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小倉競輪

KOKURA KEIRIN

81#

GⅠ朝日新聞社杯競輪祭

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次回開催

F2

11/29 ・30 ・1

決勝戦レポート

眞杉匠(栃木・113期)

単騎で読みがズバリ

 相手は名うての近畿勢に、ライン3車の厚みがある南関ライン、そして松浦悠士とタッグを組む“超新星”の太田海也。ホームでの声援を一身に受ける北津留翼もいたが、その8人をまとめた負かしたのは、関東からただ一人、ファイナルに勝ち上がった眞杉匠だった。
 「(優勝は)自分でもビックリしています。単騎は好きなので、単騎で優勝ができたのはうれしいですね」
 こう言っていつも通り、人懐っこい笑みを浮かべた眞杉の読みがズバリと当たった。
 「前にも深谷(知広)さんと松井(宏佑)さんはこういう先行をしていたんじゃないかと。それで信じて付いていました」
 脇本雄太に併せ込まれた深谷が後方まで下げても、スイッチすることなく南関ラインを前に見る9番手。そこから巻き返した深谷が主導権を握ると、思惑通り4番手を手に入れた。
 「ジャンでは(別線が後ろから)来る感じがなくて、(最終)ホーム過ぎに来たのがわかった。それで(バックの)直線で1車追い上げようと。理想的な勝負でした」
 8番手からスパートした脇本だが、いつものような加速がない。あおりもあった脇本が不発になって、今度は真後ろから太田がまくってくる。眞杉は俊敏に前に踏んで簗田一輝に並ぶと、番手まくりに出た松井をスムーズに追走。外の太田を軽く弾いて、同期の松井をロックオンして、直線を迎えた。
 「(松井との直線の)そこの勝負でした。(交わしての1着で)めちゃくちゃうれしかったです」
 初戴冠となった8月のオールスターでは、吉田拓矢がラインの先頭を務めて、後ろには地元の平原康多と武藤龍生。ラインの要、番手を回る重責もあった。
 「(オールスターの決勝の)あの時はすごく緊張していたけど、今日は考えてもなるようにしかならない。いい意味で気楽に走れたのが、結果につながったのかなと」
 計ったよう松井を交わしてゴール。オールスターとは違い数的有利はなかったが、眞杉が2度目のG1優勝を遂げた。
 「(2度目のG1優勝で)来年に向けて自信をもって(S級S班の)赤パンをはけるように。(4日目の)ダイヤモンドレースみたいに単騎になったらダメダメってわけじゃなく、今回は考えて走れたのですごく収穫にもなった。それで結果もついてきたんで良かった」
 同県の“リビングレジェンド”、16回のG1優勝を誇る神山雄一郎に、また一歩、近づいたG1勝利でもあった。
 「今回はただ流れが向いただけなんで。やっぱりダイヤモンドレースを走ってみてもそうですし、脚力差がまだまだあると思う。(S級S班のユニフォームを)脱がないように、また練習するだけです。神山さんは16回ですか。じゃあ、あと14回で並びますね(笑)」
 これ以上ない加速をつけて、地元地区の立川グランプリへ。単騎になりそうなグランプリだが、もう心配はいらない。神山さえも成し遂げていない栃木勢から初のグランプリ制覇に、まっしぐらに進むだけだ。

 深谷が敢然とレースを支配して、流れは南関勢。番手の松井宏佑は、最終バック手前からまくって出たが、後位には簗田から奪った眞杉がいた。ゴール線では、眞杉に半車輪交わされタイトル獲りはならなかった。
 「悔しいです。ダメですね。(別線の巻き返しが)早めならけん制して、少しでもラインが有利と考えていた。深谷さんが掛かっていました。後ろがもたついていたので、見えてから引きつけてからでした。最後の最後、自分の力は出し切れた。来年こそタイトルを獲れるように練習をしたい。今回は自分の成長を感じるシリーズだった。来年はとりこぼしがないように、全部の特別競輪(G1)で自分の納得できるように優勝を目指したい」

 5番手まくりの太田が合わされて、最終2センターでは眞杉に弾かれていっぱい。太田に委ねた松浦悠士は、簗田と太田の間の狭いコースから差し脚を伸ばしたが3着まで。
 「深谷さんの駆け方は緩急をつけながらでうまかった。(太田)海也がもう少し自信をもっていければ。(タイミングとしては最終)ホームから1コーナーですか。(グランプリに)だいぶ勝負になるデキです。これから上積みもつくれそうです」

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レース経過

 スタートは、内枠を利して松浦悠士が誘導員を追う。周回中は太田海也-松浦、深谷知広-松井宏佑-簗田一輝、眞杉匠、脇本雄太-南修二、北津留翼の並び。青板バックから脇本が上昇し深谷にフタをする。深谷は2センターですかさず引いて、すぐさま赤板ホームで巻き返して先頭に立つ。深谷-松井-簗田、眞杉、太田-松浦、北津留、脇本-南で赤板バックを通過。ジャンで深谷は一気にペースを上げる。最終ホームで脇本がスパートするも、車があまり進まない。2コーナーから太田がまくりを開始。それに合わせて松井、眞杉もそれぞれスパート。眞杉は松井後位に入り、外の太田をけん制。最後の直線で松井を捕らえた眞杉が2度目のG1制覇。番手から出た松井は、眞杉に半車輪交わされて2着。太田のまくりに乗って切り替えた松浦が3着。

車番 選手名 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
1 7 眞杉  栃木 113期 S1 10.9 追込み
2 4 松井 宏佑 神奈川 113期 S1 1/2W 11 捲残
3 2 松浦 悠士 広島 98期 SS 3/4B 10.9
4 5 太田 海也 岡山 121期 S2 1B 11.1
5 8 北津留  福岡 90期 S1 1/2W 10.8
6 6 簗田 一輝 静岡 107期 S1 1B 11.2
7 9  修二 大阪 88期 S1 1B 10.8
8 1 脇本 雄太 福井 94期 SS 8B 11.6
9 3 深谷 知広 静岡 96期 S1 8B 13.1 H B

ラストG1で地元GPチケット獲得

 伊豆のベロドロームで行われた競技のジャパントラックカップから、中1日の強行ローテーション。
 「前検日に入った時点では、初日に当日欠場になるなっていうのも覚悟したというか。8割方、走ることができないくらいだった」
 体調を崩したなかで迎えたラストG1。ナショナルチームとの兼ね合いでガールズケイリンでの出走機会が限られている梅川風子は、当然ながら獲得賞金ランクでは圏外。4度目のグランプリ出場には新設されたこの女子王座戦を優勝するしかなかったが、到底、優勝が狙えるコンディションではなかった。
 「体力が回復してきて、日に日に良くはなってきていた。なんとか自分でもちこたえられたのは、気持ちの面では良かったです」
 何でかっていう感じと、2日間を振り返った梅川だったが、初日予選、準決を連勝。ナショナルチームの仲間であり、ライバルでもある佐藤水菜も無傷で勝ち上がり、梅川には佐藤の隣りの2番車が巡ってきた。
 「号砲が鳴る瞬間にSで誰も出なければどうしようという不安にかられました。ならばちょっと佐藤選手の動きを見てから、前団の位置を取ってもいいのかなと思ってたところで、佐藤さんがSを取った。あとはその流れのままっていう感じです」
 周回中は、佐藤の後ろの絶好のポジション。吉川美穂が打鐘の3コーナーで先頭に立ち、そのままペースを上げて駆ける。2番手で車間を空けた佐藤がまくりに行くと、梅川が続く。前を行くのは、オールガールズクラシックを完全V、今シリーズも圧巻の走りを見せていた佐藤。太田りゆのまくりも3番手までで、優勝争いは2人に絞られていた。
 「前もこういう展開になったことがあった。その時は冷静に回れなくて(最終)3コーナーぐらいから持ち出してしまって、直線で伸びなかったことが過去に多かった。冷静に、冷静に直線までは待てたとは思う。けど、車間を空ける余裕とかは全然なかった。佐藤選手の強さも(ナショナルチームの)練習中からよくわかってますし、自分の余裕のなさがあったのかなと」
 直線まで待ってから追い込んだ梅川が、チームメイトの佐藤をきっちりと交わしたところがゴール。17年のデビューから通算200勝のメモリアルでG1初制覇。地元、立川でのグランプリのプラチナチケットも獲得した。
 「(完全優勝して)いまでも不思議ですね。こんなことがあるんだなというミラクルが起きてる感じです。(グランプリ出場も決まって)立川は前回のグランプリに出た時は落車してしまったので、そのリベンジは果たしたいなと思います。競技の方のネイションズカップも(来年)1月に迫ってきてますし、いま下降気味なので、ここからグランプリに向けても上げていかなきゃいけない。グランプリで上がってなければ、ネイションズカップでも勝てるとは思えないので、しっかりグランプリを獲れるような調子にまでは上げたいなと思っています」
 20年以来3年ぶりのグランプリ。ナショナルチームのトレーニングもあり、次はグランプリが濃厚。グランプリの大舞台、地元のファンの声援に背中を押してもらって、再度、佐藤を倒したい。

 先行策の吉川を射程圏に入れて2番手からまくった佐藤水菜が2着。2冠奪取とはならなかった。
 「みんなスタートは取らないと思っていた。昨日(2日目)のレースが本当にしんどくて、坂口(楓華)さんに昨日みたいなレースをさせないように強気なレースをしようと決めていた。吉川さんの動きは私的にうれしかったです。2車なら突っ張ろうと思ったけど、1車だったので行けるタイミングで行こうと思っていた。だけど、太田さんが予想以上に早い仕掛けだったので、自分のスピードは良くなかった。こういうレースもできるっていうのは、自分にとって自信になりました」

 梅川の後ろで坂口と併走になった柳原真緒は、最終バックで遅れたものの3コーナーから再度、内にもぐり込む。前の2人には及ばずも直線ではじわじわと伸びた。
 「佐藤さんは後方だと思ったけど、スタートは意外だった。けん制し合って内が空くと思ったので、最後に追い込もうと思っていました。脚があれば良かったけど…。(グランプリ出場には)獲るしかない状況で、あの位置で戦えたことは良かった。けど、獲らないとグランプリはなかったので悔しいことは悔しいです。今年の前半は攻める姿勢でレースができたけど、後半に崩してからは立て直せなかった。また来年から賞金争いが始まるし、そこに向けて頑張っていきたい」

  • 優勝者の写真です
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レース経過

 スタートは、最内枠を生かした佐藤水菜が誘導員を追う。初手は佐藤、梅川風子、坂口楓華、尾崎睦、柳原真緒、太田りゆ、吉川美穂の並び。青板バックで太田が4番手まで上昇するも、尾崎も位置を譲らずに太田は再び6番手に戻る。最後方の吉川が赤板バックから一気に踏み上げる。吉川が先頭に立つも後続に動きはなく、吉川が最終ホームでスパート。佐藤は2番手に入り、車間を空けて後方を警戒。1センターから佐藤が車間を詰めながらまくりを敢行。佐藤のスピードが素晴らしく良く、2コーナーですぐに吉川を捕らえる。バックを過ぎても佐藤のスピードは落ちずに、後続の仕掛けも鈍いまま4コーナーを回る。佐藤の後ろで脚を溜めていた梅川が、直線で一気に佐藤を捕らえてのV。2着には佐藤が粘り込み、3着には赤板2センターからの坂口との併走をこらえて、直線で抜け出した柳原が入った。