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85#

決勝戦レポート

五十嵐力(神奈川・87期)

五十嵐力が約7年ぶりの記念制覇

 15年8月富山記念の決勝では、先行の番手から最終2センターでまさかの落車。しかし、今度は巡ってきたチャンスを逃さなかった。別線の状況を確認した五十嵐力は、先行した新山の番手から直線で追い込む。後ろから迫る山田久徳をタイヤ差で制して、約7年ぶりの記念優勝をもぎ取った。
 「新山がすごく掛かっていましたね。もう誰も来れないと思ったけど、(山田)久徳が横まで来て良いスピードだったのでどうかなと。嬉しいですね。記念の優勝は3回目。(15年富山記念の決勝の)4コーナーでは、前にハスって落車してしまって。それが無ければ優勝だった。記念の決勝で、こんな良い展開はない。勝てて嬉しいですね」
近年は戦法をチェンジ。決勝では新山の番手をS班の諸橋愛に譲らず決意を示した。
 「(競輪は)イメージがデカいので、そういうのもやっていかないと。ただ、(周りのイメージを)払拭するのは、(強い)メンタルが必要ですけどね」
 輪界のスピード化を肌で感じながら、今後も追い込みとしての地位を確立してゆく。
 「時代は変わったと感じますね。今は先行選手が強くなっている。自分はまだ脚質に両が付いているので、今後は(追に)変えたい。そして、南関地区の追い込み選手として上にいきたいです」
 ライン線が主流の競輪である限り、追い込み型の存在は欠かせない。戦い方を変えた五十嵐を加え、南関地区の層はさらに厚くなった。

 山田久徳は、あと一歩及ばず2着まで。当大会の連覇はならず。
 「あの並びになったので、あとは古性が粘るか中団かなって思っていました。あんなに新山がダッシュ良く行くとは思わなかったです。2コーナー手前では古性が吸い込まれていたから、このまま仕掛けるのかなって思ったけど、(車間が詰まってから)ちょっと脚を回していたので行けないなって。最後は古性が踏んでから踏もうと思って。見てから踏んだ割には伸びました。やったほうでしょ」

 持ち味の積極策で優勝を狙った新山響平は、ゴール前で踏ん張り切れず3着。
 「一瞬、優勝するかなって思ったけど。やっぱり(五十嵐は)サラ脚で付いてきているので。考えた通りになったけど、末が足りなかったです。でも、力は出し切れました。良い戦法で戦えていたし、戦い方は悪くなかったと思う。今シリーズは練習不足で臨んだけど、今後は練習していけば大丈夫かなって思います」

 古性優作は直線で伸びきれずに4着。新山のペース配分の読み違えが結果に響いた。
 「失敗ですね。(車間を詰めるので)相当脚力を使いました。いい感じで中団が取れたら勝負できると思ったけど。ただ、セッティング含めて収穫はありました」

 バックから仕掛けた井上昌己は、まくり切れずにシンガリ負けに終わった。
 「まさかの後ろ攻め。最後が9着っていうのもね…。残念です。(来年は)もうちょっと自転車よりも体を煮詰めて」

  • 優勝者の写真です
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レース経過

 ゆっくりとしたスタートから誘導員を追った近畿勢に新山響平が追い上げると、古性優作が車を下げ、周回は新山-五十嵐力-古性-山田久徳-柏野智典-諸橋愛-井上昌己-坂本健太郎-園田匠の並び。
 青板バックから動いた井上は抵抗する新山を制してホーム手前で誘導員を下ろす。1コーナーで古性が切ると、そこをすかさず新山が仕掛けて打鐘から主導権を奪う。7番手になってしまった井上はバックから巻き返すが諸橋のけん制もあり不発。打鐘で空いた車間を詰めた3番手の古性は直線勝負に出たが、後ろをけん制しながら五十嵐も番手から踏み込む。古性は伸び切れず、その外を迫った山田も2着まで。新山の番手で絶好になった五十嵐が、平成23年8月富山以来、通算3度目の記念優勝を飾った。

車番 選手名 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
1 8 五十嵐  神奈川 87期 S1 11.9 追込み
2 4 山田 久徳 京都 93期 S1 T 11.6 追込み
3 2 新山 響平 青森 107期 S1 1/2W 12 逃残 H B
4 9 古性 優作 大阪 100期 S1 1/8W 11.8
5 7 柏野 智典 岡山 88期 S1 1/2W 11.6
6 3 諸橋  新潟 79期 SS 1B1/2 11.6
7 5 園田  福岡 87期 S1 3/4B 11.3
8 6 坂本 健太郎 福岡 86期 S2 2B 11.7
9 1 井上 昌己 長崎 86期 S1 1B1/2 11.9