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23#

検車場レポート

  • 6/2 Fri.  (前検日)
  • 6/3 Sat.  (1日目)
  • 6/4 Sun.  (2日目)
  • 6/5 Mon.  (3日目)

1R

選手の写真です。
竹内翼選手

 オープニングレースの1番車を任されたのは竹内翼(写真)だ。散々な成績に終わった前回の福井F1から軌道修正してきた。今シリーズは力強い走りで期待に応える。


 「前回は練習がよくなくて、そのまま行ってしまったので、自信のなさが出ました。福井が終わってから師匠(吉本哲郎)にセッティングを変えてもらって、いい感じになりました。練習でも感じがよかったんで、それが出せれば。(デビューしてから)1レースは初めてです。自力でしっかり前に行けるように」


 湊聖二が竹内と強力タッグを組む。久々の記念参戦で存在感を示す。


 「竹内君との連係は初めて。強いから楽しみですね。黙って付いていきます。前回の小松島は準決勝でミスして決勝に乗れなかった。地元で負けたぶんも今回は頑張ります」

2R

 藤田大輔はここ3場所で3勝、優出2回と戦歴上昇中。タテ攻撃が冴えている。


 「最近の成績はダービー組、全プロ組がいない中でのFIですから。今回がどうなるかですね。でも、勝てる時にしっかり勝てているし、決勝にも乗れているのでいいと思います。状態も上がってます。ひとつでも上のレースにいけるように頑張ります」


 須永優太は前回の福井F1の予選で中団まくりを決めて1着。調子は上昇カーブを描いている。


 「4月はあっ旋が止まっていたので、その期間にしっかり練習はできました。(2場所前の)川崎は久々の実戦で散々だったんですけど、福井はかなりよくなってました。終わってから練習もまずまずできたし、状態はいいと思います」

3R

選手の写真です。
伊早坂駿一選手

 伊早坂駿一(写真)が地元のトップバッターとして登場する。前回の大宮F1はS級初優出。初の地元記念で気合が入っている。


 「大宮は追加で行って、そこで3日間、脚の状態を確かめながら、しっかり踏めました。今期からS級に上がって、だいたい半年ぐらい経って、日に日にS級のレースにも慣れてきて、自分のレースもできるようになってきました。大宮から中2日なんですが、しっかり疲れも取って調整してきました。地元記念で緊張しているんですけど、しっかり自分の競走をしたいと思います」


 中川貴徳は差し脚堅調。地元の伊早坂をしっかり援護してゴール前勝負に持ち込みたい。


 「伊早坂君とは前回の函館記念の初日も一緒でした。強いのは知っているので、しっかり付いていくだけですね。練習は普通にやってきたし、調子は変わらずいいと思います」

4R

 山本直は5月玉野F1で久々の決勝進出。調子、成績とも確実に上向いてきている。


 「最近はしっかり動けていると思います。全プロは競技のスプリントに出場したんですけど、ハロンで終わってしまいました。それから中3日なんですけど、練習はしてきました。細切れなんで、しっかり動いていきたいと思います」


 小橋秀幸は点数最上位の存在。前回の伊東F1は予選で敗退したが、好感触をつかんだ。


 「伊東は着が悪かったんですけど、いい時の感触が戻ってました。終わってから練習はみっちりやってきたし、今回は自信があります。佐藤(佑一)君も上り調子なので、いい勝負ができると思ってます」

5R

 栗山俊一は5月地元の奈良F1で決勝2着と好走。前回の松戸F1は予選で敗退したが、敗者戦はきっちり2連対を果たした。


 「松戸は初日に失敗してしまったんですけど、2日目、3日目は結果を残せました。レースの組み立てをしっかりやれば大丈夫だと思います。最近はバックを取るレースができているし、それが自分の持ち味なんで、崩さずにいきたいですね。しっかり力を出し切るレースをします」


 上野真吾は5月の函館F1、松戸F1で連続優出。4月大垣F1の落車から立ち直っている。


 「脚の状態は上がってきているけど、まだ完ぺきではないですね。最近の成績も自分であまり動いてないので、なんとも言えないです。ここまではけっこう空いていたから練習はしっかりやってきました。明日は前で自在に頑張ります」

6R

選手の写真です。
大塚英伸選手

 南関勢が強力な本線を形成する。加賀山淳は今期に入って好調。先行力が一段と上がっている。


 「全プロ(1キロメートルタイムトライアル)のタイムが悪くて、自分にムカつきました。それはそれなんで、また来年、頑張るしかないですね。終わってから体調があんまりよくないんですよ。練習の感じは悪くないんですけどね。精神的なものかもしれません。毎年、暑くなるこの時期から成績が悪くなるんで、そうならないようにしっかり頑張ります」


 大塚英伸(写真)は直前の前橋F1で準Vと健闘。相変わらず差し脚は切れている。


 「ここ2場所は調子はそんなによくないんですけど、番組と展開に本当に恵まれています。先行選手がいつも頑張ってくれるおかげです。前橋が終わってから強めに練習してきたので、疲れが少し出てますね。明日はどういう展開になるかわからないけど、前が加賀山君なので、いいレースをしてくれると思います」

7R

選手の写真です。
山岸佳太選手

 山岸佳太(写真)は前回の富山F1の決勝で落車に見舞われた。そこから全プロの競技大会に出場しての地元シリーズ。コンディションはどうか。


 「擦過傷と打撲だったけど、すぐに団抜き(チームパーシュート)もあったし、ケアを優先して3位に入れた。問題はないと思います。初日から一戦、一戦気が抜けない。(吉澤)純平さんもいるし、(吉田)拓矢もいるんでしっかり勝ち上がっていきたい。準決が目標です」


 近況勝ち星から見離されている山口貴弘だが、近況は上々の感触をつかんでいる。


 「(初日は田中陽平を目標だけど)自力で戦える脚は作っている。練習でも脚は上がっている。最近、1カ月前くらいですかね、やっとセッティングを変えた。10年くらいセッティングを変えてなかったんですけど、みんなに聞いて変えた。そしたらスピードが出るし、余裕もある」

8R

 体調を崩して前回の伊東F1を欠場した中井太祐は、ダービー以来、およそ1カ月ぶりの競輪の実戦。


 「前回の伊東はヘルペスと頭痛で休みました。(ヘルペスは)初めてだったんでわからないけど、疲れていたんですかね。体重も4キロほど落ちた。練習は1週間くらいやってきたし、全プロの競技では走ったんで」


 4月の函館F1を127着と上々の戦績を収めた田中誠は、広島F1の373着を挟んで前回の福井F1を122着の準V。復調の兆しを見せている。


 「函館からちょっとセッティングを変えた。その前の川崎まではわからなくて…。でも、函館でセッティングを変えたら、それがバッチリはまった。いままで忘れていた感じを思い出してきた」

9R

 地元の須賀和彦とのタッグで山田義彦が、一次予選のトリを務める。


 「前回は自力を出して、まくりのキレもあった。あのメンバーで(全プロ記念の最終日)まくれたのは自信になった。記念はあんまり成績が良くない。次のステップとして記念がベースになってくるんで、そこでしっかりと成績を残していきたい」


 同県の舛井幹雄に信頼を寄せる谷口明正が、アグレッシブな走りで別線に立ち向かう。


 「後ろが舛井さんだし、先行基本で頑張ります。舛井さんは練習でも一緒にやったりする。それに仕事もしてくれるんで心強い。前回の富山(812着)は2日目から立て直せた。体の感じも悪くないです」

10R

選手の写真です。
新山響平選手

 未勝利だったダービーのあとは函館記念を9156着、続く全プロ記念94着。ひと頃の勢いがない新山響平(写真)だが、先を見据えながらポジティブさを忘れず笑みを浮かべる。


 「いろんな人の話を聞いたりして、とくに山崎(芳仁)さんですね。山崎さんの若いころと比べたら、自分は全然練習をやってない。練習量が違いました。若い時は量をやっているだけでいいって。(山崎は)デビューして2、3年くらいはすごい量の練習をやっていたっていうのを聞いて。自分もそうやって基礎から作り直さないと。すぐに結果が出ないと思うけど、1年後ぐらいに出ればいいですね」


 全プロ競技大会のあとはナショナルチームの合宿に追われた脇本雄太は、疲労残りが心配される。


 「全プロが終わって次の日から、昨日までナショナルチームの合宿があった。ウエートはやってないけど、かなり疲れてます。しっかり練習はできたんですけどね」


 追加配分の横山尚則は、前回の小松島F1を112着。決勝は先行策からラインの小林大介とワンツー。リズム良く初めての地元記念を迎える。


 「小林さんとワンツーを決められてよかったし、すごくうれしかった。自力選手としてしっかり戦っていかなきゃいけないんで、自分でも自信になりました。追加配分はあんまり走る方じゃないんですけど、追加をしっかり受けて初めての地元記念はいい気持ちで参加できる。追加が来たのが(5月)30日なんで、ここに向けての準備というのはないけど。トレーニングでも悪くない数字が出ている」

11R

選手の写真です。
古性優作選手

 古性優作(写真)は全プロ記念を21着。スーパープロピストレーサー賞では6人のS班をくだして勝ち星をつかんだが、さらなる上積みを求めて変革に取り組む。


 「なかなかあんなすごいメンバーと走ることがないんで、勝ててうれしい。(最終2センターでは武田豊樹に)無理に当たった感じですね。(前回が終わって)そこから(今回は)全部換えた。フレームもシューズも車輪も。今回は4日間、新車でいく予定です。いろいろやってみても成功することの方が少ないけど、失敗がなかったらいまの自分はないんで」


 5月のダービーで落車に見舞われ左鎖骨のはく離骨折を負った吉田拓矢は、前回の全プロ記念を96着。復帰2場所目で地元記念に臨む。


 「全プロの1週間前くらいから(自転車に)乗り始めました。まだちょっと痛いんですけど、走るぶんには支障はないですね。初日は新車を使おうと思っています」


 前回の小松島F1は463着に終わった松谷秀幸は、古性を意識しながらイメージを膨らませる。


 「前回はちょっと疲れが出たのか、感覚的に重かったです。それで今回は軽めにやってきたんですけど、(調整は)難しいですね。明日の特選はここ(古性)がポイントですね。平原(康多)君みたいになんでもできますから。やっぱり(古性より)前にはいたい。そこです」

12R

選手の写真です。
吉澤純平選手

 初日特選から武田豊樹とのセットに、吉澤純平(写真)は過度に気負うことなく冷静にメンバーを見つめて気を引き締める。


 「(吉田)拓矢か俺(が武田と一緒)かと思っていた。2分の1なんで、わかっていたっていうのもあるし、(武田とは)何度も走っているんで。普段通り仕掛けて、残るか残らないかだと思う。残らなければ、自分の脚がないっていうことなんで」


 12年以来、4度目の地元記念Vへ、武田豊樹は例によって静かに闘志を燃やしている。


 「前回が終わってから、(取手の)バンクには入ってない。自分で調整をした感じです。疲れてはいるけど、コンディションは悪くないです。ここも重要だし、このあと高松宮記念杯もあるんで、一戦、一戦しっかりと」


 吉田敏洋は、全プロ記念の初日に同地区の竹内雄作と別線を選択。自分の気持ちを一語、一語丁寧に打ち明ける。


 「竹内に付かなったのは全プロ限定っていうわけじゃないけど、自分が自力選手っていうことを再確認したかった。若い子を付けてもらえることが当然ながら増えてきて、自分のなかでいろいろ考えて悩んで、それがレースに影響していた。やっぱり自分自身の走りの軸になるのは自力だから。自力での戦いがあっての番手回り。そこがブレていた。悩んだ時は積極的にやろう、自分でやろうって。気持ちの整理がしっかりできた感じです」

1R

 竹内翼を警戒して飯田憲司が、赤板過ぎに併せ込んでフタをする。前受けの矢口啓一郎は、打鐘でじわりと踏み上げた飯田を見て突っ張りの腹を固める。竹内は前団の隊列が凝縮された最終ホーム手前から発進。ロングまくりで別線を沈めて、そのまま押し切った。
 「(フタをされて)中団のところで待つか、引いてカマシかの判断が遅くなってまくりになってしまいました。先行ができていないので、納得のいかないレースですけど、行けるところでは仕掛けられたと思います。先行してないので調子はわからない感じです」
 「強い、本人も今回は仕上がっているって言ってた」とは、半車身詰めたところがゴールだった湊聖二
 「僕も余裕はあったんですけど、踏み直されました。なんかバタバタしたところもあったし、抜けなかったことは反省します」
 最終2コーナー手前のブロックで竹内を止め切れなかった石川雅望が、3着入線も矢口に申し訳なさそうに振り返る。
 「思いのほか竹内君の巻き返しが早かった。矢口さんがあんだけ行ってくれたのに…。矢口さんに(竹内、湊を)追ってもらってと思ったけど、4コーナーでは苦しそうだった」

2R

選手の写真です。
成田健児選手

 後ろ攻めの藤田大輔が中団の川口公太朗にしばらくフタをしてから打鐘前に踏み込む。中団争いはもつれて、最終ホームで渡邊秀明と接触した須永優太が落車。力強く逃げた藤田の番手から成田健児(写真)が追い込み、5カ月ぶりの勝ち星を挙げた。
 「藤田君が本当にいい先行をしてくれました。後ろの様子はわからなくて、もう必死でした。最後に外から(川口が)見えて、誰かわからなかったんですが、(渡邊)秀明さんはこんなに早く来ないだろうと思ったので振りました。久々の1着で、藤田君とワンツーが決まったからよかったです」
 藤田大輔は先行策でいつもより長い距離を最後まで踏み切った。
 「今日は先行しようと思ってました。自分の脚はよかったし、思っていたよりもいい感じで行けました。落車があって川口君が3番手になったのはわかったけど、最後まで落ち着いて踏めました」
 3番手を確保した川口公太朗は前の2人を交わせず3着。
 「藤田さんが自分にフタをしたんで、やる気だなって感じました。その上を行ければよかったんですが、いいペースで踏まれたので、須永さんのところに降りて、そのまま内をすくっていきました。成田さんのところまで行ければよかったんですけどね。感触はあんまりよくなかったです。もう少しいいレースがしたいですね」

3R

選手の写真です。
太刀川一成選手

 後方から上昇した太刀川一成(写真)が押さえて出るが、千葉コンビに続くかに思われた佐藤和也は5番手の伊早坂駿一のヨコでストップ。伊早坂も引くに引けず細切れ戦で5番手が併走。そのまま誘導を打鐘の2センターまで使った太刀川の先行策。宮倉勇の援護にも助けられて、小気味よく駆けて押し切った。
 「粘るつもりだったんだけど、来なかったから(逃げて)行くしかないと。バックでもずっとペースで踏めた。(バンクは)軽くはないけど、あんまりタレなかったと思う。脚的にはいいし、前のころに戻ってきている。それでもたまたまですよ。ただ、これがキッカケになれば」
 3番手からまくった角令央奈をブロックした宮倉勇は、返す刀でインを突いた真田晃を阻んで千葉ワンツーを完結させた。
 「太刀川が腹をくくって駆けてくれた。あとは余裕をもって仕事ができればと。(逃げるのは)作戦になかったんですけどね。そのあとは(内に)誰か来るだろうけど、仕事をしないとダメだから。あとはうまく凌げました」
 最終ホームでの中川貴徳の切り替えもあって伊早坂駿一は、8番手に置かれる。最終2コーナーから踏み込んで前団に襲い掛かるが3着まで。
 「(佐藤は)1回切って、自分待ちかなと…。太刀川さんも上がってくれれば、内から行こうと思ったけど。難しかったです。踏めていることは踏めているんで、脚の方はすごくいいです」

4R

 赤板の2コーナーでダッシュを利かせて古屋琢晶を突っ張った山本直が、軽快なリズムで逃げる。中団がもつれて山本の番手の室井健一には絶好の流れ。室井が後続との間合いを図って抜け出した。
 「作戦では中団、中団だったのに、初手から後方になってしまった。まずいなと思っていたら、(山本)直が早めに仕掛けてくれた。ただ、直にとっては長い距離だと思っていたのに、巻き返しもなかなか来なかった。直が強かったわ」
 突っ張られた古屋琢晶は、重倉高史と4番手で併走。最終1センターでは重倉にもって来られたが、立て直すとバック手前からのまくりでグングン加速する。苦しい展開を凌いで2着に入った。
 「(山本が)出してくれると思ったが…。併走して行けるところで行こうと思っていた。自分だけになってしまったが、タイミングを見て踏んで自転車は進んでいる感じ。まくり切れればもっと良かったけど」

5R

 後ろ攻めの志村龍己が赤板過ぎに切って前に出る。前受けから3番手に下げた栗山俊介はすかさず踏み込んで打鐘から主導権を握る。志村は4番手まで下げて、一列棒状の態勢で最終ホームを通過。快調に逃げる栗山に対し、別線の機動型はなかなか仕掛けられない。番手絶好となった渡辺十夢が直線で鋭く追い込んだ。
 「栗山君サマサマですね。作戦どおりでバッチリでした。すんなり駆けたら本当に強いですね。交わせばいいだけだったんですけど、余裕がなかったです」
 栗山俊介は持ち味の先行勝負で3着。ラインを上位独占に導いた。
 「赤板で突っ張ろうかと思ったんですけどね。(志村が)けっこう踏んだので出させて、上野(真吾)さんが来てフタをされるとまずいのですぐに行きました。あとは自分のペースで、気持ちよく駆けられました。人気してたんであれなんですけど、ラインで決まったのはよかったです。踏んだ感じは悪くなかったです」

6R

 押さえて出た近畿コンビに続いた野田源一は、赤板の2コーナーで踏み込んだ金澤竜二に合わせて出る。が、伊原との3番手取り合いを嫌って、5番手に引いて最終ホームを通過。伊原が2コーナーからまくりを打つと、野田はそれを目標にして追い込んで1着。
 「(金澤と)一緒に上がっていけば、自然と3番手が取れるかなと思ってたんですけど。伊原君も踏んでいた。それで無理してもしょうがないと思って(下げた)。そこからはなかなか脚の折り合いがつかなくて、ちょっと(前に)離れたんで追いつく勢いで行きました。展開を作れてないし、自分でまくってもないんで、調子はわかりづらい。それでも結果1着なんで、そこは評価したい」
 「前に前に行こうとする野田君の気持ちがつながったんだと思う」とは、野田との差を詰めて2着に流れ込んだ藤田昌宏。野田を労い、こう続ける。
 「野田君としては組み立ては、ちょっと失敗だったと思うけど。あれ(3番手を取ろうと)があったから、加賀山(淳)君にしても見ちゃったところもあったんだと。自分は冷静に見られていたし、(脚の感じは)全然大丈夫」
 伊原のまくりに一瞬置かれた佛田一夫だったが、追いついてリカバーすると最後は伊原を交わして3着を確保。
 「デビュー20年目にして、記念の予選を突破したのは初めて。踏み出しで遅れたけど、前を抜けたんでよかったです」

7R

 山岸佳太が田中陽平を打鐘前に叩いて出る。別線の動向を見ながら徐々に踏み上げて最終ホームを一本棒で通過。バック7番手かからまくり上げた吉川誠、2センターから踏み込んだ田中の反撃を許さず、堂々の逃げ切り勝ち。初の地元記念で白星スタートを切った。
 「落車明けで不安もありましたけど、しっかり踏み上げていけました。後ろが援護してくれると信じて駆けられました。落ち着いて走れたと思います。バックからまた踏み上げていけたし、感じはよかったです。明日が勝負ですね。もっと相手は強くなるので、気を引き締めて臨みたい」
 番手絶好の中田健太は直線で詰め寄ったが、わずかに届かなかった。
 「山岸さんは強いと知っていたけど、まさかここまでとは。強いしどこまでも抜けない感じだった。最後は向かい風だったから迫れただけ。外に(車を)外すのすらキツいくらい。僕からが人気になっていたからなんとか抜きたかったけど、逆にこれで山岸さんの仕上がりのよさが伝わるかな」

8R

選手の写真です。
吉田裕全選手

 6番手から早めに上昇した阿部力也が赤板で誘導員の後位に収まる。中井太祐が打鐘前から仕掛けて前に出ると、久木原洋がすかさず襲いかかる。最終ホームで中井を叩いた久木原が先行策。これに乗った吉田裕全(写真)がきっちりチャンスをモノにした。
 「久木原君が最高の仕掛けをしてくれました。すべて彼のおかげです。強烈なダッシュでした。今回で新車3場所目なんですけど、アタリが出ました。山田義彦にセッティングを見てもらったら劇的によくなりました。(2場所前の)函館でギックリ腰をやって、前回の大宮もそれを引きずっていたんですが、今回は中2日でケアもできたので痛みは出なかったです」
 単騎の田中誠が最終バック最後方から2着に突っ込んだ。
 「9番手になったけど、みんな脚を使ってましたからね。(阿部のまくりに)付いていかず、内に行ってコースを探しながら回してました。(中井に)引っ掛かりそうになったので、バランスを取ってから踏みました。(吉田)裕全まではちょっと遠かったですね。直線が短かった。誘導をやって練習もしてきたんで、脚はキツかったです」

9R

選手の写真です。
山田義彦選手

 打鐘で山田義彦(写真)をじわりと押さえて出た紀井孝之が主導権。4番手まで下げた人気の山田だったが、谷口明正もすかさず巻き返して行き場を失う。中近ラインが外にかぶった山田は、結局最終2コーナーで7番手まで引いての立て直しを余儀なくされた。まくり強襲で突き抜けたものの、山田に笑顔はない。
 「3番(谷口)をどかそうか迷って…、全部迷って、迷ってから引いた。前(紀井)も掛かってないから、どかしたところでまた来るだろうし。ただ、あれでもこの(脚の)感じなら(まくり)行けると思った。これで体もピリッとしてくると思う。あとは組み立てだけですね」
 紀井の逃げを利した米澤大輔は、願ってもない展開。直線で追い込むも、山田に屈して2着に大粒の汗をぬぐう。
 「紀井が強かった。(5着の紀井は)もうちょっとなんだけど、ホンマに。谷口君は止まったけど、山田君は脚が溜まってたし来ちゃいましたね。自分のコンディションは初日が重めで、2日目くらいから上がってくると思う」

10R

選手の写真です。
佐藤慎太郎選手

 赤板の1センターで新山響平が誘導を降ろして先頭にに立つ。横山尚則が3番手を確保して、石井秀治は5番手へと車を下げて打鐘を通過。3コーナーから後方にいた脇本雄太が巻き返してくると、新山はペースを上げる。最終1センターで脇本を強烈なブロックで止めた佐藤慎太郎(写真)が、逃げる新山に乗って4コーナーを絶好のハコで迎える。最後はきっちり差し切って北日本ワンツーを決めた。
 「新山君が2車でよく行ってくれたよ。先を見据えているね。彼は強くなるよ。掛かりもよかったし、ワッキー(脇本)が隣まで来てくれれば仕事できるかなって思った」
 新山響平は力強い先行策で別線を完封。しぶとく2着に粘り込んだ。
 「(佐藤)慎太郎さんのおかげですね。横山さんがカマして来るかなって思ったけど、うまく対応できました。前に吉岡(稔真)さんにアドバイスを頂いて、今回は踏み方とかセッティングを試していたけど、いつもより踏ん張れたと思います」
 脇本が不発とみるや、最終1センターで切り替えた椎木尾拓哉が横山の外でへばりつきながら3着を確保した。
 「キツかったけど、よく凌げた。なんとかリカバリーができて3着に入れたので悪くないと思います。(全プロ記念で落車したが)体は大丈夫ですよ」

11R

選手の写真です。
原田研太朗選手

 後ろ攻めから早めに上昇した古性優作が赤板前に誘導員の後位に入る。打鐘前に切った松谷秀幸を吉田拓矢が押さえて先制。松谷が3番手に入り、古性の内をすくった原田研太朗(写真)が5番手を取って最終ホームを通過する。7番手に置かれた古性が1センターから仕掛けると、合わせるように原田がまくる。ジワジワと前団に迫った原田が直線で関東両者を抜き去った。
 「(初手の)並び的に、だいたいそうなるかなっていう感じの展開でした。吉田君が行った時にバックを踏んでから付いていくのは厳しいと思ったので、内から行くしかなかったです。自分の感触というよりも取手自体がすごく感じがよくて、そっちのほうが大きいと思います。なんとか1着が取れてよかったです」
 諸橋愛は前との車間を空けて吉田をガード。できる限りの仕事をして、最後は吉田を交わして2着に入った。
 「想定内の展開で、あとは僕が仕事をするだけだった。ちょっと(吉田の踏む)距離が長かったぶん、最後はタレましたね。余裕はありました。僕の調子がいいのか、アイツが本調子じゃないのか。とりあえず地元に貢献できてよかったです」
 ライン2車でも果敢に先行した吉田拓矢が3着に踏ん張った。
 「久しぶりにちゃんとした先行をしたので、ちょっとしんどかったです。自分の持ち味はしっかり出せたと思います。ちょっとバタついているところがあったので、もっとうまく回したいですね。でも、フレームを換えて流れていると思います。ゴールまで頑張れたし、このメンバーで3着に残れたんでよかったです」
 しっかり動いて3番手を確保した松谷秀幸だったが、仕掛けのタイミングを逸した。
 「組み立てはよかったんですが、あれで仕掛けないとダメですね。打鐘のところでけっこう脚を使ったのと番手が諸橋さんだったのが…。自分が弱かったです」

12R

選手の写真です。
武田豊樹選手

 飯野祐太を押さえた吉澤純平に武田豊樹(写真)、朝倉佳弘まで出切って関東3車が主導権。しかしながら、吉田敏洋が打鐘手前からすかさず叩きに出て、全開で合わせた吉澤にとっては楽な流れではないが主導権は譲らない。突っ張られた吉田は、最終ホーム過ぎに4番手に入って態勢を整える。飯野、北津留翼は立ち遅れて、前5人の勝負。逃げる吉澤との車間空けて吉田のまくりをけん制した武田が、吉澤をきっちり2着に残して幸先のいいスタートを飾った。
 「そろそろ(吉澤と)ワンツーを決めたかった。(吉澤は)ウィナーズカップでたくさん頑張ってくれたけど、落車してしまって…。それでも早い段階で復帰してくれたからよかった。自分は取りこぼすこともできないんで、緊張感をもって走ってた。彼(吉澤)には逃げるだけで終わる選手になって欲しくない。今日の2着は彼の練習量でしょう」
 「ワンツーは初めてなんです」と、地元の舞台で師匠とのワンツーを結実させた吉澤純平が振り返る。吉田を突っ張る気合の先行策で、別線をシャットアウトした。
 「吉田さんには何回もやられている。今日は(突っ張った)あそこが勝負だった。気持ちだけでした。精いっぱいやって、2着に残れた。(3月の2場所続けての落車で)体が固まっているところがあるんですけど、それもだいぶ動くようになってきました。徐々に良くなっているんで、今日はこの前よりさらに良くなっていた」
 吉澤を叩けなかった吉田敏洋だったが、4番手に収まると意地でまくりを断行。朝倉との3着争いを制して、2日目の優秀へと勝ち上がった。
 「坂口(晃輔)がしっかり(位置を)確保してくれた。坂口サマサマです。ちょっと飛び付いて4番手に収まった時に、自分は1回思い切り踏み込んでいたから、そのあとのスピードの調整がつかなかった。それで2コーナーで(前団との間隔が)早く詰まってしまったけど、あれが3コーナーから溜めてならもうちょっと伸びが良かったと思う。(3着が)ギリギリでしたから。自分の反省点は(吉澤)純平に気持ちで負けたことです」

6R

選手の写真です。
松谷秀幸選手

 中団の松谷秀幸にフタをしてから赤板の2コーナーで再度踏み込んだ栗山俊介が主導権。栗山ラインを受けて4番手に下げるかに思われた山田義彦だったが、栗山が空けたインを盛り返して先行。浮いた栗山が最終ホームで3番手に入ると、松谷が7番手から反撃。逃げる山田を松谷が2コーナーでとらえて、続いた成清貴之がタイヤ差、松谷を交わして1着。
 「(踏み出しは)やっぱり自分もキツかった。もっとスムーズに行ってくれれば、いいんだけどね。それでも松谷は無理やりでも行くタイプなんで構えてはいました。そういう面では反省するところはありますね。ただ宮倉(勇)さんと3人で決められてよかった。最高の結果です」
 ロングまくりで前団を仕留めた松谷秀幸(写真)は、ラインでの上位独占にホッと一息ついて成清に視線を移す。
 「(前回の)小松島の準決で成清さんに迷惑を掛けているんでね。今日は失敗できないっていう思いがありました。(山田が)引いて来たらカマすつもりだった。(最終ホームで)1番(栗山)が3番手に入ったのがわかったんで、(栗山が)仕掛ける前に行かなきゃと思った。(調子は)仕掛ければなんとかなる感じです」
 松谷ライン3番手の宮倉勇は、最終2センターで山田と絡んだが直線の入り口で踏み勝ち3着。初日に続いて52歳の奮闘が光った。
 「山田君に当たられて怯んだけど、もう1回返せた。前の2人が心強かったんでね。(踏み出しで)最初空いたけどすぐに追いついた。前の成清の後輪がしっかり見えていたんで、絶対に離さないぞって思ってました」

7R

選手の写真です。
芦澤大輔選手

 後ろ攻めから上昇した山岸佳太が3番手の山本直にしばらくフタをしてから打鐘前に前受けの小嶋敬二を押さえる。7番手となった山本は2センターからスパート。山岸をあっさり抜き去り、湊聖二が続く。吉岡篤志は離れてしまい、山岸が3番手に入って最終バックを通過。2センターで山岸の内にもぐり込んだ芦澤大輔(写真)が直線で山本と湊の間を割って突き抜けた。
 「山本君に行かれた時に湊さんをどかせれば…。どかすチャンスはあったので。山岸君もそんなに脚を使ってなかったので、もう1回行けるだろうと期待して迎え入れました。余裕はあったというか、昨日よりいい感じでした。(車の出は)見ての通り、自分でもいい感触はありました。でも、悔しい気持ちの方が強いですね。もっと(山岸を)リードしてあげたかった」
 最終バック8番手から大外をまくり上げた小嶋敬二が2着に届いた。
 「だいぶしんどい。でも10秒台くらいのタイムは出ていたんじゃない(笑)。最後は(山本)直と勝負だと思っていたけど、伸びましたね」
 連日、積極的に攻めている山本直が3着に踏み止まった。
 「動きがいいですね。最近の自分ではないみたい。(明日は)チャンレンジャーなんで、もうやるしかない。記念の準決は2回目、上がってすぐに乗って以来です」

8R

選手の写真です。
志村龍己選手

 後ろ攻めの松岡健介が打鐘前に切ると、伊早坂駿一がその上を押さえて先制。中団に松岡が収まり、北津留翼は7番手に置かれる。快調に逃げる伊早坂の番手で志村龍己(写真)が車間を切って別線の反撃に備える。最終バックからまくった松岡を外に振って止めた志村が粘る伊早坂を直線で鋭く差し切った。
 「伊早坂君がいい先行をしてくれました。かかってましたね。本当に強かったです。車間を切れば何とかなるかなって。松岡さんも見えていたし、しっかり対応できました。ちょっと重く感じたんですけど、1着が取れているのでいいと思います」
 伊早坂駿一は先行勝負でパワー全開。2着に残り、初の地元記念で準決に進出した。
 「目標は一応、達成できました。今日は中団から(別線が)切った上を行こうと思ってました。しっかり駆けられたと思います。力を出し切るレースができました。明日も今日みたいに力を出し切るだけですね」
 中団まくりの松岡は不発。その後ろから坂口晃輔が3着に食い込んだ。
 「松岡さんがあそこまで行ってくれたので。今日は外を踏もうと思ってました。そうすれば舛井(幹雄)さんのコースもできますからね。(志村を)抜けると思ったんですけど全然でした」

9R

選手の写真です。
飯野祐太選手

 打鐘で先頭に立った横山尚則が後続の隊列を確認しながらペースを緩めると、8番手にいた飯野祐太(写真)が2センター、ドンピシャのタイミングでスパート。グングンと加速してスピードに乗せた飯野は、逃げる横山に並びかけ最終2コーナーでとらえてそのまま押し切った。
 「横山君は地元だし先行基本でも(ペースを落として)引っ張るかなと。そこしかなかった。昨日は変なセッティングだったんで、今日は戻しました。昨日はローラーでアップしていても力が抜けるような感じだったけど、今日は力が入りました。(コンディションも)だいぶ良くなっているんで、ここからばん回していきます」
 横山ラインの3番手の朝倉佳弘は、最終2コーナーで飯野ラインにスイッチ。2センターから外を踏み込むと、成田健児のけん制にあったが2着に伸びた。
 「横山がジャン過ぎに踏めば、俺と(吉田)裕全で車間を空けようと思っていた。そしたら風が強かったんで、(横山が)ペースに入れたんで緩んだ。そこを(飯野に)来られた。あの風は前で受けている選手しかわからないですから。そのあとは裕全を入れる選択肢もあったけど、競り負けてたし。自分でスイッチして自力含みで行かなきゃと」
 単騎の川口公太朗は最終ホームで9番手。2コーナーでは前との車間が大きく空いて、万事休すかに思われた。が、2センターから外を踏んで、3着に強襲した。
 「自分でどうにかして一発と思っていたんですけど…。ああだこうだ考えている間に最終ホームが来ちゃった。結局、ビビッて動けてない。準決に乗れたのは大きいんで、次に生かせるようにしたい」

10R

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石井秀治選手

 赤板で伊原克彦に併せ込まれた竹内翼は、6番手まで引いて反撃のタイミングをうかがうもなかなか仕掛けられない。3番手の伊原が前団との車間を空けて竹内にプレッシャーをかけると、前受けから誘導を使っていた石井秀治にスイッチが入って2センターで誘導を降ろして先行策。別線に反撃の隙を与えないペースで駆けた石井を、岡村潤がきっちり交わした。
 「結構、掛かっていましたね。車間を切れていたので、4コーナーでワンツーが決まるかなって思っていました。(別線が)逃がしてくれたような感じで、(石井)秀治さんが強かった。秀治さんはペースで行っていたし、僕もやりやすかったし、今日は秀治さんのおかげです」
 逃げても強い石井秀治(写真)が、ペース駆けで別線を完封して南関ワンツー。
 「誘導をもっと使えば楽だったかな。少し前から新しいシューズにしていたので、昨日のレースが終わった後にセッティングを変えてみて、感じが良かった。今日は楽に行けた感じですね。バックの向かい風を貫いてしまえば、誰も来れないなって思っていました」
 最終2コーナー手前からまくって出た竹内は不発。3コーナー過ぎからコースを探した柏野智典が、しぶとく追い込んで3着。
 「これも勉強だし、竹内君はいい経験になったと思います。最後はスピードをもらって3着に突っ込むことができました」

11R

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脇本雄太選手

 後ろ攻めの脇本雄太(写真)が赤板の1センターから踏み上げると、これに合わせて3番手から動いた藤田大輔が打鐘前に先頭に立つ。山賀雅仁が踏み遅れて、いったん藤田の後位に収まった脇本だが、3コーナーからすかさず仕掛けて主導権奪取。これで別線は手も足も出ない。最後まで全力で踏み切った脇本が先頭でゴールを駆け抜けた。
 「スピードが合ってしまったら番手でも3番手でもと思っていたんですが、前が緩んだので先行勝負しました。気持ちを引き締めようとしているけど、集中しきれてない感じがします。ちょっと疲れが取れてなくて、キツいですね。でも、徐々によくなっていると思います」
 番手絶好の古性優作は脇本を交わせず2着。淡々とレースを振り返る。
 「(脇本が)めちゃくちゃ強かった。(差せなかったのは)自分の力不足ですね。今日はシューズを試したんですが、失敗したので元に戻します。クランクも換えてみます」
 近畿ライン3番手の真田晃は離れてしまい、最終ホームで3番手に飛び付いた藤田大輔がそのまま3着に入った。
 「打鐘のところで踏んでおかないと位置は取れないですからね。あの位置を取れたのが大きかったです。外を踏めればよかったんですけど、余裕がなかったです。山賀(雅仁)さんには申しわけなかったですね。もう少し脚をつけます」

12R

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吉澤純平選手

 地元勢に諸橋愛が固めて4車でまとまった吉田拓矢ラインと、佐藤慎太郎とタッグを組む新山響平。互いに意識し合う107期の2人が、プライドをかけて譲れない先行バトルを繰り広げた。6番手から吉田拓が早めに上昇を始めて、新山に併せ込んでから赤板過ぎに主導権を握る。4番手の諸橋が出切る前に新山も巻き返して襲い掛かるが、番手の吉澤純平(写真)の一発で終了。数的に有利な吉田拓に軍配が上がった。敢然と逃げる吉田拓に抜かりなく続いた吉澤は、原田研太朗に合わせて最終2コーナーから番手発進。原田のまくりを不発に追いやって勝ち星を挙げた。
 「(新山が)いいスピードだったんでやれることはやろうと。そのあと(原田のまくりは)見えてなかったけど、なんとなく来ているかなと。それでタテに踏むしかなかった。(前々回の)大宮くらいから感触がつかめてきた。(前回の)全プロでは結果に結びつかなかったけど、体の感覚は良かった。(ラインの)先頭と番手のレースは違う。でも、後輩も出てきたんで、回れる時はしっかりとって思っている。そういう気持ちの準備はしてきた」
 目標の新山が吉澤のブロックで後退すると、佐藤は武田豊樹のヨコに追い上げて最終ホームでキメにかかる。武田は輪界屈指のマーカー佐藤との勝負を制したが、自力に転じた吉澤に遅れて原田に割り込まれる。原田が外を踏んで浮いたところで吉澤に追いつき2着をキープ。クールダウンを終えた武田が口を開く。
 「キツかったです。あのスピードで(佐藤は)追い上げて来るんだからすごい脚力ですよ。今日は前に尽きますね。吉田(拓)君が新山君と力勝負して、吉澤君が判断良く出ました。自分は必死。若い力が大きい。原田君をなんとか抜きたかった。諸橋君も続いてくれたし、車券には貢献できたかなと思います。すごいですよ、競輪は。勉強になります」
 武田に流れ込んで3着の諸橋愛は、冷静に振り返る。
 「(佐藤は)最初、俺んところだったけど、武田さんに行った。最後は武田さんの脚勝ちみたいな感じで、自分は付いていっただけ」
 単騎の原田研太朗は、9番手から最終ホームでロングまくりを打つ。一度は番手まくりの吉澤後位に入ったが、そのままねじ伏せにいったところを合わされて力尽きた。
 「新山君が降りてきて、僕らのタイミングがズレた。でも、単騎だったし仕掛けた方がと思って踏みました。あのままシビアにいけば、(吉澤を)抜けなくても2着はあったと思う。だけど、今日は力を出し切りたかった」
 地元で主導権を死守した吉田拓矢は、ラインを上位独占に導いたものの自身はシンガリに沈んだ。
 「新山さんと力勝負をしていいって言われたんで、ありがたかったです。だから、主導権を絶対に取ろうと思っていた。結果、ラインで決まったのは良かった。でも、これで満足とは思わない。まくられないようにして、いずれ自分も粘れるようにならないと」

10R

選手の写真です。
吉澤純平選手
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佐藤慎太郎選手

 赤板手前で先頭に立った伊早坂駿一は、出し惜しみすることなくペースを保ち後続を一本棒にして逃げる。打鐘、最終ホームもそのまま通過。番手で伊早坂との車間を切った吉澤純平(写真)は、2コーナー手前からまくりを打った飯野祐太に合わせて迷いなく番手から出る。踏み出しで遅れた志村龍己との距離を保ったまま、3車身差をつけてゴールを駆け抜けた。
 「番手だったからチャンスがあるぶん、緊張もありました。飯野君が見えたんで、自分が踏み込みました。そのあとも志村君が仕事をしてくれたおかげですね。脚と体の反応はだいぶいいと思います」
 踏み出しで立ち遅れた志村龍己だったが、焦らず最終3コーナーで飯野のまくりを阻みあおりをつくり出す。ゴール前では佐藤慎太郎の猛追をタイヤ差を抑えて2着をキープした。
 「(吉澤)純平さんのまくりのスピードは、えげつないですね。内をしゃくられないようにと思って締めていたしキツかった。飯野さんが横にいたので止めておかないと、4コーナーで来られてしまうと思ったので、キツくても(3コーナーで)一発張って正解でした。今日は本当に前のおかげです」
 志村のブロックで飯野が外に浮くと、佐藤慎太郎(写真)はソツなく志村後位にもぐり込んで直線で差を詰めて3着。
 「理想の展開だったし、あの位置を取れたのは100点。(飯野)祐太が無理に仕掛けてくれたし、2着まで届きたかったけど。しいていえば、1コーナーで早めに仕掛けてくれたら、祐太は吉澤の横まで行ってたかもしれない」
 シンガリに沈んだ伊早坂駿一だったが、ラインの2人を決勝に導き重責は全う。これからを見据える。
 「(飯野が)切ってくれて、自分も行きやすくなった。あとは行けるところまでと思っていた。自分ももっとステップアップして、あれで(最終)4コーナーまでもつようにならないと。(3日間走って)脚の感じはいいです」

11R

選手の写真です。
芦澤大輔選手
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新山響平選手

 後ろ攻めから早めに上昇した石井秀治が3番手の新山響平にしばらくフタをしてから打鐘前に踏み込む。中団まで下がりかけた古性優作は2センターで内をすくって千葉勢を分断。もつれたところを新山が一気に叩いて出る。これで地元の芦澤大輔(写真)にとっては絶好の流れ。番手から懸命に追い込み、激しい直線の攻防を制した。
 「恵まれました。前がちょっと踏み合いになったので、新山君が一気に行ってしまうだろうなって。あとは自分が付いて行って、このカマシなら誰もまくって来れないだろうと思ってました。新山君の強さを肌で感じました。連日、先行選手が頑張ってくれているおかげで、たまたま1着が取れています。決勝に乗れてホッとしていますが、明日があるのでしっかり頑張ります」
 タイミングを逃さずにスパートした新山響平(写真)は僅差の3着。今シリーズは未勝利ながら連日、積極的に攻めている。
 「(石井にフタをされて)あそこで引いちゃうと、すぐに引く選手と思われてしまうので、内で粘りました。車間を詰める勢いで、1コーナーまでに出切れるように、しっかり仕掛けられたと思います。最後の粘りはちょっと欠きましたけど、かなりいい感じで踏めました」
 藤田大輔をどかした古性優作は2コーナーから踏み上げる。直線で芦澤に際どく詰め寄って2着。自在性を存分に発揮した。
 「展開は想定外でした。最低限の動きはできたと思います。ラインで決められなかったのが…。シューズを元に戻してマシにはなりました。日に日によくなっています」
 新山と力勝負した石井秀治はシンガリ負けに終わった。
 「新山君と力勝負がしたかったので、今日は先行しようと思ってました。新山君に行かれてしまって、番手か3番手に飛び付ければよかったんですけどね。古性君に叩き込まれて、踏めなくなってしまった。なんか古性君は内をすくって、自分のすぐ後ろにいたみたいですね。藤田にとってはこれも経験でしょう」

12R

選手の写真です。
武田豊樹選手
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吉田拓矢選手

 松谷秀幸の上昇に合わせて突っ張り気味に踏んだ吉田拓矢は、南関ラインを受けるとその上を山本直、吉田敏洋の順で出て7番手のポジショニング。別線にひと通り脚を使わせた吉田拓は、打鐘の3コーナー過ぎに吉田敏が緩めたところの見逃さず一気。抵抗する吉田敏をスピードの違いでねじ伏せ、武田豊樹(写真)が抜かりなく続く。武田は、はやることなく直線で吉田拓を交わして危なげなく勝ち切った。
 「強かったです、吉田(拓)君が。ハイピッチにすればするほど、彼の力が生きてきますね。あれで粘れるっていうことは、やっぱり彼の普段の練習じゃないですか。連日、若い選手が頑張ってくれて、(決勝は別線になった)吉澤(純平)と吉田(拓)はこれからどんどん強い相手と戦っていかないといけない。後輩にはもっともっと強くなってもらいたい」
 周回中は9番手にいた単騎の山本直。南関勢に乗って行き、その上を自ら切って出ると、今度は中部コンビを受けて3番手に入る。スマートな立ち回りで好位に収まり、最終的には関東ラインにスイッチ。朝倉佳弘が武田と吉田拓の間に進路を取ると、外を踏んで2着に伸びてうれしい記念初優出を遂げた。
 「(吉田)拓矢が行ったのが見えたんで、次はそっちに行かないとっていう感じで反応できた。初めてですね、記念の決勝は。やっと乗れた。自信になりました。決勝も(自分の力を)出せるところ探して、ひとりでやります」
 「松谷さんに脚を使わせたのが大きかった」と、汗をぬぐった吉田拓矢(写真)。消耗戦に持ち込むと、ヤングパワーを武器に最後は横一線のゴール勝負で3着に踏ん張った。
 「あそこで行かないとって思って、行きました。もう出切って脚がなかったです。最後は行かれたかと思ったけど、なんとかですね。責任ある位置で役目は果たせたかなと」
 若い吉田拓に引っ張りまわされた松谷秀幸は、最終バック7番手から仕掛けられず5着がいっぱい。思惑通りの流れにならず、肩を落して振り返る。
 「そうとう脚を使って、(吉田拓を押さえた)あの時点で売り切れちゃった。(関東ラインに)粘る展開にもっていけなかった…。相手もうまく考えていた」


 



【最終日9レース「レインボーカップ・A級ファイナル」】
 レインボーカップA級ファイナルが最終日の9レースに行われる。A級屈指の実力者が取手で激突する。ここで3着以内に入れば、S級特別昇級が決まる。来期A級予定の選手にとっては勝負のかかる大事な一戦だ。
 競走得点トップの元砂勇雪は2月の地元奈良から7場所連続のVを達成。驚異的な成績を残している。
 「A級に落ちてしまって、もっと頑張らないといけないなって。しっかり練習するようになって結果が出ました。(5月)奈良の後に熱と痛風が出たので、小松島を欠場しました。治ってから練習はしっかりやってきたので、状態は問題ないです。ここを勝てれば来年のダービー(出場)も見えてくるので頑張りたいですね。単騎でも自力です」
 佐伯辰哉は昨年末のレインボーカップ・チャレンジファイナル優勝している。この半年間でA級トップクラスの機動型に成長を遂げた。ここ一番で勝負強さを発揮する。
 「ここ2場所は優勝しているし、調子は上がってます。ここを見据えて、最近はまくりのレースも試してました。ちゃんと練習はやってきたのでバッチリです。今期はS級が取れているけど、来期はA級なので、なんでもして3着以内に入るつもり。しっかり自分のできるレースをします」
 来期A級の大矢崇弘は直近5場所で優勝3回。タテ攻撃の破壊力に一段と磨きがかかっている。勝負駆けのレースでも気負いはまったくない。
 「いつも通りの感じで練習してきました。調子は変わらないと思います。細切れ戦なんで、やりやすいですね。単騎だから変な展開になったほうがチャンスがあるかも。自力でできることをやります。しっかり走って3着以内に入れるように。S級に上がりたい気持ちはあるんですが、あとは運ですね」
 4人そろった北日本勢は別線勝負を選択。来期A級予定の井上公利は今年に入って優勝4回、準V4回と気配が一変している。ここは同県の阿部拓真に前を託して特進を狙う。
 「A級に落ちて、気持ちを入れて練習するようになって、最近はその成果が出ていると思います。体重も6キロぐらい痩せました。いかに今まで練習をやってなかったですね。今は自信を持って走れています。4人で並ぶかはすごい悩みましたが、話し合って阿部君の番手になりました。緊張しますけど、3着以内に入りたいですね」
 引地正人も勝負駆けのひとり。高木翔を目標にS級キップをつかむ。
 「みんなすごい成績ですね。前回(立川)は初日に飛んじゃったんですよ。2日目は一般戦で、レインボーに出る人がこんなところ走っちゃダメだろうって周りから言われました。ちょっと最近は警戒されて厳しくなってきているけど、前回も仕上がってなかったわけじゃないので。人任せになるんですが、S級に上がりに来たので頑張ります」