よっかいち競輪

YOKKAICHI KEIRIN

48#


決勝戦レポート

新田祐大(福島)

グランドスラムへ王手

 思惑通りの展開に持ち込んだ4車の近畿ラインを新田祐大がひとりで粉砕。次元の違うまくりで、日本に敵なしをアピールした。
 見る者に衝撃を与えた新田のパフォーマンスだったが、優勝会見でも驚きの振り返りだった。
 「最高、理想通りだった。自分が想定していた最高の展開。勝負どころで一番後ろにはならないようにだけ考えていた。あとは行けるところから、出し惜しみしないように」
 赤板の2コーナー過ぎから古性優作が、先頭に立って主導権を握って出る。村上義弘、村上博幸、椎木尾拓哉まで出切ってペースが上がる。原田研太朗と吉澤純平が併走も、新田は最終ホームで8番手。村上兄弟、平原康多ら名だたるレーサーを前に見ながら、新田にとっての“Vポジション”でじっくりと構えた。
 「古性君の後ろに村上(義弘)さんが付いているんで、仕掛けるタイミング次第では、番手まくりがあるのかなと思った。理想の位置だったんで、(自力でに転じた平原を)乗り越えられたら、勝利があるかもしれないと。あとはゴールまでしっかり走りました」
 シリーズを4戦3勝での優勝も、勝ち上がりでの2勝はともにラインを引き込めなかった。その結果が、ファイナルでの単騎を招いた。
 「初日から付いてくれた先輩たちに迷惑を掛けた結果(単騎)だった。だから(決勝は)頑張ってる姿を見てもらって、また次の舞台で一緒に頑張りたいっていうのがありました」
 個の力で圧倒した新田だが、北日本の仲間たちの大切さを感じながらVをかみ締める。
 「すごく充実しています。このあと世界選手権に向けてすぐにトレーニングしていく。いまのままでは、まだまだ世界に通用しないのわかっている。ちょっとずつ世界の舞台で活躍できるようになっていきたい」
 アメリカ・マイアミでのナショナルチーム合宿から帰国して、昨年のグランプリ以来の競輪でもぎ取ったV。すぐに2月28日からオランダ・アペルドールンで始まる世界選手権大会に向けて競技のトレーニングを再開する。
 「今年はオリンピックの(競技の)ポイントが始まる年なので、早い段階でグランプリの出場権を獲得しておきたいなっていう気持ちがあった。なかなか競輪の舞台に立つ機会が、今年から少なくなっていくんじゃないかなと思っています」
 ナショナルチームでのトレーニング、競技大会を経るたびに、さらなるパワーを手に入れてきた新田はグランドスラムに王手。東京五輪へノンストップ。昨年のMVP男の進化は、周囲の想像をはるかに越えている。
 
 4車で結束した近畿勢は絆の強さを示したが、優勝に手が届かなかった。2着に敗れた村上義弘は、悔しさを隠せない。
 「(古性)優作が近畿を背負って走ってくれて、自分もつなげないといけない。自分もあれ以上のことはできないし、優作も(村上)博幸もそうだと思う。4人が自分の位置でお互いのことを思いながら走って、それを力で(新田に優勝を)持っていかれたわけだから自分自身の大きな課題です。現状の自分たちと新田との差。個々の力をもっとレベルアップしないといけない。この2着は本当に悔しいし、悔しいのひと言では片づけられない」
 
 近畿ライン3番手の村上博幸は、兄の義弘の後ろで持てる技と力のすべてを出し尽くした。
 「緊張感を持って走れました。内外を気にしながら外に2回持っていって脚が残ってなかった。やってきたことは出せたと思うけど、このレベルではまだ力が足りない」
 
 古性優作はラインの先頭で果敢に主導権を奪った。
 「いつも通り冷静に走れました。それは大きいですね。ラインが生きるようにと思っていたけど、自分の力不足です。もうちょっと長い距離をモガければいいんですけど。3角ぐらいまで持てばまったく違う展開になったと思います」
 
 吉澤純平は2段駆けの近畿勢を乗り越えられなかった。
 「もがき合っても厳しいですからね。古性君がタレてきて、2コーナーから仕掛けたんですけど、すかさず村上さんに出られて乗り越えられなかったです。もっと力を上げていきたいですね」

レース経過

 やや見合ったスタートから原田研太朗、新田祐大と単騎の2人が誘導員を追うと、周回は原田―新田―吉澤純平―平原康多―山田英明―古性優作―村上義弘―村上博幸―椎木尾拓哉の並び。
 青板1センターから動いた古性はサッと新田の外まで持ち出すと、吉澤にフタ。これで吉澤は7番手に下げる。3番手に入った古性は前との車間を切って中バンクまで上がると吉澤に仕掛けるタイミングを与えない。最後方になるのを嫌った山田が1コーナーから内に切り込むと、2コーナーから古性が踏み上げて打鐘から主導権を握る。原田と5番手で外併走になった吉澤は1コーナーから仕掛けるが、村上義がこれに合わせて1センターから番手まくり。村上博はバックで吉澤をけん制し、さらにはその外を回して来た平原を2センターでブロックする。平原のスピードは鈍り、村上兄弟がワンツー態勢を築いて4コーナーを立ち直ってきたが、ここに襲いかかったのはバックから外を仕掛けていた新田だった。村上博のけん制を受けた平原のあおりで止まりかけたが、4コーナーの下りで加速すると、最後はイエローライン付近を一気。今年最初のGI開催を制した。

車番 選手名 年齢 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 S/B
1 1 新田祐大 32 福島 90 S級S班 11.6
2 9 村上義弘 43 京都 73 S級1班 1B 12.1 B
3 7 村上博幸 38 京都 86 S級1班 1W 12.0
4 6 山田英明 34 佐賀 89 S級1班 1/8W 11.6
5 4 椎木尾拓哉 32 和歌山 93 S級1班 3/4B 11.9
6 5 平原康多 35 埼玉 87 S級S班 1/4W 12.0
7 8 原田研太朗 27 徳島 98 S級1班 1B 12.0
8 2 吉沢純平 32 茨城 101 S級1班 3/4B 12.3
9 3 古性優作 26 大阪 100 S級1班 D 14.8

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