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85#

決勝戦レポート

太田竜馬(徳島・109期)

今年4度目の記念制覇

 “ケセラセラ”。流れに身を任せた太田竜馬が、8番手からのまくりで優勝をさらった。
 「(野原雅也、吉田拓矢の)どっちが先行するかわからなかった。後手を踏んでもどこかで行くだろうし、どっちにしろ僕らは待ち。(野原、吉田)2つの機動型があって、相手頼みの戦い方だった」
 近畿3車を出させる形で、吉田が4番手に入って打鐘を迎える。太田は7番手。最後方にいた単騎の山中秀将がしびれを切らせて、打鐘の4角から仕掛ける。それでも太田は動じず、最終ホームではブレーキをかけて態勢を立て直した。
 「緩んで自分がバックを踏んだ時に(山中が)来たので反応できなかった。あの展開だといらんことをしてもダメですから。こんな失敗は何回もしてるんで焦らないでと。変に浮かないようにと思ってた」
 最終バックから踏み出したものの8番手で前は遠い。しかしながら、番手まくりで山中を合わせてそのまま上位独占を図る近畿勢を、太田がゴール前で仕留めた。
 「(最初は)全然届く感じはなかった。4コーナー)くらいですかね、届くかなって思ったのは。スピードの乗りも良かったし、(4日間で)一番良かった」
 2月の高松で記念を初制覇。7月には4連勝で地元の小松島を制すと、9月の岐阜に次いで、今シリーズ4度目の記念Vを飾った。
 「今年ですか? ごっつい飛躍できた。記念を獲るのが第一の目標だった。それを達成できて4回も。去年からしたら、考えられない」
 自身の記念Vだけではなく、3月の玉野記念の阿竹智史、松山記念の渡部哲男を優勝に導き、中四国地区躍動の大きな力となった。
 「来年はG1で活躍できるように。(G1だと)自滅することが多いんで、それをなくします。決勝に乗らないと、獲ることはできない。まずは決勝。(来年は清水裕友、松浦悠士の)S級S班が2人もいるのは、中四国の強み。自分も置いていかれないように」
 来年はS級S班の清水、松浦とのタッグも増えそう。それだけに中四国地区の浮沈の鍵を握る存在だが、気負うことなく余分な力を抜いている。
 
 逃げる野原の番手の古性優作は、山中を外にけん制してから自力に転じて2着。
 「(山中が)まくってきたのも見えたし、張ったら止まるかと。そしたらもう1回伸びてきたんで、出るしかなかった。難しかった」
 
 村上義弘は、古性の判断を待って冷静に対処した。
 「山中君は後ろに入ってると思ったけど、もう追いつきざまに来てたんでスピードが違った。あとは(古性が)後ろにスイッチするのかどうかだった」
 
 太田マークの小倉竜二は、最終ホームで太田の横まで差し込んだのがすべてだろう。太田を追いかけるも5着が精いっぱい。
 「太田君は(仕掛けた山中に)付いていくくらいの感じ踏んでくれたら良かったけど。自分はもう(最終)ホームでバック入れた時点で…」
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レース経過

 ゆっくりとしたスタートから小倉竜二が誘導員を追うと徳島コンビが前受け。以下は山中秀将、吉田拓矢-井上昌己-小川勇介-野原雅也-古性優作-村上義弘の並びでレースは進む。
 野原の上昇に合わせて赤板ホーム前から踏んだ吉田は1コーナー手前で太田竜馬を叩くと、野原を受けて中団を確保する。打鐘過ぎまでペースを落とした野原は4コーナーから踏み上げていくが、そこに単騎の山中が最後方からのまくりで襲いかかる。バック手前で古性に並びかけると、古性はこれを張りながら番手まくりに出る。山中を目がけてバック過ぎから外に持ち出した吉田だったが、古性に張られた山中のあおりで伸び切れない。山中、吉田を合わせ切った古性に村上が続いて4コーナーを立ち直ったが、2センター、8番手から外を回した太田がイエローライン付近を一気の突き抜け。9月岐阜以来、通算4度目の記念優勝を飾った。古性、村上の近畿コンビは2、3着で惜しくも優勝はならなかった。

 

車番 選手名 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
1 7 太田 竜馬 徳島 109期 S1 11.2 まくり
2 9 古性 優作 大阪 100期 S1 3/4B 11.7 捲残
3 3 村上 義弘 京都 73期 SS 1/2B 11.7
4 5 吉田 拓矢 茨城 107期 S1 3/4B 11.7
5 2 小倉 竜二 徳島 77期 S1 1/2W 11.3
6 6 小川 勇介 福岡 90期 S1 1/8W 11.5
7 1 井上 昌己 長崎 86期 S1 1/2W 11.7
8 8 山中 秀将 千葉 95期 S1 2B 12.1
9 4 野原 雅也 福井 103期 S1 5B 12.5 H B