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決勝戦レポート

石井寛子(東京・104期)

直線強襲の石井寛子がV差し

 「長かったかな。頑張って地道に練習してきて良かったなと思いました」
 49勝をマークした昨年は13V。並の選手にとっては偉大な数字だが、石井寛子にとっては不本意な1年だった。
 「去年はボロボロでしたけど、その1年間があって今年があるので、去年は大事な1年でした」
 ビッグタイトルは一昨年8月のガールズドリーム以来、久しぶりの制覇。昨年の不振があったからこそと思えるだけの経験と練習を積んできた。
 「ガールズケイリンフェスティバル」は、一昨年の別府が771着、昨年の平723着と2年連続でのまさかシンガリスタートが響いて、優出すら果たせていなかった。それだけに「今年の目標はまずここっていう気持ちでいます」と、前検日には、並々ならぬ思いを語っていた。レースは、最終1センターで梅川風子が落車のアクシデント。石井もバランスを崩したが、立て直して最終バックではV圏内の3番手をキープした。高木真備のまくりは、石井の横でいっぱい。石井が外に持ち出すと、2番手の小林莉子に外に振られたものの、最後は練習の積み重ねがものを言った。ゴールでの佐藤水菜、小林との横一線の勝負に踏み勝った。
 「(レースは)落車があったので残念ですし、自分もコケそうになった。そこからあんまり周りは見えてなかった。最後の(ゴール前の)差すところは何回も何回も聞いたり、実戦をしてきたので、それをすべて出せたと思います」
 264万円(副賞含む)の優勝賞金を加算させて、9年連続のグランプリ出場も有力になってきた。
 「今年の目標はフェスティバル優勝することだったので、目標を達成できた。コレクションもあるけど、そこを頑張りたい。グランプリも8割くらいほぼ決まったと思うので、12月に向けていろんな人にアドバイスをもらいたいです」
 18年松戸以来の2度目の「ガールズケイリンフェスティバル」。見据えるのは年末のグランプリ2度目の制覇だろう。

 周回中から佐藤後位にいた小林莉子は、打鐘の3コーナー過ぎから佐藤が仕掛けて絶好の展開が訪れた。ゴール寸前に逃げ粘る佐藤を交わしたものの、石井の重圧に屈して2着。
 「(この2着が)惜しいというのか…。(石井)寛子さんが後ろに来ているのが見えて、慌てて踏んじゃった。絶好のチャンスが毎年巡ってくるわけじゃない。この失敗が(今年の)後半に響いてくると思う。(先行主体の)違う型の選手に負けるのとは違いますからね」

 思い切った仕掛けを披露した佐藤水菜は、軽快に風を切ってさすがのスピードを見せたが僅差の3着。
 「思ったよりも向かい風がキツかった。もう一段階、踏めた感覚がある。脚は余っていたけど、(ゴール前の)向かい風に戻された。トルクが弱いところが出てしまいました」

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レース経過

 号砲で石井寛子が出て行くが、道中で位置取りを巡る駆け引きがあり、最終的に尾方真生が石井の前に入り、尾方、石井、鈴木奈央、高木真備、梅川風子、佐藤水菜、小林莉子で並びは落ち着いた。
 打鐘で誘導は退避し、押し出るされる格好で尾方が先頭に立つ。まだペースが上がらない中、佐藤が2センターから仕掛ける。合せて踏み出す高木を制して上がっていった佐藤はホームで尾方を叩いて先制。初手から佐藤追走の小林が続き、石井が俊敏に3番手に切り替えてくる。この時に梅川が落車するアクシデント。2コーナーでは内に詰まった尾方が下がる一方、引いた高木はまくって出るが、3番手の外までで不発に。そのまま直線に入り、小林がゴール前で粘る佐藤を交わすが、外を踏んで石井が強襲。

車番 選手名 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
1 3 石井 寛子 東京 104期 L1 12 追込み
2 5 小林 莉子 東京 102期 L1 1/2W 12.1 追込み
3 1 佐藤 水菜 神奈川 114期 L1 1/4W 12.3 H B
4 2 高木 真備 東京 106期 L1 2B 12.1
5 7 鈴木 奈央 静岡 110期 L1 1B 12.1
6 6 尾方 真生 福岡 118期 L1 3B 12.5
7 4 梅川 風子 東京 112期 L1 0

松浦悠士(広島・98期)

松浦悠士が完全Vでサマーナイト初制覇

 通算5度目のビッグ制覇は、松浦悠士にとってビッグ初の完全V。3日間開催だったとはいえ、シリーズを無傷で駆け抜けた。
 「3日間の開催なんで特殊だとは思うんですけど。やっぱりこういう大きい舞台で、いいメンバーがそろったなかで全部1着というのはなかなかできることではない。3日間、番手だったんで、(清水)裕友と太田(竜馬)に感謝したいです」
 初日特選と決勝は清水、準決でタッグを組んだ太田と中四国の仲間をねぎらい松浦から自然と笑みがこぼれる。
 2車の岩本俊介、山崎賢人のラインに単騎の山口拳矢に対して、中四国は4人が結束。数的に断然有利のなかで、当然ながら松浦に人気が集まった。
レースは赤板過ぎに先頭に立った清水が、打鐘過ぎに岩本ラインを受けて3番手に入った。態勢を整えた清水が最終2コーナー手前からまくりに出たが、思いのほか岩本の抵抗を受ける。清水マークから外併走でも余裕をもった松浦が直線で踏み込む。内から山口拳矢の強襲はあったが、着差以上の確信のV獲りだった。
 「(清水は)結構、(佐藤)慎太郎さんのブロックを避け過ぎたのか、影響を受けて止まったなっていう感じはあった。でも、もう1回加速したんで、行き切るなって感じはしました。その辺の判断は難しかったですね。裕友がもうちょっと止まりそうな感じで、僕は阿竹(智史)さんと小倉(竜二)さんがいたんで、しっかり外を踏まないとと思って踏んだ。ゴール前、(山口)拳矢だったんで、あれ拳矢かと。ダービー(決勝)の時の(佐藤)慎太郎さんほどではなかったので、しっかり前に最後まで踏めば押し切れるなって思った」
 4月の武雄記念からダービー、函館記念、地元の広島全プロ記念と怒とうの4場所連続V。しかしながら、その反動もあったのか、その後はやや失速もあって、前回の小松島記念ではまさかの二次予選敗退を喫した。
 「裕友とかも相談に乗ってくれましたし、師匠(脇田良雄・66期)ともしっかり練習して相談しながら、ここまで来れたんで、自分だけじゃなくて周りの力ももらった。自分の状態が戻って結果が出たんで、そういうところはすごいうれしいです」
 “夜王”の称号を手に連覇のかかるオールスターが待っている。
 「G2という舞台で完全優勝を飾れているんで、オールスターも自分のなかですごい楽しみになりました」
 持てる力を駆使して脇本雄太を下した昨年の名古屋オールスターからもうすぐ1年。獲得賞金でトップをひた走る松浦が勢いを取り戻している。

 単騎の山口拳矢は、最終バックから内を進出。最後は松浦の内からビッグ初Vも視界に入ったが2着まで。
 「(清水が)絶対行くと思った。それで自分がどこで行くか。コースがなくなって、イチかバチか、内に行った。空いたのが見えたのでこじ開けるくらいだった。すごい悔しかったですね」

 最終2センターで松浦に遅れた阿竹智史は、直線で盛り返して3着。初めてのビッグのファイナルをこう振り返る。
 「(清水)裕友が止められて、松浦がどうするのかと思って見てしまった。すかさず拳矢が入ってきたんで、あれはすごい。初めての大きい舞台で(師匠の)小倉さんと走れて、もっとゴール勝負がしたかった」

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レース経過

 大外枠の守澤太志がSを取り、山崎賢人-守澤、岩本俊介-佐藤慎太郎、清水裕友-松浦悠士-阿竹智史-小倉竜二、山口拳矢での周回。
 青板2センターから清水が上昇を始め、赤板と同時に誘導を切って前に出る。山口がそのまま中四国勢に続き、山崎はその後ろに下がるが、岩本はすぐさま態勢を整えて巻き返す。1センターで仕掛けた岩本はバック手前で清水を叩いて先行勝負に出る。叩かれた清水だがすんなり3番手を確保し、山口、山崎は後方に置かれてしまう。最終ホームで山崎がまくりにいくが前までは遠い。清水がまくったのは2コーナー。佐藤のブロックは乗り越えた清水だったが、合せて踏み上げた岩本とスピードが合ってなかなか出切れない。バック過ぎから清水と岩本でモガキ合いとなり、一方で外に浮いた中四国勢のインを突いて山口が車を上げてくる。直線に入ってようやく岩本をねじ伏せた清水だったが、そこまでで一杯。清水の状態を見極めて踏み出した松浦が、内を突いて強襲してくる山口を制して優勝を飾った。

車番 選手名 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
1 3 松浦 悠士 広島 98期 SS 11.2 追込み
2 8 山口 拳矢 岐阜 117期 S2 1/2W 11 追込み
3 4 阿竹 智史 徳島 90期 S1 3/4B 11.2
4 5 清水 裕友 山口 105期 SS 1/4W 11.5
5 9 守沢 太志 秋田 96期 SS 1/2W 11.1
6 1 佐藤 慎太郎 福島 78期 SS 1/4W 11.4
7 7 小倉 竜二 徳島 77期 S1 3/4B 11.2
8 6 岩本 俊介 千葉 94期 S1 1B 11.7 H B
9 2 山崎 賢人 長崎 111期 S1 1W 11.4