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81#

決勝戦レポート

平原康多(埼玉・87期)

3年連続のワンツーで平原康多V

 数多の修羅場をともにくぐり抜けて来た平原康多と武田豊樹が、最後の最後でドラマチックにグランプリ(GP)出場を決めた。
 「こんなことってあるんですね。競輪人生で味わえただけでも幸せです」
 GP出場へはともにあとがない状況で、今年最後のG1シリーズに臨んだ。
 「今年はとくに2人とも良くない時期が長かった。最後に間に合わせた感じです」
 落車禍で怪我に泣かされた平原は、今年の優勝は7月の小松島記念のみ。怪我の影響が残るなかでの寬仁親王牌準Vで賞金を積み重ね、ようやくGP圏内にたどり着いた。
 「まだそういうのがあるけど、気持ちでなんとか凌げた。ものすごく気持ちが入ってました。個人的にはGPにはとくべつな思いはないし、G1を獲ったうれしさがある。(GPは)そのご褒美みたいなもの」
 “G1を獲ってGPへ”。常にその言葉を繰り返してきた平原が、有言実行のV獲りで7度目のGPチケットをつかんだ。
 レースは早めに押さえて出た深谷知広の主導権。愛知コンビに単騎の稲垣裕之が続いて、平原は4番手。さすがの立ち回りで絶好のポジションをキープしたが、巻き返した新山響平が不発になると外の新田祐大にかぶって行き場を失いピンチに陥った。
 「基本的に予想していた展開じゃなかった。そこを自分で対応していってと思いました。(最終)2コーナーでは仕掛けたかったけど、新田が外に浮いていたので仕掛けられなかった。そしたら稲垣さんが踏んでくれたんで助かりました」
 最終2コーナーからまくった単騎の稲垣を追いかけて、平原に視界は大きく開けた。しかしながら、盟友の武田がGPに出場するには2着以上が絶対条件。武田のために、平原は稲垣の上を力任せにまくって出た。
 「調子が良かったのか思ったよりも、(まくりが)出ました。自分が稲垣さんを抜くだけじゃ…。ぶち抜いて、武田さんを絶対に2着にと思っていた」
直線の入り口で稲垣をとらえると、武田を楽に引き込んで上位を独占。3年連続でのワンツーフィニッシュを結実させた。
 「来年は(S級1班で)F1を走る気持ちで、しっかり一から出直しと思っていた。だからまだGPを走る気持ちができてない。GPの雰囲気は独特だし、特別競輪とは違うんで、平常心で挑めるようにしたい」
 土壇場でピカ一の勝負強さを発揮した平原が、これからGPモードへと切り替わる。

 武田豊樹は大会連覇はならなかったが、最後の最後にグランプリを決め、今から気持ちを切り替える。
 「自分の状態がひどい状態で、そのなかで戦って2着は満足してないけど、勝ったのが平原だから満足はあるけど。平原を抜くことが目標のレースだったけどね。今年1年は気力が充実してなかったのでキツかったですね。競輪祭でどうにかなるかなという気持ちは多少ありましたけど。今までは早い段階でグランプリを決めてたけど、今後の日程は想像してないし、このあとは記念に行くことを考えてたので。このあと、2、3日で気持ちを切り替えてグランプリを目指したい」

 逃げた愛知コンビの後ろを確保した稲垣裕之は2コーナーからの先まくり。直線で平原、武田に屈したが、単騎でも見せ場は作った。
 「近畿のみんなの頑張りあっての決勝戦。力を出し切るレースをしようと思ってました。深谷君の気迫みたいなものを感じたし、深谷君の先行だろうと。そこからは自分のタイミングで思い切り踏もうとおもった。出し切って負けたんで、また力を付けたい」

 深谷知広は新山の挑戦を退けたものの、金子の援護もむなしく最後は馬群に飲まれた。
 「(初手で)前を取らされるかと思ったけど、皆出ていったのでいつも通りに(組み立てよう)と。遅ければ突っ張りを考えてたけど、とりあえず1回動いてからと思ってました。落ち着いていけたし、かかりも悪くなかったんですけどね。(新山を)突っ張れたけど、稲垣さんのところでもうひと踏みする力があれば」

 任せた新山は深谷を叩けず1コーナーで大きく外へ。4番手、外併走になった新田祐大にも、もはや余力は残っていなかった。
 「G1選手は決勝になってくると気持ちがいつも以上に入る。(新山とは)その辺の違いが出てるんじゃないかな。2車で難しいレースになったけど、新山も考えることがまたひとつできたと思う。深谷は全開で突っ張ってたし、(外併走になっても)一本棒でどこにも入れない。ああなるとなす術ないって感じ」

  • 優勝者の写真です
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レース経過

 新田祐大が号砲と同時に勢い良く飛び出し、新山響平を迎え入れる。隊列は新山-新田の北日本コンビが前受け、中団に平原康多-武田豊樹-芦澤大輔の関東勢、後方に深谷知広-金子貴志の愛知師弟コンビ、これに稲垣裕之、近藤隆司の単騎2人が続き、周回を重ねる。
 青板周回の1センターから深谷がゆっくり上昇を開始。3コーナーで誘導員を下ろして先頭に立つ。単騎の稲垣がこれに続き、平原は4番手、新山は8番手まで車を下げる。後続の出方をうかがいながら踏み込む深谷に対し、打鐘前の2コーナーから新山が襲いかかる。これを確認した深谷もスパート。4コーナーで自ら外に振って新山を出させなかった深谷が主導権を握る。新山は後退し、新田も外併走で苦しくなる。単独で絶好の3番手をすんなり回れた稲垣が最終2コーナーから好回転でまくる。金子のブロックを乗り越えた稲垣が2センターで先頭に躍り出る。これを追う形になった平原がその外を踏み込み、直線で鋭く抜け出して優勝を飾った。平原を懸命に追った武田が2着に流れ込み、関東ワンツー決着。ゴール前で末を欠いた稲垣は3着に敗れた。
 

車番 選手名 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
1 7 平原 康多 埼玉 87期 SS 11.2 まくり
2 3 武田 豊樹 茨城 88期 SS 3/4B 11.2 マーク
3 9 稲垣 裕之 京都 86期 SS 1B 11.5 捲残
4 8 芦沢 大輔 茨城 90期 S1 1/2W 11.1
5 5 金子 貴志 愛知 75期 S1 3/4W 11.5
6 6 近藤 隆司 千葉 90期 S1 1B 11.4
7 1 深谷 知広 愛知 96期 S1 2B 12 H B
8 2 新田 祐大 福島 90期 SS 1B1/2 11.8
9 4 新山 響平 青森 107期 S2 D 12.6