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HOFU KEIRIN

63#

検車場レポート

  • 11/1 Wed.  (前検日)
  • 11/2 Thu.  (1日目)
  • 11/3 Fri.  (2日目)
  • 11/4 Sat.  (3日目)

1R

前回の川崎FIではシリーズの3日間を通して最終バックを取る積極的な走りを披露した鈴木竜士が、気持ちを込める。


 「いまはとにかく先行でと思っている。脚の方は変わらないけど、川崎はレース内容は良かった。そこから練習はいつも通りだし、(初日は)自力で勝てるように」


 水谷好宏は前回の千葉記念3772着から中2週間。ゆとりのローテで変わり身が期待できる。


 「空いていたんで、練習は自分のペースでできた。ベースの部分の練習ができたし、自分ではその部分が減ってきていると思っていた。(9月に)落車して地の部分がなくなってきたんで、距離を乗る練習とかもできた。もともとそれがないとアカンっていう考えなんで」


 

2R

 工藤文彦は前回の千葉記念で準決進出も反省を忘れず、石丸寛之との一次予選を見据える。


 「(千葉では)すごい差を感じました。準決もそうだし、最終日もそうだった。それでも準決を走らせてもらったんで、また頑張ろうっていう思いはあります。(一次予選は同県の先輩の石丸に)あとで自分が前だったらよかったって思われないように頑張らないといけませんね。千葉が終わってから風邪を引いたけど、それはもう大丈夫です」


 前回の向日町FIでも高久保雄介とタッグを組んだ三谷政史が、目を細めてメンバーを見る。


 「(高久保と向日町の)2日目は僕が3番手、最終日は一緒だったんで、これで3走続けて一緒ですね。ずっと練習はやっていたけど、(調子が)ちょっと悪かった。それからしたらいまはだいぶ良くなっている。ラインで決められるように自分の仕事ができたら最高です」


 

3R

 前々回の4日制の京王閣FIで決勝進出、前回の千葉FIで1勝をマークと愛敬博之は、まずまずの成績を残している。


 「(番手回りは)ボチボチできているんで、本当にもう一戦、一戦ですよね。気持ちで負けないようにとは思っている。ただ、番手で意識して動いてしまうと3番手から抜かれたりしてっていうのもある。難しいです」


 内村泰三は、千葉記念6621着としり上がりの成績から中2週間で地元記念を迎える。


 「かなり仕上がりました。あとはオジサンなんで疲れが取れるか心配なんです(笑)。ちょっとやりすぎっていうくらいに(練習を)やってきた。竹内(翼)君とは連係もあるし、先行すれば強いですから」


 

4R

 前回の向日町FIでは2度のシンガリ負けを喫している伊早坂駿一は、乱調ムードを断ち切りたい。


 「その前の千葉と向日町は新車だった。それが合わなくて今回はフレームを戻してきました。体の方の調子は全然悪くなかった。だから、(フレームを)戻して乗った感じも良かった。使ってみなきゃわからないところもあるんで…。(フレームを戻して)不安要素をなくしてきたつもりです」


 近況は勝ち味に遅い内藤宣彦は、現状のコンディションを冷静に分析する。


 「地区プロのケイリンを走って3着だったし、脚はそこまで悪くない。自分的には脚がそこまで落ちている感じはない。ただ、競走得点が下がってくると、番組の方も厳しくなってくるんで我慢ですね」

5R

選手の写真です。
山下一輝選手

 山下一輝(写真)は10月広島でS級初優勝。今回は追加での参戦だが、「ほぼ正あっせんと変わらない感じ」と早い段階で追加が決まり、状態の不安もなさそうだ。


 「初優勝したあとはちょっと警戒されて、やられてしまった。まだ力が付いてないなって感じですね。配分が詰まってたのもあって玉野は悪かったけど、終わってからここまでは空いた。(地元記念の初日は3走で2勝)1着率が高いので今回も。しっかり頑張ります」


 番手は大川龍二。ここ5場所で5勝を挙げるなどタテ脚好調だ。


 「山下君とはワンツーもあります。(順番は一輝、龍二の)名前どおりでオッケーです(笑)。最近は1着とかも取れだしたんで。点数も今までS級にいたなかで一番高いし、一歩ずつ自分のプランのなかで積み重ねられてる。ここからは未知のところだけど、また一個ずつやっていきたい」


 

6R

選手の写真です。
取鳥雄吾選手

 取鳥雄吾(写真)は今期1班に上がってから記念やFIで初めての予選スタートとなってしまった。


 「まさかの(特選から)もれたっすね。でも、この成績だし、しゃーない。予選から1着をいっぱい取れるようにですね。ギックリ腰で熊本記念を欠場したけど、だいぶ良くなったし大丈夫だと思う。ここまでもいつもどおりやってきたし、問題ないかな。S級特進を決めたのも防府だったし、イメージはいい」


 まだ9月伊東で落車した影響が残っている佐々木則幸だが、取鳥という好目標を得たチャンスを生かしたい。


 「最初、取鳥の後ろと言われて、俺102点なのに特選? と思った(苦笑)。まさか予選に取鳥がおるとは。しっかり付いて行きたいですね。伊東の落車で痛めた足首が全然治らない。徐々によくはなってるけど、我慢してやるしかないですね」


 

7R

 志智俊夫は前回の千葉記念でも3度の確定板。鋭いタテの脚で成績は安定している。


 「ちょっと自転車や靴を換えて成績を落とした時期もあったけど、松戸記念から靴は換えたままでフレームだけ戻した。それが松戸で合って来ているなと感じました。まだ終わってないけど、今期もしっかり1班(の点数)が取れるように頑張ります」


 伊藤裕貴はこのメンバーで機動力上位の存在。短走路だけに、ペース次第では押し切りもありそうだ。


 「33バンクに関しては普通ですよ。調子も普通。良くも悪くもなく変わらずってとこですね。今年は去年に比べて上積みがなかったけど、来年は1班に復帰するし、上がってはきてるのかなと思う」


 大西祐はギア変更が吉と出るか凶と出るか。


 「前回(松山FI)からギアを3.92にして、今回からギアの組み合わせを47×12に変える。ギア規制がかかってすぐに使ってたギアだけど、そのときはなじまずに3年ぐらい使ってなかったんですけどね。いいイメージはないけど、このままじゃ頭打ちになるので。今回は追加だけど、前回(松山FI)はナイターだったけど、ナイター明けから普通に練習して来ました」


 

8R

選手の写真です。
國村洋選手

 ここは野原雅也は人気を背負う。9月岐阜記念のあとにギックリ腰になってしまったが、寬仁親王牌、向日町FIとその後も初日は連勝しており、期待に応えてくれそうだ。


 「今回、同期は(谷口明正と)2人しかいないんですけどね。いきなり対戦するとは…。過去に対戦したことはあったかなあ。1回あった気もします。地元に任されてるし、しっかり勝てるようにですね。防府は前回(6月FIで)来たときに優勝してます」


 國村洋(写真)は満を持して地元記念に参戦。セッティングを試行錯誤して一時成績を落としていたが、前回の名古屋では決勝2着と地元記念にきっちりと合わせてきた。


 「前々回の小松島である程度の方向性は見えたけど、そこだけじゃ判断できなかったんで、前回の名古屋を走れてよかった。手ごたえもアタリもあったし、ここに向けて上手くつながったかな。準備は整ったので、あとは結果を出すだけ。(野原の番手で)せっかくチャンスを与えてもらったので生かしたいですね」


 前回の名古屋こそ762着と振るわなかった谷口明正だが、最近は優出や1着回数も増えるなど成績は上向いている。


 「まだ本調子じゃないなと思いながらも結果はついてきてますね。でも前回はタイミングが悪かったし、甘いところがあった。前回みたいなミスをしたらアカンなと思います。戒めになりました。しかも(師匠の萩原)操さんと一緒だし頑張らないと」

9R

選手の写真です。
太田竜馬選手

 太田竜馬(写真)は防府競輪場初登場。予選のメーンで圧倒的な人気に応える。


 「前回(松山FI)の決勝はラインも4人だったので先行しました。あれで9着ならダメだけど、5着に残れたんで。最近は安定してるんで良いと思います。寒い時期は苦手だけど、今年はそれなりにいけると思う。防府は初めて。33バンクはあまり好きじゃないけど、良さもあるので。そこを上手に使えたら。いつも使えてないんでね」


 梶原恵介に競られることになった山形一気だが、番手を死守して太田に続きたい。


 「今年の福井記念の初日に連係したし、太田とは2回目。今回もなるだろうと期待しながら来ました。競りは仕方ないですね。前回(熊本記念)の2日目、3日目ぐらいから良くなってきたし、イケるかなって感じはあります」


 

10R

選手の写真です。
中川誠一郎選手

 熊本記念連覇はならなかった中川誠一郎(写真)だが、シリーズ3連勝で勝ち上がるなど復調していることは間違いない。


 「前回の決勝に関してはホームで行くしかなかったですね。小松崎(大地)が先に仕掛けたんで行けなくなってしまった。でも武雄(共同通信社杯)あたりから、体調的にはまずまず戻ってる。ここまでは地区プロもあって忙しかったけど、そこから5、6日あったので疲れも取れて問題ないと思う。防府も最近いい気がしますね」


 和田真久留は9月青森記念の落車で鎖骨骨折。今シリーズは1カ月ぶりの実戦となる。


 「練習は3日ですね。あまり休んでも(状態が)分からないし、走って考えようかなと思った。でも、ある程度戻ってるし、特に問題は見つからなかったんで。レースはまた違うけど、そこは上手く対処して走りたい」


 変わらず好調を維持している和田健太郎が和田真を援護する。


 「追加は3日前ぐらい。別に(配分間隔が)詰まってる分には気にならない。(前回、立川FIでは目標不在でも1着)一時よりも、そういう気構えというか、見せていかなきゃっていうのが出てきた。与えられたところでやるだけだし、そのなかで最低3着までに入れるようなレースをね。それをもっともっと高いレベルでできるように」

11R

選手の写真です。
浅井康太選手

 浅井康太(写真)は前回、熊本記念の初日に続いての自力戦。今シリーズは中部地区の自力選手が手薄で、自力での戦いが増えそうだ。


 「それは分かって来てるので。久々の自力開催になりそうですね。いいメンバーで、GI級と走れるんで、しっかりどこかで仕掛けたい。考えるより、体が動いてくれればいいですね。雨が続いたり、地区プロもあったりでしっかり乗り込めてない。不安要素はあるけど、しっかり頑張ります」


 諸橋愛にとってはグランプリ出場をかけた最後の1カ月。前回の松山FIから中3日は地元には帰らず、久留米の江嶋康光のマッサージを受けながら練習をした。


 「ふとした時に『来月の今頃はどうなってるのかな?』って考えることはありますよ。でもあまり考えると競走が小さくなるし、いつもどおりやってダメなら仕方ないって感じ。前回は寬仁親王牌で落車してから走ったわりには、そんなに悪くなかった。あとは展開って感じ。そこからは久留米に3日間いて、江嶋さんのマッサージを受けながら練習してました。時間を気にせずマッサージを受けられたのでよかったです」


 吉澤純平は前回の熊本記念でも力強い走りを見せていた。もう落車が続いた怪我の心配はなさそうだ。


 「追加の連絡は早かったんで、休んでしっかり練習して来ました。この間(熊本記念)が良い感じだったので。(肩甲骨骨折から復帰した)オールスターはさすがに力が抜けちゃう感じがあったけど、今は練習の上積みも若干あると思う。(オールスターから使うフレームも)しっかり合ってる感じがしてきました」

12R

選手の写真です。
桑原大志選手

 練習中の落車も含め、今年は度重なるアクシデントに見舞われている村上義弘だが、闘志はまったく衰えない。前回の千葉記念決勝でも単騎で自力を出すなど、ファンの心をつかむ走りは健在だ。


 「それが自分の走りなんで。前回は自分の状態のなかでしっかり走れた。上向くようにはやってるんだけど、なかなか結果に繋がらないですね。ここまでは気になるところを見つけて練習して来ました」


 桑原大志(写真)は現在、賞金ランキング9位。地元のここでしっかりと結果を残して、競輪祭で勝負をかけたい。


 「ここらで踏ん張らないと。でも毎年同じことでダメなんで、気楽にいきます。周りの人からも『自然にやってこい』って言われたので。(地元記念を)獲れるとか獲れんとかは考えないようにしたい。今回は楽しみではある。自転車とシューズを全く別物にして、トライしてみる。練習では乗ってみたけど、レースで使うのは今回が初めてです」


 山田英明は前回の熊本記念では初日に失格。今年最後のGI開催を前に流れを取り戻したい。


 「新車が間に合ったので、今回から使います。実戦で使ってみないと感じが分からないし、競輪祭までにレースはここしかないので。状態は悪くないけど、僕のなかで焦ってるところがある。かみ合わなかったり、結果が出なかったり、そういうところでですね。今年は前半だけだったと言われるのも嫌なので。気持ちが切れたら終わり。しっかり気持ちを持っていこうと思います」


 

1R

選手の写真です。
鈴木竜士選手

 オープニングレースは年末のヤンググランプリ出場を決めている鈴木竜士(写真)が会心のレースで別線を圧倒した。後ろ攻めから上昇した才迫開が切ったうえを赤板から叩いて先頭に踊り出ると、曾澤龍のカマシも封じる。ゴール前もしっかり踏み直して兵藤一也を振り切った。


 「初手は後ろか中団が良かったので(才迫が)切った上を叩いて。曾澤さんが来るのが見えたけど出させる位置ではないと思ったので突っ張りました。合わせ切ったあとに流せたので最後までしっかり踏めました。久々に逃げの決まり手が付いて良かった。今回も4日間最終バックを取れるように」


 絶好の展開かに思われた兵藤一也だったが詰め寄ることもできずに2着で入線。


 「無理(苦笑)無理っしょ。ダッシュが半端ないからそこで脚を使ってしまう。最後も抜くとかじゃなくて(内にこられるのが)怖くて締め気味でしたね」


 目標の曾澤が不発の窮地にも冷静に4番手を確保した鹿内翔であったが一車も交わせず4着に。


 「バックは余裕もあったけど、仕掛けたら合わされると思って。名前に負けてしまった。朝だったから体も動かなかった」

2R

 久島尚樹が切った上を赤板で踏み込んだ工藤文彦が出て主導権。巴直也が叩きに出るが、工藤は突っ張って駆ける。荻野哲の援護もあって3番手で立て直した巴は、久島との併走からまくりで岡山コンビを仕留めた。


 「前が早駆けになったんで、最後はタレてくれるかなと。なんとかでしたね。(2場所前の千葉の)エボリューションで、自分が7番手でボス(オランダ)の後ろに付いて離れちゃった。離れない自信があったんですけど…。それでやっぱり位置にこだわっていかないとって、キッカケになりました。位置にこだわって勝負しているのが、最近の結果につながっている」


 逃げる工藤を利した石丸寛之は巴を止められずの2着も、後輩との二次予選進出には納得の顔。頑張りを称える。


 「工藤がよく踏んでくれた。工藤はパワーアップしているのも知っているし、工藤が強いから。あれで(まくりが)来るならひとりだと思った。また、準決あたりで一緒に走りたいですね。1番(巴)を張ったら、6番(久島)が内に見えた。あれが地元の桑原(大志)だったら、(まくりを)止めてましたね」

3R

選手の写真です。
竹内翼選手

 後ろ攻めから動いた小埜正義が青板バックで誘導員を下ろすと、そこを竹内翼が叩いて前に出る。前受けから下げた不破将登は赤板ホームから仕掛けるが、これをダッシュよく合わせた竹内翼(写真)がそのまま押し切った。


 「不破さんが前でいい展開になりましたね。小埜さんがすぐ切りに来たんで、切って見ながら不破さんが来たとこで踏んだ。合わせ切れてるし、調子はいいのかもしれないですね。12月は地元記念にヤンググランプリがある。広島記念で結果を残して、ヤングにつなげるにはここからしっかりやらないと間に合わない。今回は負けても内容にこだわってやっていきたい」


 番手絶好の内村泰三だったが逆転はならず。それでも竹内とワンツーだったレースを笑顔で振り返った。


 「余裕はあったけど、(競走得点)102点は違う。出だしで(不破をけん制したり)色々やったんで、いらんことしたっすね。でも(竹内は)中国の宝だから残さないと。2日目からも必死に食らいつきます」


 中団を取った小埜が4コーナーで内から坂本修一を飛ばすと、空いたインコースを突いた山田和巧が3着に。生まれ故郷(山口県美祢市出身)の記念で二次予選に勝ち上がった。


 「中国ワンツースリーですね(笑)。山口の人の声援がありがたかった。外行こうかと思ったけど、小埜君が内から(坂本を持ち上げて)外に行ったので付いて行こうと思った。気をつかってもらいました」


 

4R

 後ろ攻めにこだわった伊早坂駿一が別線の動向を見極めて赤板から一気のスパート。打鐘手前に先頭に踊り出ると番手の内藤宣彦が車間を空けて松岡孔明のまくりをけん制しつつゴール寸前で交わして久々の白星を手にした。


 「最近はずっと後方になっていたからこんなにいい展開は久々ですね。(伊早坂が)青板で動きだしたときにはちょっと早いかなって思ったけど、冷静でしたね。誰も先行争いはしないだろうって感じで、動きを見ながら落ち着いて仕掛けてくれました。いい意味で若者らしからぬ落ち着きがありましたね」


 前回向日町は9着2回と不甲斐なかった伊早坂駿一だったが、その不安を一掃する逃走劇を披露した。


 「今回からフレームを戻して正解でした。体とかは問題なかったので修正できて良かった。自分が焦って登りで仕掛けても後ろもキツいかなって思ったので、下りで出切れるように仕掛けました。最後は少し(末脚が)甘くなってしまったけど、脚に刺激が入ったので明日以降はもう少し良くなると思います」


 狙い通りの位置を確保してまくりを繰り出した松岡孔明だったが、車の進みはいまいちで不発に終わってしまった。


 「脚を使ってしまったけどやるべきことはできたので。痛みもなくなったし前回よりは良くなっている」

5R

 赤板手前から主導権を握った地元の山下一輝が、そのまま駆ける。佐々木孝司と4番手を併走した小嶋敬二だったが結局下げて、佐々木にすんなり中団が転がり込む。最終1センターからのまくりで前団をのみ込んだ佐々木を、大崎和也が楽に交わして青森ワンツー。


 「(佐々木が)いいタイミングで行ってくれました。もっと構えるかと思ったら、ロングで行ってくれた。よかった、自分は恵まれました」


 「(準決が)A、B、Cの時はありますけど、(最近の)記念で勝ち上がりは初めてなんで」とは、佐々木孝司。近況の悪い流れをまくりで断ち切った。


 「前になったんで、引いて中団で併走と思ってました。あとはそこだけは踏み遅れないようにと。小嶋さんにかぶってしまうよりはと思って、とりあえず(仕掛けて)行きました。出ないかなと思ったんですけど、(まくり切れて)良かったです」


 

6R

 前受けから下げた取鳥雄吾は赤板ホームから何度も仕掛けをためらったが、打鐘過ぎ3コーナーからカマして一気に大矢崇弘を叩き切る。ホームの接触で佐々木則幸が離れ、大矢に番手に入られたが、大矢の追撃を力強く振り切った。


 「どこでも行けたけど、できるだけ距離を短くしたいと思った。(大矢が)行ったうえでも行けると思ってたので。1着取れたんで良いと思う。(ギックリ腰で熊本記念を欠場し)久々だけど勘は大丈夫でしたね。後ろには悪かったけど、得意パターンで行く感じでした」


 打鐘から内をすくって大矢の番手に飛びついた渡部幸訓が大矢を交わして2着に入った。


 「あの展開なら大矢に駆けさせて先まくりと思ったけど、(前後の緩急を)我慢できなくて内に行ってしまった。全部すくって(取鳥の)番手狙いでもよかったけど、そこの判断が中途半端でしたね。でも、とりあえず初日のノルマはクリアしたので」


 3着の大矢崇弘はレース内容を反省する。


 「雄吾ばっかり見ちゃって…。ちょっと見すぎましたね。安部(達也)さんに申し訳ない。(取鳥が)来そうなのも追い出しだとわかったので、引っ張れるだろうと思って欲が出ちゃいました。不完全燃焼でしたね」


 

7R

 人気を背負った中部勢が正攻法に構え、別線の動きを見極めながら打鐘手前から伊藤裕貴が一気にスパート。3番手に嵌った荻原尚人に動きはなくそのまま中部両者で決着するかに、大西祐が後方8番手から大まくりを披露して前団を一気に飲み込んだ。


 「スタートで荻原さんだけ見てたら志智(俊夫)さんに出られて。後ろ攻めは考えていなかったから焦りました。自分が一番ビックリですよ。ダメもとで(まくりを)出したら思った以上に出ましたね。嬉しくて3回くらいガッツポーズをしてしまった(笑)」


 大西を懸命に追いかけた森安崇之が2着に入線し検車場で笑顔を振りまく。


 「また作戦と違いましたよ。初手は中団だって作戦だったのに。いつもの9番手になってホームでも仕掛けないから終わったと思いました。自分はどちらかと言えばこういうスピードレースは得意なほう。踏んだり止めたりするほうが脚にくるので。来期はA級なので少しでも点数を上げておかないと特選漏れしますからね」


 伊藤を利して絶好の展開かに思われた志智俊夫であったが3着まで。


 「バックでオギ(荻原)が仕掛けてこなかったからもう決まったと思って油断してたら凄いスピードで来て対応できなかった。道中のかかりも良かったと思いますけど」


 4着に沈んだ伊藤裕貴は検車場に引き揚げてくるなりその場に倒れ込む。


 「荻原さんの飛び付きが怖かったので前受けから引いてドカンって作戦でした。良いタイミングで仕掛けられたし残り一周までは良かったけど2コーナーからバックで止まってしまった。今日はアップから少し重いなって気がしていたけど脚が動かなくなった。踏み方の問題だと思うのでしっかり修正したい」


 

8R

選手の写真です。
野原雅也選手

 前受けの野原雅也(写真)は7番手まで下げると、赤板の1センターから巻き返す。力の違いであっさり谷口明正を叩いて主導権を奪取した野原が、小気味よく風を切って断然の人気に応えた。


 「めっちゃ長かった気がします。でもワンツーを決められたし、とりあえずは。(谷口が)駆けていくのかと思ったら、もう緩んで詰まっちゃったんで行きました。(前受けから)車輪を掛けて突っ張りも考えていたけど、(谷口が)切っちゃったんで…。そこからも中団で粘るか引くか迷った。そのぶんしんどくなりました」


 野原のダッシュに付け切った國村洋は、4分の1輪まで差を詰めたところがゴール。ホッと一息ついて、口を開く。


 「前回の防府(9月77欠)のことがあったんで失敗できなかった。(付いていけたんで)自信になりました。あれが前のセッティングだったら離れてたと思います。最後は地元の意地と109点(の野原)の意地でした。強いし野原君は本当にありがたいですよ」


 野原に主導権を奪われた谷口明正は、遅れて来た野原ラインの蓮井祐輝まで受けて4番手。最終2コーナーから蓮井を交わして踏み込むも前が遠く3着。


 「もうちょっと張っておけばよかった。(野原に)行かれたんで、緩めてしまった。(蓮井が)遅れてきて、迷ったけど入れた」


 

9R

選手の写真です。
山形一気選手

 人気の太田竜馬は打鐘過ぎ4コーナーからのまくり。2コーナーの下りで一気に加速すると、鮮やかに前団を飲み込んだ。


 「後ろを気にしながら行ったけど、打鐘で(接触して)僕もピクッとなったんで。一人だと思ったので、さばかれんようにポイント、ポイントで焦らず行った感じ。ちょっと喉が痛いけど、走り自体はいつもと変わらないんで大丈夫だと思う」


 梶原恵介に締め込まれ、打鐘で太田と接触した山形一気(写真)は太田の仕掛けに離れてしまったが、1センターからまくりに出ると何とか太田とワンツーを決めた。


 「打鐘で前輪にペダルが入って、コケたと思った。できればあそこ(打鐘)で行ってほしかったけど、太田も出だしが悪かったね。千切れたわりにはリカバリーしたでしょ。余裕はあったけど、(接触して)ガシャンが効いたね。人気だったし、4コーナー回ってホッとしました」


 太田、山形の徳島コンビに時間差で行かれてしまった森川大輔だったが、何とか猪俣康一を4着に残すと自らも確定板にあがった。


 「太田一人だと思ったんですけどね。3番手に稲吉(悠大)さんが見えたので、持って行ったらすくわれると思って行けなかった。後ろがいれば車間を切りながらやれたけど。2人に行かれてからは猪俣さんを残せるようにと思ってました」

10R

選手の写真です。
中川誠一郎選手

 後ろ攻めから上昇した和田真久留が誘導員の後ろに収まり、中団は松岡健介と松浦悠士で併走。中川誠一郎が後方に構えた形で赤板周回を迎える。和田真がインを切ろうと動いた松浦を突っ張ると和田健太郎が踏み遅れてしまい和田真の番手に松浦が収まる展開に。戦況をうかがっていた中川誠一郎(写真)が最終ホームから一気に踏み込むと合わせてまくる松浦を一気に飲み込んだ。


 「松浦君が切ってくれたらその上を叩いて先行しようと思ってました。離れたのは分からなかったけど、合志さんが落車したので複雑な気持ちですね。スピードに乗ってからは良かったと思う」  


 2着には思惑どおりに前々へと踏んだ松浦悠士が入線した。


 「思いっ切り踏めば内も遅れてくれるかなって。(和田健が)追い上げてこなかったのでスンナリ回れた。でも中川さんが強かったですね」


 3着に入線した和田健太郎だが、和田真との連係を外してしまいレース後は反省の弁ばかり。


 「分かっていたけど、踏み出しが凄くて離れてしまった。下手に追い上げて友定さんにこられたら面倒くさいかなって。本当に和田君にも武井さんにも申し訳ない。今日は反省しかないですね」


 今シリーズが復帰戦となった和田真久留は中川にまくられてしまい大敗も、悲観した様子はない。


 「和田さんが追い上げてくると思って待っていたのに来なくて。流しながらでかかり切らなかった。3車だったのにラインとして機能しなかったですね。でも力はそれなりに入っていたし(ケガの影響は)問題ないと思います」

11R

選手の写真です。
吉澤純平選手

 新山響平に併せ込んだ吉澤純平(写真)は、外併走から再び踏み込んで赤板手前で先行態勢。新山が強引に仕掛けて出ると守澤太志が連結を外して、叩き切った新山の番手に吉澤が入る。番手で態勢を整えた吉澤が、最終2コーナーからまくりを敢行。後続の強襲を抑えて、白星で幸先のいいスタートを切った。


 「(新山が)1車だったんで甘えちゃいました。出させないつもりだったんですけど…。(新山が)また踏み直したんで、(番手からまくって)キツかった。でも、(浅井康太のまくりが)来ているのは雰囲気でわかったんで」


 まくった浅井に付けた金子貴志が、直線で外を伸びて2着に入った。


 「浅井はよく行ってくれた。(浅井は)踏み込んだ瞬間、すごいいいスピードだった。でも、パッと見たら吉澤と諸橋がいたんで、これはキツいと思った。それでも浅井は2着まで届く感じだったんで、自分も3着までと。そしたら思った以上に伸びました」


 打鐘の3コーナーで齊藤竜也の1車を入れたロスが響いた浅井康太だったが、ロングまくりで最後は諸橋愛とからみながらも3着。


 「1車下げてからすぐにまくっていったんでキツかった。あそこまでいけたんで上デキでしょう」


 絶好の展開に思われた諸橋愛は、直線半ばで浅井とからんで僅差の4着に唇をかむ。


 「悔しい…。取りこぼした。(吉澤の番手まくりが)俺は行くと思ってなくて脚を使った。油断していた。失敗ですね」

12R

選手の写真です。
村上義弘選手

 青板バックからフタをされた稲毛健太だが、ホームで単独になるとすかさず打鐘前2コーナーから叩きに行く。一度は連係が外れた村上義弘が再度ドッキングして続くと、稲毛は前受けから抵抗する山田英明を4コーナーで叩き切る。最終ホームから山中秀将がまくるが、これを山田が大きくけん制。番手絶好の村上義弘(写真)がきっちりと稲毛をとらえてワンツーを決めた。


 「全部、健太が頑張ってくれた。1回連結外してるんだけど、そのあと上手くドッキングできてよかったです。展開のなかで自分もしっかりできた。全体的に動く選手が多いし、短走路なんで内も気になる。その辺をしっかり判断しながらできたと思います」


 簡単に車を下げず、前に前に攻めた稲毛健太が2着に逃げ粘った。


 「(山中は自分が)行くの分かってるのに、早く行ってくれと思いました。あれ以上待ってたら山田さんも駆けると思うので。前にいたら何とかなるかなと思ったし、それでまくられたら自分の脚がないだけなんで。よかったです、(ラインで)決まって」


 けん制した山田の内をすくう形になった桑原大志は3着入線にも硬い表情。


 「見てくれが一番でしょう。(内じゃなく)その外を回す…、うーん。全部、自分の技量のなさなんで。でも(山田の)おかげです。(新車やシューズの感触を判断するには)ちょっと余裕がなかった。(3着に入ったのは)完全に展開なんで」


 

6R

選手の写真です。
高橋陽介選手

 青板周回から巴直也が竹内翼にフタをすると竹内は車を下げて7番手に。赤板ホーム目がけて巴、竹内が踏み上げるが、後方に置かれたくない高橋陽介(写真)が合わせて踏み込んでそのまま逃げる形に。番手の守澤太志が単騎でまくって来た松岡孔明をブロックすると、高橋が末よく押し切った。


 「まさかこんなことになるとは…。(突っ張るかは)半々。思ったより(竹内と巴が)来ないから引けないと思った。久々の赤板先行でしたね。守澤の存在がデカい。いつもすごいやってくれるんで申し訳ない。久々の逃げ切り気持ちよかったです」


 前々に攻めた巴の番手から守澤後位に入った山田和巧が直線中を割って2着に。


 「(赤板1センターで)巴を入れてあげたかったけど、守澤も隙がなかった。あそこシビアに行ければ巴を入れてあげられたけど…。それにしても、あそこ(赤板ホーム)3車の気迫がすごかった。巴のおかげです、ほんとに。彼に乗せてもらった準決勝ですね」


 山田を締めに行った守澤が直線で落車。守澤のブロックを耐えた松岡孔明が3着に食い込んだ。


 「前は取りたくなかったけどね。後ろから一斉に来られて口が空いた。(車間が)詰まってたら、もっと楽に行けたけどキツかったですね。最後も守澤のブロックがなければ行けてた。それでも3着に残れたんでよかったです」


 

7R

選手の写真です。
大崎和也選手

 初日に続きタッグを組んだ青森コンビが波乱を演出した。赤板で飛び出した鈴木竜士の番手に山田英明が飛び付き前団がもつれると、残り1周から佐々木孝司が一気の巻き返し。番手の大崎和也(写真)が車間を空けて援護しながらゴール寸前で交わした。


 「前からがいいってことだけ伝えて、あとは全て任せていました。良いタイミングで行ってくれたし、スピードも良かったので出切れると思いました。自分があとは振って振ってって思っていたけど、全然タレてなかったし強かったですね」


 会心のまくりを披露した佐々木孝司は現行制度になってから初となる記念の準決勝進出を決めた。


 「山田君が粘ったしあそこで行かないとあおりとかもあるので。余裕とかじゃなくて自分でもビックリしています。でも脚は回っているので」


 山田に前を託していた小川勇介が内を突っ込み3着に入線した。


 「作戦は全て任せていたので。切り替えるつもりはなかったけど2コーナーで山田さんと一緒に上がったら誰かが内にくると思って…。仕方なかったですね。山田さんのおかげです」


 

8R

選手の写真です。
松岡健介選手

 前受けの野原雅也が青板の2コーナーから突っ張りを試みるが、伊早坂駿一が強引に押さえて主導権。5番手まで引いて山形一気と併走していた野原だったが、1車押し上げて単騎の稲吉悠大をさばいて4番手を確保。最終ホーム手前からのロングまくりで野原が前団をとらえると、松岡健介(写真)がわずかに交わした。


 「(野原)雅也は最初の勝負が伊早坂君を突っ張るかっていうところだった。(そこも含めて)もう雅也に任せていたんで。伊早坂君も流していたし、雅也は(内を)行けるところまでと。そのあとは(仕掛けるところは最終)ホームだぞって思っていたら、そこでしっかり行ってくれたし雅也はすごい。僕はなにもしてないし、(普段は)自力でやっている以上、抜かないとっていうのがあった」


 「全部、中途半端です」とは、ソツない立ち回りで近畿ワンツーをメイクした野原雅也。先を見据え反省を忘れずに、こう続ける。


 「ひとつ、ひとつの判断が遅かった。もうちょっとパッパッと頭を切り替えられないと…。最終的な判断は良かったけど、だったら最初からそこに行っておけよっていう感じもあるし。もっとスマートにできたら良かった」


 赤板で近畿コンビの後ろに入った単騎の森川大輔が、そのまま流れ込んで3着。恵まれをアピールする。


 「ひとりだったんで、ぶっちゃけなにも考えないで。あとは緩んだところを行けたらっていうのがあった。そしたら野原君の3番手にはまって、あとは(野原が)ホームで行くだろうと思ったんでそこを集中していた。単騎だったし緊張することもなかった。恵まれましたね」


 

9R

選手の写真です。
猪俣康一選手

 7番手から動いた猪俣康一(写真)を単騎の大矢崇弘が叩くと、取鳥雄吾を制して和田真久留が前に出る。そこを取鳥が叩いて赤板ホーム過ぎから主導権を握ったが、8番手になった猪俣は打鐘過ぎ4コーナーから巻き返して前団をとらえた。


 「(下がってきた)大矢君がどうするのかと思って、入れて様子を見た。緩んだタイミングで、ダメでもそこで勝負と思ってました。ちょっと止まっちゃったかなと思ったけど、思いのほか伸びましたね。真久留も内差して吸い込まれて行ったんで。このメンバーで(自力で勝てて)いいですね。冷静に立ち回れてます」


 前でけん制した友定祐己の内に差し込んでしまった和田真久留は猪俣に合わせて仕掛けられず。4コーナーから外に持ち出して猪俣に迫ったが僅かに届かなかった。


 「外を行きたかった。猪俣さんと一緒に(外をまくろう)と思ってたら、詰まって内に差しちゃって…。組み立てが自在選手みたい。タテ勝負したいんですけどね。昨日、距離を踏めてる分、不安はなかった。あとは組み立てがもう少しスマートにいけば」


 和田マークの武井大介が3着に続いた。


 「ほんとは(初手)後ろか中団がよかったけど前受けになったからね。猪俣さんだけ突っ張る作戦だったけど、猪俣さんの上昇も早かった。引いたけど、(大矢が切った)あそこを行けたからよかった。最後は友定さんが空けてない気がしたけど、付いて行くしかないやと思ってました」


 

10R

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諸橋愛選手

 グランプリ出場へ賞金争いの渦中にいる諸橋愛(写真)が負けられない二次予選を危なげなく突破した。青板バックから飛び出した新山響平を巧みにリードすると、車間を空けて余裕を持って抜け出した。


 「とりあえず押さえるところを押さえてくれれば、あとは俺が何とかするって伝えていたので。本当に頑張ってくれました。車間を空けながら追い込んだけどそれでも詰まってきてワンツーを決められなくて申し訳なかった。やっぱり前橋の落車でツキも自信もなくしてしまったのかな。悪くはないけどいつもの感じで付いていけてないし心技体の心が100パーセントじゃないですね。でも、しっかり修正しながらあと2日間を戦います」


 一度は諸橋後位に入った伊藤裕貴だったが、打鐘前に兵頭一也に追い上げられ、内からは小埜正義にすくわれる。それでも冷静に5番手で立て直すと、2コーナーまくりで2着に届いた。


 「踏んで出させれば中団を取れるかなって思ったけど、兵藤さんに追い上げられて。新山君も流していたしあそこで脚を使っても仕方ないと思って下げました。フォームを修正できたし昨日よりは全然よくなりました」


 逃げて3着に粘った新山響平はホッと胸をなでおろす。


 「諸橋さんを勝ち上がらせないわけにはいかないと思っていたので後ろにこだわって。落ち着いて後ろの状況も確認できたし、打鐘からはペースで踏めました。道中のかかりも悪くなかったし、課題は末脚ですね」


 

11R

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堤洋選手

 谷口明正が上昇すると前受けの太田竜馬は、中団まで下げて山中秀将と併走。内に包まれてピンチかに思われたが、赤板手前で空いたインを進出して主導権を奪う。堤洋、石丸寛之まで続いたのを確認した太田が、別線を翻ろうする絶妙なペースで逃げ切った。


 「(内が)空くとは思ってなかった。でも、あそこを行けなかったらしんどかったですね。出てからは最初ちょっと踏み込んだ。あとは(別線が)来たら反応できるようにしていた。(内に行ったのも)体が勝手に反応したし、ゴール前も余裕があった。初日に比べて(2日目は)動きがいいですね」


 「ビックリした。まさか内に行くとは」と、堤洋(写真)。一瞬、太田の踏み出しに遅れたが、すぐに追いついての2着キープに胸をなでおろす。


 「ああやって内に行くことも、しっかり頭に入れていかないといけないですね。(太田は)あれで(山中を)行かせて、その上をドカンと行くのかと思った。あそこで内に行って、赤板で先行するんだから度胸もあるし、センスも抜群。自分は口が空きながらも、反応できたんで悪くない。マルさん(石丸)まで来れたしよかったです」


 まくった谷口、山中は最終4コーナーで力尽き、かぶっていた石丸寛之が直線で盛り返して3着。


 「あのまま(山中が切った上を太田が)行って合わせられるのはキツいんで、内に行ってくれって思いました。いいところで(内に)行ってくれた。そこからも(太田は)強かったし、まくり屋にとっては嫌な駆け方だった」


 

12R

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吉澤純平選手

 浅井康太、稲毛健太に単騎の中川誠一郎と自力型がそろった「天神杯」を制したのは吉澤純平(写真)。「タイミング的にいい形。先行しやすい形になった」と話すが、稲毛を制してインを切った松浦悠士を赤板ホームで叩いて先頭に立つと、そのまま誰も出させず押し切った。


 「キツかったし、最後抜かれてもいいと思ったけど1着取れてるんでいいですね。今日勝っても、明日(準決勝)はまた別なんで。この勢いで頑張りたいですね。調子もいいと思うし、準決勝もしっかり力を出したい」


 前々に攻めた松浦後位から内に切り込んだ桑原大志が和田健太郎を飛ばして2着に突っ込んだ。


 「いっぱいいっぱいです。松浦君が無理くり行ってくれたし、そのおかげですね。吉澤君とはベロドロームの合宿で一緒にやったときに強いとは思ったけど、ほんとに強い。僕も2回車券に貢献できたし、準決勝も(太田竜馬に)何とか付いて行けたら」


 桑原に内をすくわれた和田健太郎は3着に。2着の桑原同様に、レース後は吉澤の強さを褒めちぎった。


 「強えー。常軌を逸してる…。赤板のペースが尋常じゃなかった。味方なら頼もしいけど、敵にしたくないですね。(内から誰か)来ると思ったけど来たか…。吉澤はあそこまでやってくれたんで、自分の技術不足ですね」


 一番人気に推された浅井康太は2コーナーから好回転で前団に迫ったが、2センターであおりを受けて不発に。


 「稲毛が降りてくることはないと思って行ったけど、2センターのあおりがキツかったですね。(状態は)もうちょっと良くなりたい。感覚が自分のなかでまだまだなんで」


 

10R

選手の写真です。
松岡健介選手
選手の写真です。
稲毛健太選手

 シリーズ連勝の吉澤純平や浅井康太に任された猪俣康一を相手に主導権を握ったのは稲毛健太。最終2センターで浅井康太、諸橋愛が落車するアクシデントもあったが、車間を切って稲毛を援護した松岡健介(写真)がゴール前で抜け出し稲毛とワンツーを決めた。


 「ちょっと早かったしタイミング的にはそんなに良くなかったけど頑張ってくれました。バックで吉澤君も見えなかったし、猪俣さんが強引に仕掛けてくればもつれると思って。その時に浅井君が内か外を狙ってくるだろう。ヨコで当たって止めることはできないけど、それ以上のことをしようと思って(車間を空けた)。最後は勝手に(稲毛が)残ってくれた感じですね。強かった」


 吉澤や猪俣を相手に会心の逃げを披露した稲毛健太(写真)が2着に粘って決勝進出を決めた。


 「動くのが早かったから展開が向きましたね。ああやってスピードに乗せた方がペースで踏めるので。でも長かったですね。本当にキツかった。でも準決くらいは逃げて勝たないと(優勝は)獲れないと思っているので」


 3着には近畿後位を確保した猪俣康一が流れ込んだ。


 「吉澤君を叩いたまでは良かったけど、そのあとの対応が…。近畿は絶対にくると思っていたので。3車なのであとはどこから仕掛けるかでしたけど、(稲毛が)ドンドンかかっていって仕掛けられなかった」


 

11R

選手の写真です。
太田竜馬選手
選手の写真です。
和田真久留選手

 青板のバックから松岡孔明が強引に踏み込むと、中川誠一郎が連結を外して太田竜馬(写真)が追いかける。援護を失った松岡が先行態勢を取って、そのまま加速する。番手の太田は落ち着いて、打鐘の4コーナーから空けた車間を詰めて松岡を交わして先頭に立つ。ロングまくりで和田真久留が逃げる太田に迫るが、半車身まで詰め寄ったところがゴール。太田が3連勝で決勝に進んだ。


 「(準決が)一番キツかった。(松岡の番手に入って)あれあれっていう感じでした。(中川が)すぐに追い上げて来るのかと思いました。展開が想定外ですし、重かったです。あとは(番手で)できるだけ引っ張ってと。脚自体はそんなに変わらないし、展開に恵まれた。(決勝に)乗れるとは思ってなかったんでよかった」


 「ちょっと予想外でした…」とは、赤板で後方に置かれた和田真久留(写真)。最終1センターから好スピードのまくりでラインの和田健太郎と優出を決めて、ホッと胸をなで下ろす。


 「中川さんが離れて、太田君が番手に入っていたんでダメだと思った。展開は最悪でしたね。なんで中川さんが横にいるんだろうって…。(中川が)追い上げてくれれば、付いていこうと思ったんですけど。(まくりは)おっかなびっくりだった。それでも骨折明けにしては(脚の感じは)いいかなって思います」


 和田真のまくりに続いた和田健太郎は、直線で狭いコースをこじ開けるように伸びて3着。


 「(和田)真久留と決まってよかったです。真久留が切るところを切ってくれた。真久留も脚を使ったけど、(別線も)みんな脚を使っていた。だから、あの位置でもなんとかなるかなと。最後は当たらないように、遠慮しながら踏んだ感じです」


 

12R

選手の写真です。
村上義弘選手
選手の写真です。
新山響平選手

 野原雅也は青板ホーム過ぎから一気に飛び出して主導権を握る。俊敏な動きで中団を取った松浦悠士が最終1センターからまくるが、村上義弘(写真)が合わせて番手まくり。別線の反撃を許さなかった。


 「(野原の)先行に対する意欲が。雅也の気持ちもあるし、しっかり新山君を見ながらレースを運んだ。松浦君も一瞬目を離した隙に後ろに来られて対処し切れなかった。付いてくれた小川(勇介)君に申し訳ないです」


 7番手に置かれた新山響平(写真)だったが、先まくりに出た松浦の外を粘り強く踏んで2着に食い込んだ。


 「1回行くところを逃してから踏んだので。打鐘で仕掛けられたらよかったんですけど、後ろに申し訳なかったですね。自分だけ届く形になってしまった。競輪祭に向けて多めに踏みたかったんだけど。決勝は単騎で。(同じく単騎になりそうな)ヤンググランプリもあるし、緩んだところでしっかり行けるように」


 村上に合わせて出られた松浦悠士は判断よく小川勇介をキメると村上後位にスイッチ。3着で決勝戦最後の切符を手に入れた。


 「まくりたかったけどね。村上さんが強かった。越えられなかったら、そのとき考えようと思ったし、踏み出しが合ったので小川さんも脚があるのでかなり厳しく締め込みました。新山を止められたら堤(洋)さんと2、3着決められたと思う。調子はいいですね」


 


 


 


<最終日・9R S級ブロックセブン>


 最終日、9RにはS級ブロックセブンが開催される。点数最上位の近藤龍徳は笑顔で好調をアピール。慣れない7車立てのレースだが、窓場千加頼を目標にチャンスをつかむ。


 「調子は良い。練習でもまくりが出ますからね。一昨日も練習の感じがよかったし、気分も上がってます。調子も良いし、デキも良い」


 前回の千葉は598着と振るわなかった窓場千加頼だが、今回は問題なさそうだ。


 「千葉は500だったし、台風の影響ですごく重くて…。得意な馬場ではなくて苦戦しました。ダッシュ力も悪くなってたし、今回はダメなところを補うトレーニングをしてきました。上積みはあるかなと思います。33バンクも得意なほうですね」


 7車立てなら黒田淳の一発も人気を集めそうだ。


 「感触はよくわからない。7車立てはA級のときに前橋ミッドナイトで1回ある。あとはエボリューションくらい。でも、9車よりは仕掛けやすそうですね。僕みたいなタイプでもゆっくり構えても6番手はあるから楽しみ。今回は新車を試してみます」


 日当泰之はライン3車の利を生かしたい。


 「練習の感じがよくなってきました。状態はまずまず。自転車に乗ってる感じが前みたいにしっくり来ないときもあったので。青森勢みんなで練習はやって来たんですけど、悪いなかでも良くなってきてると思う」