打鐘で稲毛健太を押さえて先行態勢を取った竹内翼が、ペースを落として2センターでインを空ける。その隙を突いて稲毛が内から主導権を奪って最終回。中四国ラインを追っていた平原康多(写真)だったが、近畿勢にスイッチして態勢を崩しながらも3番手をキープ。バックを通過しても動かずじっくり溜めた平原は、2センターから追い込んで山田義彦とワンツーで3連勝を遂げた。
「目まぐるしい展開で踏みっこになって、なにがなんだかわからない場面もあった。とにかく前々に踏んでないと、最終的に前々にいられないんで。最低限踏んで、判断して入ったんですけど。踏み込もうとした時にバランスを崩した。本当なら2コーナーから行きたかったけど(バランスを崩したので)、2センターから思い切り行って(山田を)連れ込もうと。2車(のライン)でワンツーなんで最高です。山田とはずっと同じグループで練習をしているし、思い入れもあったんでうれしいです」
平原の俊敏な動きにも遅れることなく、山田義彦(写真)が連結をキープしたまましっかりと2着に流れ込んだ。
「選手になってから、いつか平原さんの前で走りたいって気持ちがあった。(並びは)逆になったけど、うれしいですね。付いていける時は単調だったりするんですけど、今日は単調じゃないなかで付いていけてよかった。後ろにいて勉強になりました。自分も最近は番手戦もあったんで、気持ちの余裕はありました。平原さんとはここに来る前にセッティングと脚をみてもらったんですよ」
稲毛の先行。番手の澤田義和は、真後ろに位置した平原の重圧を感じながら直線で追い込み3着の優出。稲毛を称えながら、ホッと一息つく。
「今日は自分の感触っていうか、みんな強いんで。後ろに平原がいるのもわかってたんで、自分のタイミングを計っている場合じゃなかった。それでも感じは徐々に良くなっていると思います」
《最終日9RKEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)》
通常の男子競輪と異なり自転車は、五輪などの国際競技大会で使用されるカーボン製の自転車を使用。競技規則についても国際競技大会を規範とした先頭固定競走(インターナショナル)で実施され、スポーツ性の高いルールで行われる「KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)」。
昨年のリオ五輪のケイリン種目で銀メダルを獲得しているブフリ(オランダ)は、台湾での競技大会に出場して6月29日に日本に戻って来ての参戦。
「台湾ではケイリンでは優勝できたけど、スプリントでは深谷(知広)選手に負けてしまいました。(6月)29日に福岡に着いて、ジムでトレーニングをしました。コンディションはいいと思います。(競輪で使っている自転車よりカーボン製の方が)ちょっとは乗りやすいけど、大きな違いはディスクホイールですね。練習は両方(のフレーム)でやっているので大丈夫です。競輪学校と比べたら、福岡は暑いけど台湾よりはマシですね。エボリューションは特別なレースだし、すごい楽しみです」
枠順もレース展開に大きく左右されそうなエボリューションだけに、菅田壱道は絶好の1番車にニヤリ。
「後ろになると押さえたりするのに脚を使うし、1番車は有利ですね。練習はカーボンのフレームでやってきた。もともと最近はカーボンのフレームでしか練習をやってない。ずっとカーボンでやりたいくらいです。状態はいいし、直前に練習した時のタイムも良かったです」
高松宮記念杯のあとはここに備えてきた芦澤大輔だが、自転車の違いに戸惑いを隠せない。
「ずっとあっち(カーボン)のフレームで練習をしていた。それなりにやってきたんですけど、正解がなんなのかわからない。セッティングが出てなくても、(カーボンのフレームだと)ある程度流れるんで…。車番が車番なんで、あとは流れでなるようにしかならないと思います」
近況、FIシリーズで2場所連続の優出の西村光太だが、エボリューションでのスピード勝負には不安がありそうだ。
「僕は競技になったら長距離系なんで、そこは(ケイリン用に)調整をしてきました。脚の感じは問題ないけど、カーボンだとスピードが上がるんで、それにしっかり付いていけるかどうか…。(一発勝負で)1日だけなんで、出し惜しみはしないようにしたい」
//= nl2br($race['content']) ?>