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久留米競輪

KURUME KEIRIN

83#

検車場レポート

  • 6/28 Wed.  (前検日)
  • 6/29 Thu.  (1日目)
  • 6/30 Fri.  (2日目)
  • 7/1 Sat.  (3日目)

1R

 オープニングレースは近畿ラインが強力だ。鷲田佳史は予選で安定した成績を残している。初日は連係実績豊富な藤田勝也の番手できっちり決める。
 「前回の函館ナイターが終わって次の日に戻ってきて、追加を受けました。体調は整えられなかったけど、まだガッツリと練習する前だったので。これからしっかり調整します。藤田君とはここ1年で一番連係しているかもしれない。しっかり決めたいですね」
 藤田勝也は高い連対率を誇っている。ここは近畿ラインの先頭で力の出し惜しみはしない。
 「最近は結果も出ているし、やれることをしっかりできています。前回の高知から中3日で、ちょっとしんどかったから疲れを取ってきました。久留米はあまり成績が良くないんです。いつもナイターなんで、今回は昼間の開催で、変わってくれることを期待してます。後ろを信頼して、力をしっかり出し切れば大丈夫だと思います」

2R

 櫻井正孝は5月大宮FIで122着と好走。前回の名古屋FIも連勝で決勝に進出するなど、調子を上げてきた。
 「前回は新車だったんですけど、全然ダメでした。決勝は前と車間が空いてしまって、追いつけなかった。トップスピードが足りなかったですね。今回は高鍋(邦彰)さんに貸していたフレームを使います。名古屋が終わって、こっちに来て練習してました。梅雨でそんなに乗れなかったんですが、セッティングは合ってきたと思います。朝早いレースは久しぶりなんで、アップの仕方とか周りに聞いて準備します。気持ちで負けないように、行けるところからしっかり仕掛けます」
 伊藤大志は5月富山FIで落車したが、大きなダメージは受けなかった。
 「怪我は大したことなくて、次の場所の地元はしっかり結果も残せました。前回の函館はちょっと疲れが出た感じで悪かったんですけど、終わってから疲れは取ってきました。櫻井君は強いので、しっかり付いていくだけですね」

3R

選手の写真です。
清水裕友選手

 清水裕友(写真)は5月小松島で9連勝を達成してS級に特別昇級を果たした。6月の武雄、防府のFIで連続優出と勢いに乗っている。
 「S級はやっぱり楽しいですね。徐々に落ち着いて走れるようになりました。S級に上がって新車にしたんですけど、その感じもいいですね。前回の地元戦は師匠と初めて連係したんですが、決勝に乗れてよかったです。終わってから練習もしてきたし、調子は変わらず普通ですね。自力でしっかり力を出し切ります」
 望月永悟は近況、パッとしないが、気落ちはしていない。
 「成績はあれなんですけど、感じ自体は悪くない。やることはやっているので。焦っても悪いほうにしか出ないと思うので、焦らずにやっていきます。あとは結果に結びついてくれれば」

4R

 前々回の大垣トラック競技支援GIIIを4668着、続く名古屋FIを792着。坂本健太郎は自ちょう気味に口を開く。
 「脚の感じは悪くないけど、行かなきゃいけないところで…。なんか体が嫌がるんですよ。自力の用意はいつでもしてるんで、初日は自力で突破したい。そこからは人任せで(笑)」
 「追加が来たのは前回の2日目です」と、追加配分の山岸佳太は前回の高知FIを227着で優出。2月FIでの当所を振り返りながら、気を引き締める。
 「(中3日で)練習はあんまりできてないけど、状態は変わらない。パワーマックスでの数値を見ても良かったですし。前回、ここでのS級の時は、なにをしているのか、わからなくて…。内容も全然だった。だから今回はしっかり内容も求めて走りたい」

5R

 5月の立川FIでS級初Vを飾った小川真太郎は、その後もコンスタントに白星を挙げて前回の福井FIを112着。完全Vまであと一歩の好成績を収めた。
 「体重が2、3キロ増えた。飯がうまくて体重の増加が止まらない(笑)。それでも自転車に乗っているぶんには、全然大丈夫です。(最近は好成績を挙げているけど)練習の感じはそこまでいいっていうのはない。ただ、レースになるといいんですよ」
 ここ3場所で成績をまとめた宮内善光は、競走得点アップでS級点キープに視界良好だ。
 「(前回が)ナイターだったんで、中2日みたいな感じなんでケアをして、軽く練習した程度です。(3場所前の)大宮くらいから良くなってきて、この3場所で競走得点が2点くらい上がった。あきらめずに練習していたのが、流れが良くなって出た。流れがいいんで止めたくない」

6R

選手の写真です。
山田義彦選手

 竹内翼は前回の取手記念を1958着。白星スタートで波に乗るかに思われたが、その後は失速した。今シリーズは新車を投入する。
 「(4月の)松戸から調子が悪くて…。(前回で復調の)兆しが見えた。踏める感じはあった。そこから3週間あったし、師匠(吉本哲郎)も退院したんで練習を見てもらったりもした。今回から新車にして感じはいい。あとは力を出し切るだけです」
 前回の取手記念で3勝をマークしながらも、山田義彦(写真)は二次予選敗退を悔やみながら課題をあげる。
 「悪くないけど、良くもない。最近は凌いでいる感じです。記念で勝ち上がれてないのは、組み立てが悪いんでしょうね。動かなきゃっていうところで、平原(康多)さんは動いてますもんね。組み立てでどうにかなる部分もあるんで、そこをしっかり。取手記念が終わってからは、すぐにこっち(久留米)に来ました」

7R

 堀内俊介は、初めてのビッグとなる次のサマーナイトフェスティバルを見据えて表情を引き締める。
 「自分としては、そこまで調子がいいっていう感じはない。それでもFIだけど決勝には乗れているし、成績的にも悪くない。まだまだ足りないところは多いし、一番はパワーですね。このあとサマーナイトがあるんで、内容のあるレースをして次につなげていきたい」
 大垣でのケイリンエボリューションを挟んで、2場所連続でFIを優出している西田大志が、念願の地元記念初出場を果たす。
 「中学生の時から見ている久留米の記念なんで、緊張と気合は半々でいい感じです。最近踏めている部分があってのあれ(前回の佐世保FIの323着)だと思うんで、気持ちも上向きで上がってきています」

8R

選手の写真です。
吉本卓仁選手

 3場所前の福井FIで今年2度目の優勝を飾った吉本卓仁(写真)は、前回の玉野FIでも612着の準Vと上々の成績。リズムをつかんで地元記念に挑むが、自身のテンションは思いのほか上がらない。
 「数字的にはまとまってきているけど、自分のなかではひと息、ふた息。先行ができてないし、先行で残れるようにならないと。まくりとカマシは出ているけど、カマシも1コーナーくらいですからね。4コーナーくらいからのカマシが出るようになってくれば。まだ仕掛けたいところで仕掛けられてない。ワンテンポ、ツーテンポ待ってしまっている。ただ、地元記念はいつも走らせてもらっているんで気負いはない。あとは勇気を出していきたい」
 メンバーを見やりながら、神田龍は先行のイメージを膨らませてこう言う。
 「このメンバーだったら、自分が逃げないとって思ってます。脚はいい意味で変わりないけど、(S級)1班を取れるくらいに点数を上げていかないといけないですね。明日はいいですけど、戦法がほぼひとつなんで、それも(点数が上がらない)原因のひとつだと思います。もっといろいろできることがあれば…」

9R

選手の写真です。
取鳥雄吾選手

 5月広島FIを3連勝の完全VでS級初優勝を遂げた取鳥雄吾(写真)は、直後の大宮FIを7欠の途中欠場。続く全プロ記念を99着と歯車が狂いかけたが、前回の大垣のトラック競技支援GIIIでは3度確定板にあがった。
 「ちょっと疲れが出たんですかね。広島が終わってすぐにトレーニングを変えたりして、それも失敗だった。練習を戻して、大垣からフレームを新しくした。今回はしっかり練習もできているし、あとは疲れが出なかったら」
 岩本和也は前回の立川FIで久々の決勝進出。急な追加配分にも一次予選突破に向けて前向きに口を開く。
 「追加が来たのが26日ですかね。富山(記念)のイベントが4日間あったけど、追加が入るならここだと思って練習はやってました。久しぶりに決勝に乗って、やっぱり決勝に乗るっていうのは大事だなと。体調はずっと良かったんで、チャンスを待っている感じだった。自分でアクションを起こさないといけないですね」

10R

選手の写真です。
深谷知広選手

 深谷知広(写真)は、前回の高松宮記念杯5432着のあとは台湾で競技大会に出場。スプリント種目ではブフリ(オランダ)をくだし優勝を飾り、27日に帰国した。
 「(高松宮記念杯は)練習不足とういうか、力不足でしたね。今回はある意味、練習はできている。(台湾での)疲れとメンテができているかどうか。あとは競技との感覚のズレを修正できていればいいと思います。まずは自力でしっかりと」
 前回の高松宮記念杯が怪我から復帰場所だった坂本亮馬は、現状での手応えをつかんでホームの記念を迎える。
 「(高松宮記念杯は)いい部分も悪い部分もあったんですけど、自在性が発揮できたし。復帰戦にしては十分な手応えだった。そこから上積みもあって前回よりも全然いい。GIIIなら勝ち負けできるレースはできると思う」
 前回の高松宮記念杯が一息だった岩津裕介の状態が気になるところだ。
 「(全プロ記念の)和歌山でちょっと上向いてきた感じがあったけど。前回が調子落ちの感じがあって、それを修正できなかった。体は問題ないけど、今回はどうかなと。課題を持って走りたい」
 稲毛健太は前回の高松宮記念杯を2889着を冷静に分析する。
 「自分(のタイミング)で動いている時は、成績もいいんですけど。GIだと行く場面も多くなってくるんで。明日は深谷君のラインは4車だし、渡邉(雄太)君も行くだろうから。モガき合いになるかもしれない。そこを見極めていきたい」

11R

選手の写真です。
稲垣裕之選手

 先を見据えてパワーアップに余念のない稲垣裕之(写真)だが、一戦、一戦に気持ちを込める。
 「もう一度体づくりからと思っている。体重を増やそうと思って、ウエートトレーニングを強めにやっている。そのなかでも自転車の進みは良かったし、(ここへの)調整はうまくいっている。(自力でも人の後ろでも)どちらでも通じることで、パワーをつけないとって感じている。絶対的な脚力を上げるのに、パワーを上げていきたい」
 稲垣に前を任された野原雅也は、全プロ記念を挟んで、松戸、防府でFIを連続V。しかしながら、自身は至って慎重にコメントをする。
 「GIで結果を出しているわけじゃないんで。自分としてはまだまだ全然力が足りないと思っている。もっと強くならないといけないですね」
 久留米が練習バンクの佐藤友和は、バンクのツボを心得ているだけに単騎でも侮れない。
 「(2場所前の)大垣はすごい(感じが)良かったです。そのあと体調を崩して、函館を欠場した。戻り切ったわけではないけど、上向いている感じです。動き自体は悪くないし、反応もいい。ただ、もっと求めたい。ここは(地元みたいな)そういう意識で走りたいです」

12R

選手の写真です。
平原康多選手

 全日本選抜Vで年末のグランプリ出場を決めている平原康多(写真)だが、ダービーに続いて前回の高松宮記念杯はファイナルで6着。尽きることのない向上心でシリーズをリードしていく。
 「前回は準決が番手らしい番手で、あとは結果、自力でまくって行くような展開だった。自力が出ている時の感じは悪くない。今回は新しいシューズにしてみます。いい面もあれば、悪い面もあるんで、それを競走でやって感じないとわからないところもある。さらに強くなりたい気持ちですね。上を見ていかないと。だから終わりはないです」
 昨年の久留米で記念初制覇を飾った守澤太志は、早坂秀悟の番手で連覇へのスタートを切る。
 「ここまでケア中心にやってきた。(前回2度の落車でも)練習した感じはそこそこやれた。まぁ、走ってみてっていうところはありますけど。(早坂)秀悟は前回の2日目(ワンツー)もすごく強かったし、もう秀悟の好きに走ってもらいます」
 前回の高松宮記念杯が怪我からの復帰で1カ月以上ぶりの実戦だった柴崎淳。2場所目の上積みはどうか。
 「初日が9着だったんで、こんなもんかと思ったけど。日増しに良くなって、自分のなかでは思ったよりやれたというか動けた。ただ、焦ってもしょうがないし、動いて調子を戻していきたい。自力でやってかないと、戻ってこないんで」

1R

選手の写真です。
鷲田佳史選手

 齋藤友幸が押さえた上を佐藤一伸が出て主導権。佐藤にフタをされた藤田勝也は7番手に置かれるも、打鐘の4コーナーから早めに反撃。最終2コーナーで逃げる佐藤をとらえた藤田をゴール前で鷲田佳史(写真)がきっちり交わして1着。


 「(藤田)勝也の場合は何回も連係があるから、ここで行くっていうのがわかっている。外に浮いてももう1回行く脚もあるんで、とにかく付いていた。あそこでよく行ってくれた。最後は抜けないかと思ったけど、抜けてるんで悪くないと思います」


 打鐘の4コーナーから早めに巻き返した藤田勝也が、ロングまくりで前団を仕留めた。


 「朝(練習で)乗った人たち、稲毛(健太)も重いって言ってたし、なんか自分も重かった。1着じゃないけど、とりあえず初日上がれてよかった。落ち着いて仕掛けなアカンところで仕掛けられた。7番手になったら早めに行こうと思ってたんで」

2R

 中団から先に動いた山下一輝を打鐘で中島将尊が押さえて先制。追い上げた櫻井正孝が最終ホームで中団に収まると、2コーナーから力強くまくって快勝した。


 「山下君がなにをするのかわからなかったですね。追い上げた勢いでそのまま行けばよかった。いつもは軽いバンクなのに、風が強くて重く感じました。でも、2日目からは良くなるはず。フレームも大丈夫です」


 伊藤大志が完ぺきマークで2着に流れ込み、北日本ワンツーが決まった。


 「櫻井が余裕ありそうだったので、安心して付いてました。強いですね。暑くてフワフワしている感じはあったけど、余裕はありました。とりあえずワンツーなんでよかったです」


 最終バック最後方から外に回した小林信晴が3着に突っ込んだ。


 「最終バックでは終わったと思いました。内は空かないと思ったし、ダメもとで外を踏んだらビックリするぐらい伸びました。やったほうでしょう」

3R

選手の写真です。
齊藤努選手

 東京コンビの前受け。市川健太は清水裕友に合わせて上昇した小埜正義を突っ張るようにけん制しながら、清水の仕掛けを待つ。赤板の2コーナーから清水が踏み込んで、市川もペース上げる。齊藤努(写真)のブロックをこらえた清水が強引に叩いて出ると、加倉正義が連結を外して市川が番手に飛び付く。齊藤は落ち着いて市川の余力を確かめながら、直線で外を踏んで突き抜けた。


 「(市川は)練習もすごい強いですから。それで考えた作戦通りにいきました。(清水は)2回目の(ブロック)時はもうスピードが違いましたね。自分の体はまだ完ぺきじゃないけど、いい方向には向いている」


 力任せに最終ホームで出た清水裕友が逃げ粘り2着。引き揚げて来ると、息を切らせながら振り返る。


 「(齊藤のブロックで)力が抜けました。もうなんとか、かんとかだった。脚は悪くないと思うんですけど、後ろに申し訳なかったです。(打鐘)3コーナーのあおりが…。修正して、また頑張ります」


 最終ホーム手前で加倉と望月永悟が絡むと、川崎健次は5番手まで追い上げる。3コーナー過ぎに小埜の内を進出して3着に追い込んだ。


 「ちょっとヤバい空気感がしたんで、前に行きました。(小埜は)頑張ってくれたし、形をつくってくれた。自分は脚に余裕があった。もうちょっと小埜が行ってくれたらよかったけど、怪我明け2場所目だからね」

4R

 篠原龍馬に併せ込まれた山岸佳太は、赤板で7番手まで下げてからの出直し。打鐘の3コーナーで先頭に立つと、後続を一本棒にして二の足で逃げ切った。


 「ジャンのところで篠原さんは突っ張らないと思ったし、踏み上げる時も半分ニュートラルにして落ち着いて行きました。出切ってからはホームから段々と踏み上げることができたし、バックでさらに踏み上げることができました。踏めているし、引き続き状態はいいと思います」


 まくった篠原は3番手まで。番手すんなりの山口貴弘だったが、山岸をとらえ切れずの2着。


 「今回はみっちり練習してきたのに、(山岸を)抜けなかった。出切ってからも落ち着いていたし、踏み直しがすごかった。山岸が強かったです。自分はギアが少し軽いのかも」


 7番手に置かれた坂本健太郎は、外を強襲するも4着。薄氷を踏む思いの一次予選突破となった。


 「初手で前を取らされたのが痛かったし、(篠原)龍馬の動きは想定外でした。前検日もそうだったけど、バンクが重い。後ろに迷惑をかけて申し訳ないです」

5R

選手の写真です。
小川真太郎選手

 赤板過ぎに切った中井勇介を橋本智昭が押さえて主導権を握る。追い上げた小川真太郎(写真)は中団の5番手を中井と取り合う。外併走となった小川が2コーナーから豪快にまくって圧勝した。


 「前を取らされて、キツかったです。2車は組み立てが難しい。打鐘で叩ければ良かったんですが…。情けなかったです。下げるよりは、中井さんと併走しようと。先行するよりもしんどかったんですが、脚は悪くないです。外国人選手を見ていて、一歩目がすごいので真似しようと思っているけど、パワーが違いすぎて、うまくいかない。ペダリングは良くなってきているけど、もっと練習してパワーをつけたいですね」


 小川マークの田中誠は離れてしまう。橋本の先行を利した鈴木誠が2着に入った。


 「橋本君が積極的に行ってくれたおかげです。ライン4車は大きかったですね。(小川に)行かれてしまったけど、1車だったので、そこからの組み立てを考えながら走った。今の自分にはあれが精いっぱいですね」


 北日本コンビの後位を選択した宮内善光が3着に流れ込んだ。


 「前の2人のおかげです。橋本君は先行がやっぱりうまい。仕掛けが早くて、キツかったです。鈴木さんが前に踏んでくれて、付いていっただけですね」

6R

 佐藤幸治が切ったところをすかさず竹内翼が仕掛けて、迷いなく先行策に出る。打鐘の2センターで後方から踏み込んだ山田義彦は、最終ホームで4番手を奪取。バックから手堅くまくって白星を挙げた。


 「(後方で)ヤバいかと思ったけど、波があったんで(追い上げて)番手まで行ってもいいかなと思ってました。展開が向きましたね。あれで佐藤さんがどこまで引いてんのか確認してから、安全にまくった。(竹内が)もっと踏み上がるのかとも思ったけど。結果、1着でよかった」


 4番手を山田に明け渡した佐藤幸治は、腹をくくって山田後位で勝負。外の石川裕二をけん制しながら、山田のまくりに続いた。


 「(山田に)入られて、もう引けなかった。あそこで勝負しなきゃと。たまたまですけど、うまくリカバリーできました。脚の状態は良かったし、最悪の状態(展開)からなんとかできた」


 「緊張しました、今日は残してもらった」とは、打鐘の3コーナーから主導権を握った竹内翼。山田のまくりに屈するも3着に粘り込んで、同県の先輩に感謝する。


 「山田さんも佐藤さんも緩めたら、カマシ気味に来る選手なんで。それが嫌で踏んじゃいました。山田さんを後方に置きたかった。緊張して踏み上がっていかなかった。(2日目からは)もっとリラックスできるように。状態はいいと思います」

7R

選手の写真です。
西田大志選手

 堀内俊介を押さえた利根正明が先行態勢。単騎の河村章憲が4番手に続いて、日野博幸が中団に収まる。人気の堀内が7番手に下げて、利根がペースを上げて逃げる。番手の西田大志(写真)は別線のまくりをけん制しながら追い込んで、地元記念の一次予選を白星でクリアした。


 「利根さんが行ってくれたので、どうにか前を残したかったけど…。まずは1着が取れてうれしいです。余裕はあったんで、もっと外にもっていきたかったけど、後ろにも気配を感じたのでもっていけなかったです」


 堀内に合わせて5番手からまくりを放った日野博幸は、西田をとらえ切れずも2着に入った。


 「ちょっとキツかったですね。あんまり早く行っても後ろを引き出すだけだと思ったし、自分のタイミングで仕掛けていきました。(西田を)抜いたかと思ったけど、惜しかったですね。駆けるつもりでいたので、前々に攻めていく気持ちが結果的によかったのかも。久し振りにいい感じです」

8R

 中団から早めの動いて切ろうとした太刀川一成を前受けの吉本卓仁が打鐘で突っ張る。太刀川が下げて緩んだところを神田龍が一気に仕掛けて主導権。そのまま軽快に駆けて押し切った。


 「有賀(高士)さんが後ろなんで先行しようと思ってました。前が流してくれたんで、行きやすかった。最高の展開でした。今日は自分の脚というよりも展開ですね。久しぶりの1着なんでよかったです。前回から新車でセッティングをいじって、よくなりました」


 中団確保からまくり追い込んだ地元の吉本卓仁は2着まで。


 「後方にならないように作戦を考えてました。あそこで(太刀川を)突っ張らないと7番手ですからね。いつもしないことをして、ちょっと安心してしまった。自信がなくて早めに行けなかった。もうちょっと車間の空け方とか上手にして、後ろを連れ込みたかった」

9R

 7番手まで下げた取鳥雄吾は、打鐘を合図に巻き返す。逃げる木村弘を射程圏に入れると、スピードの違いで最終ホーム過ぎに叩いて出る。あっさり取鳥ラインでの決着かに思われたが、2コーナー手前からまくった北野良栄がグングンと前団に迫る。北野はバック過ぎに取鳥に並びかけるも、ダッシュ良く合わせ切った取鳥が人気に応えて押し切った。


 「中途半端なことをしました。僕が流し過ぎました。(北野のまくりが)来てるのはわかった。ただ、シューズを換えて、そのシューズの感覚が違いすぎる。いつものだともっと流れるんで、これだと出足はいいけど…。(シューズを)元に戻すかもしれない。(体の)調整はうまくいってます」


 「ジャンから行ってくれているし、あとは先行屋のタイミングだから」と、取鳥の運行を理解しながら、筒井敦史がこう続ける。


 「あのままスーッと踏んでくれれば、番手は仕事がしやすいんですけど。俺も完全に油断していた。ただ、(取鳥)雄吾はいいタイミングで行ってくれたし、ああやって行くのも簡単そうで簡単じゃない。自分も(取鳥の)横までいけたんで悪くはないです」


 北野が力尽きて森川剛との3着争いになった岩本和也が、微差での4着に反省まじりに振り返る。


 「北野君が止まってからの僕の判断が遅かった。ヘタですね。自分としては余裕はあったんですけど、ああいうところのイメージができてない」

10R

選手の写真です。
坂本亮馬選手

 渡邉雄太にフタをした深谷知広が、赤板の2コーナーから再び踏み込んで主導権。いったん打鐘手前でペースを上げて、渡邉雄に反撃の隙を与えず逃げる。最終2コーナーからまくった稲毛健太は、3番手までで終了。番手で脚力をロスすることのなかった坂本亮馬の追撃を二の足で振り切って、深谷が逃げ切った。


 「今日はなにも言うことはない。(競技との感覚のズレも)先行に関しては、なにも問題はないですね。あとは違う展開になっても対応できるようにしっかりやりたい」


 坂本亮馬(写真)は、1周半以上を駆けた深谷を4分の3車輪まで詰めて2着でのゴール。


 「(深谷が)すんなり駆けていったから、どんどん踏み上がっていきました。自分は車間を空けたけど、付け切るので精いっぱい。こんなの初めてですよ。特別(GI)の決勝クラスは違いますね」


 5番手の稲毛健太は、車間を詰める勢いでまくって行ったが不発。


 「いい感じに詰めていけたし、出足の感じも良かった。ただ(深谷が)すんなり駆けていたし、一番強い選手が逃げているから自分にとってはキツかったです。あれをまくれていたら自信になるんですけどね」

11R

選手の写真です。
稲垣裕之選手

 後ろ攻めから早めに動いた野原雅也が赤板で先行態勢に。中団は横山尚則と松岡貴久で併走が続く。徐々にペースを上げる野原に対し、松岡が最終ホーム、外併走の態勢からアタック。これをけん制した稲垣裕之(写真)が2コーナーから番手まくりを敢行。そのまま後続の追撃を振り切って人気に応えた。


 「(野原)雅也の頑張りのおかげですね。(松岡)貴久が外併走してるのはわかったんですけど、2コーナーで脚を溜めている選手が誰か来たのが見えたので。ちゅうちょして負けるのはダメですからね。でも、結果的に出なくてもよかったかもしれない。そこの判断を磨いていきたいです」


 近畿ライン3番手の澤田義和が稲垣にピタリと続いて2着。近畿ワンツー決着となった。


 「前2人のおかげです。さすが稲垣、強いですね。後ろが併走なのはわかっていました。後ろばっかりずっと気になってたんですが、離れないでよかったです。ハンドルを新しくしてちょっとダメだったので、微調整します」


 最終2コーナーからまくった横山は稲垣に合わされて不発。3コーナーで内に斬り込んだ長島大介が3着に食い込んだ。


 「横山さんのおかげです。併走が長引いていたので、怖かったです。様子を見ながら内に行きました。脚を使ってないぶん、最後は伸びました。でも、稲垣さんは抜ける感じがしなかった」


 単騎の近藤隆司は、最後方で見せ場なく敗れた。


 「ずっとスピードが上がっていく感じでチャンスがなかった。しいて言えば打鐘ぐらいでしたけど、その勇気がなかったです。しっかり反省しつつ、脚は溜められたと思うので、明日はしっかり頑張ります」

12R

選手の写真です。
後閑信一選手

 平原康多、柴崎淳の動向を見極めて、打鐘過ぎに出た早坂秀悟が大方の予想通り主導権を握る。柴崎がうまく中団をキープして、平原は一本棒の7番手。最終ホーム手前から小気味よくペース上げた早坂の先行に「飛んだかと思った」と、振り返った平原だったが、終わってみれば圧巻の2コーナーまくりで後閑信一とワンツー。人気に応えた。


 「展開的にああいう風にさせられてしまった。(早坂)秀悟があれだけすんなり駆けて一本棒ですから…。(まくりに)行った時は、もう行かなきゃっていう気持ちだった。林(雄一)さんには悪いことをした。でも、ワンツーでよかった。新しいシューズが競走でどうかなって思ったけど、スピードの乗りが良かったし、あれだけ回ってくれたんで悪くない」


 平原の踏み出しに慌てることなく続いた後閑信一(写真)の仕上がりも悪くない。


 「(平原が)強くて、ビックリした。最初は様子を見て付いていったけど、それじゃ離れると思った。加速力が違ったんで、自分でまくりに行くような感じじゃなきゃ付いていけなかった」


 逃げた早坂の番手の守澤太志は、直線の入り口で平原をけん制するも及ばずの3着。


 「秀悟が頑張ってくれたし、伏見(俊昭)さんとラインのおかげです。平原さんはあんだけ上を行ってるんで、止められるような感じではなかった。(前回2度の落車も)走ってしまえば、そんなに気にならないですね」


 押さえ先行で平原をヒヤリとさせた早坂秀悟は、内容の濃い走りも4着。手応えを感じながら、二次予選に気持ちを切り替える。


 「柴崎とあそこまでいい勝負ができたんですけど、敵が悪かった。結果、平原さんに行かれたけど、俺が9着とかじゃないし。(ラインの)みんなが勝負権のある位置にいることができたんで」

6R

選手の写真です。
清水裕友選手

 人気の北日本勢を後方に置いて、清水裕友が打鐘で主導権を握る。7番手の早坂秀悟のカマシを警戒しながら、清水は徐々にペースを上げていく。番手の渡部哲男は、中団からまくった藤田勝也を止めて勝機をモノにした。


 「(清水が)力を出し切りますからって言うから、先行するんだと思った。強かった、グングン加速していく感じだった。(藤田のまくりを)バックで止めてやろうと思ったぶん、対応が遅れた。最初から3コーナーでやってたら、あんなに慌てなかった。技術不足ですね」


 早坂のまくりに乗った佐藤友和が、大外を強襲して2着に届いた。


 「とりあえずよかったです。浮いている外を行っているので、自分の感じが悪い。それでも2着まで伸びているんで、自分の感覚以上に出ているのかもしれない」


 赤板の2コーナーから踏み込んで1周半を駆けた清水裕友(写真)は、後続を酔わせる絶妙な先行策で3着に踏ん張った。引き揚げて来ると、息を整えながらレースを振り返る。


 「真っ直ぐ走ったら、(別線に)来られてしまうんで小細工しました(笑)。下りを利用できたし、流れたんでそんなにキツくなかった。しっかり出し切れた。(最終)4コーナーも流れたんで、これなら面白いなと。脚の感じも今日の方が断然いいです」


 

7R

選手の写真です。
稲毛健太選手

 山岸佳太を押さえた堀内俊介がペースを落としたところを見逃さず、打鐘の3コーナーから稲毛健太(写真)が巻き返す。最終ホームで主導権を奪った稲毛は、軽快なリズムで駆けてそのまま押し切った。


 「仕掛けどころは狙っていたわけではないけど。3番(山岸)と7番(堀内)がやり合っていたんで、その上を仕掛けて行きました。それでも2人は自分のことを警戒していると思ったけどね。出切ってからはペースで駆けることができたし、初日よりは良くなっています」


 最終バック手前からまくった山岸佳太が、稲毛を追い詰めるも2着まで。


 「前々に踏んで行って、誰も来なかったら先行も考えていました。脚自体は問題ないけど、今日はレース内容が良くなかった。稲毛さんがヤル気だったし、来るのも早かったですね」


 車間を空けて別線をけん制した山内卓也だったが、直線で伸びを欠いて3着。


 「稲毛君が頑張ってくれましたね。なんとか2着はキープしたかったけど、山岸も強かった。稲毛君がいいタイミングで行ってくれました。自分はサドルが低かったので、もう少しセッティングをいじってみます」」


 

8R

選手の写真です。
取鳥雄吾選手

 後ろ攻めの佐藤幸治が早めに動いて赤板過ぎに誘導の後位に収まる。打鐘で櫻井正孝が切ると、さらに横山尚則が押さえて前に出る。そこを前受けから7番手まで下げた取鳥雄吾(写真)が一気に巻き返して主導権奪取。そのまま別線の反撃を封じて先頭でゴールを駆け抜けた。


 「前受けになったので突っ張りも考えていたけど、あそこで佐藤さんを突っ張ってもメリットはないかなって。誘導を残して引いたんですが、それでも切って、切っての展開ならドカンと行けると思ってました。出切って結構いっぱいだったんですが、少しでも前にという気持ちで最後まで踏んでました。調子はいいと思います」


 踏み出しで口が空いた三宅達也だが、しっかり追い付いて2着をキープした。


 「(取鳥は)強いですね。練習ではもっと強い。ダッシュが良くて、口が空いてしまった。たいしてなにもできなかった。佐藤君(のまくり)は止まると思っていました。恵まれです」


 森川剛をさばいて岡山コンビの後位を確保した横山尚則が3着に入った。


 「今日はカマしたラインが強い。カマさせては厳しいですね。自分の動きが甘いし、情けないですね。もう引けなかったけど、取鳥君が強くて前に踏んだ感じです。連日、パッとしないですね」


 

9R

選手の写真です。
渡邉雄太選手

 青板の2コーナーからレースが動き出し、周回中は前受けだった渡邉雄太(写真)にも早めに順番が巡ってきた。渡邉は赤板の2コーナーで先頭に立ち先行態勢。神田龍がすかさず襲い掛かると、ペースを上げる。それでも神田は強引に叩きに出て、鷲田佳史が連結を外す。ラインを失ってひとりになった神田を受けた渡邉は、番手から詰める勢いでまくって出て1着。


 「スタートを取ったところから全部、林(雄一)さんがやってくれたおかげですね。(神田は)もうちょっと早く来てたら3人いても、出させようと思った。最終ホームだったけど、ひとりならいいかなと。神田さんのスピードが良かったんで、離れて2着と思ったけどいい感じでタレてきてた。自分の感じはわからない。でも、ラインで決まったんでよかったです」


 「なにもしてないんで、言うことはありませんね」と、2着に流れ込んだ林雄一は手放しで渡邉を称える。


 「自分は脚が溜まらない。もういい時が半年以上も前なんで、そのいい時は忘れるようにしています。いまは、まずはラインに迷惑を掛けないことです」


 南関勢に付けて3番手できっちり内を締めていた伊藤大志が、3着に入りラインで上位を独占した。


 「展開ですね。自分はただ付いていただけです。(打鐘前の)あそこがキツかった、ポイントでしたね。展開がちょっと早かったし、(渡邉が先行)態勢に入ってたんで、たまたま(番手に)はまった感じだと思う」


 

10R

選手の写真です。
野原雅也選手

 小川真太郎の上昇で合わせて動いた野原雅也が、落ち着いて4番手をキープ。車間空けながら7番手の山田義彦をクギ付けにすると、腹を固めた小川がペースを上げて逃げる。野原が最終2コーナー手前からのまくりで前団を仕留めて、柴崎淳が微差、野原を交わした。


 「人の後ろで少しドキドキしたけど、野原君がうまく走ってくれました。脚には余裕があった。でも、前が掛かっているなかで、(野原が)バックで仕掛けて行ってビックリしました。3コーナーで3番(山田)が来ていたのはわかったので、警戒しながら前に詰めていきました」


 小川との消耗戦を避けて好位確保の野原雅也(写真)が、まくりで準決にコマを進めた。


 「小川さんもやる気だったので、先行できなかったら最悪、中団はと思ってた。別線の様子をみながら組み立てることはできました。冷静に周りはみえていたけど、前も掛かっていたので、少しキツかったです」


 好スピードのまくりで前の2人に迫った山田義彦だったが、柴崎の絶妙なけん制に3着。


 「別線が早めに切っていたけど、自分が早めに出ても今の尾崎(剛)さんの状態だと援護も見込めないだろうし慎重に見ていました。野原君が行ってくれれば、そのスピードも借りられるので。初手で前を取らされた時点で(まくりに)構えちゃおうと思いましたね」


 

11R

選手の写真です。
竹内翼選手

 後ろ攻めの竹内翼が赤板から飛び出してレースを支配。打鐘から巻き返してきた近藤隆司に合わせて、ハイピッチで駆ける。番手絶好となった筒井敦史が粘る竹内をとらえて、3カ月ぶりの勝ち星を挙げた。


 「まさかのワンツーでしたね。竹内は落ち着いていたし、昨日よりもいい先行でした。いい選手に育ってくれて、ありがたいですね。近藤君は見えていたけど、あれぐらいなら止まると思った。あんまりもっていくと単騎の選手にしゃくられるので。最後は1着が欲しかった。負け戦じゃないし、勝ち上がりの1着は本当にうれしい。頑張っているご褒美ですね」


 竹内翼(写真)は、力強い先行策で格上の機動型を撃破。筒井と中国ワンツーを決めた。


 「今日は(清水)裕友、(取鳥)雄吾がいい先行で勝ち上がっていたので、自分もそういうレースをしようという気持ちが強かった。近藤さんの動きをしっかり見て駆けられました。感じも良かったです。この結果は自信になります」


 最終4コーナーで外に回した松岡貴久が、大接戦の3着争いを制した。


 「苦しいレースになってしまった。ギアを換えて、重さは感じなかったんですけど、しっくりきてないですね。後ろに申しわけない」


 

12R

選手の写真です。
平原康多選手

 関東勢が前団に構えると、深谷知広は青板の1センターから早めに上昇を開始する。4番手まで下げた長島大介の外併走から稲垣裕之が深谷を押さえて、その上を関東勢が一気に出る。逃げる長島との車間を空けた平原康多(写真)は、最終2コーナーから番手発進。後閑信一とのあうんの呼吸で、再度ワンツーを飾った。


 「長島の持ち味もあるんで、1回ちゃんと動いて流れのなかで自分のレースをしてくれればと。それで先行して(別線に)行かれてしまうんなら、力が足りないだけですから。その方が先に生きてくるし、(長島も)納得できると思う。自分も相手が相手なんで余裕はないですよ。いっぱい、いっぱい。(今シリーズから換えた)シューズの方はいいと思います」


 最終2コーナーで稲垣をさばいて平原に続いた後閑信一は、今度はその上を襲い掛かった深谷を止めて2着流れ込み。ソツない仕事で存在感を示した。


 「必死です、なんとか(番手を)守らないとって。(平原)康多が踏んでくれるから、自分がああやってできるんですよ。今日は康多の強さと長島君の頑張りです。自分の脚は大丈夫です」


 「長い距離を踏む覚悟がない。そこの覚悟をもっていければ…」と、7番手まくりで3着に迫った深谷知広だったが、反省の振り返り。


 「ちょっと難しかった。みんなの位置が予定外でした。(体調は)いまのところいい。ただ、今日はラインの力を生かせなかったんで、反省点が多いです」


 4番手から猛然とまくって行った稲垣裕之は、後閑の絶妙なけん制で不発。準決へと気持ちを切り替える。


 「しっかりタイミングを見て仕掛けたけど、後閑さんの一発がききましたね。(体調は)そんなに大きく変わらないし、準決は(野原)雅也の番手で」


 

10R

選手の写真です。
長島大介選手
選手の写真です。
岩津裕介選手

 茨栃コンビが赤板で飛び出して、取鳥雄吾は3番手。すかさず深谷知広が仕掛けるも、逃げる山岸佳太がペースを上げて、深谷は外併走の苦しい流れ。最終ホームから取鳥が踏み込むが、長島大介(写真)のブロックで不発。今度は切り替えた山内卓也がまくりを打つと、長島はバック過ぎから番手まくりで白星をもぎ取った。


 「すべて山岸君に任せていたし、彼が全部やってくれましたね。(バックで)取鳥君はもう大丈夫だと思ったけど、その外を深谷が来ないか警戒していたら、外から(山内が)来たので早めに踏ませてもらいました。番手だったし余裕はあったけど、すべて山岸君のおかげです。1着を取って決勝に乗れているし、状態は悪くないです」


 取鳥の余力を判断した岩津裕介(写真)は、長島後位に俊敏に切り替えて2着流れ込み。


 「セオリー通りに押さえて出ていくのが理想だったけど、みんな(踏む距離が)長いし別線を受けてからまくり勝負が現実的だったね。そういう意味では深谷が嫌がる組み立てはできたと思います。それでも深谷は強かったし、山岸君も強かった。もう少し自分にも余裕があればよかったですね」


 単騎の林雄一の的確な状況判断が光った。最後は岩津を追うように直線で踏んで優出にこぎつけた。


 「あまり位置は決めつけちゃうと走りづらくなるので、単騎で戦いました。うまく流れに乗れたと思うし、判断もしっかりできていたと思います。怪我から復帰して、初めての記念の決勝でうれしいです」


 2車ながらも果敢に攻めた山岸佳太が、レースを支配した。


 「本当は前を取りたかったけど。後ろを取らされてしまったんで、後ろ攻めからだったらあの形しかなかった。残り150メートルくらいで沈んでいるのでその辺を強化して、今日みたいなレースでも結果を求めていきたいです」


 

11R

選手の写真です。
稲垣裕之選手
選手の写真です。
坂本亮馬選手

 野原雅也が赤板過ぎから主導権を握る。横山尚則がすんなり4番手に収まり、6番手に清水裕友、佐藤友和は8番手に置かれる。野原が軽快に駆けて、一列棒状の態勢で最終ホームを通過。2コーナーから横山が仕掛けると、合わせて稲垣裕之(写真)が番手まくりを放つ。そのまま後続を振り切って人気に応えた。


 「初日に続いて野原君が頑張ってくれました。気持ちはすごい伝わってきました。失敗は許されないと思ったし、番手から出させてもらいました。今回は追い込んだ練習をしてきたんですけど、それでもしっかり調整はできています。決勝はもちろん優勝を目指して。まずはしっかり力を出し切って、結果はそのあとだと思ってます」


 近畿コンビの後位を選択した坂本亮馬(写真)が稲垣に続いて2着。シリーズ未勝利ながら、地元の意地で決勝に勝ち上がった。


 「地元で番組がよかったのと、それをくんで走ってくれた前の選手のおかげです。(稲垣が)引き付けてからの番手まくりでキツかった。最後は抜けなかったです。九州でなんとかひとり、勝ち上がれてよかったです。脚は問題ない。決勝でしっかりいい勝負がしたいですね」


 外を諦めずに踏み続けた横山尚則が3着に入り、記念初優出を果たした。


 「野原君は隙のない先行でした。清水君がやり合うかと思っていたんですけどね。あの位置を取って、外しか踏まないつもりでした。番手発進の稲垣さんにどこまで迫れるか。しっかり仕掛けられたけど、行き切れなかったので。力が足りないですね」


 6番手からまくり追い込んだ清水裕友は4着まで。決勝に手が届かなかった。


 「打鐘、ホームと行けるタイミングはあったんですけど、いつも番手まくりに合わされてしまうので、落ち着いていきました。勝ちたいっていう思いが強かったですね。でも、終わってみれば力勝負できなかったので悔いが残ります」


 

12R

選手の写真です。
平原康多選手
選手の写真です。
山田義彦選手

 打鐘で稲毛健太を押さえて先行態勢を取った竹内翼が、ペースを落として2センターでインを空ける。その隙を突いて稲毛が内から主導権を奪って最終回。中四国ラインを追っていた平原康多(写真)だったが、近畿勢にスイッチして態勢を崩しながらも3番手をキープ。バックを通過しても動かずじっくり溜めた平原は、2センターから追い込んで山田義彦とワンツーで3連勝を遂げた。


 「目まぐるしい展開で踏みっこになって、なにがなんだかわからない場面もあった。とにかく前々に踏んでないと、最終的に前々にいられないんで。最低限踏んで、判断して入ったんですけど。踏み込もうとした時にバランスを崩した。本当なら2コーナーから行きたかったけど(バランスを崩したので)、2センターから思い切り行って(山田を)連れ込もうと。2車(のライン)でワンツーなんで最高です。山田とはずっと同じグループで練習をしているし、思い入れもあったんでうれしいです」


 平原の俊敏な動きにも遅れることなく、山田義彦(写真)が連結をキープしたまましっかりと2着に流れ込んだ。


 「選手になってから、いつか平原さんの前で走りたいって気持ちがあった。(並びは)逆になったけど、うれしいですね。付いていける時は単調だったりするんですけど、今日は単調じゃないなかで付いていけてよかった。後ろにいて勉強になりました。自分も最近は番手戦もあったんで、気持ちの余裕はありました。平原さんとはここに来る前にセッティングと脚をみてもらったんですよ」


 稲毛の先行。番手の澤田義和は、真後ろに位置した平原の重圧を感じながら直線で追い込み3着の優出。稲毛を称えながら、ホッと一息つく。


 「今日は自分の感触っていうか、みんな強いんで。後ろに平原がいるのもわかってたんで、自分のタイミングを計っている場合じゃなかった。それでも感じは徐々に良くなっていると思います」


 


 


《最終日9RKEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)》


 通常の男子競輪と異なり自転車は、五輪などの国際競技大会で使用されるカーボン製の自転車を使用。競技規則についても国際競技大会を規範とした先頭固定競走(インターナショナル)で実施され、スポーツ性の高いルールで行われる「KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)」。


 昨年のリオ五輪のケイリン種目で銀メダルを獲得しているブフリ(オランダ)は、台湾での競技大会に出場して6月29日に日本に戻って来ての参戦。


 「台湾ではケイリンでは優勝できたけど、スプリントでは深谷(知広)選手に負けてしまいました。(6月)29日に福岡に着いて、ジムでトレーニングをしました。コンディションはいいと思います。(競輪で使っている自転車よりカーボン製の方が)ちょっとは乗りやすいけど、大きな違いはディスクホイールですね。練習は両方(のフレーム)でやっているので大丈夫です。競輪学校と比べたら、福岡は暑いけど台湾よりはマシですね。エボリューションは特別なレースだし、すごい楽しみです」


 枠順もレース展開に大きく左右されそうなエボリューションだけに、菅田壱道は絶好の1番車にニヤリ。


 「後ろになると押さえたりするのに脚を使うし、1番車は有利ですね。練習はカーボンのフレームでやってきた。もともと最近はカーボンのフレームでしか練習をやってない。ずっとカーボンでやりたいくらいです。状態はいいし、直前に練習した時のタイムも良かったです」


 高松宮記念杯のあとはここに備えてきた芦澤大輔だが、自転車の違いに戸惑いを隠せない。


 「ずっとあっち(カーボン)のフレームで練習をしていた。それなりにやってきたんですけど、正解がなんなのかわからない。セッティングが出てなくても、(カーボンのフレームだと)ある程度流れるんで…。車番が車番なんで、あとは流れでなるようにしかならないと思います」


 近況、FIシリーズで2場所連続の優出の西村光太だが、エボリューションでのスピード勝負には不安がありそうだ。


 「僕は競技になったら長距離系なんで、そこは(ケイリン用に)調整をしてきました。脚の感じは問題ないけど、カーボンだとスピードが上がるんで、それにしっかり付いていけるかどうか…。(一発勝負で)1日だけなんで、出し惜しみはしないようにしたい」