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31#

検車場レポート

  • 8/1 Wed.  (前検日)
  • 8/2 Thu.  (1日目)
  • 8/3 Fri.  (2日目)
  • 8/4 Sat.  (3日目)

1R

選手の写真です。
竹内翼選手

 竹内翼(写真)は6月小松島FIで落車したが、前回の平FIは292着とまずまずの成績。怪我も癒え、段々と調子を上げている。


 「(落車で)左の臀部というか、その辺を打って、そこに血が溜まっちゃって練習してる時も違和感がすごかった。いまはもう良くなりました。(感触も)前回は良かったと思う。初日は先行して(ラインで)ワンツースリーまで決まったんで。ただ、状態がいいなかで準決は不本意な成績になってしまった。徐々に状態は上がってるんですけど、もっと急ピッチで上げていかないといけないですね」


 佐藤龍二は、2場所前の7月小田原FIを132着と好走した。初日は片寄雄己の番手回りとなり、ラインの力で勝ち上がりを目指す。


 「ラインの総合力を考えた時に、僕が自力自在に中団を取ってまくるのと、片寄さんが自力でレースを動かすのを比べて、僕が番手になりました。状態は、深いところは脱したのかなって感じですね。ずっと上と戦う流れを考えて練習してきたのが、自分の体の状態とマッチしてきました」


 

2R

 直前の7月平FIを連勝で優出と、急激に調子を上げている窓場千加頼。ムラこそあるが、短走路なら持ち前のダッシュを存分に生かせる。


 「僕の場合は気持ちの部分が大きいんで。いままで迷いがあったところを思いっきり踏み込めている。気持ちもポジティブに考えられてますね。ただ、大敗が多くて、1着か9着かって勝負になってしまってるんで、456着に抑えられるように。平ナイターから実質中2日なんで、ずっとこっちにいてケアを中心にやってきました。サマーナイトも見てましたし、(松戸は)思ったよりも33らしくない33かなと思いますね」


 このレースのメンバー中点数最上位は佐藤一伸。7月小田原FIでは準決を豪快なまくりで制し、2月当所FI以来の決勝進出を決めた。1場所欠場したが、状態面に大きな不安はない。


 「前回は腰痛です。小田原を走り終わった後に出たんですけど、もう大丈夫です。自然とここに向けてって感じになりましたね。(小田原の準決は)展開待ちでしたけど、優出は久しぶりだったんで素直にうれしかったです。点数はたまたまですけど、調子も上がってると思います」


 

3R

 一時期は大きい着が目立つ蒔田英彦だったが、近況は随所で好走を見せている。大事な地元記念を好感触で迎えた。


 「(5月京王閣記念の2日目から)7連敗してしまって。でも、7月からシューズを換えて、そこから良くなりました。3場所使って、感じがいいです。シューズを換えたと言わないようにしていたんですけど、ようやく言えますね。地元記念なので気持ちも入っています。受けて立つ33(バンク)は、出し切らせてもらえないから嫌いですけど。今回は挑戦者なので」


 佐藤朋也は、6月川崎FIで敗者戦ながら2勝をマーク。しかし、その後の2場所で確定板に上がったのは1度だけ。流れに乗れなかった。


 「いまは展開次第って感じですね。仕掛けどころで仕掛けられたらいいんですけど…。徹底先行とかが相手だと、7番手に置かれて巻き返せなくなってしまう。脚は上がっている感じがあるけど、まだ点数に結びつくってほどではないです。でも、先を見越して自力を出すようにしています。いまのところはヨコをやるつもりもないので」


 

4R

 新田康仁は7月小倉FIで怪我から復帰。前回の福井記念は5256着に終わったが、手応えをつかみだしている。あとは結果を出すだけだ。


 「展開がずっと向いてくれない。(怪我の状態は)練習も普通にできているので、大丈夫なんですけどね。まあ、どんな展開でも、しっかり勝ち上がらないとダメなんですけど。(目標の菅原裕太)頼むよって感じ。さすがに気持ちが…」


 前回の福井で初めての記念開催に臨んだ原口昌平。結果は3日目に長島大介から打鐘先行で逃げ切るなど、2勝を挙げた。今シリーズも、持てる力を出して存在をアピールするか。


 「福井は初日も2日目も(レース内容が)ダメで。3日目は思い切ったレースをしようと思って。(福井記念で2勝を挙げたが)まだ、(S級で)やれるかわからないですね。でも、出し切れるように」


 竹山陵太は7月福井記念を1713着と好成績。今シリーズの初日は、竹村勇祐に前を任せて一次予選突破を狙う。


 「調子はいいですよ。(福井は)記念の成績が悪かったから、3回も確定板に入れてよかった。(対戦相手の原口は)A級の時から見ていたので、強いのはわかっていました。でも、竹村君も強いはずだし、信頼して走ります」


 

5R

選手の写真です。
佐藤友和選手

 7月青森FIでは、俊敏な動きで今年初Vを手にした佐藤友和(写真)。試行錯誤した成果が結果に現れてきた。


 「青森は地元って気持ち一本です。(状態は)徐々に良くなってきています。いろいろやって、まとまってきましたね。(初日に連係する新山)将史は、いつも頑張ってくれる。青森の2日目も(先行して)頑張ってくれた。ここまでは(中15日空いたので)沖縄に行って、リフレッシュしてきました」


 桑原亮は6月久留米記念、7月岸和田FIと2度の落車を喫しているが、幸い大事には至らず。初日は自ら動いて一発を狙う。


 「(岸和田の)落車は(左手関節部の)打撲でした。あまり休むのが好きじゃないので、すぐに走ったら思ったより良かったですね。手が紫になって痛かったけど、逆に力まなくて良いのかも(笑)」


 

6R

 伊代野貴照は5月京王閣記念で準決に進出するなど、近況は成績をまとめている。5月小田原FIで負った怪我も癒えて、一層の奮闘を誓う。


 「怪我で休んでいたんですけど、もう自転車に乗るぶんには大丈夫です。怪我をした最初は大変でしたけどね。(競走得点が上昇しているが)これからです。いまの点数をキープするんじゃなくて、もっと上を目指します」


 直近3場所は、準決で敗退している栗山俊介。しかしながら、前回の7月岸和田FIで2度の最終バックを取るなど、積極性は失っていない。


 「だいぶ、モガけるようになってきました。レースも組み立てられています。一時期は(競走得点が)96点くらいまで落ちたけど、盛り返してきましたね。ここまでは結構空いたので、練習もできました。地元(奈良)が33(バンク)ですし、レースの始まりが早いので、いろいろ考えながら走ります」


 

7R

 前回の福井記念一次予選ではタッグを組んだ藤木裕とともに勝ち上がった村田雅一が、メンバーを見て目を細める。


 「(藤木とは)気心知れてるし、実績が違う。だから安心してます。(33バンクでも)松戸は後方になっても突っ込めるイメージがある。だから、どっちかっていうと得意ですね。(落車明けの)伊東も大丈夫だったけど、それより福井の方が良かった」


 今年7勝をマークしている内村泰三だが、勝ち星から遠ざかっている近況をこう振り返る。


 「後ろを回ることが多いんで、前次第になっている。それでも(1着に)イケそうな時にも、イケてない。(脚は)そんなに悪くないんですけど、ラインのことを考えすぎてもいる。初日は紀井(孝之)君次第。行ってくれれば、やれる感じはある」


 

8R

選手の写真です。
山本紳貴選手

 昨年、初のホームバンクでの記念が8453着だった山本紳貴(写真)が、地元ファンに成長した姿をアピールしたい。


 「去年も(松戸記念に)呼んでもらったんですけど、S級に上がったばっかりで、やりたいことができなかった。空回りしちゃってましたね。今年は去年と違うところを見せられるように頑張りたい。(2月に)子どもが生まれて、それがすごく自分の原動力になっています」


 福田知也は直近の5場所で4度の優出。競走得点106点台に上げて、高いレベルで安定している。


 「上積みじゃないけど、脚もだいぶいい感じがする。だけど、(近況は)流れがいいのなかって。(前回から20日近く空いて)長いスパンで計画を立ててやってきた。室内トレーニングですけど、量も多くやってきた。もっと上を目指せるようにですね」


 

9R

選手の写真です。
堀内昇選手

 前々回の高松FIでS級初優勝を飾った堀内昇(写真)が、6月の地元国際自転車トラック競技支援競輪以来のグレード戦。


 「大敗することもあるけど、いつも通り力を出し切れればなんとかなると思う。33バンクは(仕掛けどころが)まだつかみ切れてないところがある。今回は(吉田)拓矢とかもいるんで、いろいろ聞いて勉強させてもらいます。夏が苦手なんで練習の内容を変えたりして、ウエートトレーニングやワットバイクを多めにやっている。それで逆に調子が上がっている感じがする」


 「今年はまだゼロですね」と、いまだ決勝進出がない荻原尚人は現状のコンディションを把握しながら、冷静に口を開く。


 「練習はしているけど、脚はだいぶ落ちている。自分の気持ちは変わってない。でも、そこは認めていかないと。(初日から)3日間、恵まれれば決勝に乗れるんですけど」


 

10R

選手の写真です。
根田空史選手

 前回の小倉FIでは優出も818着と2度の大敗を味わった根田空史(写真)が、中9日で迎える地元記念。状態はどうか。


 「こことオールスターに向けて追い込んだ練習をやってきた。それで前回はオーバーワークでした。今回も練習をやってきたけど大丈夫です。去年は(松戸記念)決勝にいってる。今回もまずは初日を勝ち上がれるように。そうすれば(シリーズが)楽になる。ラインで決まるようにですね」


 海老根恵太は前回の福井記念を9181着。そこから1週間、地元シリーズに向けて練習をしっかりと積んできた。


 「1日は休んだけど、(前回から)なんだかんだ練習をやってきました。感触はまあまあいい。成績はイマイチですけど、調子自体は悪くない。後ろに付くことが多いんで、展開待ちになりますね。ただ、ダメな時もどうにかしていかないと」


 前回の福井記念シリーズ最終日の「S級ブロックセブン」では、吉本哲郎に逃げ切りを許した柴崎淳は、完調とは言えない顔つきで取材に答える。


 「オールスターに向けてやってるんですけど…。自分のなかでは6割にもいってない。脚というより、(いいころの)感覚を求めている。(ここでオールスターに向けて弾みがつくのが)一番なんですけどね」


 

11R

選手の写真です。
中川誠一郎選手

 今年すでに20勝と白星を順調に積み重ねている中川誠一郎(写真)は、前回の福井記念を5112着。脇本雄太とのコンビの決勝は、強烈なダッシュに一瞬、遅れながらも2着に続いた。


 「踏み出しに難がありますね。そういうセッティングにしてる。だけど、直進性がある。自分は基本、前でも(人の)後ろでもタテしか踏まない。(3月の)ウィナーズカップくらいから、こういうセッティングにしている。(前回の)福井記念はサマーナイトフェスティバルから中3日だったんでキツかった。ここまでは疲労と戦いながら練習をしてきました」


 太田竜馬は前回が当所のサマーナイトフェスティバル。連続の松戸シリーズの鍵は、短走路の33バンクだろう。


 「(松戸は)まあまあだったし、自分次第ですね。暑かったけど、台風も関係なく練習はできたし、状態は悪くない」


 成田和也が太田の番手を表明。北日本の名マーカーが付いて、太田の新たな一面が引き出される可能性も十分にある。


 「(前回の)福井が終わってから普段通りですけど、しっかり練習はできている。最後のもうひと踏みですね、課題は。そんなに悪くはないんだけど、勝ち切る時にしっかり勝ち切れないと」


 

12R

選手の写真です。
武田豊樹選手

 サマーナイトフェスティバル、福井記念とここ2場所は未勝利の武田豊樹(写真)だが、動き自体は悪くない。


 「レース勘は(問題ない)。まとまった練習はできてないけど、実戦でっていう感じです。今回は(自転車が)新しい。いろんなことをやりながらなんで、あんまり自転車は関係ない。自分の感覚を大事にしていきたい」


 吉田拓矢は前回の小倉FIの614着よりも状態が良さそうで、オールスターに向けて上昇カーブを描いている。


 「小倉の時はヒザが痛かった。今回はその時よりもうちょっと良くなっていると思うし、しっかり自分の持ち味を出していきたい。(ヒザを痛めた影響で)ウエートトレーニングとかができてないけど、そのぶん自転車には乗れている。(前々回)小松島では新車を使ってダメだったんで、前回の小倉で戻して今回もそれを使います」


 前回の取手FIでの落車から20日近くあった松岡健介は、プラス面を強調する。


 「ずっと(1カ月に)3本の配分があったので、(体に)キレがなくなっていた。落車の影響というより走りすぎですね。ケアもできたし、ガッツリ休んでから練習をした。フレッシュな状態から刺激を入れたんで良くなっていると思います」


 

1R

 中団の竹内翼に併せ込んでフタをした片寄雄己が再度踏み込んで押さえに出るが、柿沼信也が赤板で突っ張る。片寄は7番手まで引いて、竹内に4番手が転がり込む。最終1コーナーで行きかけた竹内だったが、結局2コーナーからのまくりで前団を仕留めた。


 「(柿沼が)じわじわ駆けてたんでタイミングが取れなかった。(1回行きかけたけどスピードが)乗ってなかったんで難しかった。ただ、中団、中団でできたし、冷静には走れた」


 「(竹内が)強かったけど、あれじゃ3番手の渓(飛雄馬)さんはキツかったでしょうね」とは、竹内の番手から2着に流れ込んだ伊藤大彦


 積極策の柿沼を利した小宮剛は、直線の入り口でインを突いた佐藤龍二を締めながら3着に追い込んだ。


 「前(柿沼)が2周、頑張ってくれた。あとは自分がどこかをキメてと思ったけど、竹内君はかなり外を行ってたんで止められなかった。このバンクは練習しているバンクですから(勝ち上がれて)よかった」


 

2R

 中団から先に動いた佐藤一伸は、赤板で齋藤宗徳ラインを出させて中団を確保する。人気の窓場千加頼を7番手に置いて、最終1センターから先まくりの佐藤が前団を飲み込んで後続を引き離した。


 「すんなりだったけど、窓場より先に仕掛けられてるし、緩んだら行こうともできているんでいいと思う。(ここ3場所)ずっと33バンクを走ってきたんで、仕掛けどころとかもつかめてますね。展開が向いてるんで、いまのうちに勝てるように」


 一本棒の7番手になった窓場千加頼は、最終2コーナーから踏み込む。佐藤ラインの外を襲い掛かるが、あおりもあって2着まで。


 「ジャンの3コーナーかそのあたりで、ちょっと33バンクの傾斜とかにピンときてなくて(仕掛けを)迷ってしまいましたね。佐藤さんも位置を取るのに脚を使ってたし…。ちょっと体もフワフワしてる感じがする。ナイターからの早いレースでボーっとしてた部分がありました」


 窓場の仕掛けに続いた松村友和が、3着で勝ち上がりを決めた。


 「(窓場は)ジャンで行くかと思ったけどね。大前(寛則)さんにも付いてもらってるし、行ってほしかった。33だからこそジャンで行かないと。(自分は)付いていけてるし、悪くないですね」


 

3R

選手の写真です。
柴田竜史選手

 堀僚介が出た上を、蒔田英彦が赤板の2コーナーで叩いて先行策に出る。近畿勢の後ろにいた単騎の渡部幸訓は、打鐘の2センターからまくり上げる。ギアをトップに入れた蒔田とサイドバイサイドの展開。最後は戦況を見ていた蒔田マークの柴田竜史(写真)が、直線で追い込んで1着。


 「蒔田さんは出切ってから流したと言っていたけど、そこまで流していないですよ。渡部さんが来たのはわからなくて、前に出られてしまった。早めに気づいていれば、もう少し仕事ができたと思う。でも、余裕はあったので脚は悪くない」


 渡部幸訓は蒔田に踏み勝ったが白星ならず。それでも、単騎で見せ場をメイクした。


 「本当は追い上げるつもりだったけど、蒔田君が流したので行けるところまでと思って踏みました。完全に合わされてしまったけど、なんとか乗り越えられたので。理想は1着ですけど、感触は悪くないですね」


 逃げた蒔田英彦が3着。レース後は反省を交えて振り返った。


 「出切ってから流してしまったのが反省点ですね。来たのが山口(貴弘)君かなと思っていたら、渡部君でした。慌てて踏んだけど、合わせられているので感じは良いと思う。でも、2着に残って決まり手を付けたかったです。仕上がっているから大丈夫と、自分にプレッシャーをかけながら勝ち上がっていきたい」

4R

 菅原裕太が後ろ攻めから上昇。中団の原口昌平は合わせて踏むと、菅原を突っ張って出させない。4番手に降りた菅原は赤板の2コーナーから再度仕掛けようとするも、結局元の位置に戻る。7番手になった竹村勇祐も打鐘から踏み込んだが、菅原に絡まれて中団でいっぱいに。最後は軽快に駆けた原口の番手から、牧剛央がチャンスをモノにした。


 「突っ張ったら、別のラインにまくられるから引いて欲しかった。でも、原口君が想像以上に強かったですね。付いていて、いっぱいいっぱいです。原口君は、練習グループの(坂本)亮馬君もいるし、変なレースはできないってのがあったのかな。1着は(2月)静岡記念以来で半年ぶり。前回(7月岐阜FIの685着)がひどすぎたので、今回はケア中心でマッサージもしてきました。やっぱり1着はいい薬ですね」


 原口昌平が粘って2着。強気の先行策で周囲を驚かせた。


 「もうちょっと(菅原が)来るのが早かったら、引いてもいいかなって思いましたけど。牧さんには日ごろからお世話になっているから(突っ張った)。落ち着いて駆けられましたけど、最後は脚がいっぱい。(坂本亮馬には)強いレースをしろと言われています。最低限の目標(一次予選突破)はクリアできたので、あとは自分のレースをすること」

5R

選手の写真です。
新山将史選手

 併せ込まれた山本巨樹が下げて、いったん3番手に入った新山将史は赤板から仕掛けて迷うことなく主導権を握る。山本が反撃に出ると、新山がペースを上げて番手の佐藤友和がけん制。桑原亮のまくりも3番手までで、佐藤がきっちりと人気に応えた。


 「以前は(新山を)残せてなかったので、(3着に)残せて良かったです。(新山は)いいペースで駆けてくれました。自分は付いていても楽だったし、体の反応も楽だったんでいいと思います」


 北日本トリオで上位を独占。僅差の2着争いは、3番手から外を踏んだ鈴木誠が踏み勝った。


 「自分も(3番手の)仕事をできればと思っていた。道中も余裕がありました。新山君が掛かっていいたのもあるけど、自分の状態も悪くないですね」


 まくりに構えることなく積極策で別線を完封した新山将史(写真)が、久しぶりの記念で二次予選にコマを進めた。


 「やっと(ラインで)決まった。重たくて掛からなかったけど、久しぶりに勝ち上がりでいいレースができました。最近は消極的になっていたので。3コーナーで少し流して最後も踏み直せました」


 

6R

選手の写真です。
今泉薫選手

 突っ張り気味に踏んだ栗山俊介を利根正明が赤板で押さえる。が、そこをすかさず今泉薫が飛び出して先行策に出る。栗山は前と大きく車間の空いた7番手に立ち遅れて、最終ホームから巻き返した利根も不発。番手の関貴之が今泉を交わして、久々の1着に笑みを浮かべる。


 「栗山君が後ろ(7番手)になってくれたし、あの形は最高でしたね。(今泉は)いいところで出てくれた。僕はなにもしてない。展開に恵まれました」


 栗山、利根を制して2周近く風を切った今泉薫(写真)は、「やっと一次予選を突破できた」と、満足そうに汗をぬぐう。


 「欲を言えば、もうちょっと早く出たかった。利根君も押さえるのが遅かったし、そこで栗山君が突っ張るかどうかが賭けだった。正直、中4日とかで(配分が詰まっていて)あんまり練習ができていないのもあるんですけど。(松戸は)A級の時の成績はほぼ決勝に乗っていると思うし、苦手意識はない」


 利根ライン3番手の松本大地は、利根が不発になると関東勢に切り替えて女屋文伸をすくい3着に入った。


 「小野(俊之)さんと並んだらマズいなってと思ってたら、女屋君のところが空いたんで良かったです」

7R

選手の写真です。
藤木裕選手

 後ろ攻めの紀井孝之が、先に動いた一戸康宏を赤板過ぎに押さえて主導権。前受けから引いた藤木裕(写真)は中国勢を追いかけると、4番手に切り込んで中団を確保。最終1センターからまくり上げて、白星を手にした。


 「結果的に中団に切り込まないで、そのまま叩くのが一番だったと思うけど。安全に行きすぎました。中団に切り込めば、村田(雅一)が絡まれる可能性もあるので。予選だし先行するところを見せても良かったかなって。でも、人気にもなっていたし、いろいろと考えながらでした。最後の伸びは持ち味なので」


 藤木の仕掛けに続いた村田雅一は、ゴール前で迫るも2着。


 「内も気にしながら。あわよくば抜いてやろうと思ったけど、藤木がさらに加速していきましたね。自分は今年に入って食事制限で10キロ絞ってキレが良くなった。やっぱり強い人は、体が違うので。重いほうがいいって人もいるけど、自分は軽い方があっていると思う」

8R

 青板の2センターで先頭に立った和田禎嗣を山本紳貴が赤板で叩きに行くが、和田に突っ張られる。阿久津修が遅れ気味で、山本は3番手に入って最終ホームからまくり上げる。スピードの違いで前団をとらえて、地元記念初勝利を手にした。


 「もっとポンポンといけるかと思ったけど、(和田と)まともにやり合ったんで(キツかった)。構えちゃって4番(和田)もすんなり駆けたら強いんで。福田(知也)さんが中団を取ってくれていたし、(阿久津が)離れてるのも見えたから入って一息ついた。福田さんに脚を使わせてしまいました。体調は悪くないです。前回までは良かったけど、その後に胃腸炎ぽくなった。熱もすぐ下がったし、なにより1着が取れてる。去年(の松戸記念)は空回りして主導権も取れなかったんで、勝ち上がりはうれしいですね」


 打鐘では前団に大きく置かれ伊藤信は、車間を詰めた勢いでまくって2着も組み立てを反省する。


 「なにも内容がない。勝ち上がれただけよかったです。中団を空けてしまって山本君に入られた。ボーっとしていました。暑さには慣れてくると思う。(踏んだ感じも)スカスカしていますね」


 福田知也は、阿久津修に絡まれて脚力を消耗。それが最後に響いて末脚を欠いた。


 「脚が痛い。ジャン過ぎくらいで(阿久津に)一発もらっちゃったからキツかったです。タイミングよく(山本)紳貴が踏んでくれたから付いていけましたね」

9R

 赤板で出た高橋幸司が、そのままペースを上げて逃げる。素早い対応の堀内昇が前団に迫るが、荻原尚人が大きくけん制。不発の堀内は落車に見舞われ、最終1センターから切り込んだ杉本正隆は、そのまままくりで高橋をとらえて1着。


 「(堀内は)車の出が悪かったですね。あおりもあって、パッと踏めなかったけど、体が勝手に反応していった。自分には長い距離でキツかったけど、脚の感じは問題ない。堀内君が落車したので素直には喜べないけど」


 堀内を張った荻原が外に膨れたままで、棟方次郎はやむを得ず杉本に切り替えて2着。


 「荻原君が見えなくなって…(切り替えたのは)仕方ないですね。堀内君も7番手から巻き返しているから、荻原君の性格的にも番手まくりはしないのかなって。(最終)3コーナーで詰まって脚は溜まったが、抜けなかったです」

10R

選手の写真です。
海老根恵太選手

 前受けの柴崎淳が、根田空史の動きに合わせて踏んだ黒田淳を突っ張る。いったんは後方に車を引いた根田だったが、赤板の1センターから再度踏み込む。車間の空いた3番手に降りることなく、抵抗する柴崎を最終2コーナーでとらえた。海老根恵太(写真)は車間が空いて危ないシーンもあったが、最後はゴール寸前で根田を差し切った。


 「警戒されて苦しい展開になって、キツかったですね。ホームで近藤(龍徳)君にもってこられてダメかと思ったけど。あきらめずに追いかけました。最後はいっぱいでしたけど、抜きに行こうと。形にできてホッとしました。根田君のおかげ。気を遣ってくれました」


 根田空史は、自慢のパワーを発揮して別線を粉砕した。


 「柴崎さんが突っ張ると思っていなかったです。(車間の空いた3番手に)入ろうか迷ったんですけど、詰まったのでこのまま行こうと。踏み出しは良くなかったですね。思っていた展開じゃなかったし、柴崎さんの掛かりが良くて力んでしまった。微調整します」


 7番手で様子を見ていた黒田淳は、最終2コーナーから踏み上げる。軽快なスピードで前団に迫るも3着まで。


 「けん制もしたし、突っ張られて脚を使いました。すんなりなら、根田のカマシを追いかけられたけど。とりあえず、(南関勢の3番手に切り替えた)近藤君のところまでと思って踏んでいたら、意外と行けましたね。できれば、桑原(大志)さんと、一緒に勝ち上がりたかったです」

11R

選手の写真です。
太田竜馬選手

 杉森輝大にフタをされた太田竜馬(写真)だったが、赤板で小原太樹が先に切って視界が開けた。打鐘の3コーナーで一気に主導権を奪うと、成田和也、永澤剛の北日本勢が続いてラインの3車で出切る。好リズムで駆けた太田は、成田、中川誠一郎と横一線のゴール勝負を制して逃げ切った。


 「(記念の初日特選は)2、3着はあるけど、1着は初めてなんで良かった。余裕はあったけど重かったです。前回(当所でのサマーナイトフェスティバル)は軽かったし、ニュートラルに入る感じがあった。だけど、今回はそれがなかった。(叩きに出たところは)勢いよく行かないと突っ張られると思った。(後ろが)成田さんだし安心してました。地区が違う人が付いてくれるっていうのはうれしい。自分で言うのもなんですけど、(自分が機動型として)魅力があるってことですから」


 ハンドルを投げた成田和也だったが、8分の1輪差の2着。


 「太田君は強かったしうまかった。やっぱり若いっていうのはいいですね。道中も落ち着いていたし、いい掛かりでした。最後は差した感触があったけど踏み直されましたね」


 打鐘で6番手を取った中川誠一郎は、最終2コーナー手前から発進。前団をのみ込んだかに思われたが、33バンクでは届かずの3着。


 「伊勢崎(彰大)さんの動きもあったけど、そこまで気にならなかった。単純に自分の車の出が悪かった。のみ込めると思ったけど悔しい。修正できる範囲内だと思うので微調整します」

12R

選手の写真です。
近藤隆司選手

 地元コンビに出られた石塚輪太郎は、3番手で反撃のタイミングをうかがって赤板の1コーナーから踏み上げる。近藤隆司(写真)は、近畿勢を遅れながら追った坂本亮馬を張りながら飛び付いて3番手を確保する。吉田拓矢に合わせて最終2コーナー手前からまくった近藤が、中村浩士とのワンツーで通算300勝を飾った。


 「(前検日は)わかっていたけど、(レースになって)300勝は完全に忘れてました(笑)。敢闘門に戻ってきたら、みんながおめでとうっていうから。それでですね。(石塚が)来たら9割くらいで踏んでと思っていた。あとは(3番手に入って)松岡(健介)さんが横に動いて戻ってきてくれた。あれが番手まくりじゃなかったんで良かったです。(中村と)2人で3着までに入りたいと思っていた。そうすれば3日目(準決)まではっていうのがあるんで」


 「近ちゃん(近藤)の意気込みがすごかった」と、2着に流れ込んだ中村浩士が近藤をねぎらう。


 「あれで(石塚が)来なければ駆けちゃうし、来たら位置を取ってまくるんだと。(近藤は)仕上がってる。自分も付いててピリピリした。近ちゃんに付いていくことに集中していたし、うまく連れていってもらった。。サマーナイトフェスティバルがあったばっかりだけど、松戸記念も年に一度の(地元の)お祭りだからどう盛り上げていくか。(地元勢のみんなで)頑張りたい」


 打鐘の2センターから巻き返した吉田は、千葉勢をのみ込めず中村の外まで。武田豊樹は、中村と吉田の間を踏んで3着に入った。


 「(吉田は)引いてくるタイミングがね…。内に差し込んでいたんで、そこで遅れた。ただ、(吉田)拓矢も頑張っていたんで、あんまり邪魔にならないように(自分が踏む)スペースをつくった」

6R

選手の写真です。
小原太樹選手

 赤板目がけて踏んだ原口昌平は、初日に続いて迷うことなく風を切る。福岡コンビが出切って、3番手を藤木裕がキープする。しかしながら、8番手の渡部幸訓がインを押し上げる。最終ホームで室井健一をさばいた渡部は、さらに藤木もすくって3番手を奪取。じっと脚を溜めていた小原太樹(写真)が、2コーナー手前からまくりを打って直線半ばできっちり前団をとらえた。


 「(スタートは)誰か出ないとしょうがないし、(前を取らされたけど)後手を踏んじゃった。あそこは良くなかった。やっぱり競輪は前にいないと。(前からの組み立てでも)もうちょっとやりようはある。いつもみたいに脚を使わないで(まくりに)行けた。感じは悪くないと思います」


 外を回った福田知也は、脚負けすることなく小原に迫る2着。


 「小原が強かった。でも、あれを付いて行けなきゃ。小原は位置があそこ(後方)になっても落ち着いていた。自分は初日は脚が重かったけど、(2日目は)全然楽だった。ただ、まだまだ上がる感じもあるし、(準決は)もうちょっと良くなると思います」


 原口の逃げを利した小川勇介は、後ろの渡部の動きを警戒しながら小原に合わせて追い込むも3着。


 「4番(渡部)が前々にいってゴチャついたぶん、小原の行きごろになった。藤木がすくわれた時点で(番手の仕事を)やりすぎると、自分もと思ってた。後ろの動きもわかっていたし、余裕はあります」


 

7R

選手の写真です。
石塚輪太郎選手

 石塚輪太郎(写真)が前に出ると、前受けの杉森輝大は引き切らずに3番手で粘る。さらに、4番手の外で併走していた松本大地も追い上げて3車で併走に。別線の動きを見ていた石塚は、打鐘の2センターでギアをトップに入れる。そのまま力強く駆けると、北野武史の追撃を振り切って1着。


 「(組み立ては)セオリー通りに後ろからと思っていました。杉森さんが包まれているのはわかっていたので、あとは桑原(亮)さんの動きに気をつけて。すんなり駆けられてラッキーでしたね。逃げ切れているし、(状態も)悪くない。換えたシューズもいい感触があるので、このまま履いてみようと思います。(記念の)勝ち上がりで1着は久しぶりです。うれしいですね」


 2着には北野武史が続き、中近ワンツー決着。レース後は、前を任せた石塚を称賛した。


 「展開も向いたけど、石塚君はグングン行くような感じで強いね。自分は(杉森が番手に来たら)対応しようと思っていました。その後も、石塚君がところどころで外すから、内を確認しながら。(石塚、北野の車券が)1番人気だったし、お客さんはわかっているよ(笑)」


 3車で併走になった杉森輝大は、5番手に下げて態勢を立て直す。最終バックから高回転でまくり上げたが、3着までが精いっぱい。


 「本当は突っ張って、石塚君のラインと勝負しようと思っていました。でも、桑原さんが切りに来るような感じだったし、踏むのが遅れてしまって(3番手で粘った)。松本さんが追い上げて来たのがわかったので、下げて自分のタイミングで行こうと。すんなり駆けさせたのに、あそこまで伸びているので(セッティングは)悪くない。あとは組み立てと判断ですね」


 

8R

選手の写真です。
村田雅一選手

 赤板で切った坂本亮馬を打鐘で蒔田英彦が叩くと、後方の松岡健介の反応が早い。抵抗する蒔田をねじ伏せた松岡に続いた村田雅一(写真)が、濱田浩司の強襲を退けて勝ち切った。


 「松岡さんがすかさず行ってくれて、その気持ちがうれしかったです。新田(康仁)さん(のブロック)が来るとしたら僕のところだと思うんで、そこはしっかりと意識しました。松岡さんも結構ペースで駆けていたし、後ろを確認して空けすぎないようにした。緊張していて軽いかどうかもわからなかったけど、なにせ松岡さんに付いていけてるんで。松岡さんにはたくさんお世話になっているので、2人で上がれたのは本当にうれしいです」


 坂本が新田のブロックで不発に終わると、切り替えた濱田浩司が直線で伸びて2着に入った。


 「新田さんがヨコの動きがしっかりしているのもわかってるんで、落ち着いては見えていましたね。自分の感覚的にはあと少しですね。あそこまで行くんだったら突き抜けないと」


 内容のあるレースで3着に入った松岡健介が、同県の後輩との勝ち上がりに汗をぬぐう。


 「僕よりも、村田が本当に強いんで。僕ももちろん自分だけ(準決に)上がろうとは考えていないし、村田も同じ。初めて一緒に走って、自分は3着だけど一緒に上がれてうれしいですね。村田の最近のレースが、行かなアカンって気持ちにさせました。ほかが見えないところで行くっていうのが僕の持ち味だと思うし、ここでは来ないだろうってところで行けてますね」


 

9R

選手の写真です。
窓場千加頼選手

 赤板で先頭に立った新山将史ラインを追いかけた窓場千加頼(写真)だったが、武井大介の再三のけん制に7番手からの出直しを余儀なくされる。窓場は打鐘の4コーナーから再び踏み込んで4番手の山本紳貴を横を通過。直線の入り口で逃げる新山をとらえた。


 「ラインで決められるように、もっと前々に攻めたかった。山本さんの横まで(追い上げて)行けなかったのは自分の力ですね。ただ、7番手に戻ってからは、早めにリカバリーができた。ここ数年で一番苦しいレースだった。腰の方とはしっかり向き合っていかなきゃっていうのがあるし、完ぺきに治っているわけではない」


 武井に振られた近藤龍徳はいっぱい。山本紳貴が窓場に続いて追い詰めるも2着まで。ホームバンクで二次予選をクリアしたが反省しきり。


 「(窓場が)フワッて浮いて下がっているのがわかったし、まだ来ないだろうって…。(窓場より)先に行かないとダメですよね。新山君も流している感じもあったんで、そこを目がけて行かないと。(武井に)申し訳ないことをした。自分の思っている以上に体は動いているけど、内容はゼロです」


 新山を利した朝倉佳弘は、最終2コーナーで窓場をけん制するも止められず、山本にも行かれての3着。


 「僕の脚力不足です。もうちょっと車間を空けて(窓場を)止めに行けば…。そのあともせめて山本君のところですよね。脚の感じはすごくいい。ラインのおかげで自分だけ(準決に)乗れちゃった」


 

10R

選手の写真です。
柴崎淳選手

 今泉薫が青板の2センターで前に出る。すかさず巻き返した竹内翼は柴崎淳(写真)に張られ、中団でひと呼吸入れる。打鐘で再加速し、抵抗する今泉を最終1コーナーで叩いた。しかし、戦況を見ていた柴崎が反撃。一気に前団をまくって勝利した。


 「竹内君ラインの3番手がいなかったので、行きやすかったですね。ただ、状態はあまり良くないです。自転車は出ているけど、体が…。でも、準決はどこかで見せられるように」


 柴崎を懸命に追走した朝日勇が2着に続く。レース後は息を切らして、検車場に倒れ込んだ。


 「(柴崎が)強いよ。カマシじゃなくて良かった。あれなら付いていける。踏み出した時に、このスピードなら前団をまくれると思った。あとは、桑原(大志)君が自分のところに来るのだけ注意していました」


 竹内マークの桑原大志は最終2コーナーから前に踏むも、柴崎に上をいかれてしまう。そのまま中部勢を追いかけて3着に入った。


 「竹内君の頑張りのおかげです。(打鐘の)4コーナーで出切っていたら面白かったですね。でも、(諦めずに仕掛けてくれて)うれしかったです。(竹内の番手に切り替えてきた)小林(大介)君が内を差していたし、気をつけていたら、2センターで黄色(柴崎)が来て。やっぱり来るかと。柴崎君は強いですね」


 

11R

選手の写真です。
吉田拓矢選手

 吉田拓矢(写真)が、持ち味を生かして別線を完封した。レースは佐藤一伸が、伊藤信に合わせて踏んで前に出る。吉田は後方から一気にカマし、佐藤を打鐘の2センターで叩いた。そのまま3番手以下を突き放して駆けていくと、最後は伊勢崎彰大を1車身半離して押し切った。


 「緩んだところで仕掛けようと。できるだけ飛び付かれないように外を踏みました。余裕もあったし、いい意味で脱力して。上半身もうまく使えて、いいころのフォームで走れました。ギア比は変えていないけど、ギア板を47枚と12枚に変えてアタリも出た」


 伊勢崎彰大は、永澤剛のブロックを凌いで吉田を追走。2着を確保して、地元記念の準決に進んだ。


 「吉田君が強かったですし、気を遣って走ってくれた。バックでは抜きたい気持ちが出たけど、3コーナーから、また掛かっていって心を折られた。パーキンスやボティシャーくらい強かったよ。記念の決勝に乗れていないから、今回は頑張りたい。メンバー的に主演にはなれないけど、助演男優賞を目指して(笑)」


 吉田に叩かれた佐藤一伸は離されながらも、懸命に追いかけて3着に入った。


 「飛び付きたかったけど、かなり上を走られてしまって。叩かれた後は全開で踏んだけど、追いつかなかったです。最後はいっぱいで余裕もなかったですよ。記念の準決は、去年の(10月)平塚以来だと思う。まだ決勝に乗ったことがないので頑張りたい」


 

12R

選手の写真です。
近藤隆司選手

 6番手から根田空史が上昇を始めると、前受けの太田竜馬は下げて武田豊樹が地元ラインの後ろに切り替える。すんなりと4車のラインが出切った根田は、赤板手前で誘導を降ろしてペースを上げて逃げる。打鐘の4コーナーから武田が仕掛けるが、根田の掛かりがよく1車追い上げるだけ。車間を空けた近藤隆司(写真)が、詰める勢いで番手まくりを放って人気に応えた。


 「根田のおかげですね。ジャンで落ち着けたし、4コーナーから加速していったんで、自分はそこを目がけて(番手から)まくっていけば誰も来ないだろうって。根田には申し訳なかったけど、(自分と中村浩士で)売れていたんで。(準決は)また太田君がいるし、2日目のようにはいかないと思う」


 近藤に流れ込んだ中村浩士は、ラインの力を強調して地元記念の一走、一走に気持ちを込める。


 「根田が上手に駆けてくれて、コンリュウ(近藤)がそのスピードを(番手まくりで)維持したままゴールまで踏み切った。(海老根)恵太が絶対に後ろにいると思ってたら、ゴールしたあとに…。自分は初日より全然、感じがいい」


 「そこが一番チャンスあると思った」と、武田ライン追走からの組み立てになった中川誠一郎。最終2コーナーからまくって、好スピードで地元勢を脅かしたが3着。


 「武田さんは必ず仕掛けるし、そこを(付いていって、仕掛けて)行けば面白いなって。(感触は)まあまあ、初日よりは良かった。2日目の感じだったら準決も戦えそうですね」


 打鐘の4コーナーから仕掛けた武田豊樹は、結果的に1車追い上げて中村後位を奪取。流れ込みを悔やむ。


 「もうちょっと(前に)行きたかった。海老根君も車間を空けてたし、(中村後位に)入ってから考えたけど行けなかった。すんなり2段駆けが決まっちゃった」


 「ああなると思わんかった。もつれるかと思ったらすんなりだった。展開に賭けてたところがあった」とは、8番手に下げて見せ場をつくれなかった太田竜馬


 

10R

選手の写真です。
村田雅一選手
選手の写真です。
太田竜馬選手

 山本紳貴に押さえられた太田竜馬だったが、近藤隆司をさばいて番手を奪取。追い上げ気味に踏んできた近藤の動きを見て、山本を打鐘で叩いた。柴崎淳は、すかさず追い上げて3番手を確保。近藤のまくり合わせて最終2センターで踏み込むが、桑原大志のけん制もあって不発に。しかし、柴崎マークの村田雅一(写真)は空いた桑原のインを突くと、直線で内のコースを伸びて金星を挙げた。


 「その場その場では、いっぱい、いっぱい。最後も、たまたまですよ。(インを突いて)桑原さんに当たるか、当たらないかを考えていたら、(太田の)内が空きました。(5月)名古屋(記念の準決)は焦って踏んで落車したので、見極めて。記念の決勝は初めてですね。ここ(記念の決勝)を目標にやってきたし、決勝は獲るつもりで走りたい」


 逃げた太田竜馬(写真)が2着に粘る。分断策に出るなど、トリッキーな組み立ても交えて優出を決めた。


 「(2日目の)優秀みたいにゆっくり押さえに来たし、このまま下がってもと思って(インで粘った)。あとは、後ろを見ながら、落ち着いてかぶらないように。出切ってからは、ずっと踏み続けていました。掛かっていないから重たかったですね」


 桑原大志は、ゴール前で追い込んできた朝倉佳弘に当たりながらも3着に入る。前回の福井に続き、連続で記念の決勝にコマを進めた。


 「(スタートでけん制してから誘導員を追って)青板では(脚力をロスして)まずいなと。すんなり前を取っていれば問題はなかったですけどね。柴崎君はさすが。(仕掛けが)止まったからいいけど、結局、内を空けてしまっている。でも、決勝に乗れてうれしいです。ピークがここで来た。このあとも、一生懸命頑張ります」


 柴崎淳は絶好の3番手から仕掛けるも、前団をまくれず6着。


 「(スタートで)誘導を追いかけるのに脚を使ってしまいました。(3番手に降りないで)そのまま行けば良かったですね。近藤さんが来て、被る前にと思って踏んだけど。レースは見えているんですけどね」

11R

選手の写真です。
松岡健介選手
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中村浩士選手

 山降ろしで赤板目がけて踏み込んだ根田空史が、窓場千加頼をねじ伏せて先行策に出る。窓場は4番手まで下げて、根田ラインの3車が出切る。打鐘を一本棒で通過して、8番手の中川誠一郎は最終ホームから反撃。小川勇介を置き去りにすると、目の覚めるようなスピードで根田を一気にとらえて余裕のゴール。


 「思った展開と違って苦しかったですね。2日目からセッティングを戻して良くなった。根田君は2日目の方が掛かっていたと思うので、それを経験しているから苦しかったけど仕掛けられた。でも、正直仕掛けるときはドキドキだったし余裕はなかったですよ」


 窓場は動けず、最終2コーナー手前から自力に転じた松岡健介(写真)が、中川から8車身離れた2着。


 「中川君のスピードが尋常じゃなかったから、逆に落ち着けましたね。残り1周だったのもあると思います。あれが2コーナーだったら慌てていたと思う。窓場君を待ってから2コーナーから踏んで行って、中村さんの後輪にツケマイする感じだった。焦って踏んでも3コーナーで振られると思ったし、最後の最後に抜く感じでした」


 根田の余力を見極めた中村浩士(写真)が中川に大きく離れながら切り替える。松岡との2着争いには敗れたが、地元で意地の決勝進出を果たした。


 「中川君が1車だったから、根田が番手に入って追い掛けられればと思った。でも、そんなスピードじゃなかったですね。そのあとはもう必死でした。地元の声援があったからなんとか凌げました」

12R

選手の写真です。
吉田拓矢選手
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石塚輪太郎選手

 青板の4コーナーで先頭に立った石塚輪太郎が、8番手にいる吉田拓矢(写真)を警戒しながら先行態勢を取る。赤板を通過して1コーナーから吉田が踏み上げると、石塚も全開で合わせるが吉田のスピードがいい。打鐘の3コーナーで吉田が叩いて主導権を奪う。離れ気味の武田豊樹を北野武史がさばいて、逃げる吉田の後ろは車間が空いて石塚。援護を失った吉田だが、セーフティーリードを保ったまま直線に入って押し切った。


 「行けるタイミングがあったんで、無理やりっていう感じで(踏み込んだ)。(石塚)輪太郎さんが見えづらいところで仕掛けようと。走る前から自信があったんで、とりあえず出られればって思っていた。(最終)バックで後ろ(に武田がいないの)がわかって、それで力んでしまった。そこまではいい脱力感だった。ただ、(武田と)一緒に決勝に乗ってワンツーを決めようと思っていたんで…。(次の)オールスターに向けては、いい感触が得られた。落車ばっかりしていたし記念の決勝は久しぶりですね。しっかりと走りたい」


 佐藤一伸、朝日勇の2人が絡んで、北野、武田、さらに成田和也と5車が落車のアクシデント。番手から吉田を半車身差まで詰めた石塚輪太郎(写真)は、力の差痛感する。


 「レース内容としては、(吉田に)完敗。負けですね。出られても、(番手から)仕掛けられたらまだ良かったけど…。単純に脚負け。ただ、いつもの感じだったら、(茨城勢の)2車にスポーンって行かれてる。シューズを換えた成果が出ている。準決の2着じゃ調子はわからない。ただ(番手に)はまって付いていっただけですから」


 8番手から巻き返した小原太樹は、成田のブロックで不発。最終1センターで切り替えた伊勢崎彰大は、落車を内に避けて3着に入った。


 「小原が8番手でも行ってくれた。最近は小原との連係も多いし、ああやって行ってくれるのはありがたい。(切り替えて)内を見ていたら、前(中団)でやり合ってて、今度は落車があった。記念の決勝は(豊橋以来)1年ぶりですね。こういうこと(優出)でテンションを上げていくタイプなんで、今後の練習にも身が入ると思う」


 


 


≪最終日6R「KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)」≫


 中心となるのはテオ・ボスだ。昨年の7月福井記念で行われた当大会では、櫻井正孝ら日本勢を後方まくりで一蹴。驚愕のタイムを叩き出して、世界レベルの実力を見せつけた。再び、使い慣れたカーボンフレームでファンを沸かせる。


 「(コンディションは)ベリーグッドです。トレーニングも順調に積んでいるし、日本での生活も快適に楽しく過ごしているよ。(ケイリン エボリューションは)使う自転車もルールもいつもやっているし、僕にアドバンテージがあると思う。レースは状況を見ながら、柔軟に対応していきたい。333バンクでも、400バンクでも問題ない。いつも250バンクを使っているから、どのみち長く感じるよ」


 志智俊夫は昨年の3月大垣記念で行われた当大会をV。持ち味を生かして、強敵撃破を狙う。


 「(ボスは)取れた位置から、残り1周半でも飛んで行くと思う。スタートの位置を含め、考えて走ります。最近は、(練習でカーボンフレームを使っていて)競輪の自転車を乗ることの方が少ない。ここまでも、競輪の自転車は乗っていないです。スピードを出す練習をしてきたし、勝てるように頑張ります」


 阿部拓真は4月武雄で記念を初優出。直前の7月小田原FIも制するなど、動きが冴えている。


 「本業の方は、調子が上がってきましたね。でも、小田原が終わったあとに熱中症になってしまって。体重が4キロ落ちてしまいました。ダッシュは軽くなりましたよ(笑)。7番車だし、ボスの後ろに付けるのもありかな。まあ、出たとこ勝負です」


 地元の山賀雅仁は、前回の防府FIの準決でボスと連係。仕掛けに付け切って2着に入った。今回は内枠と地の利を生かした走りで土を付けるか。


 「1番車なんですね。ありがたい。(連係した)ボスはすごかったですよ。半端じゃなかったですね。でも、(踏み出しの)5歩目までなら、岩本(俊介)の方が強い。ここまで強めに練習をやってきたから、疲れを取ります」