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35#

決勝戦レポート

松井宏佑(神奈川・113期)

有言実行の地元V

 松井宏佑が次元の違うまくりで同世代の8人を圧倒。ゴール後に小さく拳を握りしめるが、優勝を確信すると何度も両手を上げてファンにアピール。喜びを全身で表現した。
「めっちゃゴールした瞬間から、うれしかったです。先輩には(優勝のガッツポーズは)ダサかったよって言われたんですけど(笑)」
 昨年も人気を背負いながら、繰り上がりの3着。それだけにホームバンクの大舞台、ラストチャンスのヤンググランプリは優勝しかなかった。
「もう優勝する気でしかなかったので、有言実行できて良かったです」
 作戦もただただシンプル。前受けから8番手に下げての一撃で別線を仕留めた。
「(レースが)ちょっとどうなるかわからなかったんで、とりあえずもう自分が一番得意なパターンと。それで前を取って、引いて行けるところから行こうと思ってました」
3番手の坂井洋は車間が空いて、松井にとっては前が遠い8番手。しかしながら、最終2コーナーから仕掛けると、エンジンの違いで瞬く間にV圏内に突入。直線では並ぶ間もなく北日本勢を交わして、先頭でゴールを駆け抜けた。
 前回の競輪祭では決勝に進出して、大トリのグランプリに出場する郡司浩平の初戴冠に貢献した。メンバーでただひとりG1ファイナルの経験もあり、競技ではナショナルチームのAに所属して、ワールドカップのケイリンでも銅メダルを獲得。ここで役者の違いを証明した。
「競技の方はオリンピックには出場できないかもしれないんですけど、ワールドカップ、世界選とかに行ったら金メダルを。去年、ワールドカップで銅メダルだったんで、もっといい色のを獲りたい。日本の競輪では前回、競輪祭では決勝に乗れたんで、またG1で決勝に乗ってもっといい成績を出した。ヤンググランプリは今年までだったんで、次からは本物のグランプリに出たいです。(GI決勝の)常連になって日本の競輪界のトップレーサーとして走りたいです」
 進化途上のデビュー3年目。来年はグランプリの舞台で郡司とタッグを組んで南関勢を盛り立てる。

 松井に付けた宮本隼輔は、直線で外に持ち出して迫ったが半車輪及ばず。
「今日は選んだ位置が良かった。作戦勝ちですね。最後は自分が届くかなって思ったけど、松井さんの気持ちの方が強かったです」

 同県の黒沢征治に委ねた森田優弥は、最終ホーム手前で連結を外して河合佑弥とからむ厳しい流れ。しかしながら、松井、宮本を追いかけて3着に入った。
「(黒沢の番手で)自力とは違って気持ち的には楽でしたね。(最終)バックで自分から行こうと思ったんですけど、3コーナーで止まってしまうかもって思って行けなかった。でも、松井さんは行ってしまったので。自分の力不足ですね。番手回りはいつもと見える景色が違いました。いい経験になりました」

  • 優勝者の写真です
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レース経過

 内枠の2人に小林泰正が飛び出してのスタート争い。松井宏佑が正攻法に構えると、周回は松井−宮本隼輔−小原佑太−高橋晋也−坂井洋−小林−黒沢征治−森田優弥−河合佑弥の並び。
 青板バックから黒沢が上昇を開始。小原にフタをしてから1センターで松井を押さえると、そこをすかさず坂井が叩いて前に出る。8番手になった小原は打鐘ガマシ。4コーナーで坂井を叩き切ると、小原の仕掛けに合わせて踏み込んだ黒沢は口が空いた小林をキメて坂井の後ろに収まる。単騎の河合とからみながらも森田が6番手を取り切ると、2コーナー、8番手から松井が一気のまくり。離れた3番手で前を追いかける坂井を1センターで、小原マークから踏み込む高橋を直線でとらえて地元開催のヤンググランプリを制した。周回中から松井後位を回っていた宮本が松井に続いて2着。松井の仕掛けを追うように2センターから持ち出した森田がゴール寸前で高橋をとらえて3着に入った。

車番 選手名 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
1 1 松井 宏佑 神奈川 113期 S1 10.9 まくり
2 3 宮本 隼輔 山口 113期 S1 1/2W 10.8 マーク
3 9 森田 優弥 埼玉 113期 S1 1/2B 10.9 追込み
4 2 高橋 晋也 福島 115期 S2 1/2W 11.6
5 5 坂井  栃木 115期 S2 1B 11.3
6 7 黒沢 征治 埼玉 113期 S1 1/2B 11.2
7 8 小原 佑太 青森 115期 S2 1/2W 11.9 H B
8 4 小林 泰正 群馬 113期 S1 1/8W 11.2
9 6 河合 佑弥 東京 113期 S1 1/2B 11