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松山競輪
MATSUYAMA KEIRIN
75#
決勝戦レポート
武田豊樹(茨城・88期)
武田豊樹が復活のビッグ制覇
苦しみ抜いた先の勝利だった。昨年8月のオールスターで落車。約2ケ月の長欠から寬仁親王牌で復帰を果たすも、満足いく走りはできなかった。それでも武田は不屈の精神力で己を磨くと、状態が徐々に上向く。そして、大舞台の決勝で勝負強さを発揮し、「第2回ウィナーズカップ」を制覇した。
「(前回は)いつ優勝したかわからないですね。(一昨年の)岐阜記念だったと思うんですけど。長いですね。良い時も、悪い時も、平原(康多)君と一緒に走ってますから。最近は(ワンツーが)決まってなかったので、すごく嬉しいです」
努力が報われたのは、幾度も連係を重ねた盟友・平原の番手から。原田研太朗が赤板の2コーナーで出ると、先に切った三谷竜生が番手で粘る。これでペースが緩むと、平原が勝負所を逃さずスパート。武田は踏み出しこそ続くも、1センターで口が空いてしまった。「離れてしまいましたね。課題の残るレースでした」。それでも、諦めずに平原を追いかけると、直線で追いつきざまに交わして優勝をつかんだ。
「骨盤を折ってからスピードが出ないので。悩み抜きながら、普段のトレーニングを考えてやっていたんですけど。決勝も番手戦で加速がまだちょっと(本調子ではない)。追いついて待つと後ろから食われるなって言う感じがあったし、2日目の反省を生かして(前に踏んだ)。ゴール前は何とかワンツーを決めたいなって思いでしたね。ここは(09年9月の)オールスターを獲っている競輪場ですから。(ファンの声援を受けて)懐かしく感じましたね」
1ケ月後に控えるダービーは、斡旋をしない処置により不参加。体のメンテナンスを含めて、3ケ月後の高松宮杯に標準を絞る。
「ダービーは自分が不甲斐ないレース(1月和歌山記念での失格)で制裁を受けたので。次の宮杯に向けて体作りをしたいですね。怪我したことによって、体のリズムがすべて悪くなったので。直すことに専念しながら、またこういう大きい舞台で勝負したって気持ちで一杯です」
平原康多は、ゴール前で交わされて準V。それでも、武田の優勝を心から祝福した。
「(三谷が粘るのは)考えてなかったです。もう少し待ってもよかったけど、自分のレースをして終わりたかったので。無理やりホームで、力任せで行きました。僕の優勝じゃないけど、ラインで決まったし、武田さんが勝ったので。武田さんは自分と一緒に(昨年のオールスターで)こけて。怪我した2人でゴールできたし、1着と同じくらい嬉しい終わりかたですね」
平原にまくられた原田研太朗は、前を追って3着に入線。しかし、ラインで決められず、レース後の表情は暗い。
「(三谷の飛びつきは)全然、頭に入ってなかったです。SS(班)は何でも対応してくるなと思いました。一番嫌な展開になったんで…。自分も色んな展開に対応していかないと。後ろに3人いてくれたのに、自分の仕事ができず申し訳ないです」
三谷竜生は流れの中で番手勝負に出たが、結果は伴わなかった。
「飛びつきはそこまで考えてなかったです。あの位置であのペースだったので、引いたときに(平原に)行かれたら勝負権がなくなるので。しょうがないですよね。引き出す感じになってしまって…。また次頑張ります」
単騎の浅井康太は、最終ホームを最後方で通過。2コーナーからまくり上げたが、前が遠かった。
「(三谷)竜生が粘った時に内にいくか、外にいくか迷ってしまって。そこで迷わなければよかったですね。でも、感触もそんなに悪くなかったし、また楽しみながら頑張りますよ」
地元の期待を背負った渡部哲男だったが、三谷に競り負けて7着に終わった。
「(三谷は)たぶん粘る気だったと思う。自分の弱いところを突かれた感じもあったんでね。ホームで勝ちそうな雰囲気はあったけど、(外に関東勢が来て)アンコになったところでひるんだ。そこが敗因ですね」
レース経過
号砲が鳴ると別線の動向を見て平原康多が出る。前が平原-武田豊樹で以下の隊列は、原田研太朗-渡部哲男-香川雄介-橋本強、単騎の浅井康太、三谷竜生-村上義弘で周回。
三谷が8番手から上昇して、赤板で誘導を降ろして先頭に立つ。近畿勢に切り替えた浅井が3番手。そこを追いかけた原田が、押さえて先行態勢を取る。が、三谷は番手で粘り打鐘を迎える。ペースを落とした原田の後ろは、三谷-村上(イン)と渡部-香川の併走になり橋本。浅井が橋本の内を突くと、後方の平原が最終ホーム手前から反撃に出る。原田もペースを上げるが、平原がスピードの違いでまくり切る。武田は平原に離れ気味。原田が3番手から関東勢を追いかけて、後位は三谷が取り切る。いったん最後方まで下げた浅井は、まくるも不発。
直線の入り口でようやく平原に追いついた武田が、その勢いで平原を追い込んで優勝。ロングまくりの平原が2着、3着に原田。
着 | 車番 | 選手名 | 府県 | 期別 | 級班 | 着差 | 上り | 決まり手 | H/B |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 9 | 武田 豊樹 | 茨城 | 88期 | SS | 11.5 | 追込み | ||
2 | 3 | 平原 康多 | 埼玉 | 87期 | SS | 3/4B | 11.8 | 捲残 | B |
3 | 2 | 原田 研太朗 | 徳島 | 98期 | S1 | 3/4W | 11.4 | 逃残 | H |
4 | 7 | 三谷 竜生 | 奈良 | 101期 | SS | 1/2W | 11.4 | ||
5 | 5 | 村上 義弘 | 京都 | 73期 | S1 | 1/2B | 11.2 | ||
6 | 1 | 浅井 康太 | 三重 | 90期 | SS | 3/4B | 11.4 | ||
7 | 8 | 渡部 哲男 | 愛媛 | 84期 | S1 | 2B | 11.5 | ||
8 | 4 | 香川 雄介 | 香川 | 76期 | S1 | 3/4W | 11.5 | ||
9 | 6 | 橋本 強 | 愛媛 | 89期 | S1 | 1/2B | 11.5 |