真夏の頂上決戦。今年から6日制ナイター開催となるオールスター競輪が3年ぶりに“空中バンク”いわき平競輪場で開催される。
一番の話題は脇本雄太、新田祐大が帰ってきてS班9人が初めて一堂に会することだ。脇本、新田は東京オリンピックが一年延びてここがグランプリ以来のレースとなるが、いきなりの大一番でも結果を出せる図抜けた能力を持つのは周知の通り。特に昨年の脇本雄は半年ぶりの実戦となった高松宮記念杯で優勝し、オールスターを準V、寬仁親王牌も優勝。競輪祭で落車負傷しながら、グランプリも平原康多を連れて先行して2着だったのだから全くレベルが違う。オリンピックが終われば本業の競輪に専念。優勝した18年開催と同様、その驚異的な先行パワーで魅せる。古性優作、稲川翔の大阪コンビは脇本雄不在の近畿勢を盛り上げてきたが、脇本雄と一緒ならしっかり付け切って上位独占を果たすのがテーマになるのはこれまで通りだろう。
もちろん、地元の新田も黙っていない。新山響平や地元同士の高橋晋也と一緒なら前を任せて、一昨年の名古屋オールスター以来となるG1戦Vへ照準を絞る。もちろん、自力でもVの確率は下がらない。爆発的な加速力をここで炸裂させるか。佐藤慎太郎、守澤太志は新田らと呼応して北日本地区の牙城を守る。ともに差し脚は冴えていて佐藤はダービーを準V、守澤は高松宮記念杯を決勝3着で表彰台入りし、グランプリ出場へ視界は良好な状況だ。
今年の競輪界をリードしてきた松浦悠士、郡司浩平の東西2強にも意地がある。両者ともに前半戦の疲れが見えてきている近況ながら、懸かる期待は大きい。松浦は高松宮記念杯にしても決勝に乗って底力は示したし、続く6月小松島記念の二次予選敗退も競走妨害を受けた結果で悲観する必要はない。逆にここの1カ月以上前に問題点が見えたのは修正能力が高い松浦ならプラスに変えられる。ホーム手前から仕掛けて何度も踏み直し、他の選手をねじ伏せてしまうらしい走りで主役に座を守る。僚友の清水裕友も6月久留米記念を途中欠場と調子を乱したが、すぐに立て直してこよう。再び松浦との中国ゴールデンタッグで存在感を発揮しよう。
脇本雄、新田祐が戦線に復帰!!
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脇本雄太
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新田祐大
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松浦悠士
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平原康多
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浅井康太
郡司の高松宮記念杯は不運の車体故障により二次予選で終わった。この悔しさはオールスターにぶつける。深谷知広、松井宏佑とナショナルチームのスピードスターの存在は心強いし、微差の準Vと凄みを見せた本来の自力戦でもいける。置かれた条件の中でベストパフォーマンスを発揮しよう。
高松宮記念杯の決勝で宿口陽一、吉田拓矢がワンツーフィニッシュを決めて盛り上がるのは関東勢だ。ラインの要となるのは言うまでもなく平原。練習中のアクシデントで肘を骨折して欠場中の中、ファン投票で17年以来の1位に選出されたこと、練習パートナーの宿口のG1初優勝は何よりもの励みになっただろう。吉田に眞杉匠、黒沢征治、森田優弥と前を任せられる機動型も着実に育ってきているし、援護役の諸橋愛も度重なる落車にも健在ぶりを示している。強烈なダッシュ力という大きな武器を持つ平原だけに、ラインの力も借りて結果を出しても不思議ない。
中部地区でひとり気を吐く浅井康太、高松宮記念杯で決勝に乗った山崎賢人や山田英明、庸平兄弟らの九州勢、駒数豊富な四国勢の台頭にも警戒。
そしてこの大会のもう一つの見所は昨年デビューしたばかりの117回生から4人が出場する事。加えて、兄の脇本雄と同じ舞台に立つ勇希、7月小松島記念の最終日に松浦を不発に追い込んだ上田尭弥、小松島記念で決勝に乗った佐々木悠葵とフレッシュな選手たちがどこまでトップ戦線に食い込んでいけるか楽しみだ。