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YOKKAICHI KEIRIN

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検車場レポート

  • 2/8 Thu.  (前検日)
  • 2/9 Fri.  (1日目)
  • 2/10 Sat.  (2日目)
  • 2/11 Sun.  (3日目)

1R

選手の写真です。
山田久徳選手

 山田久徳(写真)は昨年12月の佐世保で記念初制覇を果たした。その後も好調を維持している。


 「今年に入ってから流れもいいし、着もいいですね。先行しても残れている。最近は配分が詰まっていたり、高松記念の前に違反訓練もあったので、追い込んだ練習はできてません。でも、高松もギリギリで決勝には乗れているんで勝負できる状態だと思います。初日は1レースなんで時間との戦いですね」


 ビッグレース初出場となる清水裕友は、1レースの1番車に抜てきされた。


 「GIは初めてなので、雰囲気にのまれないようにしたいですね。まだまだ力は足りないと思います。大宮記念は感じが良かったんですけど、終わってから風邪を引きました。扁桃腺がはれて、熱も出たんですが、もう治って練習はできているので大丈夫です。1レースの1番車なので頑張ります」

2R

選手の写真です。
園田匠選手

 園田匠(写真)はここ3場所、FIシリーズの配分が続いた。決勝には乗っているが、勝ち星はない。


 「全然ダメですね。間隔が空きすぎて、レース勘が悪い。かみ合ってない感じがします。レースで走って仕上げていくタイプですから。でも、前回の広島は11秒台前半のタイムが出て、ちょっと感覚をつかめました。いつもその開催の一番時計を出そうと思っているので。FIとGIはスピード感がまったく違うので、そこだけですね。まずはしっかり(北津留)翼に付いていきます。GIは勝ち上がらないと意味がない。初日はどんなことをしても勝ちあがりたいですね」


 北津留翼は1月広島FIで3場所ぶりの優出。ビッグレースでも調整方法、走りは変わらない。


 「広島の決勝は変な走りというか、積極的に走れなかったです。終わってからは1週間空いて、いつも通り練習してきました。日曜日だけ自転車の大会に出ました。細切れ戦なんで、しっかり位置を取って仕掛けたいですね」

3R

選手の写真です。
横山尚則選手

 横山尚則(写真)は、昨年12月高松FIから記念開催も含めて5場所連続で決勝に乗っている。直前の小田原FIの決勝は絶好の番手回りを生かせず3着に敗れた。


 「決勝はもういっぱいでした。最後に内、外から行かれてしまって悔しかったです。ここまでは計画的にトレーニングしてこれました。体調の方もだいぶ良くなってます。あとは相手どうこうよりも自分のレースをしっかりしたいと思います。とにかく精いっぱいやるだけ。それしかないですね」


 菅田壱道は1月大宮で通算2度目の記念制覇を果たした。最高のムードで今年最初のGIを迎える。


 「今年は最高のスタートでしょう。前回の佐世保が終わった後、2月1日から6日まで沖縄の本島に行きました。もっと乗り込めるかと思ったんですけど、天候に恵まれなかったですね。でも、宮城ではできない練習ができました。GIはまたレベルが違うけど、不甲斐ないレースだけはしないようにします」

4R

選手の写真です。
野原雅也選手

 野原雅也(写真)は1月があっせんしない処置のため、今シリーズが復帰戦となる。近畿ライン3車の強みを生かして積極果敢に攻める。


 「12月に1本欠場して、1月はあっせんしない処置でした。久々なので、ちょっとドキドキしてます。直前は雪で外に出れないくらいの感じだったんですけど、乗れる時は乗れるところを探して乗ってました。でも室内メインだったので、仕上がりは走ってみないと分からないです。頑張るだけですね」


 山中秀将は久々の実戦となった前回の松阪記念で決勝に進出した。当地は昨年2月に記念初Vを手にした思い出のバンクだ。


 「松阪記念は久しぶりで不安がかなりありました。初日は仕掛けられない感じだったんですけど、2日目からは問題なく走れたと思います。選手はみんなそうだと思うんですけど、やっぱり勝っているバンクはいい印象だし、走りやすいと思います。どんな展開になってもしっかり仕掛けたいですね」

5R

選手の写真です。
郡司浩平選手

 郡司浩平(写真)は1月名古屋FIの決勝で落車負傷。大事を取って1本欠場して、ここに備えた。


 「休んでしっかり休養は取れました。高松記念は準備不足だったので、欠場させてもらったんですけど、その後は普通に練習できているんで、そんなに影響はないと思います。今年初めのGIなので、いいスタートを切りたいですね。初日はしっかりいい位置を取って仕掛けたいと思います」


 中川誠一郎は3カ月近く決勝から遠ざかっているが、徐々に上向いている。


 「年末にセッティングとか試して、ちょっとずつ良くなってます。ここに向けても練習はボチボチやってきました。今年の中では状態は一番いいと思います」

6R

選手の写真です。
早坂秀悟選手

 早坂秀悟(写真)は昨年12月の伊東で待望の記念初優勝を飾った。1月松阪記念の決勝は後方に置かれて見せ場なく敗れた。


 「松阪は感じが良かったんですけど、最後はミスしてしまいました。しっかり考えて組み立てないとダメですね。練習はしっかりできているし、気持ちの面でもいまは充実しています。初日は自力で力を出し切ります」


 山崎芳仁は1月西武園FIでオール連対のV。連日、力強い自力勝負を披露した。


 「西武園は踏んだ感触が良かったですね。だんだん自力が多くなって、自力の感触をつかめてきました。あとは人の後ろでどうかですね。(早坂に)離れないようにしっかり付いていきたいですね」


 杉森輝大は直前の高松記念で決勝進出を逃したが、好感触をつかめた。


 「最近は良かったり悪かったりですね。うまくかみ合えば勝負できると思います。高松記念で試したいことも試せました。終わって中3日なので調整程度です。四日市は4回目ぐらいで走りやすいイメージがあります」

7R

選手の写真です。
山田英明選手

 山田英明(写真)は昨年末の平塚グランプリシリーズの決勝で落車したが、今年は小松島FI、松山FIで連続優勝を飾った。


 「松山が終わってから体調を崩しました。去年、落車が続いたこともあるので、大事を取って高松記念は欠場しました。休んで練習もできたんですが、走ってみないとわからないですね。GIなんで気を引き締めて走ります」


 新山響平は昨年の終盤戦から成績が下降線をたどっている。今年最初のGIで悪い流れを変えたい。


 「脚というよりも気持ちの問題ですね。高松記念は決勝に乗れなかったけど、準決勝は自分のやりたいレースに持っていけた。あれがもっとレベルの高いところでできればいいと思います。一瞬でも迷うと遅れてしまうので、迷わないでしっかり仕掛けたいですね。中3日だったけど、その中で疲れが残らないように乗り込んで密度の濃い練習ができました」

8R

選手の写真です。
原田研太朗選手

 原田研太朗(写真)は1月小田原FIで逃げ切りVを達成。昨年の終盤戦から好調を持続している。久しぶりの予選スタートに気を引き締める。


 「今回は久しぶりの予選なんで、そこだけですね。いい緊張感です。昨年の後半は成績が悪かったので、ビッグレースはしばらく予選スタートになりそうだし、うまく乗り越えたいですね。最近の成績はいいし、状態もいいと思います」


 高橋陽介は1月奈良の決勝で後方7番手から豪快にまくって快勝。3年ぶりの優勝を飾った。


 「最近は番手がすごく多かったんですよ。追い込み用のセッティングを試していたんですが、いろんな人のアドバイスで番手の時も自力用のセッティングで走ることにしたんです。そうしたら迷いが消えて感じがいいですね。厳しく位置を取ったりしても余裕があります。奈良の前から急激に調子もよくなりました。初日は番手でどれだけやれるか。タテに踏むというよりもまずはヨコに動きたいですね」

9R

選手の写真です。
太田竜馬選手

 太田竜馬(写真)は、前回の高松記念で2度のシンガリ負けを喫した。人気を背負って7番手不発の準決をふまえて、4度目のGIに気持ちを切り替える。


 「高松は残念な結果でした。上手に走れてないんで、もう少しうまく対応できればいいんですけど。勢いだけではダメですから、走り方を修正していきたい。中3日で練習はそれほどやってない。脚の方は大丈夫だと思います」


 昨年9月の向日町では太田の番手から10年以上ぶりとなる記念制覇を飾っている小倉竜二は、“定番”となりつつある同県タッグに淡々としたもの。


 「夏くらいから良かったけど、ちょっと落ち気味な感じがします。でも、成績はまとまっている。(中10日で)そこそこ日にちがあった。バンク練習はしないで、ジムとか室内練習がメインです。中10日なら(レース勘も)大丈夫でしょう。まぁ、(太田は)どこからでも行けるでしょう」


 成清貴之は前回の西武園FIを616着。決勝は別線勝負の田中晴基に飛び付かれて不本意な結果に終わった。


 「悔しかったけど、そのあとに合宿に行って練習してきました。自分なりにはいい感じでできたし、調整もしっかりできた」

10R

選手の写真です。
三谷竜生選手

 昨年5月のダービーでタイトルホルダーの仲間入りを果たした三谷竜生(写真)は、前回の高松記念を3111着でダービー以来の優勝を飾った。落車による怪我の影響もあって、精彩を欠いていた時期もあったがようやく復調ムード。


 「中3日だったんで、(前回の高松記念から)そのままの感じですかね。感覚が良かったし、今回もそのまま走ってと思ってます。スピードの乗りがいい感じだった。(今年はS級S班でその責任を)感じながらやっていこうと。期待されているのもわかりますし、それを感じて走りたい。1月は調子があんまりだったけど、2月に高松記念獲れたんでしっかりやりたい」


 平原康多は立川記念Vで幸先のいいスタートを切ると、続く大宮記念を1115着。今年8戦6勝と抜群の勝率で、連覇のかかる今シリーズの臨む。


 「(前回から)体調を崩すことなくしっかり(練習を)やることはできた。(四日市は)直線が長いし走りやすいですね。中村(浩士)さんも後ろを回ってくれるし、(3番手がいるのは)大きいと思います」


 前回の松阪記念を7641着と一息だった岩津裕介は、悪いなかでも新たな光を見出しこう言う。


 「(松阪で)自分のなかでこうかなっていうのが見つかった。それに向けて体を変えていかなきゃいけない。すぐに出るっていうものでもないんで、大きな課題ですね。いまの感じでは良くないっていうことはわかった。去年もいろいろやった。でも、やったことがかみ合ってなかった。大きくズレているわけではないんですけど」

11R

選手の写真です。
坂口晃輔選手

 関東3車の先頭を務める木暮安由は、前回の松阪記念を2745着。プラスアルファを求めて新車を投入する。


 「(前々回の)小松島で落車して肩を打ったけど、それから悪くはないですね。フレームが壊れたわけではない。でも、今回から新車にします。(昨年の)オールスターとかで調子が良かった(フレームの)形と寸法がまったく同じのをつくり直した。楽しみですね」


 松阪記念決勝では好ポジションキープも南関勢がつくり出したハイペースにいっぱいだった村上義弘は、無念の5着。18年最初のGIに静かに闘志を燃やしている。


 「(近畿勢が)頑張ってますよね。自分も負けないようにしっかり。ワッキー(脇本)はどうなんですかね。自分はまだまだ課題が多いし、ひとつひとつです。(松阪の決勝も)もっと余裕があれば」


 GIで初めての特選スタートが地元の舞台。ここに照準を合わせきて来た坂口晃輔(写真)は、前回の松阪記念でさらなる上昇へのキッカケをつかんだ様子。


 「ここでの全日本選抜が決まって、最低限、(GIに)出るっていうことから、特選が見えてきた。(選考期間の)半年間を戦い切って、GIの特選に初めて乗れて、それが地元ですから。流れがつながっている感じがします。松阪ではいろんな人としゃべって、ヤマコウさん(山口幸二・62期、引退)のピンポイントのアドバイスで抜群に(自転車が)進むようになった。松阪より確実に(いい状態に)もってこれた。走るのが楽しみです」

12R

選手の写真です。
浅井康太選手

 昨年2度目のグランプリ制覇を遂げた浅井康太(写真)のホームバンク凱旋シリーズ。前回の松阪記念では準決で1着失格の途中欠場も、動き自体は悪くなかった。


 「鼻が詰まって花粉症気味ですね、(仕上がりが)ボチボチだと思うし、あとは走ってみて。(ホームバンクのGIでも)いつもと同じで意識することなく、ひとつのレースとして(集中するだけ)。しっかりとレースをしようと思っています」


 「気持ち一本でやっている。自力を出して終われるように」と、吉澤純平は初日から完全燃焼を約束する。


 「(大宮記念の)決勝はワンポイントズレて(仕掛けて)行ってしまった。(後ろが平原康多で)行くしかないと思って踏んだら、結構行けましたね。もうちょっとうまくやれていればよかった。(平原とは)一緒に練習をさせてもらってるし、武田(豊樹)さん、平原さんに聞いたりできるんで環境的には恵まれてます」


 昨年はGIの優出がかなわなかった古性優作だけに、GI開幕に気を引き締めて巻き返しを誓う。


 「去年はGIの決勝に乗れてないですから。安定して決勝に乗れるように。もう(GIが)始まるのかっていう感じです。調子は悪くないし、体の使い方もだいぶ良くなってきた」

1R

選手の写真です。
清水裕友選手

 赤板で押さえに来た山田久徳を前受けの飯野祐太が突っ張る。山田はいったん3番手まで下げて、清水裕友(写真)と併走。飯野の様子をうかがい打鐘の4コーナーから叩いた山田が主導権。内に包まれていた清水だったが、山田のアクションで視界が開ける。最終2コーナー手前からまくりを放った清水が、ラインを上位独占に導き、初のGIの大舞台でいきなり勝ち星を挙げた。


 「(中団併走から)下げてあそこで7番手になるとっていうのがあったんで、微妙な判断でした。結果オーライ。理想はそう(別線が切った上を先行)ですけど甘くなかった。前の2人(飯野、山田)が踏み合って、僕だけ脚を使ってなかった。あとはタイミングですね。あれで内に詰まって終わってたら、なんのために練習しているんだって」


 「強いっすね」とは、清水のまくりをとらえ切れず2着の池田良


 「(清水は)パワーアップしているし、安心していられる。裕友のスピードだったら、もっと距離が長くないと(交わせなかった)。だいたいどんなスピードかわかったんで(次は)…」


 先行態勢の飯野がペースを上げないのを見て、外併走から叩いて出た山田久徳が4着での勝ち上がり。


 「あの低速じゃ(清水を)キメにいっても…。あのまま(飯野が)逃げてくれれば、併走でも良かったんですけど。(出てからは)1周くらいしか踏んでない。それで(清水に)結構、スポーンって行かれた。もうちょっと合わせられれば。悔しいですけど、脚自体は悪くない」


 

2R

選手の写真です。
神山拓弥選手

 赤板から長島大介が上昇してインを切ると、渡邉雄太がすかさず叩いて打鐘発進。最終ホームは一本棒で通過して、北津留翼は8番手に置かれる。6番手から高橋和也がまくると松谷秀幸が3コーナー、2センターとブロックを見舞う。あおりで全体が外へ膨らんだ隙を見逃さず、海老根恵太のインに入った神山拓弥(写真)が鋭く伸びて1着をさらった。


 「長島君が位置取りを頑張ってくれた。あとは流れで。海老根さんのところが空いてくれたんで、うまく入っていけました。競輪は今年初めてみたいな感じだったので、緊張しましたけど、勝ててよかったです。準決勝、決勝にいけるように頑張ります」


 北津留翼は高橋ラインを追う形から懸命に大外をまくり上げて2着に食い込んだ。


 「先輩(園田匠)に悪いことをしました。前のあおりもあって行けなかった。一発は来ると思っていたんですが、2回にわけてきたのでビビりました」


 番手絶好展開となった松谷秀幸は、3着で二次予選に進出した。


 「(渡邉が)すごい頑張ってくれました。ちょっと早いかなって思ったんですが、気持ちの入ったレースをしてくれました。もうちょっとうまく走れればよかったけど、内外から来ちゃったんで。課題ですね。脚の感覚はいいです」


 

3R

選手の写真です。
稲毛健太選手

 打鐘手前から踏み上げた稲毛健太(写真)が、横山尚則を叩いて主導権を握る。近畿コンビに続いた菅田壱道は、横山をキメて3番手をキープ。神山雄一郎が自力に転じてまくり上げると、最終3コーナー過ぎの三谷将太のけん制で菅田、和田圭が落車。後続のアクシデントをしり目に、そのまま稲毛が押し切った。


 「とりあえず先行ができたら結果が出ている。不発の時は9(着)が多いんで、初日から積極的に行こうと思っていた。和歌山で練習している感じは悪かった。練習では調子が良くないけど、レースはレースだと思ってやりました。横山君も菅田さんも緩めたら来るだろうし、流しすぎないようにっていうのはあった」


 半車輪まで詰めたところがゴールだった三谷将太が、流れ込んで近畿ワンツー。


 「どっちかっていうと(菅田)壱道より神山さんの方が来ていたから(けん制した)。(神山は)マーク選手だからちょっと振ったら止まるかと。ただ、ニューシューズが失敗しました。また調整します」


 「VTRを見た感じだと、昔と全然違いますね」と、自ちょう気味に笑う神山雄一郎。キメられた横山が後退すると、まくりに転じるも3着がいっぱいで、こう続ける。


 「なんとか勝ち上がれた。(まくりは)2車分出た(笑)。自然の流れでああやって外に持ち出して踏み上げられた。なんとなく状態とか気持ちとかは上向きだと思う。冷静にできましたね」


 

4R

選手の写真です。
山中秀将選手

 5番手から早めに動いた阿竹智史が赤板前で誘導員を下ろして先頭に立つ。野原雅也が打鐘前に阿竹を押さえて主導権。前受けから8番手まで下げた天田裕輝は4コーナーから反撃に出るが、野原が合わせ切る。最終2コーナーから山中秀将(写真)が大外を豪快にまくって快勝した。


 「自分のなかで思っていたタイミングで行けました。行こうと思った時に体が動いてくれました。前回の松阪よりも自信を持って臨めています。決勝に乗らないと勝負できないですからね。まずはそこの舞台にしっかり立てるようにします」


 渡邉晴智が完璧マークで2着に流れ込み、人気の南関コンビで連を独占した。


 「強かったです。もう必死でした。付いていっただけです。抜ける感じはしなかったですね。決まってよかったです」


 

5R

選手の写真です。
中川誠一郎選手

 松岡健介、郡司浩平の順番で出て、郡司が先行態勢からペースを上げる。もつれた3番手がほどけて、6番手の吉田敏洋が最終2コーナーから仕掛ける。後方で吉田ラインに乗った中川誠一郎(写真)が、大外を突き抜けた。


 「いったん切ろうと思ったけど、誘導が上がっちゃいましたね。吉田君はカマシなり、なんなりで仕掛けてくれると思っていた。展開が向いただけでなんともいえない。でも、(ラインで)結果ワンツーなので、判断は間違っていなかったのかなと思います」


 車間を詰めた最終ホームでの仕掛けをちゅうちょした吉田敏洋は、再びまくって前団をとらえるも3着。


 「ホームで行けたと思ったけど、様子を見てしまった。(仕掛けてからは)いい感じで踏めたので、(前団を)とらえられると思った。でも、3コーナーでモタついたこともあって、(中川)誠一郎に行かれてしまった」


 

6R

選手の写真です。
早坂秀悟選手

 後ろ攻めになった杉森輝大が、早坂秀悟にいったんフタをしてから打鐘の3コーナーで踏み込む。4コーナーからすかさず反撃に出た早坂は芦澤辰弘のブロックを乗り越えて最終バック過ぎに出切る。ピタリと続いた山崎芳仁が直線で鋭く差し切った。


 「最近は自力の状態もいいので、付いていても余裕がある。早坂君が一瞬合わされたかなと思い、自分で出る準備をしたけど、その後に(早坂の)車が伸びていったね。この大会は3度優勝していて相性がいいので、チャンスがあれば狙いますよ(笑)」


 早坂秀悟(写真)はタイミングを逃さずにスパート。山崎と北日本ワンツーを決めた。


 「流れのなかで体が反応しました。いい状態を保っているし、力を出すタイミングを間違わなければ結果を出す自信はある。いままでやってきたこともあるので、最近は組み立ても好きにやらせてもらえるようになりましたね」


 

7R

選手の写真です。
大塚健一郎選手

 赤板の2コーナーで押さえて出た新山響平が、後続を一本棒にしてレースを支配する。山田英明が抜かりなく4番手。最終ホーム手前から新山が、ペースを上げて逃げる。車間の空いた山田は、2コーナー過ぎから詰める勢いでまくって白星を飾った。


 「車番も良かったんで新山君の後ろから攻めて、あとは流れでと思ってました。やりやすかったですね。ただ、誰も仕掛けて来る人がいなかったし、(新山の)ペースに持ち込まれるのが嫌だった。車間が空いてマズいなっていうのがあった。自力選手だから仕掛けないと。仕掛けるのが遅かったのは反省です。去年のGIを見ていると、自分は勝ち上がりが良くない。だから(今回は)しっかり初戦を勝ち上がってと。あとは日に日に(調子が)上がっていけば。とにかく初日が大事だって思っていた」


 逃げる新山の番手の菊地圭尚は、山田のまくりを再三けん制するも止まらず直線で追い込んで2着。


 「(山田が)詰めるような感じで一気に来てる感じだったんで、気持ち早く踏ませてもらった。(新山の掛かりも)イマイチだった気がしますね。脚自体は問題ないんで、自分は大丈夫です」


 山田マークの大塚健一郎(写真)は、直線で外を踏んで3着も手応えありの顔をする。


 「中かと思ったけど。あのコースが見えただけで十分。いままでは見えなかったんで。ヒデちゃん(山田)クラスだと外に付いているだけでもね。久々に楽しみ。2年ぶりくらいに方向性が見えた」


 

8R

選手の写真です。
香川雄介選手

 後ろ攻めから早めに動いた原田研太朗が赤板過ぎに誘導員の後位に収まる。2コーナーから踏み込んだ和田真久留に対し、坂本貴史もすかさず反撃に出る。岡村潤のアシストで坂本の後位に和田がはまるが、前団のもつれを原田が鮮やかにまくり切る。これに乗った香川雄介(写真)がゴール寸前で原田をとらえた。


 「原田は後ろから動いて脚を使っていた。強かったです。サラ脚のまくりなら抜けてないね。坂本が来てくれていい展開になった。付いていて全然、キツくなかった。ここ最近はずっと調子がいい。自分の脚じゃないみたい。あと何年、この位置で走れるかわからないし、一戦一戦、しっかり走りたい」


 原田研太朗は最終2コーナーからまくって前団をひと飲み。四国ラインを上位独占に導いた。


 「運が味方して、自分の展開になりました。寒くて踏み出しは重く感じました。でも初日にしてはいいのかな。ラインで決まってよかったです。でも、差されるとは思わなかったです。香川さんは仕上がってますね」


 ライン3番手の佐々木則幸が懸命に続いて3着をキープした。


 「(原田)研太朗のまくり展開になって、付いていけば3(着)だと思いました。もう必死でした。なんとか付いていけてよかったです。ちょっとでも上のレースを走りたいですね」


 

9R

選手の写真です。
大槻寛徳選手

 打鐘で先頭に立った小松崎大地に太田竜馬がすかさず襲いかかり、両者で激しく踏み合う。太田が厳しいと見るや小倉竜二が最終バック前で自ら踏み上げる。逃げる小松崎の抵抗を乗り越えたが、その後位に切り替えた大槻寛徳(写真)が鋭く伸び切った。


 「小松崎君が駆ける気が満々でしたね。ホームで(太田を)止めていればよかったけど。小倉さんのまくりにも小松崎君が合わせてくれた。すごい強かったし、仕上がっていますね。(自分の)脚の感じは戦えそう。(レースの)スキルやコース取りですね。前回の決勝でも南修二君のコース取りとかはすごいと思ったので」


 太田が不発の展開から自力に転じた小倉竜二が2着に入った。


 「(太田は)前だったら出切る力なのに合わされていましたね。行き切る感じがなく止まってしまった。あそこにいても桐山(敬太郎)君にまくられるだけなので(踏んでいった)。小松崎君に合わされてキツかったですね。もう力が残っていない」


 小松崎大地は果敢な先行勝負で4着。なんとか勝ち上がりを決めた。


 「太田君は見えていたので合わせることができた。桐山さんも来ていたし、どこでも流せずに、休まず踏んだのが良かったかもしれない。ここでいいレースをできればなと思っていたので勝ち上がれてよかった」


 

10R

選手の写真です。
平原康多選手

 赤板でインを進出した吉田拓矢が、2コーナーで先頭に立って先行の腹を固める。打鐘から反撃に出た三谷竜生に合わせて、吉田もペースを上げて全開。平原康多(写真)は逃げる吉田の番手で三谷を止めたものの、自力にチェンジしてまくった稲垣裕之を張りながら早めの追い込みで抜け出した。


 「稲垣さんを振って戻った時に、(吉田の)外に差し込んだんでそのまま行かせてもらった。あれで踏まなかったら、(後続に)のみ込まれていたと思う。彼(吉田)の頑張りがあって、中村(浩士)さんと決めることができた。その気持ちを大事にしたい。グランプリが終わってから中3日で同じような緊張感で立川記念があって、緊張感を切らさずに走れている。毎年、(新年で)リセットする時間がないけど、それもいい方向にいっていると思う」


 大立ち回りの平原の後ろでインをきっちり締めていた中村浩士が2着。


 「周りのスピードがすごかったんで、自分は大変でした。でも、しっかりしたラインでの戦いができて満足ですね。平原とも競輪っぽい、いいレースができたねって話になったんで」


 前受けから関東ラインの後ろを確保した坂本亮馬は、横一線の3着争いを制した。


 「単騎の僕は赤板で“放置プレー”にされましたね(笑)。あとはシンプルに組み立ててと思ってました。このメンバーでどうにか凌げているんで、戦えるのかなっていうのがある。好調といえないなかで、自分の状態に沿った組み立てをしたのが良かったかなと」


 

11R

選手の写真です。
新田祐大選手

 赤板を通過しても隊列は崩れず、後方に構えた脇本雄太は1センターからダッシュを利かせて主導権を奪う。脇本がハイペースでそのまま逃げるも、7番手でじっくりとタイミングをうかがっていた新田祐大(写真)が最終2コーナー手前からまくり一気。同県の佐藤慎太郎を置き去りにして、楽に前団をのみ込んだ。


 「詰まってなかったんですけど、(無理やり仕掛けて)行きました。(中団の)木暮(安由)さんが行かない可能性もあるし、(木暮が)まくり追い込みだとキツくなるんで。自分は全然、自転車が進まなくてマズいなっていうのがあった。(グランプリ以来のレースで)緊張感のあるなかで走れました。一番は(ナショナルチームのアメリカ合宿後で)自分がどれだけ力を発揮できるか。実戦でどれだけ力がついているのか。(初日の)レースで通用するのか、しないのかでした。ただ、レース内容としてはヘタクソだった。まだ、全然疲れが抜けていない状態なんで、抜けた時に進化がわかるんじゃないかと。今後のレースで、進化したっていう結果につなげたい」


 脇本の番手で木暮のまくりを阻んだ村上義弘は追い込み2着。修正の余地を残しながらも、2日目は「スタールビー賞」にコマを進めた。


 「ギアを換えてみたけど、あんまりアタリが良くなかった。(2日目は)元々使っていたギアに戻します」


 木暮の余力を見極めて反応が遅れた武田豊樹は、反省まじりに外を踏んでの3着を振り返る。


 「木暮君が力尽きている感じだったし、あれなら新田君の後ろにスイッチでしたね。まだ課題があります。番手が村上君ですから、あの外は(木暮も)厳しいかもしれないと。それでも(まくって)勝負してくれた。自分は悪くないと思います」


 

12R

選手の写真です。
吉澤純平選手

 後ろ攻めから早めに動いた吉澤純平(写真)に合わせて中団から竹内雄作も踏み上げる。浅井康太が遅れると、赤板で吉澤が竹内の後位に収まる。浅井は5番手まで下げ、古性優作が7番手の態勢で打鐘を迎える。浅井は追い上げず、竹内がペースを上げて最終ホームを通過。2コーナーから番手まくりを放った吉澤が後続の追撃を力強く振り切った。


 「(竹内の後位が)空いていたんで1回入って、(浅井が)追い上げて来なかったので、そこは落ち着いていきました。2周前から(レースが)始まって、竹内君も緩めずにペースで踏んでいました。はまったとはいえ、脚はしんどかったです。なんとかという感じですね。展開も向いているし、全体的にいい方向にいっていると思います」


 絶好展開となった諸橋愛は吉澤を交わせず2着。それでも表情は明るい。


 「結果オーライですね。押さえきっても面白かったけど、(吉澤)純平が落ち着いてました。浅井が追い上げて来ると思ったけど、来なかったですからね。全然、差せる気がしなかったですけど、ラインでワンツースリーなんでよかったです」


 関東コンビの3番手を選択した成田和也が、3着に流れ込んだ。


 「展開が良かったです。でも、キツかったです。諸橋さんとは一緒に練習させてもらったこともあるので、信頼して走れました。3人で決まってよかったです」


 落車明けの竹内雄作は、後位に別線がはまってしまう厳しい流れで9着に沈んだ。


 「落車の影響はまったくなかったけど、レース勘に問題がありました。ちょっとオーバーペースでしたね。もうちょっと冷静に走れればよかった」


 後方7番手からまくった古性優作は車が思うように進まなかった。


 「久しぶりに人任せのレースをしてしまいました。車輪を新しくしてあんまりよくなかったので、いつものに戻します」


 

1R

選手の写真です。
鈴木庸之選手

 渡邉雄太にフタをされた金子幸央だったが、渡邉が押さえて出て先行態勢を取るとすかさず反応。強引に叩いて主導権を奪う。番手の鈴木庸之(写真)は松岡健介がまくりで迫るとやむを得ず発進。番手まくりでGI初勝利を飾った。


 「(番手から)出て行きたくはなかった。でも、(松岡に)2コーナーの下りで行かれたら、意味がないですから。最後は東口(善朋)さんに差されたと思ったけどよかった。(番手から)出ていって2着じゃぁ、(金子に)申し訳ないんで」


 関東勢の番手まくりで松岡は、直線の入り口でいっぱい。東口善朋が中のコースを伸びて2着に入った。


 「(松岡)健介さんはここっていうタイミングで行ってくれるし、自分も構えていた。健介さんのスピードが良かったんで、行き切るかと思ったんですけど。自分は朝倉(佳弘)君と健介さんのアンコになって、コケると思ってバックを踏んだ。そこからだったんで、直線が長くて助かりました」

2R

選手の写真です。
松岡貴久選手

 青板から早めに動いた松岡貴久(写真)が誘導の後位に収まる。打鐘前に高橋和也がインを切ると、その動きを追った横山尚則が叩いて主導権を奪取。3番手をキープした高橋が北野武史を連れて最終2コーナーからまくったが、その後位にいた松岡が2センターからまくり気味に仕掛け鋭く突き抜けた。


 「早くレースを動かしたのは、風向きと寒さもあり押さえる段階で脚を使いたくなかったから。あとは佐藤友和さんが打鐘でカマすかくらいで、ほかは流れのままです。踏んだ距離も短かったので、そこまでいい感触が残ったわけじゃない。堤(洋)さんは自分で2着に突っ込んできた感じでしたよ」


 2着は高橋を利した北野と松岡マークの堤洋で同着となった。


 「(松岡)貴久がまくり追い込みだったけど、2着まで届いたからね。伸びはいいと思う。今年に入り古いフレームを引っ張り出して乗っているけど感じいいんだよ」


 45歳の北野武史もしぶといレースぶりで奮闘している。


 「高橋君がいい位置を取って仕掛けてくれた。ほかの記者さんに、あのまくりを抜けるなら大丈夫だよって言ってもらえたからいいんでしょう(笑)。でも、12月の状態と比較すると少し足りないかな」

3R

選手の写真です。
郡司浩平選手

 打鐘手前でじわりと押さえた野原雅也がいったんペースを落とすと、6番手の郡司浩平がカマシを断行。最終1センター過ぎに郡司が中近勢をのみ込んで、岡村潤が番手で車間を空ける。別線の反撃をギリギリまで引きつけた岡村が、直線で楽に郡司を交わして1着。


 「(郡司は)あのままでも悪い位置じゃないんですけど、あそこを行ったのはさすがですね。野原が後ろにいたし、(まくって来た)飯野(祐太)も見えました。どっちが来たとしても、詰める勢いで1回もっていけばいいかなと。やるだけのことはやって、結果がついてくれば」


 後方の飯野を警戒しながら打鐘の2センターから仕掛けた郡司浩平(写真)が、別線を完封して南関ワンツー。


 「飯野さんがいつ飛んで来るかなって。あのまま(野原の)ペースが上がっていけば良かったんですけど。あれだと飯野さんの前に行った方が。練習ではそうでもなかったですけど、(踏んでいる)イメージがちょっと違いますね。(前回の)落車とかもあって、シューズとかを微調整しないと」

4R

選手の写真です。
桐山敬太郎選手

 後ろ攻めから早めに動いた井上昌己が赤板前に誘導の後位に収まる。前受けの新山響平はいったん3番手で粘るが、結局、7番手まで下げる。3番手となった桐山敬太郎(写真)が打鐘前から一気に踏み込んで主導権。打鐘の4コーナーから反撃に出た新山は伊勢崎彰大のけん制で勢いが止まる。最終2コーナーで伊勢崎と接触した松浦悠士は落車する。粘る桐山をゴール寸前で伊勢崎がとらえるが、斜行により失格。逃げた桐山が1着に繰り上がった。


 「前のレースで(郡司)浩平がいい走りをしていたので触発されました。(初手で)中団をたまたま取れて、いい感じで先行できそうだなって。それでも出られるようなら、番手勝負を考えてました。思ったよりも掛かっていたと思います。状態はいいと思っていたけど、駆けて確認することができた。でも、(伊勢崎の失格は)ちょっと残念。なんとも言えないですね」


 新山が不発の展開から伊勢崎の後位に切り替えた高橋陽介が2着に入った。


 「新山は前がかかっている時に行っちゃいましたね。あれはキツかったと思います。ギリギリまで待ってから降りて、最後は突き抜けるかと思ったんですけどね。このクラスはみんな強いからダメでした。自分の感触はよかったです」

5R

選手の写真です。
天田裕輝選手

 後ろ攻めの坂本貴史は、3番手の太田竜馬にしばらくフタをしてから打鐘で踏み込む。先頭に立った坂本貴史が流すと、4コーナーの下りを利用して太田竜馬が抜群のスピードで一気にカマす。太田後位で競っていた阿竹智史と東龍之介はともに離れる。北日本コンビが太田を追いかけるが、差は縮まらない。最後まで太田のスピードは落ちることなく、先頭でゴール線を駆け抜けた。


 「冬はだいぶ苦手だし、バンクも重く感じたけど、いつもよりスピードのかかりがよかった。(後ろの競りは)押さえて駆けるときは気を遣うけど、こういう展開ではね。自分のタイミングで落ち着いていけたのが一番です。ラスト半周は長く感じたけど、1着を取れたのは大きい」


 北日本コンビの後位から組み立てた単騎の天田裕輝(写真)が、直線で外を伸びて2着。


 「(坂本)貴史が絶対に行くと思っていたので(北日本コンビの後ろにいた)。太田君が仕掛けて来たけど、合わせてしまうと思ったし見てしまいましたね。太田君の仕掛けに切り替えていければよかったのですが。自分だけ脚を使っていなかったし、直線が長いから2着に届いた」

6R

選手の写真です。
山田英明選手

 打鐘の3コーナーでインを盛り返し先頭に立った吉田敏洋を和田真久留がカマシ気味にとらえて逃げる。すかさず巻き返した稲毛健太が南関勢に迫り、最終3コーナー過ぎに稲川翔と渡邉晴智が絡んで落車のアクシデント。外に避けてまくり追い込んだ山田英明(写真)が連勝のゴール。


 「展開を見て稲川君は内に降りると思ったけど、稲毛君が浮いてきたらその外を回ると間に合わない状況だった。そしたら落車がって、結果的には勝てた感じです。昨年の後半は苦しい時期があって、少しずついろいろなこと試していた。その時間は無駄ではなかったと思います」


 内よりのコースに降りかけた岩津裕介は、間一髪で巻き込まれずに2着流れ込み。


 「初日に自分で仕掛けた感触が良かったので、いい方向へ向かっているなと。最近は同じレベルのコンディションをキープすることが難しかったけど、今回はいいと思う」

7R

選手の写真です。
原田研太朗選手

 上昇した杉森輝大を赤板で突っ張った脇本雄太が、後続を一本棒にして駆ける。杉森は再び8番手で、原田研太朗(写真)は単騎の海老根恵太を前に置いて5番手をキープ。最終2コーナー手前から踏み出した原田が、逃げる脇本を直線の入り口でとらえて1着。


 「(周回中に海老根を)入れる形になったんですけど。タラレバですけど、あの位置(4番手)だったらっていうのはありますね。自分だけ脚を使ってなかったし、初日同様に(ラインの)3人で決まるイメージで走った。でも、(海老根がいて前が)4車だったんで…。自分のスピードが足りなかったっていうのもある。(脇本は競技で)世界を獲った選手だし、リスペクトしている。いい力比べができて、お互いの持ち味を出せた。久しぶりの(GI)準決ですね」


 脇本を利した坂口晃輔は、直線で小倉竜二との攻防を制しホームバンクで準決進出を果たした。


 「(原田を)止めれんかった…。ワッキー(脇本)も掛かってたし、引きつけてと思っていたら逃げられてしまった。あれ以上(内を)空けたら、小倉さんあたりに入って来られるかもっていうのがあった」


 坂口と小倉のせめぎ合いのあおりを受けた渡部哲男だったが、外を伸びて3着。


 「ハコ同士(小倉、坂口)のが目に入ってきた。横の動きが大きかったし、内(のコース)はなかった。それで思い切り外を踏みました。まくりの3番手っていうのは難しいですね。ただ、感触が良かったんで安心しました」

8R

選手の写真です。
稲垣裕之選手

 打鐘前に誘導を下ろして前に出た古性優作を、吉田拓矢が押さえて主導権を握る。これを受けて古性が3番手を確保、松谷秀幸が6番手、中川誠一郎が8番手で最終ホームを通過する。古性は4コーナーからの追い込み勝負。その外を稲垣裕之(写真)が鋭く伸び切った。


 「古性が前々に攻めてくれたおかげです。冷静な判断だったと思うし、2人でゴール前勝負ができた。どんな位置でも1着をイメージして走っている。この展開で1着が取れて、ワンツーが決まっているんで、体調は問題ないです。去年の競輪祭のあとは試行錯誤しながら、結果も徐々に出てきていると思います」


 危なげないレース運びで古性優作が2着に入り、近畿ワンツーが決まった。


 「いつも通りの自分のレース、リズムで動けたと思います。あの仕掛けになってしまったけど、ラインで決まったんでよかったです」


 吉田の先行をフルに利した神山雄一郎が3着に入った。


 「掛かってました。(吉田)拓矢の後ろで付いていくだけでいっぱいでした。もう1車、香川(雄介)が3番手に付いていてくれたら面白かったですけどね。(古性に)3番手から来られたんで厳しかった」

9R

選手の写真です。
山田久徳選手

 打鐘過ぎに先頭に立った清水裕友が緩めると、8番手の早坂秀悟が踏み込んで最終ホーム過ぎに両ラインが重なる。木暮安由より前にポジションを取っていた山田久徳は、最終2コーナー手前から先まくり。余裕をもって続いた椎木尾拓哉が山田を差し切った。


 「1回動かしてから、自分たちは木暮さんより前にはいないとって思っていた。(前回の)西武園が悪すぎたんで、一日、一日をしっかりと考えながらやってきた。(GIの)大舞台で1着が取れて、流れが変わったんで良かった」


 清水を突っ張り気味に踏んで好位を確保した山田久徳(写真)は、木暮より先に仕掛ける内容の濃い走りで2着。


 「自分で脚を使って位置を取っていこうと思った。でも、結構しんどかったですね。位置を取ってからも2コーナーから仕掛けられているし、記念を獲ってからGIでもモチベーションが上がっている。自信をもって走れている」


 近畿勢に続いて外を踏んだ木暮安由だったが、前を交わせず3着で二次予選をクリアした。


 「(清水ラインに)付いていって、併走になるくらいならと思って下げた。落ち着いてはいましたね。本当に前に付いていっただけ。それでも勝ち上がらないと意味がないんで」

10R

選手の写真です。
和田健太郎選手

 3車の近畿ラインが主導権を握ると、池田良と小松崎大地で中団が併走。後方で前団の様子をうかがっていた山中秀将は、最終1センター過ぎから踏み込んで逃げる三谷竜生に襲い掛かる。山中のスピードに村上博幸も対処できず、山中が三谷をとらえて和田健太郎(写真)が続く。千葉コンビの1着争いは、ゴール寸前で交わした和田に軍配。


 「僕は(山中を)マークして、それで差せるかどうかの勝負だけだった。勝因の8、9割は山中で、僕はその残りですよ。道中の細かい組み立てから、(山中は)すべて全て考えているんで」


 村上に仕事をする隙を与えずタイミングよくまくった山中秀将の動きの良さが光った。


 「インを切ったあとに、誘導を残したことで小松崎さんと三谷君が少しでも踏み合いになるように組み立てた。トップクラスは大きな脚力差はないので、その辺の積み重ねが大事ですね。平原(康多)さんや武田(豊樹)さんは、そのあたりがホントに優れている。僕も見習ってあのレベルを目指していきたい」


 千葉コンビに屈した近畿勢は、番手の村上博幸が3着に入るのが精いっぱい。


 「(山中の)スピードが違ったね。(2日目のバンクの)この状況で対応するには、自分にもっと自力の脚がないと難しかった。雨も降っているなかで、あのまくりを止めるのは…」

11R

選手の写真です。
山崎芳仁選手

 前受けから7番手まで下げた竹内雄作は、赤板の2コーナーから山降ろしでスパート。先行態勢に入っていた北津留翼も同時にフルアクセルで踏み込む。北津留の突っ張りで竹内が浮くと、浅井康太は中団に入る。が、竹内がひとりで強引に叩いて主導権を奪う。連結を外した浅井は自力でまくり上げて、浅井、三谷将太を追った山崎芳仁がその上をまくり上げる。浅井も懸命に踏み込むが、直線半ばで山崎がとらえ、山崎の内から佐藤慎太郎が抜け出して1着。


 「(最終)1コーナーで詰まったんだけど、(山崎は)ちょっとワンテンポ遅れてから行きましたね。そのぶん俺が1着だったかなっていうのがある。山崎も上がったし、浅井も振ってた。あれで外だと山崎だけ届いて、俺は間に合わなかったと思うんであのコースに行きました」


 じっくりと溜めて力強いまくりでラインを上位独占に導いた山崎芳仁(写真)は、冷静な判断が目を引いた。


 「本当は浅井が(まくって)行く前に行きたかった。(最終)1コーナーで詰まったんですけど、浅井がまくる態勢を整えているのがわかった。これはまくって行くなっていうのがあったんで、待って付いていった。結果的にワンツースリーでよかった。守澤(太志)もずっと悪かったけど、前回(西武園での自分との)ワンツーからいいんじゃないですか」


 最終2センター過ぎに佐藤が内に進路を取ると、北日本3番手の守澤太志は外を迷わずに踏んだ。


 「山崎さんのおかげです。(佐藤)慎太郎さんが内に行ったのが見えたんで、自分は外を踏みました。最近にしてはかなりいい状態だと思います。まだ全部回復したわけではないですけど、なんとか良くなってきている。(二次予選は)本当にラインの力ですね」

12R

選手の写真です。
平原康多選手

 新田祐大、村上義弘の順で切って前に出ると、そこを平原康多と吉澤純平が叩きに行って打鐘で踏み合う。吉澤が出切って主導権奪取。平原は3番手で態勢を整える。最終2コーナーから平原がまくると、続いた諸橋愛が直線で鋭く差し切った。


 「吉澤が全開で行って、平原はうまく位置を取って、また仕掛けるんだからすごいですね。キツくて余裕がなかった。最後はやっと差せた感じです。恵まれ一本。展開によっては勝てますね」


 関東は別線勝負で平原康多(写真)は、吉澤と力勝負を演じた。


 「寒くて、本当にキツかったです。何度、脚を使ったかわからないですね。(吉澤)純平のかかりはよかったんですけど、お互い自力勝負なんで仕掛けました。もう最後は脚が残ってなかったです。自分らしさは出せたと思います」


 初手から終始、平原ラインを追っていた坂本亮馬が、前の2人を懸命に追いかけて3着をキープした。


 「初日も(2日目も)決め打ちですね。あそこの位置からいきました。見ての通り追走もできてないような感じです。今回は展開が向いてますね」


 主導権争いで脚力を消耗した吉澤純平は9着に沈んだ。


 「みんな脚を使う感じでしたね。あんなに踏み合うとは思わなかったです。踏み上がっていかなかったし、感触はちょっとわからなかったですね。でも、力は出し切って脚は全部、使い切りました」

1R

選手の写真です。
園田匠選手

 佐藤友和が切った上を小川真太郎が出て、打鐘で主導権を握る。小川は一本棒になった後続を確認して、落ち着いて徐々にペースを上げる。5番手からまくった松岡健介は3番手までで、番手の園田匠(写真)が絶好の展開もモノにした。


 「(小川が)冷静だったし、強かった。自分が車間を空けようとした時に踏んでくれました。さすがに(最終)4コーナーの横山(尚則)は見えなかった。競輪は展開一本。感触が悪いわけではないんで。連日、後方になったり、落車の(あおりで)影響があったりとか…。(自転車を)大幅にいじったんで、初日よりも良くなっている」


 3日目からの補充の小川真太郎は2車ラインのハンデをものともせず、逃げて園田と確定板入りを決めた。


 「練習の延長線みたいな感じで走れたんで良かった。(GIで)初めて確定板にあがれた。そう思えばうれしいですね。まだまだ全然、良くなってくると思う。今度は1着を取れるように」

2R

選手の写真です。
齋藤登志信選手

 後ろ攻めから坂本貴史が赤板で先頭に立つと、前受けの関東勢は後方まで下げる。徐々にペースを上げる坂本に対し、打鐘過ぎから金子幸央が巻き返す。金子の踏み出しに阿部大樹は遅れ気味となり、中団にいた畑段嵐士が内からどかしてタテへ踏む。坂本が金子の合わせたが、1センターからまくった畑段が最終バックで先頭に躍り出る。畑段が懸命に粘り込むが、坂本を入れた齋藤登志信(写真)が4コーナーから鋭く伸びてアタマまで突き抜けた。久しぶりにGIで勝ち星を挙げた齋藤は前を任せた坂本に頑張りを真っ先に称える。


 「すべては(坂本)貴史の頑張りです。作戦も含めてね。畑段君にまくられたけど、まだ踏めていたので入れました。今回は前2走で流れがかみ合わなかったけど、調子自体は悪くないですよ」


 坂本貴史はレース内容で一応の納得はするも、自らに課題を与えるとことも忘れない。


 「バック数が減っていたけど、先行基本にやるスタイルは変えていない。風の強いコンディションで押さえて逃げる展開だったけど、打鐘であの流れならば駆けますよ。金子君の巻き返しは8割程度の力で合わせられたけど、バックで2回のキツい風があり大変でした」


 3日目からの補充となった畑段嵐士も自在性の高さを見せた。


 「準備はしていたので、戦える状態で入れたと思う。気温が低く、風も強いコンディションが厳しかったですね。レース展開はほぼ想定通りだったけど、金子君の仕掛けが思ったより遅かったので、さばいてまくる形になりましたね」

3R

選手の写真です。
渡邉雄太選手

 赤板の手前からじわりと上昇を始めた渡邉雄太(写真)が、2コーナーから踏み込んで主導権を握る。松浦悠士が中団を確保して、長島大介は8番手で最終ホームを通過。松浦はようやく3コーナー過ぎに踏むが伸びは一息で、渡邉が二の足で後続を振り切った。


 「風がキツくて…。(赤板の)ホームで押さえに行ったけど、全然出なかった。それで押さえるのが遅れました。永澤(剛)さんなら粘るかなっていうのがあったけど、松浦さんは中団かと思っていた。東(龍之介)さん、江守(昇)さんが付いてくれて、(逃げ切れて)3日目が一番感じが良かった」


 すんなり番手を回った東龍之介は、1輪差の2着に苦笑い。


 「自分の脚がない。(渡邉)雄太君が強かったです。番手を回してもらって、すんなり(渡邉が)駆けてですから、言うことはない。雄太君が全部やってくれたし、自分は現状の脚がわかった。やっぱり脚ですね」

4R

選手の写真です。
新山響平選手

 打鐘で切った杉森輝大を新山響平(写真)が押さえて先行策を取る。杉森が4番手、内をすくった阿竹智史が6番手に収まり、北津留翼が8番手で最終ホームを通過する。後続の動きを確認しながらペースで駆けた新山が力強く逃げ切り、今年初勝利を挙げた。


 「本当に和田(圭)さん、武井(大介)さんのおかげです。後ろがいないとダメな先行でした。脚を使わずに出れたし、すんなり先行でしたからね。2日目の踏み方がダメだったので、自分のペースでフォームをしっかりキープして最後まで踏み切ることができました。2日目からシューズを元のものに戻して感じも良くなってます」


 4番手確保からまくった杉森輝大は和田圭のブロックで不発に終わった。


 「しっかり位置は取れたんですけど、仕掛けてから思ったより出なかったです。前もペースで踏んでましたからね。ホームがすごい緩んでたから、あそこで仕掛けるべきでしたね。判断ミスです」

5R

選手の写真です。
小松崎大地選手

 竹内雄作の阻んで、中団から合わせて動いた飯野祐太が打鐘から全開で駆ける。外に浮いてしまった竹内が再度仕掛けるが、内藤秀久の横まででいっぱい。飯野がタレてくると小松崎大地(写真)が最終バック過ぎから自力に転じて、今年初勝利を挙げた。


 「(飯野との前後は)その都度で決めていますね。僕が前の時もありすますし。それはお互い自力選手なので。全部任せていたし、流れのなかでああいう形になりました。張って戻ろうとしたときに祐太が下がってきたので。今回は調子は良さそうですね」


 福島勢に続いた内藤秀久がしぶとく2着に流れ込んだ。


 「自分のやれることをやろうと思ったけど全部前の2人がやってくれた。(先行した)飯野君の気持ちがうれしかったですね。どこかでスイッチが入ったんでしょう」


 飯野祐太は竹内を出させない先行策を披露したが、最終バックで力尽きた。


 「先行基本という考えはなかったが、(竹内)雄作がこなかったので。先行でつぶそうとは思っていなかったし、あれ以上は待ってられないので」

6R

選手の写真です。
清水裕友選手

 外併走から前団を押さえた清水裕友(写真)を野原雅也が打鐘で叩いて主導権を奪取。清水は3番手に入り、6番手に天田裕輝、早坂秀悟は8番手に置かれて最終ホームを通過。最終バック手前から清水が力強いまくりを決めた。


 「風が強くて、打鐘でかなりキツくあそこから野原君を突っ張るのは…。最終ホームでは脚がいっぱいで、あのあたりでなにかあればもう対処できなかった。最後にまくったのは、自力型として仕掛けなくてはいけないタイミングなので。脚に余裕があったわけじゃないけど、無理やり仕掛けました」


 早坂秀悟は8番手に置かれる苦しい展開となったが、スピード感あるまくり追い込みで2着に届いた。


 「清水君は俺にフタをして、その後は一気に先行しちゃうと思ったけどね。野原君と力勝負をしたいのだろうと思ったから、その勝負を邪魔しないつもりだったけど、清水君が3番手に下げてしまって(笑)。最終ホームで巻き返すタイミングもあったけど、向かい風の影響を受けない場所まで待って仕掛けました」

7R

選手の写真です。
稲毛健太選手

 中団の外併走から踏み込んだ吉田拓矢が打鐘の3コーナーで主導権を握ると、郡司浩平が粘って隊列は凝縮される。後方の稲毛健太(写真)は、仕掛けどころを逃さず最終ホームから反撃。逃げる吉田を稲毛、東口善朋の和歌山コンビでのみ込んで、稲毛がそのまま押し切った。


 「一本棒になったら脚を溜めてと思っていた。もつれたんですかさず行こうと。練習の感じは全然ダメなんですよね、椎木尾(拓哉)さんに聞いてもらえればわかりますよ(笑)。調子がいいと構えてしまうけど、逆に悪いからああやって行けてるんだと思います。ただ、(同県の若手が出てきて)僕もやらなアカンっていう感じにはなっている」


 稲毛を交わせず2着の東口善朋は、思惑通りの展開に抜かりなく反応した同県の後輩を絶賛する。


 「ああなるか、3番手の取り合いをするから、ラインが短くなるんじゃないかと。そうなって緩んだところを(稲毛が)行けばっていう感じだった。強くて抜けなかったけど、ワンツーを決められたんでよかった」

8R

選手の写真です。
脇本雄太選手

 後ろ攻めから早めに動いた脇本雄太(写真)が青板の3コーナーで誘導を下ろして前に出る。前受けの太田竜馬は中団で粘ろうとするが、菊地圭尚が譲らず7番手まで下げる。後続の動きを確認しながら脇本が徐々に踏み上げると、打鐘の3コーナーで内をすくった太田が中団まで進出。しかし、菊地が厳しく内に押し込む。太田も内から盛り返して、最終バックを過ぎても中団はもつれたまま。脇本のスピードは最後まで衰えることなく、力強く押し切った。


 「競技用とこっちのかみ合いが悪い。気持ちだけはしっかり持って、できる限りのことはやっている。中団争いなら(菊地)圭尚さんに叩かれないように、脚を使ってでもスピードを上げて勝負したほうがいいと思ってました。(太田の動きは)見えてました。2日目よりはマシだけど、まだ全然ダメですね。日に日に良くはなっています」


 中団外併走の態勢から外を追い込んだ菊地圭尚が2着に。


 「2日目に悔しい思いをしたし、前を任されたんで、気持ちだけは切らさないようにと思ってました。(中団は)譲れないですからね。(太田は)もう少し新人らしいレースをするかと思ったけど、おかげで自分は助かりました。すごい風で止まるような感じでした。体重があって良かった。たまにはいいこともありますね。みんな脚があるし、展開ですよ」

9R

選手の写真です。
三谷竜生選手

 赤板の2コーナーで切った桐山敬太郎を三谷竜生(写真)がすかさず押さえて出る。最終ホーム手前で4番手から桐山が巻き返すが、三谷に合わされて不発。両者の踏み合いで松岡貴久のまくりごろかと思われたが、4コーナーで勢いが止まり、そのまま三谷が力強く逃げ切った。


 「ホームで桐山さん見て(合わせて)踏んだが、金子(貴志)さんがかぶってしまいラインで決められずに申しわけない。(二次予選で敗退して)勝ち上がれなかったけど、しっかり長い距離を踏めているし、調子は悪くない。次につながる競走はできました」


 後方から大外を鋭く伸びた岡村潤が2着に入る。


 「前の2人が頑張ってくれたおかげ。(和田)真久留が内に行ったので、ダメ元で外を踏んだ。3日目から新しいシューズにしたのが良かったのかな。調子も悪くないし、かみ合ってくれた」


 三谷をまくりきれなかった桐山敬太郎だが、S班に力勝負を挑んだ。


 「三谷君のペースにさせても仕方がないと思った。(三谷の)番手勝負にいかなかった以上はホームから勝負しようと思ったけど、三谷君が強かった」

10R

選手の写真です。
吉澤純平選手

 赤板の2コーナーで古性優作が押さえて出ると、8番手の吉澤純平(写真)が一気の巻き返し。合わせて古性も踏み上げるが、最終ホームで吉澤が主導権を奪って逃げる。飛び付いた古性は、1センターで諸橋愛を張って踏み勝つ。が、前をの吉澤のスピードが良く、なかなか差は詰まらない。落車のアクシデントもあって、もつれた後続も追いつかず、ひとり旅を演じた吉澤が1着。初のGI優出を果たした。


 「あの(2日目の)レースで行ってまくられてしまったんで、その反省を生かして、(準決は)ちょっと待ってから(仕掛けて)行った。これ(GI決勝)を目標にずっとやっていたんで、うまくいってよかった。(後ろは)どうなっているかわからなかったけど、もつれているのかなっていうのがあった。諸橋さんが絡まれていたら、古性君が入っているんだと。(シリーズを通しては)しっかり自力を出して、勝ててるんでいいと思います」


 諸橋を相手に踏み勝った古性優作は、持ち味を生かして一昨年以来のGIファイナルのキップをつかみ取った。


 「ラインを組んだ坂口(晃輔)さんと(決勝に)乗れていないので…。吉澤さんが来た時は僕も全開で踏んだけど、向こう(吉澤)の勢いが良くて。その結果で番手をどかす動きになった。前回よりは良くなっているかなと思います」


 諸橋の落車を内に避けた原田研太朗は、守澤太志をすくって最終3コーナーで外に持ち出し3着に届いた。


 「自分でなにもできなかった。落車を避けるのに精いっぱいだったし、キツかった。山崎(芳仁)さんに締め込まれてバックを踏んだ時に、(古性に)踏み込まれてた。そのあとも吉澤さんも絶対に来るだろうし、難しい判断でした。(ラインの岩津裕介と)2、3着とか、1、2着ならいいけど、自分たちで3着争いをしているんで…。まだまだ組み立てが甘いですね」

11R

選手の写真です。
平原康多選手

 赤板手前で誘導を降ろした山田英明は、京都コンビを受ける。稲垣裕之が先行態勢を取って、山田が3番手で平原康多は真っ中団の5番手。一本棒の7番手に置かれた山中秀将は、稲垣がペースを上げる前の打鐘の3コーナー過ぎからアタック。稲垣を叩いた山中に中村浩士まで出切って、3番手に稲垣が飛び付くが和田健太郎がキープする。最終2コーナーからのまくりで千葉トリオに襲い掛かった山田が、直線で抜け出して無傷の3連勝を遂げた。


 「平原君の前(の位置)で自力でを出して勝負をするっていうことを考えていた。自分のなかではいいレースができたと思っています。(昨年6月の高松宮記念杯以来のGI決勝で)去年、そのあともずっと決勝に乗りたかった。乗れると思って信じてやってきて、今年一発目のGIで乗れたんで自分を信じてよかったです。決勝はしっかり(優勝を)狙って、そのなかで自分のレースをしたい」


 稲垣は千葉勢の3番手に飛び付くも、さばかれて後退する。4番手に下がってきた稲垣の後ろの村上博幸は、まくりの山田が横を通過すると渡部哲男を弾いてスイッチ。外を伸びた。


 「(最終)2コーナーで稲垣さんが和田君をもっていった時に接触して、1回踏み込むのをやめた。そのなかで伸びたんで、(調子は)悪くない。でも、踏んだ瞬間はアタマまで見えた感じがした。大宮記念(決勝2着)もそうだけど、その差が大きいんですよね」


 最終バックでは予想だにしない8番手。万事休すかに思われた平原康多(写真)だったが、3コーナーから踏み上げる。直線では神業のハンドルテクニックで猛襲して、薄氷を踏む思いの3着で全日本選抜連覇に望みをつないだ。


 「まったく予想していない展開だった。ジャンのところは悩みました。自分が先にカマそうかと。そう思っている時に山中がカマして来た。稲垣さんが(山中を)合わせられるようだったら良かったけど、行き切られて苦しかった。もう誰がどこにいるかわからないような感じだったし、隙間を縫って誰にも当たらないようにと思っていた。あれは日ごろ出せる業ではない。人気にもなっていたし、あきらめない姿勢をと思った。なにもできず後方に置かれたレースになったんで意地ですね。ただ、武田(豊樹)さんには申し訳ない」

12R

選手の写真です。
新田祐大選手

 赤板過ぎに切った木暮安由を山田久徳がすかさず押さえて主導権を握る。山田が徐々にピッチを上げて、後続は一列棒状でレースは流れる。最終2コーナーから村上義弘が番手まくりを敢行。ほぼ同時に7番手から踏み込んだ新田祐大(写真)が圧巻のスピードで前団を飲み込んだ。


 「(近畿勢の)2段駆けを気にしたというより、この時期の四日市の風向きとかを考えて走って、結果的に消極的になってしまった。1回目で(最終ホームで)行けずに、2回目に踏み込んだ時は行けても行けなくてもという気持ちで、ああいう形になりました。後ろには申し訳なかったです。迷惑しか掛けないで勝ち上がったので、その悔しい思いを結果につなげたい。競輪っぽい走りができてないんですけど、そのなかでできることを最大限に引き出して走ります」


 番手まくりを打った村上義弘は2着の結果にも表情が険しい。


 「(山田に)伸び伸びと走らせたかったんですけど相手も相手なんで。そこからの判断は自分がしっかりしないと(近畿ラインの)全員が倒れてしまうと思ったので」


 近畿ライン3番手の椎木尾拓哉が村上に詰め寄って3着。昨年10月前橋の寛仁親王牌以来、2度目のGI優出を果たした。


 「(山田は)いつも頑張ってくれる。前2人のおかげです。乗れるデキではないと思っていました。地元記念(の落車失格)で悔しい思いをしたし、決勝に乗れて良かったです」


 佐藤慎太郎は新田との呼吸が合わずに連結を外してしまった。


 「タイミングさえ合えば(決勝に)乗れましたね。(最終ホームで)行くと思って踏み込んだらアレって。バックを踏めなかったし、止めたと思って内に行った。自分のタイミングは取れていたけど、新田は準備不足だったのかな。新田に付け切れるように練習します」