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久留米競輪

KURUME KEIRIN

83#

GⅢ第29回 中野カップレース

6.24Sat 25Sun 26Mon 27Tue

次回開催

F2

7/10 ・11 ・12

検車場レポート

  • 6/23 Fri.  (前検日)
  • 6/24 Sat.  (1日目)
  • 6/25 Sun.  (2日目)
  • 6/26 Mon.  (3日目)

1R

選手の写真です。
後藤大輝選手
 6月小倉で特進を果たした121期の後藤大輝(写真)が、S級初戦を地元記念で迎える。初日は期待枠の1レース1番車を任されて、緊張しつつも気持ちを高ぶらせてレースに挑む。
 「地元記念を走れるのは嬉しいです。ギリギリ間に合って良かった。特進すれば地元記念を走れるって意識はしていたし、諦めずにやって良かった。練習はいつも通りやってきて、調整方法を確かめながらやってきました。(アピールポイントは)これっていうのもはないんですけど、地脚なので長い距離を踏んで持ち味を出したい。9車を走ってないので、はやく感覚をつかんで上位で戦いたい。9車の動画とかは結構見てきました」
 地元同士の坂本健太郎が後藤をマーク。練習仲間の後輩の強さに太鼓判を押した。
 「(後藤が)強いのは知っていますし、練習だと抜けないですよ。久留米に練習で後藤を抜ける人はなかなかいないんじゃないかな。気が重いけど、レースで付くのは初めて。息子と一緒に走るような感覚ですかね。自分の状態は悪くないしてだし楽しみもある。息子と、通常通りって感じです」

2R

 鈴木裕は高松宮記念杯で5走全てで人の後ろを回った。久々の前回りとなるここは、持ち味の自在性を発揮したい。
 「(前回は)今ひとつの内容でしたね。展開もそうだったけど、勝ち切れないレースもあったので。課題のある開催でした。状態はいい意味でも悪い意味でも変わらずです。自分で動くのは久しぶりになるけど、ある意味流れを変えるチャンスだと思うし、きっちり勝ち切りたい。自力自在になんでもやっていきます」
 腰痛の影響で長らく低迷した河端朋之だが、徐々に本調子に戻りつつある。課題に挙げていた航続距離もアップしてきている。
 「去年と比べたらだいぶ戻ってきていますね。ただ、求めている所までは、まだまだっていう感じですけどね。腰に痛みが出ないように気を付けながら練習をしているので、あまり無茶をするとまた腰痛が出てしまう可能性もあると思うので、追い込み過ぎないようにやっている感じです。前回の初日はうまく駆けられたっていうのもありますけど、タレ幅自体も大きくなかったですね」

3R

 宿口陽一は高松宮記念杯で二次予選敗退。課題を再確認して、今節に生かしたい。
 「宮杯は番手を回ったり、3番手を回ったり、先頭で走ったりしましたけど、自力でやった時に全然しっかり走れていなかった。今回はそれを修正できるように頑張りたい。宮杯で感じたことを練習してきました。疲れはあるけど、日に日によくなればと思ってます。初日はしっかり力を出し切って自力で走ります」
 高松宮記念杯の勝ち上がりは叶わなかった伊藤旭だが、勢いある九州の若手の一人として大いに存在感を放った。二走目は伊藤颯馬の1着に大きく貢献する先行策。最終日は単騎で一撃を決めて高配当の使者となった。
 「宮杯は自分は勝ち上がれなかったけど、後ろを勝ち上がらせることはできたので。日ごとに調子が良くなっていった感じでしたね。だから最終日に1着が取れたんだと思う。ただ、GII以上の1着は全部単騎。今度はラインを生かして1着が取りたいですね」

4R

選手の写真です。
松岡辰泰選手
 前期は110点以上の競走得点を保持していた松岡辰泰(写真)だが、今年に入って今ひとつ元気がない。昨年の熊本記念代替え開催で優出したゲンのいいバンクで、きっかけをつかみたい。
 「宮杯が終わって、体の疲れよりも自律神経系というか、メンタル的な疲れがありますね。春前に腰を痛めたんですけど、そこからなかなか調子が上がってこない。痛みはないんですけど、力が入りづらいなって感じがします。宮杯も思ったよりも動きが悪かったし、自分の中でズレがありました。練習の感じは上がってきてるし、焦らずにじっくり上げていこうかなと思ってます。久留米はいつも練習しているバンクですし頑張りたい」
 酒井雄多は前回の6月平塚FIでS級初優勝。決勝は落車のアクシデントもあったが、逃げ切りでつかんだ優勝は価値がある。
 「前回の決勝は(落車と失格の)アクシデントもありましたけど、優勝できたので悪くはないと思います。久留米を走るのは久々ですけど悪いイメージはないですね。今回は久々に(師匠の)成田(和也)さんと同時あっ旋なのでたのしみですね。自分もしっかりと勝ち上がって、上で連係できるように頑張りたいです」

5R

選手の写真です。
野田源一選手
 野田源一(写真)は5年連続で地元記念に参戦。71周年大会以来の優出へ集中力を高めて臨む。
 「宮杯は連がらみが1回だけだったので物足りなさがありましたけど、着以上に感触は良かったですね。そこからレースの疲れを取って調子を落とさずにここに来れたと思います。GIを走ると気持ちの維持が難しいんですけど、今回は気持ちも維持できています。久留米記念は毎年呼んでいただいて、今まで1度しか決勝に乗っていない。今回は決勝に乗れるように頑張りたい」
 林昌幸は5月高松FI、6月玉野FIと優出。徹底先行を貫きながら、S級でも結果が出るようになってきた。
 「5月ぐらいからしっかり残れるようになってきたんですよね。何も変えていないんですよ。4月の終わりぐらいから急に調子がよくなってきて、自分でもスピードに乗れている感覚があるし、後続距離も伸びているなって実感があります。結果が出ているし、変わらずに積極的に攻めていきたい」

6R

 島川将貴は今年だけでFI戦を5V。直前の6月小倉FIも制して意気揚々と乗り込んでくるかと思いきや、本人は成績ほどの手応えはないと語る。
 「小倉で優勝はできたけど、感じは良くなかったんです。練習は今まで通り。乗り方とかを変えて良くなってきて、さらに良くしようと欲を出したら失敗した。なので、最近はあまり欲を出さないようにして、乗り方もそこまで変えていないんです。久留米のバンクは走りやすいですね。外が伸びるイメージがあります。初日はコマ切れになるし、初手の場所次第では(仕掛けに)行くタイミングはあると思う。そこを逃さずにいきたい」
 武田亮は一時の不調を乗り越えたのか、5月武雄FIで優出。競走得点も102点まで上げてきた。
 「ちょっとずつ成績は良くなってますね。でも、まだそこまで感じは良くない。練習用と競走用でフレームが違うんですよ。サイズは一緒なんですけど、重さが違うんです。練習では重いフレームを乗りこなせるようにと思って重いものを使ってるけど、やっぱり競走用と違うと感覚にズレがありますね」

7R

 長島大介は68周年大会の覇者。冗談交じりでインタビューに応えたが、バンクとの相性は言わずもがな。
 「宮杯は状態自体は悪くなかったけど、相手が強かったんで。展開をちゃんと作れないと苦しいですよね。負けたので余計に疲れましたよ。久留米記念は気持ちはディフェンディングチャンピオンなので(笑)。バンクも走りやすいイメージですよ」
 久留米出身の中西大にとって、ここは大事な大会。声援を見方に怪力を惜しみなく発揮する。
 「前回が終わってからしっかりトレーニングできました。調子が悪い中でダービーで1着が取れて、そこから調子も上がってきていたと思うので。練習の感触は良かったですよ。久留米に来た時はいつもなら実家に寄るけど、今回はデビューして初めて寄らずに来ました。応援が力になるし、期待に応えられるように頑張りたい」

8R

選手の写真です。
取鳥雄吾選手
 取鳥雄吾(写真)は高松宮記念杯で準決に進出して大いにアピール。特に2走目で脇本雄太を苦しめた先行策は見事だった。
 「宮杯は体の状態も良かったし、流れも番組も良かった。流れに助けられた部分は大きいと思います。準優までは自分のやるべきことをミスなくできたと思います。中4日で、半分以上はケアにあててきて、直前に一本もがいて良くなってるなと思ったので来ました。久留米は1着か、9着のイメージ。1着を並べられるようにしたい」
 鈴木陸来は直前の6月函館FIで今年初優出。刺激を受けながら日々の練習に励んでいるようだ。
 「函館で決勝に乗れたのはラッキーだった面が大きかったけど、状態自体も悪くなかった。静岡で、若手中心で練習してて最近は活気があるなかで練習できているし、アマチュアの子達も強い。自分も負けられないと思ってやれているので気持ちを入れて練習できまてますね」

9R

選手の写真です。
岩本俊介選手
 岩本俊介(写真)は高松宮記念杯で一、二走目と慣れない人の後ろを回って一次予選敗退。三走目からは立て直して1勝を上げて、なんとか面目は保った。
 「宮杯の前半は人の後ろを回って、三走目からは本来の自力で走れて成績も出たので正直ほっとしました。まあ、ボチボチでしたかね。終わって1日だけ休んで3日はいつも通り練習してきました。疲れてないこともないけど、いつも通り。それにそこはみんな一緒なので」
 4月四日市FIで完全優勝を飾った久米康平は、その後もコンスタントに白星をゲット。直前の6月大垣FIは未勝利も、3日間最終バックを取る仕掛けに出た。
 「ずっと乗り方とかは考えてますね。4月ぐらいから良くなってきて、5月の佐世保でそれが薄れて、函館記念は良くなかった。でもその後にしっかり練習したらまた良くなってきたんですよね。最近は力み過ぎてるところがあると思う。前回は着は叩いたけど、感じが悪くて叩いてしまった感じではないので」

10R

 北井佑季は3度目のGI挑戦だった高松宮記念杯で、自身2度目のGI準決勝進出。神奈川のホープは、大舞台でも力を示している。
 「5走したのは初めてでしたけど、疲れはいつもと変わらない感じでした。5走ともしっかり自分の力を出すレースはできたと思います。でも、その中で前に出切れなかったり、まくり切れないレースはあった。練習はいつも通りやってきました。久留米は初めてです。しっかり自分の力を出し切るレースをしたい」
 窪木一茂は、14日から行われた『2023トラックアジア選手権』に出場。中長距離種目の個人、チームパシュート、マディソンの3種目で金メダルを獲得した。久しぶりの参戦となる競輪でも結果を残せるか。
 「21日に帰国したので、時差ボケと疲れは結構ありますね。個人でもオリンピックは狙えますけど、団体で権利を獲ればみんなで出られるので団体の金メダルは嬉しかったです。帰ってきてからは調整しかしていません。(北井と)同期対決はないと思ってたらまさかでしたね。今回は北日本の選手も多いので、色々なことを学びたいです」

11R

選手の写真です。
伊藤颯馬選手
 伊藤颯馬(写真)は高松宮記念杯で白虎賞に進出。直近4カ月の競走得点も110点台に乗せており、戦うステージをワンランク上げた印象だ。
 「宮杯はすごい良かったですね。(ラインの)前でも走れたし、番手でも良い競走ができた。その後はちょっと休んで久留米で1日練習しました。体調はバッチリです」
 田中誠が伊藤の番手回り。直前の6月大垣FIで優出し準Vと、上り調子で地元記念に参戦する。
 「大垣の準優から自転車の部品を変えて試してみたら成績も良くなったんですよね。ダービーで変えたペダルがよろしくないなと思って、調整しながら使ってたけど、元々使っていたものに戻したらよくなったんですよね」

12R

選手の写真です。
脇本雄太選手
 脇本雄太(写真)が、21年の熊本記念代替記念以来で当所に登場。高松宮記念杯は圧巻のパフォーマンスで4連勝で勝ち上がり、決勝は突っ張り先行で番手の古性優作を地元GI制覇へ導いた。
 「宮杯は自分のできることはやったつもりです。腰の痛みは慢性的なものですし、それはもう変わらない。腰というよりも、純粋に昼間の5走は疲れましたね。他のGIと違う疲れがありました。(ファン投票1位の)表彰式もあったので実質中3日。1日だけロードで練習しました。前回久留米に来た時は1日だけ走って欠場している。それに中野カップを走るのは初めてなので、何かしらの爪痕を残したい」
 新田祐大は高松宮記念杯の青龍賞で失格。悔しい結果となったが、状態自体は上向きだったと強調した。
 「宮杯は積極的に仕掛けられていましたし、失格してしまったレースも(入線した)着順自体は悪くなかったので。良い状態で走れていたと思います。練習は週明けからやれましたし、状態は問題ないです」
 茨栃勢は吉田拓矢が前回り。好メンバーがそろった初日特選で見せ場を作りたい。
 「宮杯は純粋に力がなかった。見ていても分かると思いますけど、脚に貯金がない感じで走っていたし、情けなかった。でも、その中でも内容の良いレースはあったし、そこまで悲観はせずに。久留米は(72周年大会で)優勝しているので、そのイメージのまま走りたい。初日は僕のわがままで前で走ります。(坂井)洋も前で走りたいだろうけど、純粋に僕が最近良くないので、ここで良いレースをしたい」

1R

 期待の後藤大輝が自らスタートを取り、地元勢が前受けからレースを進める。山中秀将が青板バックで早めから動き出して後藤に並びかけるが、後藤は赤板過ぎに突っ張る。高橋雅之のアシストで山中が4番手に入り直すが、打鐘2センターで吉本哲郎が内をすくって中団がもつれる。後藤は最終ホームでペースアップして、レースは完全に地元勢の流れに。後藤は番手の坂本健太郎すらも振り切って、S級初戦を逃げ切った。
 「(逃げ切れたのは)たまたまです。(ラインに)助けてもらいました。初めての9車立てで、自分は経験がなかったんで。(突っ張り先行は)なにも考えずにできるんで。自分なりに精いっぱい頑張りました。(突っ張ったあとは)いつもより若干ハイペースで、ジャンからもう1回警戒して。坂本(貴史)さんがくるだろうと思っていたので、出させないようにいきました。気合が入りすぎてスカスカする感じがしたんですけど、なんとか残れた。差されたと思ったんですけどね。最後タレている感じがした」
 坂本健太郎は、後藤を微差交わせずの2着。
 「余裕はあったんですけどね。(後藤が)1周しか駆けていないのもありますけど、思いのほか末がしっかりしていました。もっとピリつくかなって思っていたんですけどね。そうでもなかった。ちょっと抜いたと思ったんですけど…」

2R

選手の写真です。
高原仁志選手
 後ろ攻めの青柳靖起は始動を遅らせて、赤板1コーナーで勢い良く木村皆斗を押さえて前に出る。九州勢の動きを見送った河端朋之は、打鐘から踏み上げていって最終ホーム過ぎに青柳を叩き切る。中四国ライン3番手の青井賢治は前のあおりもあって付いて行けず、3番手以降は車間が空く。青柳が空いた車間を詰めた勢いで前に迫ると、高原仁志(写真)は4コーナーから前に踏み込んで抜け出した。
 「最高の展開だったけど、キツかったですね。前が遠かったし、波もあったんでキツいなと思った。でも、前回からセッティングを変えて、その分最後は余裕があった。サドルを変えてスタンディングが楽になったし、それがなきゃ厳しかったと思う。自分が伸びたっていうよりは、バタヤン(河端)がタレてた感じ。大外も来てたし抜かれたかと思った。最終バックを前の方で通過できたし、ラインのおかげですね」
 2着は青柳と鈴木裕で同着。鈴木は打鐘2センターで関東勢の内をすくって位置を上げる。松尾勇吾が最終1センターで外に振った内を突き、直線では高原の外を踏んだ。
 「残り2周で青柳に切り替えても結果は同じだったと思います。松尾君のあおりが見えて内に行ったけど、外を行けば良かったですね。(最終)バックでは詰まっていたし、行けたと思う。最後は1番(高原)と9番(河端)の間を行こうと思ったら閉まって来てたんで外を行った。脚の余裕は相当あったんで状態は悪くはない。でも、あのレースじゃ後ろを連れてけないし、ちゃんと外を踏めないと」
 叩かれても3番手で立て直して直線迫った青柳靖起は、内容のあるレースだった。
 「河端さんが来てなきゃ9着でした。押え先行じゃもたなかった。(打鐘)2センターで(河端に)パーンと出られたら内に詰まると思って、踏んでいったのが良かった。やっぱり9車立ては脚を使ってでも前々ですね」

3R

選手の写真です。
宿口陽一選手
 伊藤旭が5番手から赤板で動き出すと、それに反応して宿口陽一(写真)も3番手から合わせて動き出す。伊藤が加藤健一と宿口の上を押さえて先頭に立ち、挟まれた宿口はさっと引いてすかさず伊藤を切る。宿口は磯島成介のカマシを打鐘で受けて3番手を確保。最終2コーナー過ぎからまくり上げて押し切った。
 「後ろ中団からが良かったんですけど、前以外ならっていう感じでした。ちょっと伊藤君がどうするかなって思っていたんですけど、挟まれてしまって。でも、引いてすぐに行けた。前回の高松宮記念杯でできなかったところを意識した。脚も削られていたので、もうちょっと遅めでも良かったんですけど。力を試す意味でもと思って行きました」
 伊藤旭は埼玉勢の後ろで5番手の位置取り。宿口がまくった外を最終2センターで踏み上げて2着に入った。
 「取れた位置から組み立てようと思っていました。切ってすぐに磯島さんが来ると思ったんですけど、宿口さんが来たので。突っ張るかどうするかって考えましたけど、(引いて)力でねじふせるのがいいのかなって思った。本当だったらもうワンテンポ、ツーテン早く仕掛けて(最終)3コーナーで宿口さんに並んで直線で行けるのがベストだったんですけど、疲れが残っていて体が反応しなかったですね」

4R

 岡崎景介の上昇に対して、酒井雄多は誘導を残したまま車を下げる。続いて松岡辰泰が押さえに行くが、岡崎が突っ張って出させない。この動きに岡崎マークの山形一気は呼吸が合わずに離れてしまい、岡崎には松岡がハマる。突っ張った岡崎がペースを緩めると、酒井は打鐘目がけてカマシ先行。阿部拓真が車間を切って援護態勢を整えるが、最終2コーナーで仕掛けた松岡のスピードが違う。酒井をあっさりとまくった松岡が、後ろをちぎって快勝した。
 「(初手は)前か中団から。中団なら切れるからやりやすいなと思ったけど、誘導が残ってしまったし切りが甘かった。岡崎さんが1人になってたし、とりあえず内は空けずに付いて、タイミングが来たら仕掛けようと思ってました。踏んだ感じは良くなかったですね。スピードは出たけど、感覚が悪い。カンって感じでスピードが上がらない。腰は痛くはないし、疲れも日に日に抜けてくれれば」
 最終1センターでは阿部兼士と廣川泰昭が絡んで廣川が落車。阿部兼も松岡に離れてしまう。酒井に乗った阿部拓真は、松岡こそ止め切れなかったが、4コーナーで前に踏んで2着に入った。
 「松岡君が5番手にいるとは思わなくて、急に来た感じだったので、対応が難しかった。でも、1車で来てるとわかったんで落ち着いて。追走自体は余裕をもってできましたよ。(落車明けで)アップの時に体の可動域が出てない感じがした。でも、日に日にほぐれていくと思う」

5R

選手の写真です。
松村友和選手
 野田源一が赤板で切って、林昌幸が押さえる。徐々にペースを上げる林に対して、黒沢征治は打鐘3コーナーで仕掛けて最終ホームで力ずくで叩き切る。2コーナーから野田が仕掛けるが、進みが悪いと見るや紫原政文が3コーナーで切り替えて内に進出。佐山寛明から切り替えていた松村友和(写真)が、紫原を追う。紫原が直線で黒沢の内を踏むと、松村は外のコースを選択。松村は黒沢の番手から差し脚を伸ばした阿部力也を、さらに外から交わして1着をゲット。3連単は322300円と大波乱の決着となった。
 「ジャンで(切り替えようと思ったが)まだ早いなって思って1回戻った。自分も勝負駆けなんで。最後は紫原さんのいかない方と。紫原さんが内に行ったんで自分は外に。だいぶヘルニアの影響がなくなってきて、キツい練習もできるようになってきたんで今回は大丈夫だと思います」
 黒沢に乗った阿部力也だったが、最後の最後で松村に1着をさらわれて唇をかんだ。
 「(黒沢との連係は)結構ありますね。今回は久々でしたけど。先行もできるし、いけるところからって感じで自分の競走をしてくれればって思っていました。あの辺(林に抵抗されても叩き切ったの)はさすがでしたね。松村さんが来たのはまったくわからなかった。あそこは全然見えないところだった。自分自身は脚が落ちているのかなって。落車して鎖骨を骨折してからかみ合っていない感じです」

6R

 赤板前に切った島川将貴が、松岡篤哉の上昇を突っ張る。突っ張った島川が一旦ペースを緩めると、松岡は再度踏み上げて打鐘で前に出る。宮越孝治が松岡と連結を外してしまい、松岡後位には島川がハマる。後方から仕掛けた松坂侑亮が松岡を叩いて2車で出切ると、武田亮が最終ホームで巻き返す。神山尚が離れて、まくり切った武田は単騎。5番手からバックで仕掛けた島川がじわじわと外を踏み上げていき、ゴール前でまくり切って1着。
 「突っ張ったり、自分の脚力以上のことをした。後ろ攻めはあんまり考えてなくて、中団が取れたら先行で、後ろなら切って受けて3番手かなとは思ってました。松岡さんを突っ張ったつもりで、松坂君が来たから緩めたら、松岡さんにもう一度来られちゃって。あの辺は油断があった。もっと早く仕掛けたかったけど、思ったよりも脚にきていました」
 島川マークの池田良が2着に続いた。
 「シマちゃん(島川)が(最終)3コーナーで膨れてたんで、一瞬内に行こうかなとも思った。でも、人気になってたし付いて行こうと。もう取れた位置から、シマちゃんに全部任せていたので。強かったですね。自分は差し脚が足りないなって感じです」

7R

選手の写真です。
小原太樹選手
 竹内翼が赤板で中西大を切る。中四国勢に続いた長島大介は、中西の外で脚を止めてから打鐘目がけて叩きにいく。竹内も合わせて踏み上げるが、長島が打鐘2センターで叩き切って主導権。長島マークの小原太樹(写真)は車間を空けながら、車を外に振って別線をけん制。3番手に追い上げた中西大をクギ付けにしたまま、直線で踏み込んで抜け出した。
 「ちょっと竹内君の抵抗が強かったんで。でも、(長島は)そのあとも頑張ってくれたんで。最後は難しかったですね。中西君も休んでいる感じだったので、できる限り車間を切ってと思って。(ラインで)ワンツーを決めたかったんですけど。前回の最終日も1着を取れていますし、状態は悪くない」
 中西大は最終ホームで仕掛けるも、小原のけん制で3番手に追い上げるのが精いっぱい。2センターから踏んで2着に入ったが、レース後は反省に終始した。
 「やったらダメなレースですね。ジャンで遅れてしまっているんで、佐伯(翔)さんにも入られてしまった。ちっちゃなところがダメでしたね。すかさずいければ良かったんですけど、まくりに行った時も(最終)ホームからずっと小原さんに見られていて行けなかったですね。ライン3人でするレースじゃなかったですし、反省点が多いですね」

8R

選手の写真です。
津村洸次郎選手
 伊東翔貴が赤板で切って、伊東ラインに続いた鈴木陸来はワンテンポ遅らせてから打鍾前に叩いて前に出る。取鳥雄吾は、鈴木が切ったところですかさず仕掛けると、最終ホームで先頭に立つ。6番手に置かれた中井太祐が2コーナーからまくり上げる。取鳥の番手で車間を切っていた津村洸次郎(写真)は、3コーナーから中井を再三にわたってブロック。返す刀で直線では前に踏んで、地元記念で1着スタートを切った。
 「(取鳥)雄吾が行きやすいようにやってくれと思ってたし、自分は離れないように意識するだけでした。早めに行ってくれたし、その気持ちに応えられるように、残せるようにと思ってたんですけど。中井さんが(バックの)直線で良いスピードで来てたんで、少しでも遅らせてコーナーに入れるようにと。1回ブロックしてダメなら2回、それでもダメならもう1回と思ってブロックしました。(取鳥と)出切ったあとは余裕があったけど、そのあとどう仕事できるかなっていうプレッシャーでキツかった。地元記念で1着はすごくうれしい。取鳥君に連れていってもらったし、その気持ちがうれしいです」
 中井太祐は津村のブロックを堪えて2着に入った。
 「コマ切れやし、臨機応変にと思ってました。(松岡孔明が遅れていて)ヤバいかなと思ったけど、(最終)1センターぐらいで踏んだ感じが良かったんで。でも、津村君が車間を切っていて乗り越えられなかったですね。しっかり(ブロックを)堪えられてるんで調子は良いですね。久々に配分が空いてじっくり練習できたのが良かった」

9R

 赤板で切った林慶次郎を、岩本俊介が打鐘前に叩く。久米康平は7番手で構えて、岩本がそのまま逃げる展開に。久米は最終ホームで追い上げて、外から林を決めて4番手を確保。3コーナーから車を外に持ち出すが、それを察知した渡部幸訓も前に踏む。直線で抜け出した渡部が好展開をモノにして1着をゲットした。
 「(初手の並びは)想定通りでしたね。(押さえたのが)あそこ(打鐘)なら(久米が)来るかなって思ったんですけど。(岩本が)腹をくくって駆けてくれました。車間を空けて援護してと思ったんですけど、山信田(学)さんの後ろがどうなっているかわからなかった。終わってみればもうちょっと車間を切れたのかなって感じでしたね。ワンツーを決められなくて…。技量不足ですね。車輪もかかっていたんで難しい判断でした。疲れがあるなかでもなんとか走れている」
 中団に追い上げてから仕掛けた久米康平が2着。
 「後ろからでもって考えていたんですけど、取れたら前からって感じでした。あとは林君と岩本さんの仕掛け方次第かなって思っていました。林君も落ち着いていたので、タイミングを見てと思って行ったんですけど、(最終)ホームで(山信田と林との)車間が空いているのが見えたんで降りた感じですね。ちょっと甘えました。(そのあとは)隊列も落ち着いていたんで、バックでビジョンを見て、詰まったところで行きました」

10R

選手の写真です。
横関裕樹選手
 後ろ攻めの窪木一茂は青板周回で前と大きく車間を取って、赤板で勢い良く先頭の横関裕樹(写真)を切る。一旦窪木ラインを受けた横関だが、北井佑季が巻き返したのを見ると、合わせて踏み上げて窪木を切る。北井はその上を叩いて打鐘前に先頭へ。台和紀は離れて隅田洋介が3番手に追い上げ、横関が4番手。最終2コーナー過ぎに仕掛けた隅田は、北井に合わされて3コーナーから外併走。北井と隅田で踏み合う外を、横関が鮮やかに突き抜けた。
 「北井君に前を取られるのが嫌だなと思ってスタートは出たけど、内枠が誰も出なくて前受けになったんでどうしようかと思った。北井君が叩くタイミングが一瞬遅くて助かりました。格上相手なんで、とりあえず前々にいないとと思っていた。本当は(隅田よりも)先にまくりたかったけど、隅田さんが止まってるかなってところを目がけて行きました。フレームが柔らかいなと感じるので調子は良いと思います。調子が悪いと固く感じてしまって踏めない」
 隅田の仕掛けを合わせ切った北井佑季が2着に逃げ粘った。
 「コマ切れでいろんな並びがあるし、どこからでも考えてました。前からも考えてたけど、中団からの方が流れで前に出やすいんじゃないかなって。あの並びなら窪木さんのああいう切り方も想定していたし、うまくスイッチできてジャン目がけて出切れました。出切ってから後ろの状況は確認できていないけど、最後に外を行かれたってことはペース配分に修正点があるんだと思う。感触としては踏み切れたんですけどね。疲れは特にないです」

11R

 高井流星、小堺浩二、飯野祐太の順で切り、前を取った伊藤颯馬は7番手まで車を下げ切る。飯野のペースで打鐘を迎えるが、5番手から高井が仕掛けてペースアップ。伊藤は中四国勢を追った勢いのままに最終ホームで高井を叩いて主導権を奪取。九州ライン3車できれいに出切る。4番手以降は大きく車間が空いて、別線に付け入るチャンスはない。伊藤が末良く逃げ切った。
 「(初手は)前からでって感じで。遅かったら突っ張るか、切れ目切れ目でって。あとは全部引いて早めにカマシにいくことも考えていました。(高井が先に仕掛けて)いい目標になりましたね。引き出してくれる感じになった。キツかったですけど、叩き切ったあとは最後まで踏み切るイメージで。ちょっと疲れがたまっている感じですね」
 マークした田中誠が2着。3着も高木和仁で九州勢で確定板を独占した。
 「6番(高井)が叩きに行く前にジャンで行ってくれればって思っていましたけどね。そうしたら差せたかもしれないですし。ちぎれていたかもしれないですけど。イン切り合戦みたいになっていたんで、流れの中で2コーナーぐらいからね。もうちょっと気を遣ってくれないときついですね(笑)」

12R

選手の写真です。
吉田拓矢選手
 北日本勢が前受けで、近畿コンビは後ろから。脇本雄太が青板周回で動き出して新山響平に並びかける。近畿勢に北津留翼が切り替えて、吉田拓矢(写真)が北日本勢後位へ。新山は赤板で突っ張って脇本を出させない。突っ張られた脇本は8番手へ。新山はそのままグングンとペースを上げていき、隊列を一本棒にして最終周回に入る。新田祐大は新山と大きく車間を空けるが、4番手の吉田が2コーナー手前からまくり上げる。新田のけん制を軽々と越えた吉田が新山との車間を詰めて2センターで前をとらえる。後方の脇本は仕掛けられずに不発。吉田がそのままゴールまで失速することなく押し切った。
 「脇本さんの動向を見て、動かなければ自分が切りに動こうと思ってました。脇本さんが切りに行って北津留さんも続いて隊列が短くなって、北日本の後ろに入れた感じでした。道中はずっと楽でしたし、自分のわがままで前でやらせてもらってるんで、なにがなんでも仕掛けようと思ってました。でも、行くところは何回かあったし、守りに入っちゃいました。(前回は)着は悪いけど、内容は悪くなかったし、結局脚力が足りないだけだと思って開き直れましたね」
 吉田に前を任せた坂井洋は、直線で詰め寄るも2着まで。レース後は素直に吉田の強さを称えた。
 「全部(吉田)拓矢に任せていました。強かったですね。(最終)4コーナーから全開で抜きにいったけど差せなかった。(吉田は)仕上がってますよ。(自分の)状態は良いと思います。(今回は)セッティングを含めていろいろと煮詰めてきた」
 脇本が突っ張られると、北津留翼は関東勢後位に降りて6番手の位置取りに。そのまま関東勢を追う形で3着に入った。
 「車番が悪いなかで小倉さんが良い位置を取ってくれたけど、自信がなくて仕掛けられなかった。新山君任せの展開になっちゃいました。仕掛けられてないんでイマイチです。付いて行っただけになったけど、あそこまで引っ張られて先に仕掛けるのもと思った。体のセンターが出ていない感じだし、しっかりメンテナンスしたい」

6R

選手の写真です。
東口善朋選手
 青板周回で早めに動き出した坂井洋が、赤板で伊藤颯馬を押さえる。中西大は伊藤にフタをしてから坂井を押さえて、打鐘で先頭に。中西はすかさず巻き返した伊藤に合わせて、一気にペースを上げる。最終ホーム過ぎに伊藤が中西を叩くが、東口善朋(写真)のけん制もあって松岡辰泰は遅れ気味。中西は松岡を内からさばいて番手を奪う。まくった坂井は中西に張られて不発。直線で中西と伊藤の中を割った東口が鮮やかに1着を奪った。
 「(中西は伊藤が)来なければ先行だったし、スピードが合ったら飛び付きも考えていたんだと思う。いい展開になりました。坂井君が来てるのも見えたし、けん制する力もまだ残っていた。最後のコースは迷ったけど、余裕があったから1着まで来れたんだと思う。疲れはあるけど、気持ちであと2日頑張りたい」
 伊藤を交わした中西大が2着。出身地の久留米で、前々へ攻める気迫のレースを披露して和歌山ワンツーを決めた。
 「(初手で中団を取れたのが)めちゃくちゃデカかったですね。中団が取れたんで、切りに行って、(巻き返しが)来た瞬間に踏んで先行しようと思ってた。(松岡に)自分で当たりに行ったっていうよりは、アイツが頭を出してきて下がっていった感じ。110点台の選手相手に、支線で先行だけしてても勝てないんで、今日(2日目)みたいな戦法も視野に入れてやっていかないと。たまたまうまくいったけど、今日は会心のレースですね。昨日からセッティングを変えて今日の方が良かった」

7R

選手の写真です。
岩本俊介選手
 前受けの島川将貴が赤板で野田源一を突っ張る。野田が車を下げて島川がペースを緩めると、北井佑季が2コーナー過ぎから踏み上げて叩きに行く。北井が打鐘2センターで叩き切るが、島川は粘り強く踏んで番手に飛び付く。一瞬内に並ばれた岩本俊介(写真)だが、しっかりと踏み勝って番手を死守。逃げる北井をゴール前でとらえた岩本が、白星をつかんだ。
 「今日(2日目)はマーク戦でしたけど、昨日の先行(で脚に刺激が入ったの)が良かったのかな。自分が遅れ気味だったんで、空いているのかなって思って島川君もきたのかなって。追走が下手なんで、ちゃんとしないとですよね。不慣れとはもう言っていられない。言い訳にもならないんで。最低限、付いていって援護できればって思っています」
 北井佑季は連日の先行策で準決にコマを進めた。
 「昨日(初日)に引き続き細切れ戦だったので、もしかしたら前を取らせてくれるかなって思ったんですけど、後ろ中団になりました。しっかりと前に踏むべきところで行けたと思います。2車でしたし多少なりとも余裕を持って踏んでいきました。味方は岩本さんしかいないので、並ばれる感じで行くと迷惑を掛けると思った。昨日よりも感覚的には良かったですね」

8R

選手の写真です。
北津留翼選手
 林慶次郎は赤板で松岡篤哉を突っ張って、そのままハイペースで駆けていく。周回中は6番手だった酒井雄多だが、林が突っ張ったタイミングで内をすくって4番手を確保する。林が隊列を一本棒にして駆けていくなか、酒井は最終2コーナーで仕掛ける。林マークの北津留翼(写真)は、酒井に合わせて番手まくり。そのまま別線を寄せ付けずに押し切った。
 「全部(林)慶次郎のおかげです。申し訳ないですし、どこかで返したい。マーク屋の方なら止められたと思うけど、自分も万全じゃないので前に踏ませてもらいました。ゴールまで伸びたけど、体のバランスはまだ(整っていない)ですね。フレームを変えるか悩み中です」
 九州ライン3番手の中村圭志が北津留に続いた。
 「前を取れたら突っ張ると思ってました。自分は(北津留)翼の後輪だけに集中して。酒井君の気配がした瞬間に翼が行った。最後は抜きに行ったけど、全然でしたね。前の2人のおかげです」

9R

選手の写真です。
吉田拓矢選手
 竹内翼が赤板で突っ張ると、突っ張られた中井太祐は3番手に降りる。5番手になった吉田拓矢(写真)は前と車間を切って、中バンクに上がって後藤大輝をけん制。後藤が2コーナーで仕掛けると、合わせて吉田も踏み上げる。後藤マークの田中誠が離れて、主導権を握った後藤の番手には吉田がハマる。吉田は最終2コーナー過ぎに番手まくりに出て1着。若手の挑戦をさすがの運行で退けた。
 「誰も出なければ前からでしたけど、後藤君の後ろからがいいのかなって思っていました。(赤板で)竹内さんが踏んだけど、後藤君は(下げても)絶対に来ると思ったので(車間を切ってタイミングを取った)。番手に入ってからは余裕もあったので、力でねじ伏せるレースができました。新山(響平)さんにアドバイスをもらってシューズを変えたり、乗り方を変えて高松宮記念杯よりもいいと思います」
 吉田と東日本ラインを組んだ渡部幸訓が続いた。
 「誕生日に1着もらえるかなって思ったんですけどね(笑)。(吉田に)全部お任せしていた。アシストできればって思ってはいましたけど、全部やってくれましたね。(後藤の)掛かりは良かったので、もっと待ってから行くかなって思ったんですけどね。あのスピード域でまくって行くんで、さすがですよね。余裕をもって付いて行けましたけど、しっかり踏み直されました」

10R

選手の写真です。
松村友和選手
 赤板で青柳靖起が勢い良く叩きにいき、新山響平も突っ張ろうと踏み上げる。青柳が無理やり前に出るが、番手の山口敦也が遅れて新山が一旦番手にハマる。新山は青柳が緩めた隙を逃さず、打鐘で叩き返して主導権を奪い取る。河端朋之が最終ホームから巻き返すが、マークの池田良は離れて後方で横関裕樹とからむ。前に迫った河端だったが、新山に合わされて外に浮く。そのまま新山が押し切るかに、横関から切り替えてバックからまくり上げた松村友和(写真)が大外を強襲して1着。初日に続いて波乱の立役者となった。
 「(横関が)池田君の内に差してずっと踏んでる感じだったし、あれ以上待っても…。行けるところまで行こうと思って踏みました。(1着は)たまたまですよ。デキすぎです」
 2着の新山響平だが、持ち味の先行力は存分に発揮。評価が揺らぐような内容ではなかった。
 「前を取ってもらえたんで、突っ張るつもりでしたけど、青柳君にうまく出られちゃいましたね。切られたら詰まったところでカマそうと思ってたけど、番手で粘ってから行く感じになって、後ろは付きづらかったと思う。フォームが良くないですね。最後にアゴが上がってしまってタレますね。しっかりこのあとから修正をかけていきたい」

11R

選手の写真です。
成田和也選手
 黒沢征治が赤板で切って、前受けの新田祐大はすんなりと車を下げる。取鳥雄吾が打鐘過ぎに黒沢を押さえると、新田は岡山勢を追い、外から黒沢をキメて3番手を確保する。新田は最終ホームから仕掛けた伊藤旭に、自ら体をぶつけながらまくって出る。隅田洋介のブロックをものともせずに、新田が4コーナーで先頭へ躍り出る。最後はマークした成田和也(写真)が鋭く差し切った。
 「新田君にすべて任せていた。(雨が強まってきていたが)できれば(走路は)濡れていてほしくなかったんですけどね。展開によってはけん制しづらかったりもするので。でも、今日(2日目)はそういう展開にならなかった。新田君がすごかったですね。自分もしっかり追走できたんで。(新田を差してのワンツーが1番人気だったが)期待に応えられて良かったです」
 新田祐大は貫録を示す立ち回りで、若手とのコマ切れ戦を攻略した。
 「昨日(初日)はミスがあったので、今日は仕掛けどころを逃さないように行こうという気持ちはありました。タイミングが来たらって感じで。伊藤君に合わせる感じだったので、もう少し早く動ければ良かったですね。伊藤君も、黒沢君も、取鳥君も、自分の動きに注目して走ってくると思った。隙を見つけて勝負をしようと挑んでくると思った。相手の気持ちも考えていたので、体がしっかり動いてくれたと思います」

12R

選手の写真です。
脇本雄太選手
 スタートけん制で脇本雄太(写真)が前受けとなる。切った武田亮ラインに、坂本貴史が続き、5番手の岡崎景介は前と車間を切って脇本をけん制する。岡崎は意表を突くカマシで打鐘3コーナーで主導権を奪取。脇本は脚をためて車間の空いた7番手のまま。岡崎がハイペースで駆けるなか、脇本は最終ホームから車間を詰めていき、その勢いのまままくり上げる。3番手から武田、5番手から坂本貴が合わせて仕掛けるが、スピードの違う脇本はその上をまとめて一蹴。4コーナーを過ぎるともはや独走状態となって圧勝した。
 「けん制は入ると思ってたんで(前受けになった)。岡崎さんの動きがまったく読めてなかった。車間を空けてけん制してるなと思ったけど、まさかそのまま行くとは思わなかった。いつも通り(最終)1コーナーで詰めた勢いのまま行ったけど、思ったよりも伸びてない。最低限のことができたぐらいだし、内容も褒められたもんじゃない。今節はこれで我慢するしかない」
 脇本マークの坂本健太郎は、脇本と車間が空きながらもなんとか食らい付く。執念で2着はキープし、苦悶の表情でレースを振り返った。
 「雨だったし、これはいかんと思ってた。春に付いた時よりも付きづらかった。ワッキー(脇本)が下ってしまうタイミングで(岡崎が)行ったんで、離れると思った。もうそうなったら(坂本)貴史との勝負だなって。自分はスピードをもらってるし、上から下る感じだったんで勝てたけど、キツかった。緊張しました。昨日(初日)の分はリカバリーできたかな」

10R

選手の写真です。
新山響平選手
選手の写真です。
成田和也選手
 前受けの新山響平(写真)は、赤板で勢いよく切りに来た北井佑季を突っ張って出させない。北井が中団に降りようとして隊列がもつれたところを、伊藤颯馬がカマして打鐘2センターで新山を叩く。新山は九州勢を受けて3番手を確保し、最終2コーナー過ぎから一気にまくり上げる。3コーナーではまくり切った新山が先頭。後方では接触があって小倉竜二、阿部拓真、岩本俊介、中西大が落車。新山は番手の成田和也も振り切って快勝した。
 「阿部さんのスタートが速くて、前を取ってもらえましたね。車番も良かったんで北井さんとやり合うことも想定していたし、全員突っ張るつもりだった。(伊藤の)タイミングが良くて、調子も良いのかスピードも良かった。突っ張り切れないと思って引きました。後ろの中西さんが遠くに見えたので、自分のタイミングで行きました。(フォームは)変わらず良くないです。今開催中はしょうがないのかな。中4日でケアできてなくて体のズレはある」
 成田和也(写真)は、伊藤の番手から出た津村洸次郎と絡んだこともあって新山に迫るまで。レース後は新山の強さをひたすら称えた。
 「自分としては伊藤君がちょうどいいタイミングで、行ってくれるといいなって所で来てくれた。新山が強かったですね。本当に強かった。追走で一杯ですよ。さすがSSの先行屋だと思います」
 津村洸次郎は伊藤マークから新山に合わせて番手まくり。その上を行かれてしまったが、成田の内で堪えて3着で地元記念の決勝に進出した。
 「北井さんが来て、新山君がどこまで抵抗するかって考えていたけど、ほぼ(伊藤)颯馬に任せていました。赤板過ぎから位置の取り合い、叩き合いになって、口が空いてしまったのは反省点。颯馬が行ってくれたことで、自分に3着のチャンスが出たんだと思います。新山君が3番手だったし、車間を空けても飲み込まれると思った。もう気持ちを切り替えて、新山君が踏み出した瞬間に自分も踏み出して、少しでも良い着をって気持ちになっていました。(決勝進出は)すごく嬉しいです」

11R

選手の写真です。
新田祐大選手
選手の写真です。
渡部幸訓選手
 吉田拓矢は青板周回で早めに動き出し、前受けの坂本貴史に並びかける。坂本貴が突っ張り素振りを見せるが、吉田は赤板で無理やり叩いて前に出る。一旦3番手に入り直した坂本貴は、2コーナーでカマした北津留翼に合わせて踏み上げる。北津留が出切るが、中団は吉田と坂本貴で併走に。最終ホームで外から吉田をキメた坂本貴が中団を奪い、すかさず2コーナーからまくりを放つ。坂本貴は1車進んだところで外に浮いて後退。すると、坂本貴マークから自力に転じた新田祐大(写真)がまくり上げて、ゴール前で突き抜けた。
 「残り3周から(坂本)貴史がしっかり(吉田の動きに)反応していたので。どうしても誘導退避線の所は外の方が勢いを付けやすいですし、その中で貴史は凄くいいレースをしてくれました。北津留さんは残り2周からカマシたいしぐさをしていたので、自分も(渡部)幸訓さんも感じ取っていて。貴史にうまく空間を作れればと思いました。それのおかげかはわからないですけど、貴史が3人で踏み合うような感じで行ってくれましたし、しっかり追い上げてくれて中団を取り切ってくれたので。自分も勇気を貰えましたし、(最終)2コーナーからかなり苦しかったと思うんですけど仕掛けてくれて。絶対に仕掛けるっていう貴史の根性を感じましたし、自分はその気持ちを汲み取って。北津留さんが駆けていたんで、僕たちは貴史の分までと思って行きました。吉田君のラインを潰してくれていましたし、貴史の頑張りがあったからこそだと思います」
 北日本3番手の渡部幸訓(写真)が、最後は新田の外を踏んで2着に続いた。
 「新田が余裕を持って回していたので自分はしっかり追走に集中していました。新田を信頼して動きに集中していました。貴史が仕掛けてくれたんで。最後は新田が自力を出してくれたので。内も考えましたけど、思い切って外を踏んでみようと思って。思いのほか伸びましたね。今日(3日目)はセッティングを変えたんですけどいい方向にでたので決勝もこのままで」
 北津留翼の先行に乗った坂本健太郎が3着で優出。
 「(3着に入線したかは)あやしいなって感じでした。(北津留)翼が頑張ってくれたんで。北が前なら突っ張りもあるなと思ったので中団からって感じでした。吉田君が叩けばその上を行けばっていうのもありました。翼が強かったですね。バックもグリグリ掛かっていったんで。新田だけはもうしょうがないと思っていました。グランドスラマーが脚をためていたんで。連日、前が頑張ってくれて食らいついていけてるんで悪くないと思う」

12R

選手の写真です。
脇本雄太選手
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坂井洋選手
 松村友和がスタートで出て、近畿勢が前受け。脇本雄太(写真)は誘導と車間を切る。切った福島ラインに坂井洋が続き、後藤大輝が酒井雄多を押さえて打鐘から徐々にペースを上げる。前と車間を切った坂井は、最終バック5番手から仕掛けるが、脇本も後方から徐々に踏み上げていく。坂井が4コーナーで前をとらえるが、その上を規格外のスピードでまくった脇本が直線で抜け出した。
 「バンク自体は軽かったけど、風が強くて全体的に重く感じました。(調子は)横ばいで、良くはない。早めに展開を動かしたかったんで、早めに誘導と車間を切った。(踏んだ感触は)昨日(2日目)と一緒か、ちょっと悪いくらいです。決勝はメンバーも厳しいんですけど、できることはやりたい」
 先まくりで2着に入った坂井洋(写真)だが、勝負所で5番手となったポジショニングを悔やむ。
 「脇本さん中心で動くんで、残り2つのラインの動きを見てと思ってました。もう一個前の位置を取らないと駄目ですよね。内を締めていたし、外から追い上げてやり合ってもと思って難しかった。(最終)2コーナーくらいで酒井君が踏み込んだ感じがしたけど、止まったからうわって思って自分で行った。踏み出しは良かったけど、あの位置からだと脇本さんに上を来られてしまう。アップが終わってからサドル回りを調整した」
 脇本マークの東口善朋はけん命に食らい付いて外を伸び、なんとか3着は確保した。
 「(脇本は)いつも前を取っているし、いつものスタイルで行こうと思った。後藤君が前をとっても気持ち悪いし、それなら前からでと。(脇本と)走る回数を重ねるごとに感覚がつかめてきている。必死になって諦めずに踏んだ結果だと思う」

〈レインボーカップチャレンジファイナル〉
 岸田剛は今年すでに7度の優勝を積み重ねている。直前も6月函館FII、続く四日市FIIと6連勝で、勢いに乗ってレインボーカップチャレンジファイナルへと乗り込んできた。7月からの定期昇班は決まっており、今は先を見据えた練習に励んでいる。
 「チャレンジを卒業するのに1年かかったけど、次からは1、2班を走れるので。ずっと1、2班とか、S級を意識してやってきました。デビューしたばっかりの頃は、ひたすら構えてしまってて、得意なカマシとか、まくりばっかりだった。突っ張りとかもしていく内に、ペースとかもだんだんと分かってきて、後ろを連れ込めるようになりました。今はペダリングを意識して練習しています。縦に踏みつけるようなペダリングになってるって分かったので、もっと全体的にトルクがかかるような踏み方ができるようになりたい。そうすれば踏める距離も長くなると思うので」
 堀航輝も今年は7度の優勝を達成。6月高松FIIでは決勝4着で特班を逃したものの、打鐘先行で内容の濃いレースを披露した。
 「(前回は)構えて狙いにいくレースはしたくなかった。1、2班に上がっても先行で勝負していきたいし、自分の中ではやりたいレースはできたので。内容には納得しています。デビューしてレースの流れを覚えるのに時間がかかったけど、最近はちゃんと突っ張って後ろを連れていくようなレースができている。自分は器用なタイプじゃないので、やらかしちゃうことも多いけど、失敗しても勉強していきたい。動かずに終わるようなレースはしたくないですね」
 昼田達哉は昨年7月の本デビューから11月小倉FIIでの初優勝まで約4カ月の時間を要したが、そこからは順調に白星を積み重ねている。順風満帆とはいかずとも、力を付けている。
 「初優勝してから成績が安定して、レースにも余裕が持てるようになりました。昔は3番手を回ったりもしたけど、その時に普段怒らない師匠(片山智晴)に珍しく怒られた。そういう経験も生きています。前回は3日間先行できなかったし、初日の2着でいつでも油断しちゃいけないんだと思えた。そういう意味ではデカい開催でした。ちょっと休んで、練習は普段通りできました」