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23#

検車場レポート

  • 11/9 Fri.  (前検日)
  • 11/10 Sat.  (1日目)
  • 11/11 Sun.  (2日目)
  • 11/12 Mon.  (3日目)

1R

選手の写真です。
中井太祐選手

 オープニングレースは好調な選手がそろっている。中井太祐(写真)は10月別府、11月富山とFIシリーズで連続優出。ここに来て一気に調子を上げてきた。


 「(9月青森記念の)落車でフレームが壊れて、前のフレームを使っていたんですけど、前回の富山から新車にして、いい感じでした。いつもどおり行けるところからしっかり仕掛けます」


 坂本周作は先行基本のスタイルでコンスタントに連にからんでいる。


 「予選は勝てることが多くなったけど、準決勝がなかなか突破できない。全体的に力が足りないと感じてます。前回の京王閣から中3日ですが、京王閣から(坂本)貴史君と同じ配分だったので、そのまま一緒に練習してきました。最近はやりたいレースがしっかりできている。今回もしっかり自力で頑張ります」


 

2R

 川村晃司は10月松山FIの決勝で逃げ切り、今年3度目の優勝を飾った。今シリーズは久々の記念予選スタートに気を引き締める。


 「最近の調子は良かったり、悪かったりですね。松山で優勝できたけど、そのあとがダメ。前回の向日町が終わってから練習の感じがあまり良くなかったので、今回は昔のフレームを使います。踏み出しがいいものなんで、それがレースに出てくれるといいですね」


 西岡正一は通算200勝まであと1勝という状態で3カ月間、足踏みが続いている。今シリーズは追加だが、節目の勝利をここで決めたい。


 「追加は入る気がしていたので、それを想定して練習してました。高松の落車で自転車が壊れて換えたんですけど、それがあんまり良くなくて、今回前のものに戻してどうかですね。調子自体は悪くないと思うので、まずは集中して付いていきます。それで勝てればいいですけどね」

3R

 筒井敦史が戦歴上位の存在だ。ここは小川祐司を目標に格上の決め脚を見せる。


 「豊橋記念のあと、すぐ地区プロがあった。スプリントのハロンのタイムは2番目に良かったんですけど、1回戦で負けました。練習で乗った感じはたいして良くなってないけど、小川君に任せて頑張ります」


 巴直也は11月向日町FIで2連対。戦法はまくり一辺倒だが、徐々に成績を上げている。


 「先行(の決まり手)も付けたいんですけど、着も取りたくて、まくりが多くなってますね。向日町が終わってキツめに練習したので、疲れが少し残っているかもしれないけど、調子はいいかなって思ってます。いいタイミングで仕掛けたいですね」


 

4R

 久木原洋は強烈なカマシ、まくりを武器に勝ち星を量産している。前回の豊橋記念は今期初の予選突破を果たした。


 「豊橋の初日はいつもと違って、ちょっと位置にこだわって走りました。そういうレースも増やしていきたいけど、基本は緩んだら思い切って行くスタイルで。練習はふつうにやってきました。取手記念はよく走っていて、悪いイメージはないです。前回初日を突破して気持ちも乗っているんで頑張ります」


 佐々木孝司は成績の波は激しいが、勝ちパターンに持ち込んだ時は強い。


 「前回地元の補充を走って、それから日にちはけっこう空いたんですが、練習は変わらずにやってきました。相手が強いほうがやりやすい。緩んだら思い切って行こうと思ってます」


 

5R

 北津留翼は11月防府ブロックセブンを打鐘から豪快にカマして快勝。今年初優勝を飾った。


 「ブロックセブンは展開が向いたんで。終わってから誘導はしたんですけど、練習もふつうどおりやってきたんで大丈夫です。自力でしっかり力を出し切ります」


 須永優太は通算200勝にリーチをかけている。


 「最近は良かったり、悪かったりですね。前回のブロックセブンは何もできなかったです。調子のほうは変わらないですね。200勝をここで決められればいいですけど、そんなに勝つのは簡単ではないですから」

6R

 吉本哲郎は直近4カ月のバック本数が20回を超えている。前回の防府記念も4日間、バックを取った。


 「防府のあとに地区プロがあって実質、中2日だけど大丈夫です。バックをしっかり取りに行って、ちょっとずつ良くなっている。初日も2車ですが、タイミングよく行ってバックは取りたいですね。齋藤(宗徳)君は先行力があるけど、僕も思い切って行きますよ」


 佐々木則幸はいまひとつ流れに乗れていない。3カ月間、勝ち星から遠ざかっている。


 「もう少し成績をまとめたいんですけど、これが今の自分の脚ですね。地区プロのケイリンで優勝できたんですが、それは自分の脚じゃなくて展開です。吉本君とは何回か連係して、1着も取っている。点数を上げていきたいんで頑張ります」


 

7R

選手の写真です。
鈴木謙太郎選手

 地元の鈴木謙太郎(写真)は10月弥彦FIから3場所連続で優出。落車のケガから立ち直り、好調時のスピードが戻っている。


 「前回(向日町FI)は関西地区で初めて決勝に乗れたんですよ。いままで本当に関西地区は相性が悪くて。前回からフレーム、セッティングを換えて、良くなりました。体の位置を出しやすくなった。練習の感じも良かったので、あとは走りながら調整していきます。最低でも準決勝には乗りたいですね」


 筒井裕哉はスランプから抜け出し、調子、成績とも右肩上がりだ。


 「前期は10何勝して、このペースなら年内に300勝までいけると思っていたんですけどね。まさかこんなことになるとは。(7月)防府の落車でフレームがダメになって、一時期は確定板にも乗れなかった。3カ月くらい確定板に乗れなかったのは初めて。(10月)京王閣からフレームを替えたら良くなりました」

8R

選手の写真です。
守澤太志選手

 8月豊橋からのFI戦は、5場所中V3、準V2回の守澤太志(写真)。9月青森記念でも1222着の結果を残し、直前の11月京王閣FIでは無傷で優勝と、波に乗っている。


 「最近は落車をしてないのが一番大きくて、練習も順調にできています。踏み方とかセッティングを1年前に変えて、半年くらい前から思うように自転車が出ていますね。競輪祭に向けてやって行こうと思っていたら(今回の)追加が来たので、疲れがないことはないです。でも、前回の取手(6月GIII)はピンピンで勝ち上がれたので、今回も頑張りたいです」


  安部貴之は、10月函館FIを連勝で決勝にコマを進めた。今回は、守澤に前を任せて勝機をつかむ。


 「守澤は強いので、しっかり付いていければ大丈夫だと思います。前回(11月防府記念)より体調もいいし、練習もやってきました」


 10月弥彦FIで、今年初優出に成功した津村洸次郎。決勝では先行策で2着に逃げ粘った。


 「最近の調子はいいと思います。(10月)弥彦から乗り方を少し変えてみたら、最後までしっかり踏めるようになりました。成績もそこから良くなりました。本当にちょっとしたことなんですけどね。初日は3分戦なんですけど、自分の展開をしっかり作りたいです」

9R

選手の写真です。
山崎賢人選手

 寛仁親王牌は準決勝で敗退した山崎賢人(写真)だが、1181着とシリーズ3勝を挙げた。ここは、圧倒的な人気に応えて白星スタートを切ろう。


 「寛仁親王牌まで連戦だったので、疲れとかはないんですけど、慣れない部分がありましたね。今、佐世保のバンクが使えないので、直前は武雄でヒデ(山田英明)さんとか、中川(誠一郎)さんとかと練習してきました。取手は新人訓練で走って以来なんですけど、どこに行っても走りにくいとかはないので。競輪祭に向けて勢いを付けて行きたいです」


 8月小松島FIで落車した渡邉豪大は、今節が約3カ月ぶりの実戦となる。状態面はどうか。


 「左の肩甲骨と肋骨を3本折りました。2カ月くらい入院していて、2週間前くらいから本格的に練習を始めた感じです。なので、走ってみないと調子は分からないですね。(山崎とは)初対戦で、スピードもすごいと思うんですけど、何かしたいと思います」

10R

選手の写真です。
松浦悠士選手

 寛仁親王牌2日目に落車した松浦悠士(写真)だが、続く10月広島FIではまくりを決めて地元Vを達成。その後も、11月防府記念で3723着と、決勝で確定板入りを果たした。


 「寛仁親王牌の後は、立て直せたし、落車のダメージも、もうないです。防府は悪くなかったんですけど、清水(裕友)君から離れてしまったので、今回から乗り方とセッティングを変えてみます。練習の感じは、かなりスピードも出ていたし、悪くないと思います」


 根田空史は、前回の10月熊本記念in久留米から中18日での参戦だ。


 「久留米のあとは、中1日で地区プロがあったりしたんですけど、そのあとはふつうに練習してきました。(9月青森記念から)手首の調子が悪かったんですけど、少しずつよくなってきて、ウエイトもできるようになってきました。最近は、細切れ戦ばかりで、3車のほうが少ないので、今回も五十嵐(力)さんと2人で頑張ります」


 杉森輝大は10月岐阜FIでVを飾り、続く防府記念でも決勝進出を果たした。今節は追加参戦も、この勢いのまま地元記念を盛り上げる。


 「追加ですけど、準備はできていますよ。レースは詰まっているんですけど、状態は悪くないので。普段、練習しているバンクだし、自力を出してしっかりいいレースをしたいです」

11R

選手の写真です。
鈴木竜士選手

 絶好調の鈴木竜士(写真)が、初めての地元記念を迎える。9月四日市FIで優勝してからは、FI戦を3場所連続準Vと、高いレベルで安定している。ここも積極的な競走で、地元ファンの期待に応えよう。


 「初めての地元記念を、今の状態で迎えられて良かったです。ジャンくらいからだったら、先行してもいいと思っています。今の脚力なら、先行できれば何とかなるっていうのがあるので。まずは優秀戦に上がれるように、しっかり勝ちたいです」


 その鈴木に付けるのが芦澤辰弘だ。10月弥彦FIで落車し、今回が復帰戦だが、しっかり続いて地元コンビでワンツーを目指す。


 「ケガは、打撲と擦過傷だったんですけど、長めにケアをしてきたので、体はもう大丈夫です。練習の感じも悪くなかったので、初日からいい勢いを付けて準決、決勝とつなげていきたいですね」


 現在、賞金ランキング11位の山田英明は、競輪祭の前に少しでも賞金を積み上げたいところ。前回の11月防府記念でも決勝に進んでいて、状態は悪くなさそうだ。


 「直前は武雄で、中川(誠一郎)さんとか、(山崎)賢人とかと練習してきました。そしたら(今回の)追加が来たので、賞金のこともあるし、チャンスをもらえたので受けました。賢人とは競輪祭でも連係できると思うし、今回もしっかりやりたいですね。初日は自力で頑張ります」

12R

選手の写真です。
武田豊樹選手

 初日のトリを務めるのは、吉澤純平と武田豊樹(写真)の師弟コンビだ。近況、落車が続いている武田だが、地元で結果を残して競輪祭につなげたい。


 「落車続きで大変ですけど、選手でいる以上は向き合っていかないと。やれることをやって初日を迎えようと、過ごしてきました。練習は基本バンクでやってきた感じですね。前回(10月豊橋記念)は、フレームが間に合わなかったんですけど、今回は新車を持ってきました。お客さんは地元勢を一番見たいと思っているだろうし、地元勢はしっかり決勝を目指してやっていきたい」


 昨年覇者の吉澤純平は、前回の10月千葉記念in松戸から、自転車をガラッと変えた。照準を合わせてきた地元記念で、今年も大暴れしよう。


 「去年と同じ気持ちで臨みたいですね。練習もしっかりやってきたし、調子も最近の中では一番いいと思うので。今の自転車には、だいぶ慣れてきて違和感なく乗れるようになってきました。武田さんと(ワンツーが)決まるように頑張ります」


 10月豊橋記念は2128着と決勝進出を果たした稲垣裕之。初日は中近ラインの先頭で地元コンビに挑む。


 「少しずついい感触を取り戻しつつありますね。練習の調子も上向いていますし。フレームを試したり、いろいろ変化を付けている時期なので、今回は競輪祭の前に試せるいい機会ですね。新車が来たので、今回でポジションを出してGIにつなげたいです」

1R

選手の写真です。
齋藤正国選手

 オープニングレースは3連単57万円の超大穴配当が飛び出した。レースは打鐘で飛び出した坂本周作を末木浩二がすかさず叩いて先行策を取る。4番手確保からまくり上げた坂本を石川雅望が最終3コーナーで大きく外に弾くと関東ライン3番手の齋藤正国(写真)が空いたインコースを抜け出した。


 「(石川が)外に張った時に、入ってしまい、(石川が)戻ってこれなくなり邪魔をしてしまったのが申しわけない。(鹿内翔が)降りてくると思って構えていたから対応はできた。前2人の気持ちのおかげですね。感じはいいと思います」


 北日本ライン3番手の金澤幸司が冷静なコース取りから2着に突っ込んだ。


 「自分が話せることなんて何もないですよ。前2人のおかげ。それだけです。まさか2着までなんてね」


 柴崎俊光は目標不発の厳しい展開をしのいで3着に食い込んだ。


 「自分の判断が遅かった。中井君はいけるものだと思っていたので。もうひとつ伸びがほしかった。せめて2着までは届く感覚だったし、このあと修正します」


 

2R

 後ろ攻めの川村晃司が赤板で上昇して中団の本多哲也にフタをする。打鐘で叩きに出た川村を正攻法の連佛康浩が突っ張って先行。浮いた川村は中団に入り直す。7番手となった本多は4コーナーから巻き返すが、これに合わせて戸田洋平が最終2コーナーから番手まくり。最後まで踏み切った戸田が後続の追撃を振り切った。


 「連佛は頑張りすぎですね。頭が上がらないですよ。ありがたい。飛び付きくらいかなって思ってたけど、あいつはそんな小さいことを考えていなかったですね。いつも頑張ってくれる。4コーナーを回ってからはキツかったけど、なんとか最後まで粘れたし、悪くないですね。2日目からも頑張ります」


 断然人気の川村晃司は立て直して外を追い込んだが、4着に入るのが精いっぱいだった。


 「(連佛の)突っ張りは考えていなかった。もっと早く押さえれば良かったです。僕のミスでラインに迷惑をかけてしまった」


 

3R

選手の写真です。
筒井敦史選手

 赤板の2コーナーで切った巴直也を小川祐司が打鐘で押さえて主導権を握る。8番手となった岸澤賢太は4コーナーから反撃に出るが、3番手の外で勢いが止まる。絶好展開となった筒井敦史(写真)が後方からまくってきた藤田勝也に合わせて鋭く追い込んだ。


 「恵まれました。小川が持ち味を生かして、絶妙のペースで先行してくれました。2車でキツかったけど、あれしかなかったですね。外はすべて4コーナーまで見えていました。これで沈められたらダメだなって。最後は外(から来た藤田勝也)に合わせて踏みました。僕にもっと余裕があればよかったんですけどね。現状ではあれがいっぱいいっぱいでした。1着はいい薬です」


 巴直也は3番手の内で詰まって仕掛けられなかったが、直線勝負で2着に入った。


 「かぶってしまって、踏めるところがなかったです。ちょっと難しかったですね。不完全燃焼でした」


 後方から大外をまくり上げた藤田勝也は3着まで。


 「8番手にはならない作戦だったんですけどね。まくり頃になったと思ったけど、思ったほど伸びなかった。道中から重く感じてました。後ろを連れていけず申しわけないです」


 

4R

選手の写真です。
佐々木孝司選手

 佐々木孝司(写真)を押さえてハナに立った日野博幸は、打鐘から仕掛けてきた久木原洋を突っ張るように踏み上げる。それでも久木原は、最終1コーナーで強引に日野を叩いて主導権を奪取。マークの中田健太はホームで降りて連結を外してしまい、日野が久木原を追いかける。後方7番手となった佐々木が最終1コーナーから豪快にまくると、懸命に逃げる久木原を2センターで抜き去って先頭でゴール。ラインで上位独占を決めた。


 「2人(日野と久木原)が踏み合うとは思わなかったですね。あれで(久木原ラインの)4番手に付いて行ってもしょうがないと思って引きました。踏み出した感じは、ちょっと重かったです。レースの時間がちょっと早いのと、状態はいいけど少し疲れがありますね」


 佐々木にピタリと続いた中村敏之輔が2着をキープした。


 「(佐々木を)全然抜けません。強すぎます。踏み出しは大丈夫だったし、道中の余裕はあったけど、抜ける気はしなかったですね」


 

5R

選手の写真です。
北津留翼選手

 打鐘で突っ張ろうとした小林則之を強引に押さえた北津留翼(写真)だったが、その上を叩いた庄子信弘が流したことで内に詰まる。最終ホームで庄子を叩いた小林が主導権を取る。これで大きく車間の空いた7番手となってしまった北津留はバックから懸命にまくり上げる。逃げる小林をゴール寸前で北津留がとらえた。上がりタイムは10秒8。バンクレコードにあと0.1秒というハイラップを叩き出した。


 「押さえるタイミングを失敗しました。組み立てとかダメでしたね。先行できなくて変な焦りがあった。自分だけはかろうじて届いたけど、後ろに迷惑をかけてしまった。タイムは良かったかもしれないけど反省しかない」


 小林則之が2着に粘り、ライン3人の全員が二次予選への勝ち上がりを決めた。


 「先行はキツいとは思っていました。前を取って北津留君が早めに押さえにくるだろうからあとは庄子君が行った上を行こうと。想定どおりでしたね。先行してこの結果ならヨシでしょう」


 小林マークで3着の加藤圭一は検車場に戻って苦笑い。


 「小林さんがうまい組み立てだったし、すべて作戦どおりでした。絶好の展開だったから、せめて2着にはなりたかったね」


 

6R

 後ろ攻めの土屋壮登が打鐘めがけて一気に仕掛ける。合わせて踏み込んだ齋藤宗徳が3番手をキープし、人気の吉本哲郎は5番手で最終ホームを通過。齋藤が2コーナーから仕掛けると、車間を空けていた矢口啓一郎が番手まくりに出て、後続の追撃を振り切った。


 「土屋も先行基本に組み立てたいって言っていたので。出切ればなんとかするとは言ってました。あれだけ(積極的に)行ってくれたし、ごっそり抜かれたら嫌なので出させてもらいました。踏んだ感触は悪くないと思います。人の後ろで評価できない部分もあったけど、楽に脚は回せました」


 最終バックで俊敏に矢口の後位に切り替えた須藤誠が2着。しかしレース後は胸の内の葛藤を吐露した。


 「人としての余裕がないですね。シビアなレースをしていることと、前をかばいたい気持ちと矛盾がある。宗(齋藤)は同級生だし、あれだけ頑張ってくれたのに…。S級1班の点数がかかっていると、こういうことなんですかね。セッティングを戻して脚は問題ないです」


 

7R

 後ろ攻めから先に動いた下沖功児が誘導員の後位に収まり、中団は内に鈴木謙太郎、外は筒井裕哉で併走が続く。下沖は打鐘から徐々にペースを上げて逃げる。中団争いを制した鈴木が最終2コーナーから一気にまくって後続を千切った。


 「引けなかったんで勝負するしかなかった。こういう展開も考えてました。無理やり出ていったので、最初は出が悪かったけど、3コーナーから伸びてくれました。いつもやってないことなんですけど、こういうレースも少しずつ増やしていかないとって思ってます。結果的には良かったです」


 筒井マークの三谷政史が最終バックから鈴木を追いかけるような形で2着に。


 「(筒井)裕哉さんのおかげです。展開的には危ないと思いました。裕哉さんに(鈴木を)追いかけてくれって思ってたんですが、自分も差し込んでしまっていたし、あそこで入れられなかった。申しわけなかったです。落車のあとですけど、昔のフレームに戻して感覚はいいですね」


 三谷に続いた小林卓人がそのまま3着に流れ込んだ。


 「前が併走だったんで、どうなるかなって思いながら見てました。前に離れないように集中して付いていきました。3着に入れたんで良かったです」


 

8R

 後ろ攻めから動いた堀僚介は、赤板2コーナー手前で津村洸次郎を押さえて主導権を握る。7番手まで引いた津村は、打鐘の2センターから反撃。最終1センター過ぎに堀を叩いて先頭に躍り出る。後方で脚を溜めていた守澤太志は、2コーナーからまくり出ると、津村の抵抗を力でねじ伏せて人気に応えた。


 「なんとかですね。組み立てはあんなもんじゃないですか。作戦どおりにいきました。仕掛けた時も、車は進みました。(取手は相性がいいが)勝ち上がっていけば、相手も強くなりますからね」


 番手の安部貴之は、直線で守澤に迫るも2着でゴール。


 「抜けそうにはなかったです。追走いっぱいでした。抜けたら今の点数じゃないですよ。守澤はどんな展開になっても3着には来るって感じでした。すごいスピードが出ている感じだった」


 津村洸次郎は守澤にまくられるも、3着に粘った。


 「守澤さんは絶対中団を譲らないだろうと思ったので、いつもはしないですけど引きました。(堀を)交わしに行った時に、ちょっと持っていかれてフワッとしましたね。その時に脚を使ってしまった。出切ってからは踏めていたと思います」


 

9R

 断然の人気を集めた山崎賢人が圧巻のスピードで期待に応えた。鈴木雄一朗、渡邉豪大の順で切ったうえを桜井雄太が叩いて出るが、前受けから下げた山崎もすかさず巻き返す。最終1コーナーで出切ると、3番手以下を大きく引き離して完勝。力の違いを見せた。


 「久々だったのでちょっと緊張しました。周りが動いてくれたのでやりやすかったですね。感触はちょっと重かったけど、いつもどおり走れました。余裕はあったし、2日目以降もしっかり勝ち上がらないと」


 菅原晃は追走いっぱいの2着。山崎の強さを称える。


 「山崎君が強かった。踏み出しだけ集中して、先行したら誰もまくれないと思ったし、後ろは見ずに付いていった。あいつ(山崎)より俺の方が緊張した。ピタリと続いたように見えたかもしれないけど、最終ホームでは脚がピリピリしてましたよ」


 伏兵の桜井雄太が山崎にまくられながらも3着に踏ん張った。


 「たまたまです。山崎君に行かれてからは後ろの様子とか、何もわからなかった。でも1回前に出たのが結果的には良かったですね」


 

10R

選手の写真です。
五十嵐力選手

 杉森輝大を叩いた坂本貴史を最終ホームで根田空史が叩いて出る。追い上げた松浦悠士が坂本を締めて3番手を確保。最終2コーナーで後方からまくり上げた杉森輝大は思うように車が進まない。バック過ぎからまくった松浦を五十嵐力(写真)が巧みにブロックしてから抜け出した。


 「根田のおかげです。誰かが仕掛けてこれるスピードじゃなかったんですけど、松浦も調子がいいんでしょうね。根田のかかりは悪くなかったと思いますよ。松浦は(自分の横を)スレスレで仕掛けてきていたので、前回の失格(反省を)を生かして止めました。1着はうれしいですね」


 五十嵐のブロックで勢いが止まった松浦悠士だったが、最後まで踏み続けて2着に食い込んだ。


 「(3番手で)休んでしまったけど、意外に脚は余っていたので、仕掛けていけば良かった。失敗しました。(セッティングを換えた)自転車はいいと思います。しっかり自分を信じて仕掛けていけば良かった。五十嵐さんのブロックがうまかったですね。練習ほどキツくなかったし、ダッシュもいいのでセッティングはいいと思う。あとはタテ脚を出すイメージでしっかり走るだけ」


 松浦マークの小倉竜二が3着を確保して優秀戦に駒を進めた。


 「松浦のスピードが良かったので、(3番手に)入らずにそのまま仕掛けて行っちゃえば面白かったかも。ゴール前はハンドルを投げてバランスを崩してひとりロデオみたいでした」


 

11R

選手の写真です。
芦澤辰弘選手

 打鐘前に切った山田英明は別線の動きを確認しながらスローペースに落とす。打鐘の4コーナーから吉田敏洋が一気に踏み込んで先行。このラインを追う形からまくりに出た鈴木竜士が最終バックで吉田をねじ伏せると、そのまま後続の追撃を振り切り、初の地元記念で白星スタートを切った。


 「いつもどおり作戦はなしで走りました。内外併走になったんですけど、吉田さんの3番手から詰まったところで行けたんで良かったと思います。こんなに出ているので悪くないです。とりあえず良かったです」


 落車明けの芦澤辰弘(写真)が鈴木にきっちり続いて2着。地元ワンツー決着となった。


 「ジャンのところは難しかったと思うけど、落ち着いて力勝負をしてくれました。僕はまず付き切ることだと思ってました。自分のやれることを精いっぱいやろうと。練習してきて、それがちゃんとレースに出たんでホッとしてます」


 地元勢のまくりを懸命に追った松谷秀幸が3着に入った。


 「ジャンのところの山田君の動きがよくわからなかったですね。鈴木君の位置も分かってなかった。想定では5番手くらいの位置を取る予定だった。でも臨機応変には動けてますね。あとは脚の問題です」


 

12R

選手の写真です。
吉澤純平選手

 前受けの佐藤博紀は、8番手から上昇してきた山中秀将を赤板で突っ張る。山中が車を下げると、今度は稲垣裕之が一気に仕掛けて打鐘で佐藤を叩いて先行態勢に。山中は再び8番手に置かれたが、打鐘の2センターから反撃に出る。しかし、椎木尾拓哉のけん制を受けて失速。2コーナー手前から千葉コンビの外をまくった吉澤純平(写真)は、猛スピードで稲垣を抜き去ると、後続を突き放して快勝した。


 「流れの中で置いていかれないようにっていうのを気を付けていました。細切れだったので、先に山中さんが行くのは想定内でした。自転車を換えた松戸(前回10月千葉記念in松戸)の時よりも、練習に近い感覚で踏めていて、対応できています」


 最終バックから武田豊樹を追うようにまくった山崎芳仁が、直線で大外を伸びて2着に入った。


 「(佐藤)博紀が頑張ってくれたから、外を回して行けました。山中の突っ張られた後の巻き返しは、思ってたよりも早かったですね。自分の感触は悪くなかったと思います」


 吉澤の踏み出しで車間が空いた武田豊樹だったが、なんとか前団を乗り越えて3着に入った。


 「キツかった。(吉澤が)8番手になっちゃったし、仕掛けもちょっと遅くなったから。(自分は)なんとか3着で、耐えたのは耐えたけど…。もうちょっと食らいついて行きたかったです」


 稲垣裕之は7着に沈んだが、久しぶりに先行で長い距離を踏んだ。


 「山中君が突っ張られたのは予想外でしたね。自分は前を叩いて誰も来なかったので駆けました。先行でもまくりでも長い距離を踏みたいと思っていたので、収穫はありました。最近は人の後ろのレースが多くて、自力のレースが少なかったので、道中に感じたセッティングをしっかり煮詰めていきたいです」


 

6R

選手の写真です。
林巨人選手

 吉田敏洋を押さえた矢口啓一郎が誘導員を使いながら打鐘を通過。後方から巻き返す坂本貴史が最終ホームで矢口を叩くが、吉田がすかさず反撃に出る。スピード良くまくり上げた吉田が、最終バック前に坂本を抜き去って中部ライン3車で出切る。最後は林巨人(写真)がきっちり差し切った。


 「緊張しました。吉田さんと初めてワンツーが決まった。GIや特別での連係が多くて、なかなか決まらなくて相性が良くなかったので…(苦笑)。吉田さんがいいタイミングで仕掛けてくれたし、吉田先輩のおかげです。自分自身は流れもいいし、感覚もいいですね」


 林に交わされたとはいえ、吉田敏洋は危なげない走りでラインを上位独占に導いた。


 「林に残されたので屈辱ですよ。千切るつもりで仕掛けたのに(笑)。精神的にやられました(笑)。これじゃ取手記念の優勝は赤信号ですね。競輪祭はひとつどころか、もっと(状態を)上げないと足りない。これから練習します」


 中部3番手の柴崎俊光が3着に流れ込んでラインで確定板を独占した。


 「しっかり付いていっただけですよ。何か聞く事ありますか? 何もないでしょう(笑)。最後も内を締めたし、3番手の仕事はできたと思う。付いていく分には余裕はありました」

7R

選手の写真です。
津村洸次郎選手

 赤板前から一気に踏み上げた桜井雄太が主導権を取る。前受けから飛び付いた津村洸次郎(写真)と追い上げた渡邉豪大で3番手の位置を取り合う。軽快に飛ばす桜井の後位で車間を空けていた金子貴志が最終2コーナーから番手まくり。渡邉をどかして金子に続いた津村が直線で交わした。


 「あそこの位置にはこだわろうと思ってました。(桜井)雄太が行くだろうから、みんなで取り合いになるかなって。渡邉さんが来たけど、頑張ったら取れました。脚の感触はいいですね。余裕があるからこういう走りができる。金子さんの後ろでも余裕はありました。記念の準決勝はめちゃくちゃ久しぶりです」


 番手まくりの金子貴志が2着。レース後は桜井の走りを称えた。


 「(桜井)雄太が頑張ってくれました。強いですね。91点の脚じゃない。(10月)豊橋(記念)くらいからいい感じで走っていたのを見ていた。あそこまで頑張ってくれたので。次はワンツーを決めたいですね。自分は思ったより脚は軽いけど、体は疲れている。地区プロでカーボンフレームでもがいてダメージが残っている」


 初日に落車した高原仁志が津村を懸命に追って筒井敦史との際どい3着争いを制した。


 「結果、いい展開になりました。でも、落車の影響がないわけじゃない。(スタートで)誘導を追いかけたのも最後にボディーブローのように効いてきました」

8R

選手の写真です。
稲垣裕之選手

 打鐘手前で吉本哲郎が小林則之を押さえて主導権を握る。その中四国コンビを追った稲垣裕之(写真)と鈴木謙太郎は、3番手で併走状態に。外の鈴木はホーム前から踏み上げるも、堤洋のブロックを受けて失速する。一方、3番手をキープした稲垣は、2コーナー手前から反撃。一気に吉本をまくり切ると、そのまま力強く押し切って、ラインで上位独占を決めた。


 「流れの中で仕掛けられました。ハンドルを遠くして、いい感触がありますね。末も踏み切れたし、ラインで決まったことが何よりです。初日に長い距離を踏んで感触を確かめられて、だいぶセッティングは固まってきました」


 三谷政史が稲垣に食い下がって2着に入った。


 「稲垣さんが僕たち(三谷と藤田勝也)を見ながらイエローラインを踏んでくれました。最後は抜きに行ったんですけどね…。あれを抜けていたらGIで活躍していますよ(笑)」


 ライン3番手の藤田勝也もしっかり続いて3着でゴールした。


 「最後(三谷が)スライスして踏んでいったから、抜けなかったですね。せめて、前は抜きたかった。でも、あの3番手に付いて行けたのは自信になります。普段から自力を出しているからなのかなと思います」

9R

選手の写真です。
北津留翼選手

 赤板で山中秀将が押さえると、佐々木孝司が追って北津留翼(写真)は中団でフタをされる。スローペースに落とした山中を中団外併走の態勢から佐々木が打鐘で押さえて前に出る。その動きを追った北津留がロングスパート。最終ホームで鹿内翔のけん制を乗り越えると、1センターで外に振ってきた佐々木を内から抜いてバックで先頭に立つ。最後まで踏み切った北津留が後続の追撃を振り切った。


 「結果的に山田さんと勝ち上がれて良かったです。ただ作戦通りにはいかないですね。連日うまく走れていない。(ホームの)ブロックはイエローライン付近まできたのでバランスを崩してしまい、佐々木さんまで振ってきたから落ちるように内に入ってしまった。残りの2日間は気持ちよく走りたいですね」


 打鐘で佐々木に出られた山中秀将は後方まで下げて構える。最終3コーナーからまくり追い込んで2着まで届いた。


 「泳がされてしまって難しい判断でした。何をするか自分で選ぶ権利はあったんですけどね。最後に仕掛けられたし、届いたのは良かったです。北津留さんは仕上がってますね。初日、2日目と展開が悪いなりに動けている。本当は自分で展開を作らないとなんでしょうけどね」


 北津留との連係が乱れた山田英明はすぐに追い上げて付け直したが、直線は伸びを欠いて3着。


 「後輩が頑張っていたので、何とか付いていこうと。ジャンで仕掛けようという気持ちが伝わってきました。自転車を換えて付いていくのは楽だったけど、まったく伸びなかった。準決勝は初日のフレームに戻します」

10R

選手の写真です。
椎木尾拓哉選手

 川村晃司が打鐘から飛び出してハイピッチで駆ける。中団外併走となった根田空史がホーム前から強引に仕掛けていくが、椎木尾拓哉(写真)が何度も外に振って勢いを止める。中団で包まれていた守澤太志は2コーナーから内にもぐり込むと、2センターで椎木尾をどかしにかかる。これを締め込んだ椎木尾が直線の伸び比べを制した。


 「川村さんの先行があったからこそです。すごいピッチで駆けてくれました。あとはなんとか自分の仕事をしようと。内から誰か来るかなって思っていたら守澤だった。なんとか対応できて良かったです。自分はなんとか耐えられたけど、前を残せなかったので…」


 目標の根田が不発となった和田健太郎だが、直線でしぶとく外を伸びて2着に。


 「根田の頑張りに尽きます。構えてしまうかと思ったけど、あいつもプライドがあるんだね。3コーナーで根田が飛んでしまって、自分で切り替えていきました。苦しかったけど、勝ち上がれて良かったです」


 内へもぐり込んだ守澤太志が椎木尾と川村の間を伸びて3着。写真判定の末、逃げ粘った川村と同着となったが、初日の結果により守澤が準決勝に駒を進めた。


 「椎木尾が上手かったし、強かった。4コーナーも(椎木尾が)重たかったですね。自分だけになっちゃったけど、展開的にも仕方ないかな。なんとか同着で良かった。運がありますね。判断は間違っていなかったし、動きは問題ない」

11R

選手の写真です。
佐藤博紀選手

 後ろ攻めから動いた巴直也がいったん誘導員の後位に収まり、打鐘前からペースを上げる。中団外併走の態勢から強引に仕掛けた山崎賢人は最終ホームで巴を叩いて主導権。マークの大塚健一郎は離れ、佐藤博紀が山崎を追いかける。3番手以下は大きく離れて、直線は山崎と佐藤のマッチレース。山崎が力強く振り切って、連勝を飾った。


 「中途半端でしたね。(打鐘で)ちょっと見ちゃいました。なんか一歩ずつ(反応が)遅いですね。後ろに迷惑をかけました。脚は問題ないです」


 山崎を懸命に追いかけた佐藤博紀(写真)だが、交わすことはできなかった。


 「大槻(寛徳)さんという司令塔がいたんで、作戦が大きかったです。山崎君が行ったらすぐ行くという感じで。追いついて脚がなかった。あとは惰性でした。最後は外に外していっぱいになりました」


 佐藤との連結を外してしまった大槻寛徳だが、降りてきた大塚健一郎を外に飛ばすと、最終2コーナーから自力で外をまくり上げて3着に入った。


 「大塚さんは俺のところに降りて来るだろうなって。(佐藤)博紀だけ行っちゃって、あれだと3着までに入れないんで、イチかバチか行きました。最後は(安部貴之に)抜かれると思いました。全部、気合でした」

12R

選手の写真です。
松浦悠士選手

 松谷秀幸にフタをされた鈴木竜士は、赤板で6番手に下げて、2コーナーから仕掛ける。しかし、松谷も4番手から鈴木に合わせて一気に加速して地元勢に飛び付く。打鐘の2センターで鈴木が先頭に立ったが、ライン3番手の武田豊樹と松谷がもつれた状態で最終回へ入る。そこへ、後方で脚をためていた松浦悠士(写真)が襲いかかる。猛スピードで前団に迫ると、2センター過ぎに鈴木を抜き去り、そのまま力強く押し切った。


 「松谷さんのやる気をすごい感じていて、やるなら飛び付きとかだろうなと思っていました。あとは、前がごちゃついたんで目がけて行こうと。仕掛けた時は、吉澤(純平)さんが番手から出て来なければ行けるって感じでした。気づかれる前に行けたので良かったですね。しっかりタテが出ているし、踏み切れている。このメンバーの中で自力で勝てたのはでかいです」


 単騎で正攻法に構えた山崎芳仁は、最終バック9番手に置かれるも、中四国コンビを追いかけるようにまくって2着に入った。


 「(正攻法で)誰もなかなか来ないからジャン前に踏み上げておかないと、飛び付けないなと思って踏みました。(打鐘の)2センターでかぶっちゃって、バックを踏んだ時に松浦が来てしまいましたね。でも、最後は2着まで来れたんで悪くないと思います」


 松浦に続いた小倉竜二だったが、まくってきた山崎に交わされて3着でゴール。


 「松浦が強かったですね。ジャンからずっとスピードが上がって行く感じで、バイクに付いているみたいだった。僕は得意のハコ3です(苦笑)」


 吉澤純平は、最終バックで松浦にけん制を入れて踏み出そうとしたが、合わせ切れずに4着まで。


 「松谷さんが粘ることはある程度、想定はしていました。なので、そこだけは死守しようと。(松浦の仕掛けは)見えていたけど、スピードが違いましたね。安易に(鈴木との)車間を空け過ぎたかもしれない」


 地元勢に抵抗した松谷秀幸は、6着に敗れるも十分に見せ場を作った。


 「鈴木君はダッシュがいいから、合ったところに(飛び付こう)と思っていました。4車ですんなり駆けられて、まくれなかったら終わりですからね。誰かがやらないと」


 

10R

選手の写真です。
吉澤純平選手
選手の写真です。
吉田敏洋選手

 稲垣裕之が打鐘で吉田敏洋を叩いて先頭に立つ。後方から踏み上げてきた吉澤純平(写真)に合わせて稲垣がペースを上げて駆ける。吉澤は5番手の外で佐藤博紀と併走の形になり、吉田は3番手で最終ホームを通過。2コーナーから吉澤がまくり上げると、吉田も合わせて踏み込む。吉澤のスピードが優り、2センターで前団をとらえると、後続の追撃を振り切って先頭でゴールを駆け抜けた。


 「ジャンのとこですぐ仕掛けるタイミングがきたけど、津村(洸次郎)が下がってきたので…。津村が(近畿勢に)付いていけば、自分もすぐに仕掛けたんですけど。自転車が合っているというか、練習をしっかりやってきて、休みも取ってきたので、体の調子がいいです。地元なので連覇を意識してしっかり走ります」


 吉澤を追いかけるようにまくった吉田敏洋(写真)が2着に入り、前回の豊橋記念に続いて優出を決めた。


 「稲垣さんが先行態勢に入ったあとは、吉澤が浮いたなって思ったんですけど…。そのあと気付いたら吉澤が横まできていた。ちょっと最終ホームで構えすぎたかな。自分の前が椎木尾だったし、仕掛けにくかったです。状態は上がっているけど、まだ満足はしていないです」


 目標の佐藤博紀が不発と見るや、バックから外を踏み上げた山崎芳仁が3着に食い込んだ。


 「初日みたくなりましたね。基本的にまくりでいいって作戦でした。(佐藤)博紀は力を出し切れないで終わったから残念。自分は伸びていると思います。悪くないですよ」


 芦澤辰弘は最終2センターまで吉澤に続いたが、内側の吉田を乗り越えられず5着でゴールした。


 「(吉澤)純平さんの車輪だけを見ていたはずなのに、吉田さんを気にして見てしまいました。完全に脚負けですね。チャンスはめぐって来たのに…」


 

11R

選手の写真です。
山崎賢人選手
選手の写真です。
松谷秀幸選手

 赤板で切った松浦悠士は中バンクに上がってピッチを緩める。2コーナーで山崎賢人(写真)が内から抜けようとしたが、松浦が押さえ込んで出させない。結局、山崎は8番手まで車を下げる。後続の動きを確認しながら松浦が徐々にペースを上げて逃げる。守澤太志の内をすくって4番手を確保した松谷秀幸は最終2コーナーからジワジワとまくり上げる。さらにその外をまくり追い込んだ山崎がゴール前の大激戦を制した。


 「(打鐘前で松浦の内を)行ったほうがいいのか、引いたほうがいいのか、迷いながら踏んでました。(最終2センターで守澤太志の)ブロックをもらったので、ギリギリでした。キツかったです。脚は問題なくて、(取手は)走りにくくもないんですが、レースがいまいちです」


 先まくりの松谷秀幸(写真)は2着。レース運びとしては完璧だった。


 「しっかり位置を取って、臨機応変に動けたと思います。山崎君が仕掛けてくると思っていたので、先に仕掛けようと。出なかったけど、耐えて前々に踏めました。優秀戦は結果、負けたんですが、しっかり自分のレースをしたことがこの結果につながったんだと思います」


 松谷に続いた五十嵐力が松浦との際どい3着争いに踏み勝った。


 「松谷さんのおかげです。2人で乗れて良かったです。後ろに付いてて、かかっているなって思ってました。あの展開で(山崎は)まくりで1着に来るんだからすごいですね」


 先行した松浦悠士は惜しくも4着で決勝進出を逃した。


 「いいレースはできたと思いますけど、本当に悔しいです。内を空けて(山崎)賢人を出して3番手と考えていたけど、(山崎が)出てから緩めたんで、なにやってるんだって思いました。ある程度、松谷さんと守澤さんの動きをアテにしていたんですが、全部、自分でやっちゃいましたね。そのぶん、残れなかったです」


 

12R

選手の写真です。
山中秀将選手
選手の写真です。
和田健太郎選手

 北津留翼が打鐘手前で藤田勝也を押さえると、この3番手が鈴木竜士と藤田で併走になる。先頭の北津留は2センター過ぎから加速して、中団がもつれた状態で最終回へ。後方で反撃のチャンスをうかがっていた山中秀将(写真)は、ホームから一気に仕掛ける。ごちゃつく前団を3コーナーでまくり切ると、後続を振り切って8月富山以来の記念決勝にコマを進めた。


 「結果、ひとまくりして感じよく見えますけど、(展開次第で)紙一重だったと思います。(鈴木)竜士が外併走になったんで、外に飛んで来ないでくれって思っていました。あとは、駆けている番手が小倉(竜二)さんだったんで、そこを警戒していました。松戸(千葉記念in松戸)、別府と走って、いい感触はあって、今回は結果が付いてきて、競輪祭に向けて弾みが付きましたね。(自転車と脚に)しっかり引っかかりがあって、力が伝えられているので、調子は悪くないです」


 山中の踏み出しに車間が空いた和田健太郎(写真)だったが、最終2コーナーで付け直し、バックで山中に切り替えてきた小倉との踏み合いを制して2着に続いた。


 「初手の位置は思っていたのと違ったんですけど、山中は落ち着いていましたね。あそこから行けるあたりは調子がいいんでしょうね。自分は山中が仕掛けるって分かっていても、遅れてしまいました。(今シリーズの)直前に山中と練習ができていたんで良かったです」


 中近ライン3番手の林巨人は、最終2コーナー手前で武田豊樹の後位に切り替えて、直線で大外を強襲。3着まで届いた。


 「最後あんなに伸びて自分でもビックリです。道中は冷静に前を見ていて、武田さんが前にいたんで、どうにかしてくれるかなと思ってスイッチしました。最近にない伸びだったし、自信になります」


 外併走になった鈴木竜士は、最終バックから千葉コンビに続く形になり、2センターから外を踏んだが4着がいっぱいだった。


 「ああなるなら先行でしたね。中途半端なことをしてしまいました。やるべきことをやれなかった。力を出し切れなかったです」


 


<最終日・6R KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)>


 10月熊本記念in久留米で1131着と、2年ぶりの地元記念制覇を果たした中川誠一郎。決勝は最終バック8番手から上がりタイム10秒8の快速まくりを披露した。ここも持ち前のスピードで人気に応えよう。


 「(競技は)元本職ですからね。カーボン(フレーム)は、練習でけっこう乗っています。ここに向けての調整は特にしてない。今は競輪祭に向けて、自分の脚と体調を整えているので。今回は勝たないといけないっていうのがあるんで、なんとか期待に応えたいです」


 中西大は、近況のFI戦を堅実に優出している。


 「地区プロの時のセッティングを見直して来ました。最近は、カーボンフレームも練習でちょっと使い始めたんですけど、まだセッティングが出ている感じではないですね。練習はしているし、調子は悪くないと思う。誘導が上がって行くと思うから、難しいレースになりそうですね」


 10月立川FIは腰痛で欠場した櫻井正孝だが、続く11月富山FIでは538着と、決勝にコマを進めた。


 「(腰が)良くなったと思ってウエイトをしたり、負荷をかけたら、また痛くなってって感じなので、その辺を見ながら練習をやっています。(カーボンフレームは)前に持っていたのがあったんですけど、セッティングがなかなか出なくて2、3週間前に買った新しいのを持ってきました。中川さんは外国人選手みたいなものなんで、そこを意識しながらうまく走りたいです。枠もいいので」


 今期からS級に上がった恩田淳平にも注目したい。器用なレース運びで強敵に挑む。


 「これといった競技の経験はないんですけど、タイミングよく仕掛けたいですね。カーボンフレームにはけっこう、乗って来ました。タイムも納得いくくらいは出ていました。中川さんが抜けている存在だと思うので、考えて走りたいです」