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なごや競輪

NAGOYA KEIRIN

42#

検車場レポート

  • 8/13 Tue.  (前検日)
  • 8/14 Wed.  (1日目)
  • 8/15 Thu.  (2日目)
  • 8/16 Fri.  (3日目)
  • 8/17 Sat.  (4日目)

1R

選手の写真です。
松井宏佑選手
 前回の弥彦記念はあわやのシーンをつくり準Vの松井宏佑(写真)が、オールスターでGIデビューを果たす。
 「初めてのビッグでも気負う感じはないですね。もともと緊張とかはそんなにしないので。あとは1週間前に腰をやっちゃって…。ケアをしてきましたけど。1(レース)1(番車)なんで、1着を狙っていいきます」
 サマーナイトフェスティバルを含めてここ3場所で6勝を挙げている山本伸一の動きがいい。
 「(最近の成績が)なんでいいのかわからない。レースに対する考え方、(戦法の)幅を広げるために、頭を切り替えた。それ以外は一緒ですね。(松井の)レースは見ているし、(ラインで力を合わせて)全員で粉砕します」

2R

選手の写真です。
松岡健介選手
 松岡健介(写真)は5月の平塚記念で通算2度目のGIIIを制覇。その後も高いレベルで成績をまとめている。
 「4月の川崎からフレームを換えて、そこからずっといい。1年前くらいに練習メニューを見直したけど、それよりも自転車ですね。稲毛(健太)とは(7月の)富山で2回連係してる。(ともにワンツーで)強いから、あとは仕掛けどころだけだと思います」
 前回の静岡FIを585着の芦澤大輔だが、ダービー以来のGIシリーズに気持ちを入れる。
 「自分のなかでは調子は上がっている。久々のGIだから頑張りたい。(GIを)テレビで見てばっかりじゃ(笑)。自分は(同県の)杉森(輝大)の後ろですよ」

3R

選手の写真です。
小松崎大地選手
 思惑通りの調整過程とはいかない様子の小松崎大地(写真)だが、直近の小倉FIを133着でコンディション自体に問題はなさそうだ。
 「ちょっと途中でイレギュラーというか、計画的にできなかったところもあった。でも、直前の踏んだ感じは悪くなかった。あとは自力で自分の力を出すだけですね」
 その小松崎の番手を回るのは和田圭。前回の西武園記念を2433着。決勝も平原康多ラインの3番手をソツなく追走して、人気ラインでの決着に貢献した。
 「西武園のあとは地元が結構涼しかったんで、自分なりに練習はやってきました。だけど、GIだからっていうわけじゃなくて、いつも通りです。前回、セッティングも出たし、自転車に迷いもない。あとは信頼できる(小松崎)大地さんに任せてですね」

4R

選手の写真です。
野口裕史選手
 徹底先行で着実に力をつけてきた野口裕史(写真)は、GIデビューのここも積極策に迷いはない。
 「師匠(武井大介)には、しょぼいレースだけはするなって言われました。思い切りやるだけです。先行してどうやったら逃げ切れるかの練習はしてきたつもりです。(GIは)どこを走ってもキツいのはわかっている。自分の力を出すだけです。強い人と走れるのは楽しみ。先行してどれだけ通用するのか、どの程度か知りたい」
 芦澤辰弘は、前回の弥彦FIを381着。前々回のサマーナイトフェスティバルも456着と一息の成績が続いた。
 「(6月の)高松宮記念杯あたりは良かったんですけど。そのあとからダメになった。精神的なものもあるんですかね…。それで無理やり練習をして、オーバーワークの悪循環になった。だから、今回はケアをして休みながら調整をしてきました」

5R

選手の写真です。
稲垣裕之選手
 神山拓弥は前回の立川FIを628着。決勝では、タッグを組んだ山崎賢人の仕掛けに離れた。
 「(山崎は)吉田拓矢とかとも違うし、いままで付いたタイプと違いましたね。本当にフォームがきれいで、仕掛け(のアクション)がつかみづらい。なかなか機会がないかもしれないけど、また付いてみたいですね。自分は立川の前の大垣記念が疲れてて、体調を崩した。だから、立川のあとは体の具合をみながらやってきたんで、オーバーワークってことは全然ない」
 後輩、山田久徳に前を委ねる稲垣裕之(写真)が、冷静な立ち回りで上位進出を目論んでいる。
 「自力でも走ってるし、人の後ろでも走っている。だから(前回の岐阜FIの初日の)単騎でも問題はない。もちろん、まだまだっていうのもありますけど。フレーム選びから、それなりに考えてやってきた。(3場所前の)玉野から弥彦まではオーバーワークだったけど、(今回は)疲れをしっかり抜いてきた」

6R

選手の写真です。
佐々木豪選手
 前回の大垣記念から3週間近く空いた佐々木豪(写真)は、ゆとりのローテーションで自信を取り戻した。
 「20日間、空いたんで、しっかり気持ちからつくり直してきました。それまでは気持ちが切れかけてた。どんな練習をしても、気持ちが大事ですから。ここに向けてやって、いい状態できてます。GIで周りのレベルは高いけど、自分も仕上がってる」
 渡邉一成は、前回の玉野FIで昨年7月のサマーナイトフェスティバル以来の優勝。オールスターに弾みをつけた。
 「前回は優勝ができたし、課題を残して終わるよりは良かったですね。思うようにレースを動かせているんで、今回もそういう風にできたらいい」

7R

選手の写真です。
松本貴治選手
 松本貴治(写真)は3勝をマークした前々回の弥彦記念から自転車を換えて手応えをつかんでいる。
 「弥彦で新車にしてすごく感じがいい。前回(小倉)より状態もいいと思う。去年のオールスターの一次予選も(渡部)哲男さんと一緒だった。その時は哲男さんが1着で、自分がダメだった。だから今回はしっかり(自分も)。この1年間で脚も上がってると思うんで」
 静岡FIを461着の近藤隆司は、しり上がりに調子を上げて、最終日に勝ち星を挙げた。
 「静岡は風が強かったのもあったけど、体が重かった。2日目はとくにここ最近では一番(体が重かった)。最終日になってようやく良くなってきた」

8R

選手の写真です。
山崎芳仁選手
 山崎芳仁(写真)は、前回の平FIで昨年1月以来のV。地元優勝で加速をつけて、3度目のオールスター制覇に臨む。
 「(7月の小松島記念の前に)腰を痛めていたけど、それもケアをして、もう不安なく走れている。前回も地元だったし、なんとか(優勝)っていう感じでした」
 直近の3場所は優出を逃している阿竹智史の状態はどうか。
 「地元の小松島記念が終ってから、首と腰の方の具合が良くない。とくに腰の方が…。だから、あまり力んで走らないように、気をつけている」

9R

選手の写真です。
木暮安由選手
 吉田拓矢は前回の小倉FIを3連勝の完全Vにも、おごることなく気を引き締める。
 「GIで勝たないと意味がないですから。(小倉から)結構、日にちが空いたし、いい練習ができました。夏バテ気味になったけど、それももう大丈夫。(3車のラインは)大きいんで、しっかりと仕掛けていきたい」
 サマーナイトフェスティバルの初日に吉田とワンツーを決めた木暮安由(写真)も、前回の静岡FIを優勝。好ムードでGIを迎える。
 「(吉田とは)だんだん相性が良くなってきてます。本当に強いですから。前回は体が重いなかで優勝できたんで自信になった。そこから中4日だったんで調整ですね」

10R

選手の写真です。
宮本隼輔選手
 113期のルーキーチャンピオンで同期でただひとり記念を制覇している宮本隼輔(写真)が、初日の一次予選のトリを務める。
 「(初GIでも)全然なにも変わらない。名古屋にしても初めてだけど、どこに行ってもクセがどうとかはないんで。(20走連続で最終バックを取っていて)初日もバックを取れればいいし、取れるように駆けるけど。取れなくても(問題はない)」
 2月松戸FIでは宮本をくだして優勝を飾った岩本俊介が、こう口を開く。
 「松戸は松井(宏佑)君の番手だった。自力では(宮本に)勝ったことがないんで、自力でも勝てるように。前回から空いたんで、バンクに多めに入って練習をやってきた」

11R

選手の写真です。
脇本雄太選手
 初のファン投票1位でドリームに選ばれた脇本雄太(写真)は、その重みを感じながら久々の実戦に気持ちを込める。
 「(ファン投票1位ではなくてドリームに選ばれた時と)期待度が違いますから。内容と(結果の)両方を求められる。だから、難しいですね。(ナショナルチームでのトレーニングで)1回体をつくり直す機会があった。目標設定が(競技の10月の)アジア選手権なんで、上積みがどのくらいあるのか…。もちろん出るからには(優勝)っていうのがある」
 平原康多は、新車を投入した前回の西武園記念を7111着で優勝。
 「(新車は)大当たりっていうのは、これからでしょう。そうじゃないとこれで終わってしまうんで。(新車の)なにが違うって言ったら、スピードの乗りですね。そこが全然違う」
 GIデビューだった昨年のオールスターで優出の山崎賢人は、ドリームから2度目のオールスターのスタートを切る。
 「(前回の立川は)力不足でした。まだ物足りなさはあるけど、ここに向けていい刺激になった。そのあとは久しぶりにいい練習もできたし、ちゃんと疲れも抜いてきました」

1R

選手の写真です。
和田健太郎選手
 赤板の2コーナーで坂本貴史が押さえてところを松井宏佑が素早い反応で反撃に出る。合わされながらも松井は最終ホームで出切り、和田健太郎(写真)が続く。3番手は飛び付いた坂本と成清貴之でもつれる。山本伸一のまくりを止めた和田が、松井を交わした。
 「(松井は)強いですね、普通なら(仕掛けるタイミングを)見送るのかなってところを踏んでいってる。坂本君は自分のところが無理でも、成清さんのところで併走しようとしているのかなっていうのがあった。でも、(踏み勝った)成清さんが後ろにいたから、自分は(山本のまくりを)もっていけた」
 GIデビューでも臆することなく攻めた松井宏佑が、先行策で和田とワンツー。内容のある走りで3日目の二次予選に勝ち上がった。
 「もっといい感じでいければ、ラインの3車で成清さんまで連れ込めた。自分はすぐに(仕掛けて)行く能力が高いって、先輩に言われてるんで、そういうところを大事にして走っている。どんな展開になっても主導権は取るつもりではいた」

2R

選手の写真です。
山田庸平選手
 稲毛健太を警戒しながら、金子哲大が打鐘手前で主導権を握る。しかしながら、稲毛もその上を叩きに出て、最終ホームでは両者で踏み合い。別線の坂本亮馬を制した山田庸平(写真)は、2コーナー過ぎから仕掛けて、まくり展開をモノにした。
 「展開が向いたし、外をしっかり仕掛けてチャンスをモノにできた。稲川(翔)さんだったり、単騎の(坂本)亮馬さんもいて、引き切るのが遅くなってしまった。ただ、(調子は)前回に続いていい。(2日目はレースがなくて)休みが欲しかったんで良かった(笑)」
 金子の余力を見極めた杉森輝大が、稲毛に切り替える。芦澤大輔は最終4コーナー手前で外の松岡健介を弾いて、2着に追い込んだ。
 「難しかったと思うけど、スギ(杉森)が(最終)バックで判断してくれた。3番手の気持ちを考慮してくれて、自力を出してくれた。自分はそのおかげです。3番手を余裕をもって回らせてもらった」

3R

選手の写真です。
松谷秀幸選手
 柴崎淳が赤板で後ろ攻めから上昇する堀内俊介の動きに合わせて、中団取りに動く。前受けから7番手まで下げた小松崎大地は打鐘から反撃に出るが、車間を空けながら外を張ってけん制した柴崎が最終ホームから好回転でまくる。坂口晃輔は連結を外してしまい、小松崎を2コーナーでどかして切り替えた松谷秀幸(写真)が粘る柴崎をゴール寸前でとらえた。
 「柴崎君がすごいスピ―ドできたので対応できませんでしたね。そのあとの判断も難しかった。堀内に追わせていくか切り替えるかで悩みましたけど、3着権利だし後ろに海老根(恵太)さんもいたので。最後は差し切れたし、脚は悪くないですね。ここ最近はずっと流れが悪くて心が折れそうだったけど、気持ちだけは切らさずに練習してきた成果が出ました」
 惜しくも2着の柴崎淳だが、強さが際立つレース内容で沸かせた。
 「あそこで(小松崎に)来られたらかぶってしまうので。その前のジャンで来れば叩き合いになるか、出切ってもすぐに巻き返そうとは思っていました。しっかりと練習はやってきた。後ろが離れているのはわからなかったし、(坂口と)決まったと思ったら違いましたね」
 柴崎に離れてしまった坂口晃輔は、懸命のリカバリーで一次予選を突破した。
 「やってしまいました…。アツさん(柴崎)が仕上がっていたのはわかっていたけど、想像以上のスピードだった。もうホンマに瞬間移動でした。でも、その後は和田(圭)さんに切り替えて、バックで(前に)1、2、3って数えてまだチャンスはあるって。自分の調子が本当に悪かったらリカバリーもできていないし、トータルでなんとか戦える状態ではあると思います」

4R

選手の写真です。
井上昌己選手
 赤板前に中団から動いた松川高大を前受けの長島大介が突っ張って出させない。前団がもつれたところを野口裕史が打鐘前に叩いて主導権を取る。野口はハイペースで飛ばし、中団に長島、松川が7番手で最終ホームを通過。態勢を立て直した松川が好スピードでまくって前団に迫る。そのスピードをもらった井上昌己(写真)が外を鋭く伸び切った。
 「松川君はバックを踏まずに、追いついた勢いのまま仕掛けてくれた。自分の調子も悪くないのかな。最近は自力の番組が多いので、脚が鍛えられているんでしょう(笑)」
 持ち味の先行勝負で出し切った野口裕史は3着で二次予選進出を果たした。
 「走る前は(緊張感で)ちょっとフワフワした感じだった。それでも、発走機に行けば、やってやるって感じで気合が入った。先行してホーム、バックを取れたことでとりあえず任務遂行かなと」

5R

選手の写真です。
山田久徳選手
 先頭に立った鈴木竜士を赤板2コーナーで押さえた山田久徳(写真)は、中国コンビに続いた単騎の成田和也まで受けて4番手をキープする。6番手に鈴木を置いて、山田は先まくりを敢行。逃げる取鳥をとらえて1着。
 「鈴木君は(来るのが)遅めだったら、先行する気だと思った。そしたら早めだったんで、しっかり叩いてから(別線を)待とうって。向かい風が味方をしてくれたのもあるけど、調子もいいと思います。(最近は)ずっと感じがいい。前回も失格したけど1着(1位入線)だった。そのあとも結構、練習しました」
 「(山田)久徳のレース運びがうまかった」と、2着の稲垣裕之は後輩をたたえる。
 「最後まで力強いまくりだった。自分は桑原(大志)との併走で動きが気になった。桑原さん、成田君は細かい動きがあるんで、そこを通過する時にね。脚の感じは悪くない」

6R

選手の写真です。
渡邉一成選手
 後ろ攻めから上昇した佐々木豪が赤板で誘導の後ろに収まったが、根田空史が叩いて打鐘を迎える。7番手から中団に追い上げた渡邉一成(写真)が佐々木を内に押し込んでから齊藤竜也をすくう。最終ホームで3番手の位置を取った渡邉が間合いを取りながら2コーナーからまくる。根田の抵抗を力でねじ伏せると、そのまま後続を突き放して快勝した。
 「(打鐘過ぎに)内が空く感じがしたので。あそこが僕の勝負どころかなって思いました。あとは空いたらそのまま内へもぐろうと思っていましたけど、単独で3番手の位置が取れた。でも、あのままあそこにいても根田のペースにはまると思って、強引にでも出切ってしまえばなんとかなると思って仕掛けました」
 渡邉マークの大槻寛徳は離れてしまい、佐々木が不発の窮地に湊聖二が必死に外を踏むと空いた中のコースを池田良が突っ込んだ。
 「湊さんがバックを踏まずに前へ踏んでくれたおかげ。佐々木君も前々に踏んでくれましたから。自分はたまたまコースが空いてくれて。自分に外を踏む脚があればいいけど、ないですから。ほんとたまたまですよ」
 3着には逃げた根田空史が粘って二次予選への切符をつかんだ。
 「(打鐘過ぎに)中団がもつれたのがわかったので、あえて内を空けて誘う感じで。でも、風が強くてキツかったですね。内藤(秀久)さんが仕事してくれたおかげで残れました。前々回の川崎から使っているフレームの特性でまくられたあとも踏めましたね」

7R

選手の写真です。
椎木尾拓哉選手
 後ろ攻めから赤板過ぎに先頭に立った近藤隆司を野原雅也が打鐘前に押さえる。近藤隆司がすんなり中団に収まり、前受けの松本貴治は7番手まで下げる。3コーナーから巻き返した松本は中団の外で苦しくなり、最終2コーナーで失速。最終バック手前からまくり出た近藤を再三のブロックで止めた椎木尾拓哉(写真)が直線で鋭く追い込んだ。
 「野原君が頑張ってくれました。後ろの村田(雅一)さんも含めて、ラインで勝ち上がりたかった。できる限りの仕事をしたつもりだけど、もっといいレースができるようになりたいですね」
 渡部哲男は、目標の松本が不発の展開から最後は外を伸びて2着に。
 「キツかった。内に降りようとしたけど、ゴチャゴチャしている感じだったし、バックも踏みたくないので、コンリュウ(近藤)のケツを追う感じで踏みました。なんとか(2着)に届いて良かった」

8R

選手の写真です。
大森慶一選手
 阿竹智史を押さえて出た山崎芳仁が先行態勢に入るが、高橋和也も巻き返す。近藤龍徳が連結を外して、1車になった高橋を最終1センターで山崎が受けて追いかける。車間を詰めた山崎が直線の入り口で高橋をとらえると、大森慶一(写真)が中のコースをシャープに伸びた。前々回の平塚FIでS級初Vを飾り、今度はGI初勝利も挙げた。
 「山崎さんが頑張ってくれた。そのおかげで、自分にもチャンスがありました。GI(の1着)は初めてです。ホッとしました。ただ、必死すぎて後ろがどうなってるのかは、わからなかった(笑)」
 「むちゃくちゃ風が強かったけど、やるしかないなって」と、先行の腹をくくっていた山崎芳仁は、1車の高橋を受けて冷静な立ち回りでラインを上位独占に導いた。
 「(周回中に)中団を取ったんで、あそこで出させても(高橋)和也も駆けない可能性もある。(だから先行しようと思ってたけど)1車っていうのがわかった。合わせられたけど、1車ならと思った」

9R

選手の写真です。
吉田拓矢選手
 打鐘では一本棒の7番手に置かれた吉田拓矢だったが、2センターから踏み込むと不破将登をとらえて主導権を奪取。稲村成浩は離れるも、番手の木暮安由がきっちり追い込んだ。
 「(吉田)拓矢とこういう舞台でワンツーを決められて良かった。これからのGIでも決まっていくと思う。出切ってからちょっと焦ってたけど、ペースに入れ直した感じだった。(吉田は)本当に強かったですよ。余裕は全然ないですよ」
 不破に合わされた吉田拓矢(写真)だったが、叩き切ったスピードが光った。
 「(周回中は)本当は中団が良かったけど、(スタートで)周りが出る感じじゃなかった。でも、周りが動いてくれて、自分にタイミングが生まれましたね。出切ってからは落ち着けたし、木暮さんと決まって良かった」

10R

選手の写真です。
岩津裕介選手
 打鐘で主導権を握った岩本俊介が、宮本隼輔を合わせて逃げる。岡村潤のけん制もあって、宮本は最終3コーナーでいっぱい。宮本マークの岩津裕介(写真)が、4コーナー手前から踏み込んで1着。
 「宮本君もいい感じで踏んでいたけどね。岩本君は前半ならトップクラスの脚をもっているし、岡村君もうまい仕事をしていた」
 岩津との伸び比べに2着も岡村潤が、岩本と二次予選に勝ち上がった。
 「打鐘で北津留(翼)君を叩くまでは予定通りだった。あそこからは岩本君の掛かり次第ですからね。でも、自分も少しはブロックできたかなと」

11R

選手の写真です。
平原康多選手
 周回中、単騎の4人が6番手以降に位置して、赤板を通過しても隊列は崩れない。前受けの脇本雄太は、赤板の2コーナーで誘導を降ろして先行態勢を取る。が、4番手の深谷知広が打鐘の4コーナーで仕掛ける。浅井康太は深谷に遅れて、出切った深谷の番手に脇本が入る。脇本が最終バック手前から番手まくりでファン投票1位に応えた。
 「恵まれました。レースのなかで自分が味わったことのない展開だった。自分が前受けでジャンまで(別線が)来ないっていうのはまずないですから。(打鐘の2)センター前くらいからは、自分のペースでリズムをつくろうと思った。相手を見てじゃなくて、自分で動いてと。トップスピードの出し合い。自分のもっているトップスピードをどこで出すかっていう感じでした。自分では距離を踏めると思ってるんで、(深谷に行かれたあとも)巻き返しはできるっていうのはあった」
 6番手の新田祐大がまくり追い込む。新田を追った平原康多(写真)は、直線で外に持ち出し2着に伸びた。
 「もろスピードレースになりましたね。自分はそれに対応できた。(新田が行ったんで)様子を見て、最後まくり追い込んだ。いままでだったら(新田を)抜けてないと思う。自転車が体になじんでいい方向にいっている。このレベルの選手と1走して自信になった」
 まくり追い込みで前団に迫った新田祐大だったが、脇本までは遠かった。
 「残りの2周くらいからは、深谷と脇本の戦いになるなっていう雰囲気があった。自分は様子を見て仕掛けるタイミングでと思った。そしたら深谷がひとりでいって、脇本が番手にはまってた。1車ずつ追い抜いていくような形になって、なかなかスムーズには行けなかった」

3R

選手の写真です。
中本匠栄選手
 赤板の1センターで切って出た中本匠栄(写真)は、近畿コンビを受けて3番手をキープ。取鳥雄吾の反撃に合わせて最終2コーナーからまくって、逃げる中西大をとらえた。今シリーズ、初めてGIの舞台に上がった中本が、2戦目でGI初勝利を飾った。
 「(後ろから)1回動かしてっていう感じでした。(中西)大がもう1回来たのは意外でしたけど、スピードが良かったんで出させました。そのあとはもう(取鳥)雄吾が来たのが見えたんで、(仕掛けて)行かないとって思った。展開もあるけど、(GIで)1勝できたのは良かった。まだまだ力の差も感じるし、しっかりと勝ち上がらないことには。脚力もですけど、技術面も上げていかないといけないですね」
 4分の1輪まで迫った田中誠が2着で九州ワンツー。
 「雨、風がすごくて、周回中から自力みたいな感じでした。雄吾(のまくり)は止まってたし、無駄にもっていかなくてもいいかなと。あとは中本が出切ったんで、(別線に中を)割らせないように、外を抜かせないようにでした」

7R

選手の写真です。
小川真太郎選手
 2日目の一次予選はここから。赤板過ぎに切った小川真太郎(写真)を伊藤裕貴がすかさず押さえるが、早坂秀悟が打鐘前に叩いて出る。踏み遅れた齋藤登志信は連結を外してしまい、吉澤純平が早坂を追いかける。飛び付いた伊藤が吉澤を外に張ると、内をすくった神山雄一郎が吉澤を迎え入れて、最終ホームは早坂、吉澤、神山の順で通過。このタイミングで後方から小川が踏み上げる。全体のペースが上がり神山は遅れて、小川が吉澤の後ろに入り込む。バック手前から番手まくりを放った吉澤を追いかける形になった小川が鋭く追い込んだ。
 「風が強いし、早いペースにもなると思ったので、前々へ踏めばなんとかなるのかなと。(橋本強と)ワンツーできる展開だったので、もっと早く踏むべきでしたね。橋本さんはいつでも内に行けるのに、待ってくれたと思う。去年のオールスターは怪我明けの出場で全然ダメだったぶん今年は頑張りたい」
 2着の*吉澤純平は伊藤に粘られてヒヤッとする場面もあったが、神山のアシストもあり態勢を立て直した。
 「赤板で踏み遅れてはダメですね。しっかり押さえ切らないと、(伊藤が)内で粘ることはありますから。神山さんに助けられた」

8R

選手の写真です。
河端朋之選手
 鈴木謙太郎、桐山敬太郎の順番で動き始めて、南潤がそのまま追いかける形で先頭に出るかに思われたが、河端朋之を警戒して5番手の位置に収まる。河端が8番手に下がったのを確認した南は赤板の2コーナーからスパート。合わせて踏み上げた桐山はこの後位に飛び付く。中近ラインを追いかけていた河端が1センターからまくり上げたが、気配を察知した南が懸命に合わせてそのまま押し切った。
 「(赤板で)河端さんが意外とすんなり引いたので自信があるのかなって。なのでいつもだったらあのまま桐山さんラインに付いて行って叩くけど、ちょっと待っていきました。桐山さんは飛び付きだろうと思ったので金子(貴志)さんが絡まれないように上を走りました。その後は(河端の)音と気配を感じたので合わせて踏んだ感じですね。そこまで脚を残せていたのでなんとか。押し切れているし、調子は悪くないですね」
 南に屈した河端朋之(写真)だが、2着で二次予選にコマを進めた。
 「南君が強かったですね。ホームで見てしまって…。あのまま行ければ良かったけど、そこまでに脚を結構、使ってしまっていたし、合わされてしまいましたね」
 鈴木後位から切り替えて、河端ラインを追いかけながら外を踏んだ志村太賀が3着に突っ込んだ。
 「いつもあそこ(最終2コーナー)で見てしまって失敗しているから、シビアに踏ませてもらいました。展開的にあれしかなかった」

9R

選手の写真です。
長澤彩選手
 6番手から動いた奥井迪が、中団の外で止まってペースはスローになる。最終ホーム手前から叩きに出た奥井を、前受けの梶田舞が突っ張って駆ける。奥井を合わせた梶田後位には小林莉子。一度は3番手にスイッチした*長澤彩(写真)だったが、再度踏み上げた奥井に付け直すように外に持ち出し追い込む。逃げ切りを図る梶田と長澤のゴール勝負は、4分の3輪差で外の長澤に軍配が上がった。長澤は昨年に続き「アルテミス賞」を制した。
 「優勝自体も久しぶりなんで、あんまり実感がないです。自分の力を出すっていうのを目標にやってきた。正直、奥井さんをアテにしたところもありますけど、悪天候が味方をしてくれた。(最終)4コーナーでは届かないかなっていうのもありました。でも、ダッシュを強化してたんで自信をもって走りました。まだまだ力的に足りないところもあるんで、そこを補ってもっと大きいレースで勝てるようにしたいです」
 先行策でV争いを演じた梶田舞は、わずかに長澤に交わされて2着。
 「(奥井が)ジャンで来たら、自分は番手と思ってました。でも、(最終)ホームだと内でかぶって、自分の持ち味が出ない。だから、(突っ張って)踏みました。(最終)4コーナーを回ってもしかしてと思ったけど、甘くなかったですね」
 直線の入り口で奥井と接触した小林が落車。長澤の後ろにいた荒川ひかりが3着に入った。
 「(周回中は)中団が取れたんでラッキーでした。途中併走していたけど、長澤さんが見えた。最初から長澤さんの後ろが欲しかったんで、そこに切り替えました。緊張しましたけど、せっかく(ファン投票で)選んでもらったんで3着くらいまでにはと思ってたんでうれしいです」

10R

選手の写真です。
諸橋愛選手
 赤板過ぎに切った古性優作を和田真久留、菅田壱道の順で押さえてペースダウン。打鐘過ぎに山田英明が内を突いて団子状態になったところを古性が仕掛けて前に出るが、単騎の吉田敏洋が奇襲のカマシ先行。車間は大きく空いたが、後続の動きを警戒しながら古性が詰めて最終4コーナーを迎える。最後は番手の諸橋愛(写真)が、中割りを狙う佐藤慎太郎を締めて差し切った。
 「(古性に付くのが)とにかく初めてなので、踏み出しに遅れないことに集中していた。地区の違う僕が付いても、しっかりとしたタテの競走をしてくれてホントに頼もしい。(古性は)いい選手ですね」
 古性優作は普段と変わらず攻撃的な組み立て。緩んだ隙を逃さずに前へ出たことが、吉田の番手に入れた要因だろう。
 「あそこまで緩んだからね。でも、道中で2度も脚を使って先行態勢を取れたので。吉田さんのカマシには気づくのが遅れたけどホームで射程内だと思いました。追いながら練習しているフォームを確認して、最後の直線までその形で踏めたと思う。最後は(諸橋に)抜かれているので反省点もあるけど。1走目の走りとしては、良かったんじゃないですか」

11R

選手の写真です。
太田竜馬選手
 渡邉雄太、新山響平の順番で押さえて出て、前受けの太田竜馬は単騎の中川誠一郎を最後方に置く6番手。しかしながら、迷うことなく打鐘で踏み上げて、最終ホームで新山から主導権を奪う。ラインの3車で出切った中四国勢の番手の原田研太朗が、太田をきっちり交わした。
 「コンディションの悪いなかでも、自分の役割はできたかなと思います。(太田の仕掛けに車間が)空いてキツかったですね。(太田の)掛かりは、雨もあっていつもほどではなかった。でも、(新山が)内にいたので自分は気になって脚にきましたね」
 3着までが3日目「シャイニングスター賞」への権利。ラインでの勝ち上がりをメイクした太田竜馬(写真)の反応の良さとスピードが光った。
 「ホームの風がめっちゃすごくて、ハンドルをとられそうになってヤバかった。バンク自体は軽かったというか、追い風もあって押されたので出切ってからはスカスカした感じがあった。でも、(ラインの)3人で決まってめっちゃうれしい。(「シャイニングスター賞」は中四国の)4人でどこまで通じるか。今後、いい流れになればいいですね」
 松浦悠士は、徳島コンビの後ろで別線との間合いを計って踏み込んだ。
 「体重を落としているぶんもあって、風が強くてキツかったですね。(車間を空けたのは)援護もあるけど、自分がキツかったからもあります。詰めた勢いで踏んだけど、自分のイメージほどの伸びはなかった」

5R

選手の写真です。
渡部哲男選手
 吉田拓矢は叩き合わず3番手に引いて、打鐘手前で野口裕史が主導権を握る。一本棒の8番手に陥った中川誠一郎だったが、最終ホーム手前から早めに反撃に出る。ロングまくりで鮮やかに前団をのみ込んだ中川を渡部哲男(写真)がきっちり追い込んだ。
 「バックが追い風だから、(仕掛けを)待ったらキツかったと思う。それを考えて(中川は)早めに行ったんじゃないですかね。行きそうな雰囲気もあったんで、それに期待してました。踏み出しがすごかったし、自分は必死でした」
 さすがの加速力を披露して、ラインでワンツー。内容のある走りで準決に進んだ中川誠一郎だが、トーンは上がらない。
 「調子が悪いのか、全然、流れない。最近スリップしたりすることがあるんで、(最終)1コーナーは抑え気味にいった。8割くらいですかね。その分で流れなかったのかもしれない」

6R

選手の写真です。
渡邉一成選手
 後ろ攻めの松井宏佑は赤板過ぎに切って待つ山田久徳を叩いて打鐘前2コーナーから主導権を握る。中団が山田、吉澤純平で併走になると、志村太賀に締め込まれた村上博幸が最終ホームで落車。これを避けた*渡邉一成(写真)は2コーナーまくりで鮮やかに前団をのみ込んだ。
 「前がもつれたので決着がついてから仕掛けようと思っていました。吉澤君の外をう回するのは嫌だなって思ったんですけどね。山田君も先に仕掛ける形になるので。でも、思ったよりも車が出ましたね。タイムも良かったけど、競輪はタイムを出せばいいってわけじゃない。内容と着が伴わないと意味がない。調子は悪くないので気持ちを引き締めて準決も頑張りたい」
 渡邉の踏み出しにピッタリ続いた佐藤慎太郎が2着をキープした。
 「(渡邉)一成は強いね。(2センターで)山田が寄って来たから危なかった。郡司のところは締め込んだというよりも上ったぶん、降りた感じ。(渡邉が思った以上に強くて)いや、でもまた新しい悩みが増えましたね。どうにかしたい」

7R

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三谷竜生選手
 前に出て流し気味の小川真太郎の上を打鐘過ぎから南潤が一気にカマす。三谷竜生(写真)は踏み出しでやや車間が空くも、最終ホームで追いついて態勢を立て直す。最終バックで小川と鈴木竜士のまくりが迫ると、三谷は合わせて番手から踏み上げ、1着でゴール線を駆け抜けた。
 「もう少し全体的に流れに乗れていれば良かったけどね。(南)潤に悪いことをしたかな。でも、(最終)バックでまくってきた2人が見えたので。(小川)真太郎は無理やりっぽかったけど、鈴木君も勢い良く来ていたから。(前と連結が外れた)初日のことがあったので、気持ち的に少し焦りがあったのかもしれない」
 小川が合わされると、内から三谷のまくりに切り替えた小倉竜二が2着に続いた。
 「打鐘過ぎに止めるか見送るのか中途半端になってしまった。止めていれば、南君の番手に僕たちが入れた可能性もある。2着は小川君が前々へ踏んでくれたおかげ。もう一度浮いた小川君を入れれば、彼は準決にいけたかもしれないけど、後ろの橋本(強)君は苦しくなるし、僕もどうだったか…。そのあたりの判断は難しかったけど、シビアにいかせてもらった」

8R

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山崎芳仁選手
 根田空史を叩いた新山響平が、2車のラインながらもハイペースで逃げる。打鐘の2センターから河端朋之が反撃に出て、3番手の根田も合わせて出るがともに不発。北日本コンビの後ろは松谷秀幸と岩津裕介で併走。古性優作はかぶって仕掛けられない。番手絶好の山崎芳仁(写真)は、後続の渋滞をしり目に落ち着いてチャンスをモノにした。
 「(新山)響平は2周行ってるし、(最終)バックではタレてきてた。(別線が)まくって来たら、もう出るしかないと思ってた。そしたら勝手に残った、強いですね。ああなって絶対に内だけは空けちゃいけないなって。自分は初日にああいう走りができたんで、(二次予選で)展開が向いたのかなって思います」
 打鐘の4コーナーで踏み込んだ根田だが、出切れず力尽きる。松谷秀幸は、山崎後位に切り替えて岩津との併走をこらえて2着に伸びた。
 「恵まれました。根田はまくりでも良かったのに、よく仕掛けてくれた。(山崎の後ろに)降りて入ったけど、内に詰まっちゃった。あれを(最終)2コーナーで持ち出して、まくっていくくらいじゃないと。でも、張って出ていったら古性にすくわれてましたかね。連続の落車明けだったんで(準決に勝ち上がれて)良かった。根田のおかげです」

9R

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菅田壱道選手
 5番手の浅井康太が先に動いて誘導の後ろの収まると、この動きに乗った岩本俊介が赤板1センターで先頭に。すかさず山田庸平が叩きに行くが、岩本もピッチを上げて出させない。狙いどおりの3番手を確保した浅井だったが車は出ず。最終2センター、6番手から踏み込んだ菅田壱道(写真)が外を鋭く突き抜けた。
 「岩本さんが駆ける展開になると思ったので、先手に乗るよりも後ろの方がいいかなって。そうすれば浅井さんと山田君で併走でもつれるかなって。ジャンで少し踏み遅れてしまったのが失敗ですね。でも、山田君も脚を使って下がってきていたのでうまく追い上げられました。最後も伸びたし自信になった」
 岩本の番手を回った田中晴基が、好展開を生かして2着に食い込んだ。
 「岩本さんはジャンから全開でしたからね。相当掛かっていたし強かった。浅井さんがなかなか仕掛けて来なくて、早く来いって思いながらでしたね。来れば外に弾けるのに、はらうにはらえない位置にずっといたので難しかった」

10R

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柴崎淳選手
 7番手に下げた深谷知広が打鐘から一気に踏み上げると、最終ホームでライン3車がきれいに出切る。4番手の山田英明は空いた車間を詰めるのが精いっぱい。深谷マークの柴崎淳(写真)がゴール前で抜け出した。
 「楽そうに見えたかもしれないけど、大変ですよ。深谷が100%の踏み出しであるといいけど。今回は今までにないほど練習をしたし、心技体ともに充実している。競輪だからなにがあるかわからないけど、自分のなかでは“これで結果が出なければおかしい”と思うほどですよ」
 レースを支配したのは間違いなく深谷知広だ。スピード感あふれる打鐘ガマシの前に、別線は反撃の機会すら与えてもらえなかった。
 「中部勢が勝ち上がれていなかったので、気合を入れて臨みました。タイム的にも悪くないし、車がスムーズに進んでいるので問題ないと思います」

11R

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原田研太朗選手
 赤板で山崎賢人に合わせて動いた太田竜馬が、諸橋愛と接触して落車のアクシデント。太田の1車がいなくなり、結束した中四国勢は清水裕友が打鐘で飛び出して駆ける。山崎が4番手に飛び付いて、平原康多はその後ろ。脇本雄太は最終ホームで前と離れた8番手に置かれた。山崎が外に持ち出すと、原田研太朗(写真)は、番手から自力に転じてまくる。付けた松浦悠士、迫る平原康多の追撃を僅差でしのいだ原田が連勝を飾った。
 「太田君が転んだんで残念だったけど、(清水)裕友が気持ちを切り替えて(積極的に)行ってくれた。自分もあそこで気持ちを途切れないようにと思った。後ろに松浦君が付いてますから。(山崎のまくりに)合わせているんですけど、番手が不慣れで早めに(まくって)出ていく形になった。(別線の)プレッシャーはものすごいものがあった。脚の状態は悪くないです」
 中四国勢のシンガリを固めた松浦悠士が、2着に入ってラインでのワンツー。
 「裕友と(原田)研太朗が踏んでくれたんで、僕としてはしっかりと思った。(太田の落車は)残念ですけど、(脇本を)倒せるってことが証明できた」
 番手まくりで勝った原田の上がりタイムは11秒1の好タイム。それでも平原康多はあきらめることなく踏んで、直線で前の2人に襲い掛かった。
 「清水がものすごい掛かりだった。超ハイピッチでした。自分はやっと最後に追いついて3着までいけた。あれで1着までいけてたら良かったけど、脇本、新田(祐大)だって無理なんですからね」


≪4日目9R ガールズドリーム≫
 3年連続の最多得票で1位に輝いた児玉碧衣は、昨年まくりでドリームを制覇。1位の今年も“チャレンジャー”として連覇に挑む。
 「(3年連続の1位は)まだまだ応援してくださる方々がたくさんいるんだって、本当にありがたく思ってます。去年のオールスターで(ドリームを勝って)流れが変わった。あれで大きいレースでも、自信をもって走れるようになりました。オールスターが初めて獲ったタイトルですから。ただ、去年のオールスターよりも、明らかに脚力はアップしている。やれることをやってきたんで一番の仕上がりだと思ってる。(小林)優香さんに(3月の)大垣の借りを返すっていう気持ちで、チャレンジャーとして自分が仕掛けられるところでしっかりと仕掛けたい」
 東京五輪を来年に控えナショナルチームの活動に重点をおく小林優香は、今年わずかに8走のみ。しかしながら、その8走では負けなしだ。
 「国内で走る機会が少ないなかで(ファン投票)2位に選んでいただいたことは価値があると思ってます。自分としても筋肉量も増えているし、スピードも上がっている。(初日のドリームの同じナショナルチームの)脇本(雄太)さんの走りを見て、負けてられないし、脇本さんみたいに迫力のあるレースをしたい」
 *石井寛子は7月のサマーナイトフェスティバルで2度のシンガリ負け。最終日に白星を挙げたものの、続く富山、和歌山もコンディションが上がり切らないようだ。
 「(3場所前の)サマーナイトフェスティバルは本当に体が動かなかった。その原因もわからないんです。そのあとの富山も次の和歌山の初日もそんに動かなかったんで、考えないといけないですね。位置取り重視であとは自在に」

1R

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宮本隼輔選手
 赤板過ぎに4車の早坂秀悟ラインが押さえて出て、宮本隼輔(写真)は中団で野田源一と併走。先行態勢を取った早坂が徐々にペースを上げるが、単騎の鈴木謙太郎が最後方からカマす。早坂と鈴木の踏み合いを野田との位置取りを制した宮本がまくりで仕留めて1着。今シリーズ4走目にして、GI初勝利を挙げた。
 「初日は(GIデビュー戦で)浮足立ってたのか、流れを無視するような感じで失敗しました。2日目はそれを引きずっちゃった。3日目は良くはなかったけど、それなりに仕掛けられた。(4日目に)一応、1着も取れたんで。(負けたけど)脚力はそこまで変わらないと思うので、組み立て次第ですね。次は共同通信社杯(9月13日から)なんで、そこまで心の休養をします(笑)」
 池田憲昭が宮本との連結を外して、宮本のまくりに切り替えるように追った小松崎大地が2着。
 「(鈴木)謙太郎がひとりだったし、僕も迷いました。結果論ですけど、謙太郎を引っ掛けていれば…。判断ミスですけど、そこまで考えられたっていうことは悪くないと思う」

7R

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武田豊樹選手
 武田豊樹を連れて吉澤純平が打鐘から駆ける。3番手が山田久徳と単騎の吉田敏洋で併走になって、最終ホームから和田真久留が仕掛ける。その和田のまくりを武田が止める。和田、岡村潤を追った井上昌己は、最終2コーナー過ぎからその上を鮮やかにまくった。
 「(和田)真久留を追いかけながらでした。真久留が行かなかったら、自分で仕掛けようとは思っていた。武田さんも前に踏む感じはなかったんで、(まくりは)行ける感じがした。GIでまくれてるんで、(調子は)いいんじゃないですか」
 単騎の井上には屈したが、茨城の2人が2、3着。番手で上々の立ち回りを見せた武田豊樹(写真)は3着。6月の高松宮記念杯の落車の怪我から前回の西武園記念で復帰。徐々に手応えつかんでいる。
 「前(吉澤)がやることをやってくれたんで、自分もやることをやっただけです。(吉澤と)ワンツーなら最高ですけど、吉澤はジャン前から駆けてますからね。自分も急には良くはならない。でも、日に日に良くはなっている。練習での脚ができてても、レースの脚とは違いますから。自分の怪我との戦いもあるし、ラインの後輩との戦いもある。だから、あとは一戦、一戦の積み重ねです」

9R

選手の写真です。
石井寛子選手
 打鐘の3コーナーを通過しても隊列は崩れず、*石井寛子は児玉碧衣の後ろでじっと我慢。児玉が持ち前のダッシュで4コーナーから踏み込むと、石井寛はわずかに遅れたながらも前団を乗り越えて児玉の後ろをキープ。最終4コーナーで外に持ち出して、児玉とのマッチレースに持ち込む。ゴール寸前で児玉を交わして、昨年7月のガールズケイリンフェスティバル以来となる大きいレースを制した。
 「自分の状態を考えると自力で動いてどうにかするっていうのはキツいかなっていうのがあった。だから(理想は児玉の)後ろだった。付いてただけですけど、やっぱり(児玉の後ろは)いいですね。だた、(最終)ホームから1コーナーがキツかった。出切ってからは(小林)優香さんが来るだろうと思ったけど、来ないで欲しいって祈ってました。それがなかったので、直線勝負に持ち込めた。(この状態の中で勝てたのは)自信になります」
 周回中4番手にポジショニングした児玉碧衣(写真)は、小林を6番手に置いて打鐘の4コーナーから迷わず踏み込んだ。結果、4分の1輪交わされたが、ファン投票1位に相応しいレース内容だった。
 「誰がいるっていうのは関係なく、自分が思ったところで行こうと思ってました。自分が仕掛けたタイミングで(山原)さくらさんも仕掛けたんでキツかったです。(最終)2コーナーでは踏み直せたけど、4コーナーはタレました。でも、やるべきことはやった。直線は踏ん張れなかったけど、(3月のガールズコレクション)大垣よりも明らかに良くなっている」

10R

選手の写真です。
新田祐大選手
 山崎賢人が赤板2コーナーで押さえて出ると、古性優作は3番手に引いて態勢を整える。一本棒の7番手にいた新田祐大(写真)は、打鐘の4コーナー手前から早めの始動。スピードの違いで合わせる山崎を楽にとらえる。新田に佐藤慎太郎が続くが、大森慶一は付け切れない。3番手に切り替えて追い込む中川誠一郎の強襲をしのいだ新田が押し切った。
 「風を切って長い距離を踏んで、(佐藤)慎太郎さんとワンスリーでしたけど決められた。体にも神経系的にもすごくいい刺激が入りました。本当は連日、1着を取ることが理想ですけど、(今シリーズの)出だしが良くなかったんで準決でそれを払しょくできたんじゃないかと思ってます」
 新田、佐藤の2車に行かれた中川誠一郎は、古性を制してスイッチ。シャープに伸びた。
 「(山崎)賢人がいいペースで駆けてた。これならいい勝負ができるかと思ったら、(新田が)びゅうッと通り過ぎていった。迷ったけど切り替えさせてもらった。修正をして、だいぶしっくりきました。それで4日目が一番良かった。賢人の頑張りに尽きるけど、自分もしっかりとチャンスを生かせた」
 3着の佐藤慎太郎は、全日本選抜、ウィナーズカップ、サマーナイトフェスティバルに次いで今年4度目のビッグ優出を果たした。
 「(新田が)すごく冷静でした。自信をもってたし、脚にも余裕があるんでしょうね。これなら(別線が)まくって来るのは大変だなっていうのがあった。それに誰も来ないでくれっていうのも。(中川)誠一郎に行かれたのは悔しいです」

11R

選手の写真です。
平原康多選手
 後ろ攻めから動いた菅田壱道が、3番手の深谷知広にフタをすると深谷は赤板ホームで車を下げる。2コーナーで清水裕友が前に出ると、単騎の松谷秀幸は内をすくって3番手を確保。清水は打鐘過ぎ4コーナーで腹を決めてペースを上げる。深谷の巻き返しをけん制しながら2コーナーで仕掛けた平原康多(写真)は、小倉竜二のブロックを豪快に乗り越えた。
 「深谷君が来るのはわかっていたし、上を行かれたら終わりなので一発もっていった。小倉さんのブロックもキツかったけど、なんとか勝てたので良かった。自転車は前回(8月西武園記念)から使っているものと一緒だけど、セッティングなどを調整してきた。清水君もいいタイムで逃げているなかで、ヨコの動きをしてまくれたので、ようやくいまのスピード競輪のなかで、いろいろなことに対応できるようになってきたと思う」
 関東コンビの仕掛けに乗った菅田壱道が、外を鋭く伸びて2着に食い込んだ。。
 「流れ込んでの着ではなく、自分で仕掛けての結果なのでレース内容には納得している。しっかり外を伸びてるんで、調子は上向きだと思います」
 諸橋愛は、あおりを受けながらも平原に食らいつく。横一線の3着争いを制して決勝にコマを進めた。
 「(準決を含めて)3走ともすごく展開に恵まれている。自分は体調面でもキープできていると思う。準決は(平原)康多がどう動くのか把握できなかったところもあった。そこを修正して、(決勝は)もっといけると思う」

12R

選手の写真です。
郡司浩平選手
 脇本雄太が8番手まくり不発で、昨年2月全日本選抜以来となるGIファイナル進出を逃した。レースは逃げる新山響平マークの渡邉一成が脇本の巻き返しに合わせて最終3コーナーから踏み込む。北日本ラインを受けて3番手を確保していた郡司浩平(写真)が、ゴール前で渡邉をとらえた。
 「ほかのラインもまずはワッキー(脇本)を後方に置いてって気持ちだったと思う。自分はライン3車で有利ですし、最低限あの位置は取らないといけないと思った。本当はかぶる前に仕掛けないといけないですけど、(渡邉)一成さんに車間を空けられてタイミングをうまく取れなかったですね。でも、最後しっかり伸びての1着なので感触はいいと思います」
 脇本の巻き返しに対して踏み込んだ*渡邉一成。郡司には交わされたが、2着でGI連続優出を決めた。
 「新山も掛かっていたけど、最終バックでワッキーの気配を感じて並ばれたらヤバいっていうのがあった。あのままスピードを殺さずに踏むしかなかったですね。自分にもっとヨコの技術があれば、(新山と)ワンツーを決められたかもしれない」
 郡司マークの中村浩士は脇本、三谷竜生との争いを制して決勝戦最後のキップを手に入れた。
 「本当にしびれましたね。まずはあの位置を取ってくれてそこからどうするかって感じでしたけど、ワッキーがすごいスピードで来て自分はかぶってしまって、三谷にもからまれてしまった。でも、なんとかしのげましたね。郡司は復帰戦ですけど練習でタイムが出ていたって聞いていたので不安はなかったですね」