラストを飾るGI「第65回・朝日新聞社杯・競輪祭」が、例年通り小倉競輪場を舞台に11月21日から始まる。一昨年は吉田拓矢、昨年は新山響平が新時代の扉を開けるGI初優勝を遂げるドラマチックな結末が待っていたが、23年は果たして。またまたニューヒーローが飛び出すか、実力者が貫禄を示すか、大逆転でグランプリ出場を決める選手が出て来るか。独特の張りつめた空気の中で繰り広げられる6日間のナイターGIは全レース目が離せない。
今年のグレード戦線はオールスターで脇本雄太、松浦悠士が落車骨折したことで大きく様相が変わった。松浦は10月から復帰し、脇本も11月には戻ってくるが、怪我の影響をどこまで引きずるかは未知数だ。日本選手権を山口拳矢、オールスターは眞杉匠が優勝するなど若手の台頭も本格化してくる中、誰がサバイバル戦を勝ち抜いて決勝を争うかも読みにくいが、実績を考えれば本命には古性優作が最も相応しい。古性は全日本選抜、高松宮記念杯、寛仁親王牌を制して今年GⅠを3冠。全日本選抜、高松宮記念杯はいずれも脇本の番手で手にしたものだが、寛仁親王牌を自力で制したようにたとえ古性一人でも特別競輪で主役を張る力量があるのは誰もが知るところだ。ダッシュ、スピードとレースの流れの中での反応の良さは誰の追随を許さない。与えられた条件の中で最高のパフォーマンスを見せてくれることだろう。
脇本は最も注目される選手。体調が整った時の先行力は文句なく日本一で、台頭著しい若手機動型が束になっても敵わない。松浦と即席ラインを組んだサマーナイトフェスティバルの決勝でも迷わず逃げて松浦とワンツー決着したように気持ちの強さが違う。とにかく脇本のデキはシリーズの行方を大きく左右する。もちろん、近畿勢はこの2人だけではない。稲川翔、三谷竜生、東口善朋、寺崎浩平らも忘れてはならない。
ラインの厚みでは北勢だ。昨年大会でも4人が決勝に乗り、新田祐大の先行を利して新山がGⅠ初優勝を達成した。新山、新田に、佐藤慎太郎、守澤太志と4人のS班がそろうのは何よりも強み。佐藤が獲得賞金で今年もグランプリ出場をほぼ決めているが、他の3人は賞金でボーダーにいるのでモチベーション高く臨めそう。突っ張り先行で押し切るパワーを持つ新山と、番手での経験値も積んでいる新田の呼吸が合えば他のラインを寄せ付けない。また、北勢では世界選のケイリンで銅メダル獲得とナショナルチームの主力選手に育った中野慎詞も気になる。