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HIRATSUKA KEIRIN

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決勝戦レポート

浅井康太(三重・90期)

今年初優勝がグランプリ制覇

 「今年一年間、自分はどうやったら勝てるかを考えてやってきた。このグランプリにかけてました」
 昨年は記念6Vを含めて、グレードレースを7度の優勝。今年はここまで優勝のなかった浅井康太だが、グランプリVを逆算しての戦いに焦りはなかった。グランプリチケットをかけた賞金争いにも早めにカタをつけ、11月競輪祭のラストGIを待つことなく7年連続のグランプリ出場を決めていた。
 「最高です。結果っていう結果が残せてなかったので、最後に結果が残せてよかった」
 今年を締めくくる最後の大勝負で初優勝。シャンパンファイトのあとのVインタビューが、浅井にとっては初の“お立ち台”だった。
 久しぶりにグランプリの舞台に戻ってきた深谷知広とのタッグ。一昨年、単騎で獲ったグランプリとは違うシチュエーションだったが、深谷への信頼は揺るぎなかった。
 「自分は深谷君を信頼して付くだけでしたね。深谷君も落ち着いてホームで駆けていたし、あとは徐々に上がっていく感じだったので、これはまくりはキツいだろうなとは感じましたね。深谷君が落車したのは残念だけど、気持ちが伝わってきて自分が勝てたと思う」
 打鐘で出て主導権を握った深谷は、冷静に最終ホーム目がけペースアップ。6番手から反撃に出た三谷竜生を不発に追いやると、3番手からまくり上げた平原康多も、深谷と息の合ったコンビネーションで阻んだ。
 「新田(祐大)君と平原さんも見えたので、ちょっと前に踏みながら様子を見たんですけど、そのタイミングで諸橋(愛)さんに突っ込まれて、車体故障しかけたっていうのはある。でも、しっかりゴールまで踏み切れました。ここで冷静にいられるように精神面でも鍛えたと思うし、落ち着いて考えられるのも、今年1年間で成長した部分だった。それが結果につながったのかなと感じています」
 外の平原、新田のスピードが鈍ると、イチかバチかで中割りに出た諸橋愛に当たり負けすることもなく、浅井は冷静沈着な立ち回り。ゴールを先頭で駆け抜けた。
 「ゴールしてからは2年前の景色が思い浮かびました。(山口幸二氏に並んで2度目のグランプリ制覇は)やっぱり中部の偉大な先輩方に追いつくことが自分の目標であったし、あとは(グランプリを3度制している)山田裕仁さん、(山口)幸二さんに育てられたっていうところもあるので、その人たちを超えて自分が若い子たちにいろいろ教えたい」
 深谷、竹内雄作といった中部を代表する機動型だけではなく、若手、ベテランを問わず多くのアドバイザー役を担う浅井。18年は2度目の純白に輝くグランプリチャンピオンユニフォームをまとい、中部地区、そして輪界をリードしていく。
 「やっぱり1番車っていうのは、競輪界で一番格好いいユニフォームだと思ってる。自分が一番格好いいぞっていうレースをみなさんに見せて、一番上位で戦えるように、来年もグランプリに出られるように頑張りたい。競輪選手である以上、進化し続けるので、それを見続けてほしいと思ってます。これからも浅井康太を応援し続けてください」
 輪界の頂点に立っても、まだ道半ば。これからも続く進化を浅井が約束する。
 
 平原の余力を見極めた武田豊樹は、最終2センターで浅井後位に入ってから外に持ち出す。落車のアクシデントもあって振られたが、懸命に立て直して2着に追い込んだ。
 「最後の勝負どころまで我慢していた。我慢しすぎて車が出なかった。もうちょっと早めでもっていうもあるけど、そこら辺は難しい。落車して腰抜けになったっていうのもある。自信がないわけじゃなかった」
 
 「スタートでダメだと思った」とは、1番車を得ながら、周回中、まさかの8番手に置かれた新田祐大。一度は動いたものの、勝負どころでは再び8番手。新田のエンジンをもってしても3着が精いっぱいだった。
 「深谷君が掛かっていたし、三谷君が(まくって)行ったのも見えた。このスピードなら三谷君は飛ぶだろうなと。飛んだところかその前に行くかを考えていた。でも、(重要なのは)そこではなかった」
 
 唯一、3車のラインとなった関東勢。3番手を確保した平原康多は、車間を詰める勢いで最終2コーナーからまくるも逃げる深谷に合わされ不発。力負けを認める。
 「(深谷が)掛かってたから、結果的には(仕掛けて)行かない方が獲れたかもしれない。でも、自分のスタイルで勝負した。それで行けないんじゃ弱いだけです」
 
 落車に巻き込まれた深谷知広は、棄権することなく最後の力を振り絞ってゴールにたどり着いた。
 「もうちょっとでしたね。自分としても最低限のことはできたかなと。体はいまのところ大丈夫です」
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レース経過

 号砲と同時に桑原大志がいち早く飛び出してスタートを取る。桑原が三谷竜生を迎え入れて即席ラインの2人が前受け、中団に深谷知広-浅井康太の中部コンビ、平原康多-武田豊樹-諸橋愛の関東勢が収まり、新田祐大-渡邉一成の福島コンビが後攻めで隊列は落ち着く。
 青板のバック過ぎから新田が上昇。3番手の外で止まると、併走を嫌った深谷は車を下げる。平原は赤板から踏み込み、2コーナーで誘導員を下ろして先頭に立つ。今度は深谷が仕掛け、打鐘過ぎに平原を押さえて先行策。これを受けた平原が3番手に収まる。6番手となった三谷は最終ホームから反撃に出るが、4番手で外で苦しくなる。2コーナーで後方8番手から新田が大外ををまくり上げると、3番手の平原はバック前から仕掛ける。これを外に振りながら浅井が早めの追い込み勝負。2センターでインを突いた諸橋は4コーナーで浅井を押し上げた時にバランスを崩して落車、逃げる深谷と桑原が巻き込まれる。浅井が直線で力強く抜け出し、2度目のグランプリ制覇を果たした。平原が不発の展開から懸命に追い込んだ武田が2着。人気を集めた新田は3着まで。
 

車番 選手名 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
1 9 浅井 康太 三重 90期 SS 11.5 追込み
2 8 武田 豊樹 茨城 88期 SS 1/2B 11.4 追込み
3 1 新田 祐大 福島 90期 SS 2B 11.4
4 2 三谷 竜生 奈良 101期 SS 1/4W 11.4
5 7 渡辺 一成 福島 88期 SS 1B 11.4
6 3 平原 康多 埼玉 87期 SS 4B 12.3
7 6 桑原 大志 山口 80期 SS 0
8 4 深谷 知広 愛知 96期 SS 0 H B
5 諸橋  新潟 79期 SS 0

仲間の番手から栄光つかむ

 「(吉田)拓矢の頑張りに尽きますね。本当にいい関係かなと思います」
 鈴木竜士は、吉田への感謝の言葉を繰り返した。同期同県の後輩として、互いに切磋琢磨して力を付けた。初連係となったルーキーチャンピオンレースでは吉田の前回り。昨年のヤンググランプリは別線で力勝負を選択。しかし、今年の大一番では命運を託した。
 「(作戦は)太田君(ライン)の後ろから始めようと。あと拓矢に任せていました」
 赤板の2コーナーで前に出た吉田は、中団のもつれを誘ってマイペースで先行。最終ホームからギアをトップに入れる。番手の鈴木は、3番手の外併走からまくってきた太田をブロックするも止められない。
 「拓矢は冷静に走ってくれたし、良いレースでした。自分はもっとやれることがあったかなと思う。必死だったし、もっていくしかないと」
 上をいかれた鈴木だったが、吉田が太田を張ると空いた内コースに吸い込まれる。「拓矢、ごめんと思って踏みました」。インから先頭に躍り出ると、迫る太田、さらに、その間を割ってきた山岸佳太を阻んで激戦を制した。
 「1着とはわかったけど、ゴール前で接触したので車体故障とかで審議が上がったらやばいなと思っていました。でも、ゴール後に拓矢が(審議にはなっていないと)声をかけてくれました」
 エリート集団と言われる107期。その中でも新山響平、吉田と並び、早々にS級で活躍した。順風満帆な航海かに思われたが、今年一年は結果の出ない苦しい日々。それでも信じた道を突き進み、年末に大輪の花を咲かせた。
 「本当に今年1年は苦しかったというか、成績もともなわないし、やってきたトレーニングとかもすぐに結果が出なくて。もどかしかったんですけど、拓矢のおかげで、最後にこうやって締めくくれてよかったです」
 次の連係は、さらなる高みで。この優勝を追い風に、今後の邁進を誓う。
 「次は(吉田の)前で頑張れるように。そのためにはGIに出ないことには。(今後は)しっかり先行でGIを獲れるように頑張りたいですね。もちろん、GIは獲りたいって気持ちはありますし、その前に記念なりGIIなりも、しっかり決勝にコンスタントに上がって、優勝狙える位置まではいたいです」

 太田竜馬は、鈴木に屈して準V。狙い通りのポジションから仕掛けるも、あと一歩届かなかった。
 「あの位置(3番手)を取れたら勝ちだと思っていました。(まくり切って)いったと思ったんですけどね。内から鈴木さんが来て。寄ってこられて、あれでフラフラになってしまった。止まった感じはなかったけど、車輪は負けているなと。途中まではよかったけど、しゃあないですね。力は出し切れたし、来年(のヤンググランプリ)は、運が向いてくれれば優勝できるかな」

 堀内俊介は、直線で最内のコースを踏むも3着まで。
 「先輩たちのアドバイスで内にいこうと。でも、普段は内にいく競走をしていないから、いけるか不安はありました。(2センターで内)コースが空いて、チャンスと思ったら鈴木君が降りてきて。そこで、バックを踏んでしまいました。鈴木君が外をいってくれれば…。今回はああいうレースでしたけど、もっと大きいレースで戦えるように力を付けたいです」

 吉田拓矢は、大一番でも持ち味の先行勝負。鈴木を優勝に導くも、8着に終わって眉をひそめる。
 「(出切ってからは)誰もこないと思って。あとは来たのに合わせようと思っていました。残れるように駆けたんですけど、あれで残れていないのは力不足ですね。(1月はあっ旋がないので合宿などにいき)次は、力を付けた姿を見せられるように」

 吉田ラインを追った新山響平は、太田と3番手で併走。バックで抜け出し、2センターから大外のコースを踏むも車は伸びなかった。
 「組み立ては、考えていた通りバッチリ。間違っていないとは思うけど…。技量と脚力が不足していますね。退かすとかもそうですし、覚悟も足りない。もう、甘えられないので、しっかり厳しく練習して。ラインを大切にした競走を考えます」

 バックを後方で通過した山岸佳太は、2センターからぽっかりと空いた中のコースを一気。直線で鋭く伸びるも、最後は鈴木に締め込まれた。
 「今回は自分のために、悔いが残らないようにと思っていました。ホームで(吉田が)流しているところで、吹っ飛んでいきたかったけど。2センターでは車が伸びていたし、いけるかなと思ったんですけどね。まあ、見せ場は作れました」

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レース経過

 号砲で新山響平、取鳥雄吾に山岸佳太と単騎の3人が飛び出し、周回は新山、取鳥、山岸、太田竜馬―小川真太郎、吉田拓矢―鈴木竜士、竹内翼、堀内俊介の並び。
 青板4コーナーから吉田が動くと、新山も合わせて1センターで誘導員が退避。2コーナーから先頭に立った吉田のラインに乗ろうとした竹内を制して太田が3番手に続くが、下げた新山と併走になる。後方からの動きはなく最終ホームから腹を決めた吉田がペースアップ。外併走の状態から太田は2コーナーまくり。鈴木のけん制も乗り越えて2センターでは逃げる吉田に並ぶ。すると吉田が自ら太田をけん制。これで空いた内を鈴木が突くと直線で太田との伸び比べを制してヤンググランプリを制覇。2着には太田、バックから空いた内に切り込んだ堀内が3着に食い込んだ。

 

グランプリ初制覇で賞金女王に

 「ガールズケイリンができる前から応援してくれている人たちもいた。長年のファンの方、お待たせしました」
 13年にプロデビューも「ガールズケイリン」として産声をあげる前のエキシビションの09年から、石井寛子はその名を歴史に刻んでいた。「ガールズグランプリ」は5年連続5回目の出場。デビューから一度たりとも、ベスト7の座から陥落することはなかったが、一昨年の準Vがこれまでの最高成績だった。
 「それまでの4年間は出られてうれしいっていう感じだったけど、今年はどうしても優勝って、この一年間を考えてやってきた」
 大外枠の7番車はガールズケイリンにとっては大きなハンディ。そのハンディを抜群のスタート力ではねのけて周回中は2番手を確保。後続の動きを待つことなく自らを信じて赤板の2コーナーから動いた。
 「実は後ろは見ていなくて、チャンスは1回だと思ったので、あそこで行くって決めてて。自分を信じて練習の成果を出そうと思いました。(奥井迪が仕掛けてきたところも)後ろは見ていなくて、突き進んで自分を信じて行った。そしたら奥井さんが来て飛び付けたので、これはチャンスあるなって思ってました」
 半周近く風を切ってから、最終ホームで主導権を奪った奥井迪後位に飛び付く。長澤彩に踏み勝つと、奥井の掛かりが良く高木真備らは不発。優勝は奥井と石井の2人に絞られた。
 「奥井さんはすごいスピードでした。まず落ち着いてと思って、回して、回してって唱えながら、最後、踏んだんですけど、差せたかどうかは定かではなかったです。(ゴールしてから)1周してきたバックのファンの方が、“寛子やったよ”って言ってくれたので(優勝が)わかりました」
 実戦では初めての3.79のギアに上げて一撃にかけた石井が、5度目のグランプリで女王の座をつかんだ。
 「グランプリの優勝は夢でもあったので、本当にうれしいです。来年はトライアルが始まるので、気を引き締めて明後日から練習します」
 初の賞金女王にも輝いた石井は、今年からの練習再開を約束して来年を見据える。


 昨年に続く先行策からの2年連続の準V。タイヤ差でグランプリ制覇を逃した奥井迪は、何度も天を仰ぐ。
 「なかなか先行の神様が…。ジャンから行くって決めていた。無欲というか勝ちにこだわるよりも走りで魅せたいって思っていた。この舞台で先行をするっていうことは勇気がいるし、ひとりではできない。お客さんが本当に後押しをしてくれた。だからこそ、お客さんのためには勝ちたかった」


 石井の後ろで脚を溜めた梶田舞だったが、最終バックではかぶって3着が精いっぱい。
 「奥井さんの先行に乗っていこうと思っていました。かぶってしまったのが残念です。4コーナー過ぎしか、踏むところがなかったですね。でも、やりたい競走はできました。悔いはないです」


 最終2コーナーからまくった高木真備だったが、2番手の石井の横までも迫ることができず不発の4着。
 「力があればあれでまくり切れているだけのこと。ただ、去年よりは出し切れたと思います」
 

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レース経過

 号砲で各車いっせいに飛び出すが、梶田舞が正攻法に構え、大外から早いスタートを見せた石井寛子が2番手を確保。以下、高木真備、尾崎睦、奥井迪、長澤彩、児玉碧衣の並びで周回を重ねる。
 打鐘前1センターから奥井が上昇をはじめると、中団から石井が合わせて踏んで誘導退避に合わせて先頭に。一度は石井の後ろに入った奥井だったが、スタイルを貫き4コーナーから踏み上げて主導権。奥井後位は内に石井、外に長澤で併走になる。2コーナーから長澤が遅れはじめ、石井が単独で番手回り。1センターからは高木がまくって出るが、奥井のかかりが良く、石井に並びかけることもできない。逃げる奥井も懸命に踏み直したが、4コーナーから外に持ち出した石井がゴール寸前で逆転。5度目の挑戦でガールズグランプリ初制覇を飾り、初の賞金女王に輝いた。逃げた奥井は2年連続の2着。最終ホームから石井に続いた梶田が3着に流れ込んだ。