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ひらつか競輪

HIRATSUKA KEIRIN

35#

決勝戦レポート

吉田拓矢(茨城・107期)

レース経過

 

 

車番 選手名 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
1 1 吉田 拓矢 茨城 107期 S1 11.3 追込み
2 5 椎木尾 拓哉 和歌山 93期 S1 1/2B 11.8 追込み
3 2 柴崎  三重 91期 S1 1/4W 11.7
4 3 桑原 大志 山口 80期 S1 1/2B 11.6
5 6 宿口 陽一 埼玉 91期 S1 T 11.3
6 7 武田 豊樹 茨城 88期 S1 1/8W 11.2
7 8 柏野 智典 岡山 88期 S2 S 11.5
8 4 稲毛 健太 和歌山 97期 S1 3B 12.2 H B
9 9 島川 将貴 徳島 109期 S1 D 0

和田健太郎(千葉・87期)

Vロードが空いて、初のビッグタイトル獲得

「まだなにか信じられない。ドッキリじゃないかと思ってます」
絶大の信頼をおいている郡司浩平のまくりのスピードが最終3コーナーで鈍ると、間違いのないコース取りで内に進路を取る。逃げる脇本雄太の番手の平原康多が清水裕友を外に張って、和田健太郎の前にぽっかりとVロードがひらけた。「平常心」でやれたというように、レースではいつも通りの運行でビッグタイトルをつかんだが、ヒーローインタビューではまだ夢心地だ。
「これで満足してないと言ったら全競輪選手に怒られます(笑)。(優勝して)満足しいます。(優勝は)僕の走りというより、地元バンクの郡司君の走りが(自分の優勝)つながったのかと。ほぼ郡司君のおかげです」
 獲得賞金7位で初出場のグランプリの権利を手に入れて優勝。初の賞金王に輝いた。04年の小野俊之、06年の有坂直樹に次いでノンタイトル(G1優勝なし)でのグランプリ制覇だ。
「(デビューしたころはG1優勝が)あまりにも遠かった。正直、今も(G1優勝へのこだわりは)ない。自分がいつも頑張ってやれるレース。いまさら気取ってもしょうがない。いままで通りですね、グランプリを獲って変わったって言われるのも嫌なんで」
デビュー19年目のグランプリ制覇。05年に平塚で行われたヤンググランプリには出場したが、G1初優出は17年。遅咲きの87期が11回出場の同期、平原も成しえていないグランプリ優勝を飾った。
「このレースで自分の車券を買ってくれて勝負してくれている人がいる。だから、G1とかF1とかレースの格に関係なく、自分は目の前にあるレースを一戦、一戦頑張るだけです」
 “雑草魂”でつかんだグランプリ。21年はチャンピオンジャージをまといプレシャーと責任のなかでも、一走入魂のスタイルは変わらない。

 逃げた脇本雄太は、2年連続の2着。平原とタッグを組んで戦った大一番をこう振り返る。
「自分のなかで最善は尽せたと思う。これだけやって負けたならしかたない。自分の中で初手は理想の形でしたね。新田(祐大)さんの後ろから進めたかったので。松浦君の動きが自分のなかで想定外でしたね。あんなに持ってくると思わなかった。自分のなかでは優勝した高松宮記念杯と同じ感じで走れたと思うんですけど、周りが自分のレースを研究しているなって感じました。平原さんと初めての連係だったし、やった方だと思います。お互いに今まで敵同士として戦ってきたけど、今回ラインを組んで。平原さんに任せてもらえたのは光栄ですし、お互いに尊重しながら戦えた。負けて悔しいですけど、走っていて楽しかった」

 連覇こそならなかったが、佐藤慎太郎は最終バック8番手からコースを探して3着に突っ込んだ。
「新田も1回、動けばよかったんですよね。本人もレース後に言っていたけど。まあ2着まで行けそうな感じで踏めた。ワダケン(和田)みたいにいつチャンスがくるかわからないですから。チャンスがきた時につかめるように準備したい」

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レース経過

 号砲で飛び出した松浦悠士がスタート争い制して、清水裕友との中国コンビが前受け。以下は、郡司浩平−和田健太郎、新田祐大−佐藤慎太郎−守澤太志、脇本雄太−平原康多で周回を重ねる。
 赤板を通過して各ラインがけん制し合う中、2コーナー手前8番手から脇本が一気に仕掛けて主導権を握る。合わせて踏んだ松浦は脇本に飛び付きを狙うが、平原がしっかり番手を死守して最終回へ入る。5番手の郡司は1センターから反撃開始も、清水のけん制で車の出は悪く、3コーナーで外に膨れた松浦のあおりを受けて後退。清水は2センターで松浦の内へ切り込んでタテに踏み込むが、平原の強烈なブロックでスピードが鈍る。4コーナーを回って脇本と平原の直線勝負かと思われたが、2センターで清水の後ろに切り替えた和田が平原の内のコースを突いてゴール手前で脇本を鋭く交わした。昨年同様、先行勝負に出た脇本が2着に粘り、大外を仕掛けた新田が不発と見た佐藤は、最終2センターから和田と同じコースを踏んで3着に入った。

車番 選手名 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
1 4 和田 健太郎 千葉 87期 SS 11 追込み
2 2 脇本 雄太 福井 94期 SS 3/4B 11.5 逃残 H B
3 9 佐藤 慎太郎 福島 78期 SS 1/8W 10.8 追込み
4 6 守沢 太志 秋田 96期 SS 3/4B 10.8
5 7 平原 康多 埼玉 87期 SS T 11.5
6 5 清水 裕友 山口 105期 SS 1/4W 11.3
7 8 新田 祐大 福島 90期 SS 1B1/2 11.2
8 3 松浦 悠士 広島 98期 SS 3/4B 11.6
9 1 郡司 浩平 神奈川 99期 SS 1B1/2 11.7

有言実行の地元V

 松井宏佑が次元の違うまくりで同世代の8人を圧倒。ゴール後に小さく拳を握りしめるが、優勝を確信すると何度も両手を上げてファンにアピール。喜びを全身で表現した。
「めっちゃゴールした瞬間から、うれしかったです。先輩には(優勝のガッツポーズは)ダサかったよって言われたんですけど(笑)」
 昨年も人気を背負いながら、繰り上がりの3着。それだけにホームバンクの大舞台、ラストチャンスのヤンググランプリは優勝しかなかった。
「もう優勝する気でしかなかったので、有言実行できて良かったです」
 作戦もただただシンプル。前受けから8番手に下げての一撃で別線を仕留めた。
「(レースが)ちょっとどうなるかわからなかったんで、とりあえずもう自分が一番得意なパターンと。それで前を取って、引いて行けるところから行こうと思ってました」
3番手の坂井洋は車間が空いて、松井にとっては前が遠い8番手。しかしながら、最終2コーナーから仕掛けると、エンジンの違いで瞬く間にV圏内に突入。直線では並ぶ間もなく北日本勢を交わして、先頭でゴールを駆け抜けた。
 前回の競輪祭では決勝に進出して、大トリのグランプリに出場する郡司浩平の初戴冠に貢献した。メンバーでただひとりG1ファイナルの経験もあり、競技ではナショナルチームのAに所属して、ワールドカップのケイリンでも銅メダルを獲得。ここで役者の違いを証明した。
「競技の方はオリンピックには出場できないかもしれないんですけど、ワールドカップ、世界選とかに行ったら金メダルを。去年、ワールドカップで銅メダルだったんで、もっといい色のを獲りたい。日本の競輪では前回、競輪祭では決勝に乗れたんで、またG1で決勝に乗ってもっといい成績を出した。ヤンググランプリは今年までだったんで、次からは本物のグランプリに出たいです。(GI決勝の)常連になって日本の競輪界のトップレーサーとして走りたいです」
 進化途上のデビュー3年目。来年はグランプリの舞台で郡司とタッグを組んで南関勢を盛り立てる。

 松井に付けた宮本隼輔は、直線で外に持ち出して迫ったが半車輪及ばず。
「今日は選んだ位置が良かった。作戦勝ちですね。最後は自分が届くかなって思ったけど、松井さんの気持ちの方が強かったです」

 同県の黒沢征治に委ねた森田優弥は、最終ホーム手前で連結を外して河合佑弥とからむ厳しい流れ。しかしながら、松井、宮本を追いかけて3着に入った。
「(黒沢の番手で)自力とは違って気持ち的には楽でしたね。(最終)バックで自分から行こうと思ったんですけど、3コーナーで止まってしまうかもって思って行けなかった。でも、松井さんは行ってしまったので。自分の力不足ですね。番手回りはいつもと見える景色が違いました。いい経験になりました」

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レース経過

 内枠の2人に小林泰正が飛び出してのスタート争い。松井宏佑が正攻法に構えると、周回は松井−宮本隼輔−小原佑太−高橋晋也−坂井洋−小林−黒沢征治−森田優弥−河合佑弥の並び。
 青板バックから黒沢が上昇を開始。小原にフタをしてから1センターで松井を押さえると、そこをすかさず坂井が叩いて前に出る。8番手になった小原は打鐘ガマシ。4コーナーで坂井を叩き切ると、小原の仕掛けに合わせて踏み込んだ黒沢は口が空いた小林をキメて坂井の後ろに収まる。単騎の河合とからみながらも森田が6番手を取り切ると、2コーナー、8番手から松井が一気のまくり。離れた3番手で前を追いかける坂井を1センターで、小原マークから踏み込む高橋を直線でとらえて地元開催のヤンググランプリを制した。周回中から松井後位を回っていた宮本が松井に続いて2着。松井の仕掛けを追うように2センターから持ち出した森田がゴール寸前で高橋をとらえて3着に入った。

グランプリの歴史に残る3連覇

 昨年ガールズグランプリとしては初の連覇を遂げた児玉碧衣が、歴史ある男子のグランプリでも成しえなかった史上初の3連覇。ゴール寸前で左の拳を上げる余裕すら見せる圧倒的な走りだった。
「本当にうれしかったですね。1千万円、レクサスって感じでした(笑)」
 勝負の大一番で優勝賞金と副賞の高級国産車レクサスを手に入れて、逆転での賞金女王の座にも輝いた。
 レースは、それぞれの思惑が交錯して隊列が落ち着いたのは赤板手前。5番手で打鐘を通過した児玉が、4コーナーから踏み込むと2番手にいた高木真備も合わせて出る。児玉は冷静に高木を追いかける。その外からカマした佐藤水菜が先頭に立ち、高木は2番手に入るが、児玉がその上をまくる。スピードの違いで前団を仕留めると、そのまま後続に1車身半の差をつけてた。
「(鈴木)美教さんが前検日の時から私の後ろを取りたいというふうに言っていたので、後方に置かれるより美教さんが入れてくれればありがたいと。誰も動かなかったら1周駆けるつもりでいた。カマそうかなって思ったら(高木)真備さんが自分と合わせる感じで出てきた。真備さんも結構踏むような感じだったので、いったん真備さんの後ろに収まった。それでそのまままくりに行くような感じでした。(優勝を確信したのは)バック線を越えたぐらいですかね。スピードも良くて軽く感じました。なんとか3コーナーくらいまで我慢すれば、あとは伸びるかなって思っていた」
 3連覇のプレッシャーもどこ吹く風。圧巻のパフォーマンスを引き出すモチベーションの源は“欲”だ。
「やっぱり欲ですかね。勝ちたい欲はもちろんなんですけど。やっぱり1千万獲りたいとかレクサス獲りたいっていう欲が、他の6人と比べて前面に出ていたのかなって思います。(4連覇がかかる21年の目標は)3連覇してちょっとひと安心している気持ちのほうが大きいので、来年の目標はって聞かれた時にまだはっきりは言えない。今年中はちょっとゆっくりして、また来年、考えたいなって思います」
 新たな“欲”をモチベーションに変えて、児玉が21年のスタートを切る。今日を入れて今年もあと4日、まずは3連覇の喜びに浸りたい。

 外の児玉にかぶった梅川風子は、最終2コーナーで外に出して児玉を追ったが脅かすまでには至らなかった。
「いい位置は取れたかなって。後ろを気にして脚を使うよりも、前の石井さんと高木さんに任せて自分はフリーでいようという判断は悪くなかったと思う。でも、児玉さんが外に持ち出すのが思っているよりも早くて、内に包まれてしまいましたね。そこがミス。児玉さんが予想以上に強かったです」

 佐藤のカマシに飛び付いた高木真備だったが、児玉のまくりに反応しきれず3連覇を許した。
「前の方からと思っていました。あそこから仕掛けようと思っていたんですが、(佐藤が)すかさず来たので追いかけた。本当は先まくりが良かったんですけど、児玉さんのスピードが良くて出られてしまいました。番手にハマってからすぐに行ければもう少し違ったのかなって思いますけど、今の力では及ばない感じでした」

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レース経過

 号砲で石井寛子が飛び出して正攻法の位置を確保。高木真備、梅川風子が続くが、その後位は児玉碧衣を軸に目まぐるしく並びが入れ替わる。4番手以下が石井貴子、児玉、鈴木美教、佐藤水菜で落ち着いたのは赤板手前だった。
 そのまま打鐘を迎えて誘導は退避。依然として隊列は変わらず、4コーナーに入ったところで児玉から動き出す。最終ホーム手前で合わせて高木が外に車を持ち出すと、児玉はまずはその後位へ。そこを最後方からの佐藤のカマシが襲う。1センターで出切った佐藤を、高木、児玉が追い、内から飛び付きを狙った石井寛は力尽きて後退。2コーナーで3番手の児玉が梅川を連れてまくる。2番手の高木もまくりで応戦し、踏み合いとなるが、2センターでは児玉がねじ伏せて先頭に。直線に入り、追いすがる梅川、高木を突き放して児玉がガールズグランプリ3連覇を決めた。