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61#

決勝戦レポート

脇本雄太(福井・94期)

300勝のメモリアルV

 過度の疲労からくる腸骨の骨折により、およそ4カ月の戦線離脱を余儀なくされていた。復帰後は自身も満足がいかないなで勝ち星を量産。圧巻のパフォーマンスを見せていたが、ここまでの3場所は、大宮F1の優勝のみ。2月の奈良記念、前回のウィナーズカップはともに、中四国勢の2段駆けに屈していた。三度目の正直。それだけに脇本雄太も、思うところがあっただろう。
 「(先行した山根将太は)まくりに構えようかっていうスピードだった。迷いどころだった。けど、まくりに構えると、二の舞、三の舞になる。後悔するくらいなら行きたいなって」
 奈良では8番手、ウィナーズカップでは、7番手に置かれて見せ場なく敗れていた。そのシーンを拭い去るように、脇本が打鐘の3コーナー過ぎから目いっぱい踏み込んだ。
 「正直、出切れるとは思ってなかった。それくらいリスクのある仕掛けだったし、紙一重だった。自分のなかではギリギリでした」
最終ホームで逃げる山根を視界にとらえると、けん制して番手から発進した松浦悠士を驚異の違う加速力でのみ込む。付けた佐藤慎太郎がバックで遅れて、松浦でさえ1車身差で流れ込むのがやっとだった。
 「次の(大きいレースの)ダービーにつながるレースがしっかりとできたかなと。この感触を忘れずに。多少、得られたものもあったし、これに満足をせずに上積みをって思ってます」
通算9回目のG3制覇で、08年7月のデビューから区切りの通算300勝を飾った。
 「(同じく300勝にリーチをかけていた松浦と)300勝対決っていう変な意識はあったけど、レースに入ったら感じなかった。達成できたけど、今後も油断をしないで。(300個の勝利は)1勝、1勝が得られたものです」
 5度にわたりタイトルを獲得。33歳になったばかりの脇本にとっては、300勝も通過点でしかない。次元の違う走りのその先に。脇本だけが見える世界がある。

 最終1コーナーで外にけん制した松浦悠士は、2コーナーから番手まくりに出たが脇本を合わせ切ることはできなかった。
 「奈良、ウィナーズカップと同じような競走になってるし、(脇本も)失敗しないようにきますよね。山根も掛かってたし、これで来るかっていう感じだった。吉田(拓矢)君の横とかから、じわじわ来るイメージだったけど、サッと来られてしまった。自分は(一昨年の)オールスターみたいにヨコが使えてなかった。しっかりと体で止めないといけなかった」

 脇本を目標に最終2コーナーからまくった吉田拓矢は3着まで。
 「(佐藤)慎太郎さんのところにスイッチできれば良かったけど、そんなスピードでもなかった。(今シリーズは)体もキツかったし、このあとはもう1回セッティングとかを練り直して、(次回に)いいパフォーマンスが出せるようにしたい」

  • 優勝者の写真です
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レース経過

 見合ったスタートから大外枠の和田圭が前に出た。脇本雄太-佐藤慎太郎-和田の即席ラインが前を固める。中団は山根将太-松浦悠士-柏野智典の中国勢が占め、単騎の松岡辰泰がこれに続く。吉田拓矢-志村太賀の関東勢は後方に待機。
 青板周回のバックから吉田がゆっくりと踏み上げると、脇本は誘導員との車間を空けはじめる。脇本はかなりペースダウンしたため、誘導員とは大きく車間が空き、赤板前の4コーナーで吉田-志村が脇本の前に出た。さらに5車身ほど車間が空き、山根は脇本の動きを警戒しながら3番手に上がった。1センターで山根は猛ダッシュ。吉田も踏み込むがスピードが違いすぎた。ジャンでは山根-松浦-柏野の中国勢に松岡まで前に出て、吉田は5番手、脇本は7番手となった。3コーナーで脇本がスパート。山根は全開でふかしていたが、脇本は異次元のスピードで前団に襲い掛かる。佐藤はきっちり続くも3番手の和田は離れた。脇本は最終ホームで松浦の後ろ辺りまで接近し、さらに先頭に迫ると、松浦は1コーナーで脇本にけん制を入れたが、止められないと判断し2コーナーから番手まくりを敢行。最終バック線で脇本は松浦を飲み込んだが、佐藤はじわじわと離れてしまい脇本の後ろには松浦が入った。懸命に差を詰める松浦を1車身振り切った脇本が圧勝。2着の松浦から4車身離れた3着にはバックからまくり上げていた吉田が入った。

 

車番 選手名 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
1 7 脇本 雄太 福井 94期 S1 11.2 まくり B
2 5 松浦 悠士 広島 98期 SS 1B 11.2 捲残
3 2 吉田 拓矢 茨城 107期 SS 4B 11.4
4 4 志村 太賀 山梨 90期 S2 1/4W 11.3
5 8 松岡 辰泰 熊本 117期 S2 1W 11.4
6 1 柏野 智典 岡山 88期 S1 1/2W 11.5
7 3 佐藤 慎太郎 福島 78期 SS 3/4B 11.7
8 9 和田  宮城 92期 S1 3/4B 11.4
9 6 山根 将太 岡山 119期 S2 D 14.2 H