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決勝戦レポート

新田祐大(福島・90期)

新田祐大が満点の成果

 「優勝ということも心に置きながら走っていたけど、一番は成田(和也)さんとワンツーを決めることが目標でした」。
 全幅の信頼を寄せる成田と、GIの決勝では久しぶりの連係。新田の心は燃えた。前団の戦況を見極めて、最終2コーナーから満を持して踏み上げる。前団のもつれを横目に、抜群のスピードでゴール線を1着で通過。持ち味を存分に発揮して、大会連覇を達成した。
 「本当に理想通りというか、スタートを取れて。そこからの組み立て方とか、周りの動き方っていうのも、成田さんと作戦を組んだ通りになりました。自分の力を出せるタイミングが取れたのもすごく勝利につながったと思います。本当にゴール前で成田さんが後ろに見えたのは嬉しかったですね。成田さんから『お前の好きなように走れ。信じている』と言ってくれたんで。僕も自信を持って仕掛けることができました」
 4年前、ここ岸和田で行われた高松宮杯では、ラインの先頭を走って成田の優勝に貢献。そして、自身も準V。そこが競輪人生のターニングポイントだった。
 「あの時は伏見(俊昭)さんもいて、ワンツースリーだったんですけど。あの時の想いは、まず成田さんの優勝の嬉しさ。それと、僕もあれだけ頑張れて、力が付いてきたなっていう自信。それと、目の前で優勝を見て、僕もタイトルを獲りたいって気持ちが強まって。その後のダービーやオールスターの優勝につながったと思います。本当に高松宮杯っていうのは、僕の中で特別な想いがあるのかもしれないですね」
 競技と本業で多忙な日々の中、なかなか結果を出せずにいた今年。しかし、この優勝で同じ境遇の仲間たちにもエールを送った。
 「自分で言うのも変ですけど、競輪界のトップとして頑張ってきて、競技選手としても頑張ってきて。その競技として一流ではないというのが自分でも自覚していたんですが、一流を育てるコーチが来たので。そのコーチの思惑どおりに練習を進めることが競輪にかなり支障がでるスケジュールになって。それを結果として残すことがナショナルチームの全メンバーに対して勇気を与えられることだと思っています。今日の優勝っていうのは、本当に競輪界のためでもありますし、本当に世界を目指す競技者の選手たちを育てるという意味でも一緒に戦った仲間たちの勇気をつける意味でも本当にいい大会になったと思います」
 これで年末のグランプリ出場権利を獲得。リベンジを誓う半年後の頂上決戦へ標準を合わせる。
 「この高松宮記念杯をきっかけに、今後のG1戦でもしっかり優勝を狙っていけるように、仕上げていきたいと思います。一番はグランプリに向けて、去年、自分の不甲斐なさで失格っていう形で応援してくださった人たちに迷惑をかけてしまっているんで。その応援してくださっている人たちがまた応援したいと思えるような選手になれるようになって、グランプリに戻ってきたいと思います」

 成田和也が、新田に食らい付いて準V。優勝こそ逃すも、苦しい日々を乗り越え、GIの決勝で連対を果たした。
 「やっと付いていけただけですけど、それが厳しいから。3コーナーでみんなが内にいたから振られたらきついけど、凌げて良かったです。(久しぶりの岸和田でのGI決勝は)懐かしいなって思いました。雰囲気とか思い出す感覚ですね。ここでしか味わえない。なかなか戻らなくて、期待に応えられないですけど、こういう所で走れたのは大きい。でも、まだまだ力不足です」

 山田英明は平原康多を捌いて吉田の番手を奪取。福島コンビに上をいかれて3着も、2度目のGI決勝の舞台で見せ場を作った。
 「僕は外か内か関係なく前々にと思っていました。自分のタイミングはいいように来ないので。そこがかみ合えばチャンスなんですけど。外が被っていたので、これでいってもしょうがないから内しかないと。一か八なので。もう一回(GIの決勝に)乗りたいです」

 外に浮いた平原康多は、山田と併走しながら懸命に踏み続ける。しかし、最後は力尽きて6着に終わった。
 「関東と近畿で力勝負と思っていたんですけどね。僕が仕掛ける前にヒデが来てしまって。対処できなかったし、反省します」

 赤板で位置を確保できなかった稲垣裕之は、そのまま終始外併走に。苦しい展開を打破できず8着に沈んだ。
 「赤板のところで新田の差し残しで、位置を取られてしまいました。それが敗因の一つでもあります。新田君と外併走になって、外々に動かされる苦しい展開になってしまいました。(外併走になってからは)周りの動き次第でもあったんですけど、しっかり位置を取って自力を出し切るつもりでいました。中途半端になってしまいましたね」

 吉田拓矢は、初の大舞台でも果敢に風を切った。
 「とにかく一本棒にしようと思って踏みました。後ろの状況はわからなかったですね。(GI決勝を走って)良い財産になると思います。この空気をまた味わいたい」

  • 優勝者の写真です
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レース経過

 号砲で新田祐大がいち早く飛び出して誘導の後ろを取り、以下は成田、稲垣-村上、山田-井上、吉田-平原-武田の順で並んだ。
 周回が進み、青板周回の2センターから吉田が動きを見せると、山田と稲垣が先に上昇し、山田が赤板前に誘導を下ろして先頭に出た。すると、すぐにその外を吉田が叩いて主導権を握った。打鐘が入り、吉田がハイペースのまま逃げていくと、稲垣が6番手外併走から反撃に出る。しかし、車の伸びは今ひとつで、武田の横までが精一杯。その武田が1角で稲垣をキメにいくと、空いた内を山田が潜り込んでいく。隊列がゴチャついたところを、新田のまくりが襲いかかる。新田は一瞬にして前団をまくり去ると、成田も懸命に追って福島コンビでセーフティーリード。最後は新田が力強く押し切って大会連覇を達成した。マークした成田が2着。内をすくった山田は平原を退かし、番手から抜け出して3着に入る。

 

車番 選手名 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
1 2 新田 祐大 福島 90期 SS 11 まくり
2 6 成田 和也 福島 88期 S1 1B1/2 11 マーク
3 4 山田 英明 佐賀 89期 S1 2B 11.4 追込み
4 9 武田 豊樹 茨城 88期 SS 1B 11.4
5 8 井上 昌己 長崎 86期 S1 1B 11.3
6 3 平原 康多 埼玉 87期 SS 3B 11.8
7 1 村上 義弘 京都 73期 SS 1B 11.7
8 5 稲垣 裕之 京都 86期 SS 3B 12.1
9 7 吉田 拓矢 茨城 107期 S1 D 13.5 H B