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ふくい競輪

FUKUI KEIRIN

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検車場レポート

  • 7/20 Fri.  (前検日)
  • 7/21 Sat.  (1日目)
  • 7/22 Sun.  (2日目)
  • 7/23 Mon.  (3日目)

1R

 2月宇都宮FIを制した伊藤裕貴だったが、その後は不慮の怪我で約3カ月の長期欠場を余儀なくされた。完調とはいえないが、強い気持ちで復調への道のりを模索している。


 「調子が上がってきたところだったので、(怪我をして)落ち込みました。(5月西武園FIで)復帰したけど、体も動かないし、なかなか勝てない。しんどい時期ですけど、腐らずにやるしかないですね。大怪我は初めてなので、どうしていいかもわからない。いまは、ガムシャラにいろいろ試しています。いままでしてこなかったことをしたり、プラスに変えていかないと。過去のことをネチネチ言っていてもしょうがないですからね」


 今期からS級に初昇進した原口昌平。初戦の7月高松FIは396着も、シリーズを通して積極的に攻めた。


 「中8日間は、いつも通りやってきました。高松は初めてのS級ってこともあったし、スピードが違いましたね。自力じゃない人にもまくられてしまいました。(S級での戦法は)自力で先行していきたいけど、そういうわけにもいかないですね」


 

2R

 6月静岡FIで落車した新田康仁は、当所が復帰2場所目。状態面が気になるところ。


 「復帰戦(7月小倉)は、なんとなくレースができました。展開さえ向けばっていう手応えと感触がありましたね。落車は嫌ですけど、一番酷かった骨盤骨折に比べて今回は鎖骨だったので。まだ、なんとかなるかなと。気持ちは切れていないです。今回は前回よりも上積みがあります」


 今期からS級レーサーの仲間入りを果たした志佐明は、7月京王閣を372着。まずまずの滑り出しを見せた。


 「S級のレースは考えているヒマがないですね。でも、やることを決めていればなんとかなるかなって。不安がっていても、しょうがないですから。走り方はA級の時と変わらずにいきたい。慣れてきたら臨機応変にできたらいいですね」


 才迫開は6月取手GIIIで2勝など、確定板入りが目立つ。勢いに乗って当所でも暴れるか。


 「(近況の好成績は)展開ですよ。でも、感じはいいと思います。まくりばかりなので、もうちょっと戦法の幅を広げたいですね。初日もある程度動いたりとか、考えながら走りたい」


 

3R

選手の写真です。
野村典嗣選手

 宿口陽一はサマーナイトフェスティバルを996着と振るわず。それでも、強豪たちとの対戦で得た収穫を今後につなげる。


 「(サマーナイトフェスティバルは)周りが強すぎて勝てなかったです。400バンクはごまかせるけど、33バンクは力の差が出やすいですね。でも、サマーナイトフェスティバルで足りないところがわかったし、ここまでも考えながらやってきました。気持ちも折れていない」


 対するは山本紳貴。6月函館ナイター記念では、敗者戦ながら2勝をマーク。直近4ケ月の競走得点も100点をオーバーと着実に力を付けてきている。


 「(点数が)上がったり、下がったりですけど、なんとかですね。ここっていう時に動けたら大敗もしないし、負けても納得ができる。そういうレースを今回もしたいです。(約2週間空いて)練習がばっちりできました。松戸バンクが使えない時は取手バンクに行ったりして、充実していました」


 「着は悪かったけど、頑張れそう」とは、初S級の7月伊東FIを861着の野村典嗣(写真)。


 「S級は隙がないですね。型にハマったときはいいけど、ハメられると…。33バンクはあまり好きじゃないかも。仕掛けるところを迷ってしまいます。初の記念開催は4日間走りたい」


 

4R

 渡邊健は、4月名古屋FIから6場所連続で優出と好調。初日は松岡篤哉を目標に鋭脚を発揮したい。


 「感じはいいです。(優出を逃した前回の前橋も)悪くなかったですよ。33バンクだったってのもありますね。ここまでは(中23日空いて)考えながら、結構練習をやってきました」


 松岡篤哉は、6月小松島FIを途中欠場。直前の函館FIも準決で敗退したが、問題なしと話す。


 「函館もそうですけど、状態に問題はないです。いい状態であると思う。ここまでは、室内練習を中心にやってきました。福井は一昨年の記念で決勝3着ですし、悪くないイメージですね。ただ、まくりが出ないので、そこを考えて」


 

5R

選手の写真です。
中川勝貴選手

 S級デビュー場所の前回の高松FIが848着だった中川勝貴(写真)は、初めての記念が地元シリーズ。


 「(前回でS級を経験して)めちゃめちゃ脚が違うとは思わない。積極的というか、(A級なら)流しても来ないところで(別線が)来たりして…。もうちょっと経験というか慣れないと。(6月のA級の当所944着は)新車だったりギアを上げたりして良くなかった。自転車とギアを戻した次の小倉で優勝できたんで、そこは大丈夫ですよ」


 新たに埼玉の支部長の職に就いた白岩大助が、公務との両立を心にしっかりと決めて久々の記念に気持ちを込める。


 「選手としてもここ2、3年、自分としてはいいレベルでやれていると思う。そのなかで(支部長になる)葛藤があったけど、(周囲の)支えもあったしいい経験ができるのでしっかりやりたい。これを言い訳にしたくない。中村(浩士)さんみたいに支部長でも強い選手もいますから」


 根本哲吏は、前回の小倉FIは37着で中止打ち切りとなったが、その後のローテは順調をアピールする。


 「べつにあの影響はないんで問題ない。そのあとも普通に練習をして、(調子は)悪くない。暑いのも大丈夫なんで、あとは気合ですね」


 

6R

 3月の当所FIを121着でS級初優勝を飾った佐伯辰哉は、思い出のバンクでの記念シリーズに目を細める。


 「S級初優勝がここで、その時も松浦(悠士)さんがいたんですよ。今節は松浦さんが追加で来ているし、いいイメージがある。そこから成績も上がってきた。(記念は)決勝までいきたい、毎回言ってるんですけどね(笑)」


 石口慶多は最終日の負け戦ながらもここ2場所で勝ち星を挙げている。力さえ発揮できれば、競走得点以上に怖い存在だ。


 「初日をなんとかしたい。(踏んでいる感じが)悪くないんで、うまくいけばイケると思うんですけど。そこですよね」


 

7R

 ホームバンクの京王閣でのS級デビューが629着だった高橋築は、一次予選で先輩の河村雅章とセット。


 「(前回は)緊張しました。思い切りやったんですけど、着は良くなかった。まだ、どんな感じかもよくわからない。(初日は)後ろに自力の河村さんが付いてくれるんで考えないといけないですね。まだ、(S級)2場所目ですけど、自分がどのくらいなのかしっかり出し切っていきたい」


 藤木裕は、前回の函館FIを112着で手応えを感じている。


 「(調子は)徐々にです。(函館は)むちゃ涼しくて、走りやすかった。あとはそこからどうかわからない」


 村田雅一は落車明けの前回の伊東FIで2勝をマークし、上々の動きを披露した。


 「伊東まで日にちが空いてたんで、しっかりケアしてからだった。伊東の感じだったら戦えるかなって思います。(近畿の3人は)同級生なんで、みんなで勝ち上がりたい」


 

8R

選手の写真です。
門田凌選手

 4月の西武園記念では3勝の固め打ちをした門田凌(写真)は、それ以来、2度目の記念を迎える。6月松戸FIでの落車後は一息なだけに、状態面が気がかりだ。


 「(松戸の)落車で自転車が変わってしまって、そのあとの小倉は最悪でした。小倉に比べたらいいと思います。(初日の)相手は強いけど、チャレンジャーの方が気負わずにいける。とりあえず一戦、一戦ですね」


 決勝進出から遠ざかっている中田雄喜の近況だが、競走得点も100点台に乗せてまずまずの成績を残している。


 「初日は前ですけど。自分は番手も苦にならないんで、いまはどっちもできるようにと思っている。(3場所前の)四日市で弱いなって思って、それから練習量を増やして、次の宇都宮記念では結果が出た。それでモチベーションも上がって、状態も良くなっている」


 

9R

選手の写真です。
高間悠平選手

 地元の高間悠平(写真)は、地元記念に慎重な姿勢を崩さない。ただ、練習はきっちりと積んできているようで、期待は膨らむ。


 「この記念の前に(野原)雅也君とかと(福井)バンクで強めに練習をやってきた。1週間くらいですかね、若手と。みんなが強すぎて、自分が弱いから参考にならない。あとはレースになったら気持ちでなんとか」


 前回の青森FIから中3日の西田大志は、地元に帰らずに調整。体のメンテナンスも抜かりなく、コンディションに問題はなさそうだ。


 「福岡に帰らずに東京にいました。ケアとかもできたし、帰るよりもいいかなって思った。体は悪くないし、前回は収穫もあった」


 前回の函館FIの最終日にS級初勝利を飾った小林令は、総力戦で一次予選突破を目論む。


 「これから自力自在でやっていきたい。S級で戦えるかって聞かれると、まだ基本的に脚がなさすぎる。ごまかしてやっている感じがある。もっと脚がついてくれば戦える感じはある」


 

10R

選手の写真です。
野原雅也選手

 昨年の当所記念は1328着。一次予選から勝ち上がり、決勝では脇本雄太の優勝に大きく貢献した野原雅也(写真)が、今年は特選からスタートを切る。


 「しっかりと練習できたし、地元記念だから頑張りたい。直前の(福井)バンクの練習もわりといい感じだった。まだ違和感もあるけど、自分の感覚は良くなってきている。(セッティングとかに)ずっと悩んでいた。でも、地元記念の前にいい方向にいってくれてよかった」


 松浦悠士は前回のサマーナイトフェスティバルを213着。単騎の決勝では3着も消極的な組み立てを悔やむ。


 「(サマーナイトフェスティバルの決勝は)もうちょっと自分で仕掛ける気持ちがあればおもしろかった。(渡邉)一成さんの動きを見てからになった。あれだと2着までが限度ですよね。脚に不安があるかと思ったけど、道中は余力もあった。今回はタテでどれだけ動けるかです」


 木暮安由はサマーナイトフェスティバルの準決で落車のアクシデント。最終日を待たずに欠場を余儀なくされた。


 「(落車の怪我の)ケアはちゃんとできました。体の状態はまずまずだと思います。オールスターがあるので、そこに向けて、自分の状態を徐々に上げていきたい」


 

11R

選手の写真です。
武田豊樹選手

 前回381着のサマーナイトフェスティバルでは体調管理に苦しんだ新山響平は、中3日で地元の八戸から福井への長距離移動は楽ではない。


 「八戸は気温が18度くらいだったんで、全然良かったですよ。松戸(サマーナイトフェスティバル)ではエアコンをかけすぎたりして、あんまり良くなかった。だから体調面でのリカバリーをしっかりして、最終日に向けてですね。長島さんは武田さんが付いているから積極的に仕掛けてきそうだし、油断しないでいきます」


 昨年の骨盤骨折の大怪我から立ち直りつつある武田豊樹(写真)は、落車ゼロを強調しながら一年を振り返る。


 「復帰して落車しないことがまず目標だった。(高松宮記念杯で)GIの決勝に久しぶりに乗った。そこまで時間が掛かったし、いまもまだ変なところがある。走ってすぐは不甲斐ないレースが続いたし、これからもしっかり課題に取り組みたい」


 ホームバンクの改修工事で練習環境がままならない金子貴志だったが、前向きに口を開く。


 「このあとにもう(豊橋)バンクが使えるようになる。いろいろやってきたし、それがマイナスにはならないと思うんで楽しみです。7月の頭に高地トレーニングにも行ってきたし、いい感じだった」


 

12R

選手の写真です。
脇本雄太選手

 伊豆ベロドロームで行われた競技のジャパントラックカップではケイリン種目で連続優勝を飾った脇本雄太(写真)が、重圧のかかる地元記念を迎える。


 「サマーナイトフェスティバルに出られなかったぶん、しっかり走りたい。もちろん、前日まで(ナショナルチームの)練習をしっかりやってきた。疲れがないって言ったらウソになる。疲れが取れれば勝負になると思うんで、自分の体調との勝負。(シリーズの)4日間、自分との戦い。プレッシャーもかかると思うし」


 北津留翼は前回の函館FI決勝で落車の憂き目。まだ万全の状態とは、いえそうにない。


 「落車したんで、どんなもんかなって…。下半身は治ったけど、上半身の右肩、ヒジの方が。それにフレームは大丈夫だったけど、クツも壊れてしまった。4日間でしっかりバランスを戻したい」


 「なんとかします」と、言葉を絞り出した桐山敬太郎。先行力では抜けている脇本を相手に、その動向が気になる。


 「(前回から)中3日なんで調整程度ですね。疲れは大丈夫。前回は昔乗ってた自転車にして、その特性が活きている。思ったより反応はいい。あとはなんとかするしかない」


 

1R

選手の写真です。
坂上樹大選手

 赤板の2コーナーで小林申太が押さえた上を伊藤裕貴が出て主導権。中部ライン3車がきっちり出ると、すかさず原口昌平も巻き返す。が、逃げる伊藤がペースを上げて、原口は不発。中部3車の勝負は、番手の坂上樹大(写真)が伊藤をとらえてチャンスをモノにした。


 「(伊藤は周回中で)前を取っても行けると思ってたけど、スタートも我慢してくれたし(伊藤)裕貴がよく頑張ってくれた。自分のなかでは差せると思ったけどギリギリでした」


 打鐘過ぎに先頭に立った伊藤裕貴は、およそ1周半、風を切って別線を完封。内容の濃い走りでラインを上位独占に導いた。


 「(別線に)粘られる可能性もあるんで、ジャンでは強めに踏んだ。あとは引きつけて合わせられればと。若干、(最終)バックではキツかった。強い人なら、あそこからまた踏み直せる。そういう頭にまだ脚がついてこない。セコいレースをするのは簡単だけど、自分らしいレースをして戻していかないと意味がない」


 

2R

選手の写真です。
才迫開選手

 佐川翔吾が志佐明にフタをして赤板を通過すると、前受けの和田禎嗣は切りにきた才迫開(写真)を出させない。3番手に戻った才迫は打鐘の2センターから再度踏み上げるが、和田が先行態勢に入ったのを見て元の位置に戻る。後方から仕掛けてきた志佐に合わせて最終1センターからまくり上げると、今度は逃げる和田をバックでとらえて1着。


 「(打鐘の2センターで仕掛けて)行こうとしたけど、踏まれたので。バックを踏まずに元の位置に戻れたし、あのまま駆けてくれたら後ろも外々に浮いて苦しいだろうと思って。前の方にいて、いつもより(踏む距離が)短かったから行けただけです。自分でレースを動かせていない。最近の悪い傾向ですね。自分でレースを作れたら満足できるんですけどね。モヤモヤの残るレースでした」


 合わされた志佐明は、中国勢を追いかける形で3着に入る。初の記念開催で勝ち上がりを決めたが、表情は浮かない。


 「佐川さんに切ってもらって、その上を行きたかったです。警戒されすぎました。最後は諦めないで踏んだけど…。思い通りにいかないですね。勝ち上がれたけど、苦笑いです。(5着で勝ち上がりを逃した)新田(康仁)さんに申し訳ない」


 

3R

 打鐘で押さえて出た山本紳貴が主導権を握ると、田中雅史が番手に切り込んで山本後位がもつれる。山本ラインを受けた宿口陽一が中団をキープ。後方からまくった野村典嗣に合わせて、最終2コーナー手前から踏み上げた宿口がまくりで1着。


 「8番(野村)の子がどうするのかと思ってた。引いてくれたんでラッキーでした。あれで引かなかったら、自分が先行しようと思った。ライン3人ですからね。黒崎(直行)さんは残念だったけど、最悪でも佐藤(真一)さんとはと。(野村が来るのが)雰囲気でわかったし、前回よりも調子がいいかもしれない。(前は)点数が上がってきて、人気になって消極的になってた。でも、(いまは)駆けてもいいなっていう気持ちになっている」


 「1番人気だったし、苦しかったけど結果が出たんでよかった」とは、宿口のまくりに流れ込んで2着の佐藤真一。埼京ワンツーで車単1番人気に応えて、汗をぬぐう。


 脚力をロスすることなく先行策を取った山本紳貴の誤算は、田中の番手勝負。それでも宿口のまくりに屈しながら、逃げて3着に踏ん張った。


 「ラッキー、脚を使わないで出られると思った。そしたら(田中に)狙い打ちされてましたね。駆けて残れているけど、本線にワンツーされてしまった。自分(の調子)は悪くないと思う」


 

4R

 打鐘手前で出て先行態勢を取った佐々木吉徳ラインに反応できなかった人気の松岡篤哉は、一本棒の7番手に置かれる。佐々木が小気味いいリズムで駆けて、中団まくりの藤岡隆治を紺野哲也が阻む。松岡がようやく大外から迫るが、佐々木を利した紺野が白星をつかんだ。


 「佐々木君が掛かっていても、本線が後方にいるから松岡君がいつ飛んでくるのかって気が気じゃなかった。なんとか佐々木君を残そうと思っていた。6月の弥彦初日から新車で、急に1着を取れるようになった。道中の脚の溜まり具合もいいし、余裕も出てきましたね」


 松岡篤哉は最終バック過ぎからまくり追い込みで強襲も2着まで。


 「(最終)ホームで仕掛ければ良かった。自分の状態は悪くないので、あとは組み立てだけですね」


 松岡ライン3番手の疋田敏は、最終バックで最後方。そこから内を進出して、最後は逃げる佐々木と紺野の間を伸びた。


 「みんなが強すぎますよ。(最終)バック9番手だったんで、もう内しかないと。直前に浅井康太君に練習を見てもらって、その成果が出ましたね。もしバックで6番手にいたら、あのコースは見えていなかったと思う。9番手だから内が見えたんでしょうね。そういうところは、競輪って面白いですね」


 

5R

 柿沼信也、中川勝貴の順に動くと、前受けから7番手に引いた根本哲吏が打鐘の手前で叩いて主導権を握った。柿沼は打鐘過ぎから内を進出して中川と4番手で併走。根本は別線の動きを見ながら絶妙なペースで駆けると、そのまま力強く押し切った。


 「8番(中川)は駆けたいのかなと。(近畿勢が)機動型で並んでいたので、しっかり駆けようと思っていました。うまく駆けられたと思います。(感触は)少し重かったけど、逃げ切れているので大丈夫です」


 4番手の外で併走していた地元の中川勝貴は、最終1センターからまくり上げる。伊藤大志から再三のブロックを受けるも、これを凌いで2着に入った。


 「(柿沼に)内をすくわれてヤバいと。まくりに行ったけど、脚も重くて、あそこまで行けるとは思っていなかったです。ブロックはキツかったですけど、来ると思っていたので我慢ができました」


 中川を止められなかった伊藤大志だが、3着で二次予選に勝ち上がった。


 「(中川が)簡単に止まらなくてキツかったですね。(ブロックで)脚を使ったぶん、差す余力は残っていなかったです。いつもそうなんですけど、一走したら徐々に上がっていくと思う。まずは一次予選をクリアと思っていました」


 

6R

選手の写真です。
佐伯辰哉選手

 赤板で誘導を降ろした石口慶多が先頭に立つが、すかさず片寄雄己が押さえる。佐伯辰哉待かに思われた片寄は、ペースを上げて駆ける。巻き返した佐伯は空いた4番手に入って態勢を整える。空けた車間を詰めながらまくった佐伯を國村洋が楽に交わして1着。


 「遅ければ突っ張りもあると思ったけど、(片寄は佐伯の)動き出しで踏んだ。あとは佐伯の余裕というか中団取りで、石口君も引いてくれたんで展開が良くなった。(佐伯の踏み出しに)しっかり付いてと。三上(佳孝)君は残し気味だったし、自分は流れも見えていた。暑いけど3分間だけは頑張らないと(笑)」


 赤板2コーナーで踏み上げた片寄の動きに冷静に対処した佐伯辰哉(写真)は、4番手まくりで前団をのみ込んだ。


 「片寄さんは中団、中団と思ってたし、切ってくれたんでラッキーと。その上を自分がと思ったけど、(片寄が)結構、踏んだ。それで車間が空いたんで、(4番手に)普通に収まりました。落ち着いていけたし、いろいろなこと考えながらまくれた。頭に余裕はありました。福井は逃げ粘れるイメージがあるんで、もうちょっと積極的に走りたい」


 

7R

 打鐘の2センターで東京コンビを受けた藤木裕が、ソツなく3番手を確保する。高橋築の先行で後続は一本棒。最終2センターで藤木が外に持ち出すと、村田雅一は東京コンビの中を割って突き抜けた。


 「余裕はあったし、最後のコースは見えていた。藤木君のまくりに準備はしていたけど、高橋君もうまく駆けていたし仕掛けるタイミングがなかったんだと思う。状態はいいけど、バンクの中はすごく暑いので体調だけは気をつけたい」


 別線との間合いを計って追い込んだ河村雅章は、絶好の展開も村田に割られて2着。


 「高橋君がいいタイミングで仕掛けてくれました。そこからは別線がまくってくるならヨコの動きをしてって思ってました。(最終)4コーナーからは藤木君が来ていたので、タテに踏みました。状態は悪くないと思います」


 

8R

 先に出た門田凌を廣田敦士が、赤板の2コーナーで強引に押さえて先行態勢へ。中田雄喜がすかさず追い上げて中団を確保。門田は車間が空いた7番手に置かれて最終ホーム、バックと一本棒で通過する。中田が2センターからまくり追い込むと、その後ろから竹山陵太が差し脚を伸ばした。


 「中田君が全部やってくれた。中団でやり合いになるかなとも思ったけど、中田君はヨコも強いし、取り切るなと思っていました。付いていて余裕はありましたよ。脚がないから、人の後ろでどうやって休めるかを考えています」


 まくった中田雄喜が、2着に入って北日本ワンツー決着。


 「(最終2センターからの仕掛けになったのは)門田君を待って、あのタイミングになりました。(踏み出しで)パンパンっていかないけど、踏みごたえはありましたね。ここまでに練習もしてきたし、疲れがあります。それが抜けてくれたら」


 門田凌は最終3コーナーから仕掛けたが、前団をまくれず7着。一次予選で敗退となった。


 「全部突っ張るつもりでいたんですけど、途中で無理と思ってしまって。あれで1着だったら、別線に脚を使わせたって言えるけど…。失敗です」


 

9R

選手の写真です。
稲毛健太選手

 赤板手前から稲毛健太(写真)に併せ込んでフタをした八谷誠賢は、再び打鐘手前から踏み込んで主導権を握る。前受けの小林令が飛び付いて、西田大志をもっていくと西田が落車。打鐘の4コーナーから踏み出していた稲毛は、アクシデントを避けて、そのまま止まることなく前団に襲い掛かる。逃げる八谷を最終3コーナーでつかまえた稲毛が、後続をちぎった。


 「自分も(仕掛けて)行ってたんで、(落車があって)アッと思った。でも、もう踏んでもうてるし、このまま行こうと。(周回中は)どこの位置でも良かった。練習でも(感じが)いいんで、やっぱり構えてしまった時に着がなくなってしまう。積極的に行った時は着がいい」


 西田に坂本晃輝が乗り上げて、ラインの援護を失った八谷誠賢が2着。稲毛のまくりに屈したものの、苦しい展開を凌いで一次予選をクリアした。


 「(小林は)あそこは引くかなと思ったら、えらい踏んでくるし、俺の脚も削られた。引いてくれれば面白かった。一番(稲毛に)やられやすいパターンになってしまった」


 「八谷さんは出させないかなって。読みが当たりました」とは、単騎の亀谷隆一。八谷ラインを追って落車を避けると、上甲コンビに切り替えて稲村好将をすくう。今度は八谷の番手に入った小林が浮いて、内からソツなく3着に入った。


 「(稲村をすくって)1個でも前に行こうと思った。うれしいですね、ここで3着が取れるなんて」


 

10R

選手の写真です。
村上博幸選手

 山中秀将、松浦悠士の順で切るが、木暮安由は松浦ラインを追って中団。サッと引いて打鐘の3コーナーから踏んだ野原雅也が、山降ろしでスピードに乗せてカマシ気味に主導権を奪う。番手絶好の村上博幸(写真)は、ゴール前で計ったように抜け出した。


 「野原君の地元なので、お互いが勝ち上がろうと思っていた。2人で確定板に乗れてよかったです。状態的には疲れがありますね。夏バテ気味なのかな…。野原君はいいタイミングで仕掛けてくれたし、(最終)1コーナーも掛かっていました」


 近畿コンビから大きく車間の空いた3番手の松浦悠士だったが、最終4コーナーで追いついて2着に伸びた。


 「野原君が強かったですね。自分が駆けようとしたら野原君が仕掛けてきていた。最大限、自分のやれることはできたと思う。状態は引き続きいいです」


 好タイミングで仕掛けた野原雅也は、さすがに直線で失速も先行策からの3着で2日目の優秀にコマを進めた。


 「いいタイミングで仕掛ける順番が来たので、仕掛けていきました。最後はタレてしまって、キツかったです。記念の(2日目)優秀を走るのは初めてなので、挑戦者の立場で頑張りたい」


 

11R

選手の写真です。
新山響平選手

 長島大介が、合わせて踏んだ金子貴志を打鐘で押さえて出る。しかし、栃茨勢に続いた新山響平(写真)が、すかさず踏み上げて抵抗する長島を最終ホーム過ぎに叩いた。新山は3番手以下を突き放して軽快に駆けると、最後は成田和也の追撃も振り切った。


 「競走自体は良くなかったと思います。あのタイミングで仕掛けて、前に出られないかもと思っていました。でも、行かないと先行選手としてダメなので。暑くて、あまりいい状態とは言えないですけど。最後に成田さんに抜かれなかったのは大きいですね」


 新山に続いた成田和也は、別線を警戒しながら2着を確保した。


 「よくホーム過ぎに行き切ってくれた。(新山はあまりいい競走ではないと言っていたが)目指すところが高いから、頼もしいね。いい掛かりだったと思うよ。最後は踏み直されました。(抜けなくて)力不足です」


 目標の余力を見極めた武田豊樹は、最終2コーナーから切り替えて北日本勢を追いかけて3着に入った。


 「相手の番手(成田)がすごく強かったですね。成田がさすがでした。気持ち的に疲れはあるけど、みんなオールスターを目指してやっているんで。ひとつずつ課題をクリアしていきたい。(昨年のオールスターで)骨盤を折ってから苦しかったけど、1年経って、楽になってきました」


 

12R

選手の写真です。
脇本雄太選手

 桐山敬太郎に併せ込まれた脇本雄太(写真)は、迷うことなく後方に下げて赤板を迎える。5番手の桐山が2コーナーから踏み込んで先行態勢を取るが、脇本が次元の違うスピードでその上を踏んで一気に先頭に立つ。澤田義和が離れて飛び付いた桐山が番手に入るも、脇本がグングンと加速して後続をちぎっていく。最終バックではすでにセーフティーリードの脇本が、ひとり旅でゴールを駆け抜けた。


 「誰かが前に出て飛び付きみたいになるのは見えてるから、その誘いに乗らないようにはと考えていた。あとは取れたところから踏み切れればと思っていた。踏み込んだ感じはいいんですけど、セッティングがうまくいってない。気持ちはなんとかですね。あとはドーム(伊豆ベロドローム)で練習してたんで、暑さとかもあって完全ではない。(2日目の優秀は野原雅也の後ろで)競りになるのはしょうがない。もちろん、競られたことはない。(野原)雅也に任せないわけにもいかないんで試練ですね」


 打鐘の4コーナーから反撃に出た山崎芳仁は、脇本をはるか遠くに見る大差の2着。


 「(周回中3番手の)あの位置で動くよりも、北津留(翼)の突っ張りもあるから、わざと切らないようにしていた。切ったらワッキー(脇本)が行きやすくなるんで。(桐山が出てからは)北津留が飛び付く前に仕掛けようと思った。ワッキーは遥か彼方にいた」


 「反省しかない…」と、肩を落すのは岡村潤。脇本に離れた澤田にすくわれて桐山の番手に割り込まれると、最終2コーナーから追い上げ気味のまくりで3着に入った。


 「(桐山が番手に)」はまったと思って、ニュートラルに入れたら…。油断したところがあった。桐山があんだけ頑張ってくれたのに、結局、まくりみたいになっちゃった。ああいうことをしてたら信頼をなくすしダメですね」


 脇本のダッシュに置いていかれた澤田義和は、お手上げの様子で息を整え振り返る。


 「(脇本の仕掛けは)わかっていたところなのに…、強すぎる。(付いていって)いい展開になると思った。(離れてからは)内から飛び付こうとしたら、桐山君に降りられた」


 

6R

選手の写真です。
志佐明選手

 別線の動きを待つことなく主導権取りに動いた中川勝貴に、志佐明(写真)が反応して3番手をキープ。中川がペース上げて、巻き返した八谷誠賢は3番手までは届かない。後方から迫る長島大介のロングまくりに合わせて、志佐は最終2コーナー手前から出る。番手まくりの藤木裕、外の長島に踏み勝った志佐がS級初勝利を挙げて準決に進んだ。


 「逃げも含めて、(成田健児と)無理はしないで勝ち上がろうっていう感じでした。(3番手に入って)そこは誰か来るだろうっていうのがあった。でも、(頭が)真っ白で、落ち着いて踏めてない。(二次予選でのS級初勝利は)相当、価値がありますね。(体調は暑さで)あんまりですけど、みんなもそうだと思うんで気にしないでやりたい」


 まくり合戦で目標の長島が志佐に合わされると、小林大介は冷静に脚を溜めて外を踏んだ。


 「(長島は)前を見て止まっちゃった感じですね。あのまま我慢してタテに踏んでいれば…。自分もそれを見てからだったんですけど、あんまり見ていると伸びないこともあるんで(踏んだ)。暑さと冷房で体が重い。シャキッとしないんで、その辺を考えないと」


 番手まくりの藤木、外の長島にコース塞がれた成田健児は、志佐との連結を外しながらも直線で狭いコースの伸びて3着。


 「(志佐は)練習で強いのも知っているんで。俺は(志佐がまくって)アンコになってつぶれちゃうと思って、ちょっと待っちゃった。あれで中に入っていって空かなきゃしょうがないと」


 

7R

選手の写真です。
海老根恵太選手

 才迫開を内に封じ込めながら、山本紳貴は赤板の2コーナーで踏み込んで先行策。中田雄喜も4番手まで引いて、南関3車が出切る。打鐘の4コーナーから仕掛けた才迫は不発。中田が中団からまくりを打つと、海老根恵太(写真)は外に張りながら早めの追い込みで抜け出した。


 「山本君が落ち着いて駆けてくれた。中田君がまくりに来たのが見えたので、止めにいったけど誰かと接触して押された。それで山本君よりも前に出てしまったので、そのまま踏ませてもらいました。重くて余裕がなかったので、次に山本君と連係する時は2人で勝ち上がれるように頑張りたい」


 中田にスイッチしながらさらに進出した小倉竜二が、海老根との接触でスピードが鈍る。室井健一は小倉に乗って狭いコースをこじ開けて、2着に突っ込んだ。


 「入れるコースを行こうと思っていた。(才迫が不発になったので)小倉君がどっか切り込んでくれるのかなって。最後は伸びたというよりも、みんなが失速したんじゃないかな」


 千葉勢に続いて3番手で内を締めていた亀谷隆一は、直線で海老根には置いていかれたもののしぶとく踏んで3着に入った。


 「(ラインの)3番手でやるべきことはしっかりできたと思う。小倉さんのエックス攻撃だけが怖くて、そこだけ気をつけようと思っていた。状態は初日よりもいいです」

8R

選手の写真です。
芦澤大輔選手

 稲毛健太にフタをした佐々木吉徳が、打鐘で飛び出して主導権を握る。佐々木に合わせて踏んだ木暮安由は、別線の巻き返しを張りながら3番手を確保。稲毛のまくりに合わせて踏み込む。最終2センターで前団をとらえると、最後は芦澤大輔(写真)が差し切った。


 「2コーナーで突風がすごいんですけど、重かったところを木暮が頑張ってくれて。ありがたかったですね。(木暮が)ひとりでレースをつくってくれたし、1着を取らせてもらいました。自分の状態は、いまのベストを出せていると思います」


 木暮安由は、立ち回のうまさで現状をカバーした。


 「頑張りましたね。でも、いまはあれくらいしかできない。(落車の怪我は)まだまだですよ」


 澤田義和は稲毛との連結が外れる。北村信明をすくってドッキングを試みたが、稲毛のまくりを追い切れず、関東勢に続いて3着に入った。


 「8番(佐々木)が、あそこまでフタをするとは思わなかった。ああなったら、(木暮に有利な)あの展開になるのにね。(脇本雄太の仕掛けに離れた)初日のこともあったから、2日目は余裕をもっていきました。2コーナーで離れてしまったけど、なんとかですね」

9R

選手の写真です。
桑原大志選手

 佐伯辰哉が押さえて出るが、和田禎嗣も叩きに出て打鐘を迎える。最終ホームで和田が強引に主導権を奪うと、佐伯は遅れ気味の佐藤真一をさばいて番手に飛び付く。金子貴志のロングまくりを佐伯が合わせながら、逃げる和田との車間を詰める。和田をとらえた佐伯に続いた桑原大志(写真)が、直線半ばでわずかに抜け出して久々の白星を挙げた。


 「(佐伯が)頑張ってくれました。本当に頼もしい。(1着は)うれしい、もう取れないんじゃないかっていうのもあった。いろんな人に相談して、(初日から)セッティングをガラリと変えた。ダメでもいいからやらないと。それで周回中、若干ですけど、後方にいても前に踏んでいけるかなっていうのがあった。いままではそんな感じがなかった」


 佐藤が浮いて後退すると、関東3番手にいた中村淳は濱田浩司の後ろに切り替える。内を締めていた濱田の外を中村が、最終2センターで踏んで2着に伸びた。


 「(最終)バックで脚が戻って、桑原を目がけて踏んだ。自分の状態もだいぶ良くなってきました。桑原が残し気味にいったから、余計に吸い込まれた。自分もまだイケるのかなって、あきらめないでね。気持ちの面で自分を見つめ直して、ここ何場所か手応えはあった。競輪はやっぱりここ(気持ち)ですね」


 和田に叩かれながらも器用に番手を奪った佐伯辰哉は、僅差の3着で二次予選をクリアした。


 「普通に先行ができると思ってて、和田さんがすぐに来るとは…。突っ張るか迷いました。そのあとは金子さんもまくって来てて、できるだけかぶらないようにと。初めて(記念の)準決に乗れたけど、最後いっぱい過ぎて濱田さんとは思わずに頭を出した。せっかく付いてもらっているのに申し訳ない。あれはいけん、反省です」

10R

選手の写真です。
中川誠一郎選手

 打鐘の3コーナーで松岡篤哉が主導権を握って、関東勢が中団。一本棒の7番手に中川誠一郎(写真)が置かれて、松岡が軽快に駆ける。4番手の宿口陽一が最終2コーナーからまくりを打ったのとほぼ同時に中川も踏み出す。宿口は山内卓也に止められるが、その上を力の違いでまくり切った中川が1着。


 「仕掛けのタイミングは、あそこしかなかった。北津留君に見本を見せないとって思って、あそこから仕掛けていきました。彼にもいつもあそこで仕掛けて欲しい。覚悟を決めて車間を空けて無理やり仕掛けたので、初日よりもスムーズではなかったかな」


 中川を後方に置いてレースを支配した松岡篤哉は、山内卓也の援護もあって2着に粘り込んだ。


 「いい感じで駆けていたと思うし、ペースもいい方だったと。中川さんのスピードが良かったということですね。まだ疲れがあるので、それだけしっかり抜いていければいいかな」


 中川マークの北津留翼は、直線で大外に持ち出して3着がやっと。


 「(中川に)口が空きましたよ。(最終)3コーナーで中川さんのスピードが落ちたので、追いつきましたけど。まだ調子は悪いですね。(準決までに)セッティングを見直してみます」

11R

選手の写真です。
伊藤裕貴選手

 伊藤裕貴(写真)が出た上を西本直大が赤板の2コーナーで押さえて出る。しかし、ペースが緩んだすきを見逃さず、山中秀将が打鐘の2センターから巻き返して主導権を奪い返した。中団にいた伊藤は仕掛けるタイミングを見計らって、2コーナーから反撃を開始。桐山敬太郎のけん制を乗り越えて、ゴール寸前で山中をとらえた。


 「山中さんは桐山さんが付いているし、来るのが早かったですね。カマされないようにと思っていたんですけど。一番嫌な展開になってしまいました。展開は良くないけど、1着を取れているから、徐々に脚は戻ってきているのかな。組み立てはもう少し。復帰して初めての1着なのでうれしいにはうれしい」


 山中秀将は積極的に攻めたが、惜しくも白星はならず。


 「みんなが脚を使ってくれているなら、7番手でも良かったんですけどね。西本さんが緩めていたし、仕掛けるタイミングを失うと思ったので行きました。最後はバックの向かい風がキツくて、5、6着は覚悟していたんですけど。桐山さんが援護してくれて残れました」


 桐山敬太郎は外の伊藤をブロック。さらに、南関3番手に切り替えて内をすくってきた村田雅一を締めての3着。


 「伊藤君を止められなくて申し訳ない。内に村田さんが来てしまって、その対処で精いっぱいだった。中を割られていたら、自分は4、5着に沈んでいましたね」


 

12R

選手の写真です。
山崎芳仁選手

 スタートで飛び出し前団に構えた近畿勢の突っ張りを警戒して、新山響平は早めに動き出す。が、それでも野原雅也は突っ張る。慌てることなく7番手に出戻った新山が、タイミングを計って再び打鐘の4コーナーからスパート。最終ホームでも逃げる野原後位の競りは決着がつかず、新山が野原をとらえる。単騎の武田豊樹、松浦悠士に飛び付く隙を与えなかった山崎芳仁(写真)が、新山を交わして1着。


 「(新山)響平が強かった。松浦も武田さんも振ってきてたし、自分のところが狙われているんで余裕はなかった。とにかくしっかり付いていこうと思っていた。それで差しただけです」


 「作戦通りです」とは、新山響平。野原の突っ張りを計算に入れていた様子で、7番手から立て直しロングまくりで鮮やかに前団をとらえた。


 「(野原の)後ろが競りになってたし、あとは自分が行けるところからと思っていた。ジャンで行けたら良かったけど、野原君も踏んでましたね。ただ、脇本(雄太)さんがすんなり番手だったら、まくり切れていないと思います」


 最終ホームで山崎をさばけずの松浦悠士だったが、今度は成田和也を弾いて前に踏みこむ。新山、山崎にスイッチした武田と絡みながらも、外を踏んで3着に入った。


 「山崎さんをどかしたかったけど、ピッタリ付いていた。山崎さんをさばいて、新山君にスイッチできてたら1着が取れてたかもしれない。そのあと武田さんとも併走になった。でも、うまく競り勝てたんでよかった」


 地元コンビ分断で近畿勢に競り込んだ岡村潤は、何度か踏み遅れながらも脇本に体を併せにいった。


 「ああでもしないと近畿の勢いは止められない。地元には悪いけど、主張したからには失礼にならないようにと思っていた。何回も遅れて、3回くらい負けた。ワッキー(脇本)が普通にヨコができる選手だったら終わってましたね」


 初めて競り合いを経験した脇本雄太は、相討ちの8着。脚力で踏み勝ったものの、岡村の度重なる追い上げに対処できず、こう振り返る。


 「気持ちは入った。ただ、競りは難しい。(岡村をもっていくのに)当たりどころがわからない。いい勉強になりました。(周囲の意見として)自力なんだから、引いてもいいんじゃないっていうのがあるかもしれない。だけど、そんなことしたら(野原)雅也に悪いですから。(準決は)気持ちを切り替えて自力で」

10R

選手の写真です。
松浦悠士選手
選手の写真です。
桑原大志選手

 合わせて動いた新山響平を押さえて出た伊藤裕貴が先行態勢。中部コンビに続いた松浦悠士(写真)が3番手を手に入れて、新山が5番手で打鐘を通過する。慌てることなく伊藤がペースを上げて松岡篤哉は番手で大きく車間を切るが、3番手で脚を溜めた松浦がまくる。松浦、桑原大志で出切って、後続の追撃を振り切って中国ワンツー。


 「最高の展開でしたね。踏み込んだ瞬間は、かなり手応えが良かった。新山君の動きが見えたので、かぶる前に仕掛けようと。松岡さんを乗り越えられればと思ってました。100点ですね。(桑原と)ワンツーが決まったし、自力も出せたので。このメンバーで勝てるとは思ってなかった」


 桑原大志(写真)は、松浦を半車輪差まで詰めたところがゴール。


 「うれしい限りです。レース前から松浦が、桑原さんだけでも勝ち上がってくださいって、その気持ちが伝わってきた。それがうれしかった。恵まれました。セッティングを2日目に変えて芯が出た感じがある」


 新山との併走を避けて7番手から仕掛けた山中秀将は、まくりで中国勢に迫るも3着が精いっぱい。


 「悪いなりになんとかって感じですね。座っている時の伸びは悪くないけど、スタンディングの時のバランスが悪いかな。(2日目の)自分のレースがあったので、(準決は)新山君もかぶる前に仕掛けていこうとしたんだと思う」


 山中を後方に置いて5番手キープの新山響平だったが、最終1センターで外に持ち出すも一息。仕掛けきれずに終った。


 「組み立てが難しかったです。みっともないレースをしてしまった。(最終)2コーナーからの仕掛けでも良かったかな。早めに踏み込んだら車が全然出ていかなくて…。それでもう一度、元の位置に戻った」


 

11R

選手の写真です。
中川誠一郎選手
選手の写真です。
桐山敬太郎選手

 後ろ攻めの志佐明が、合わせて踏んだ野原雅也を赤板で押さえる。南関勢に続いた木暮安由は野原と3番手で併走するが、2コーナーから踏み上げて先行策に出た。中団で戦況を見ていた野原は、最終ホームから巻き返して木暮を最終2コーナーでとらえる。が、澤田義和が離れて援護を失う。後方で脚を溜めていた北津留翼は2コーナーから踏み込むも、3番手まででいっぱいに。北津留にだ性をもらった中川誠一郎(写真)が、直線で鋭く伸びて白星をさらった。


 「8番(志佐)のヤル気があるのはわかっていたので、あとは野原のヤル気次第。中団の取り合いか、モガき合いになると思ってたので(北津留が)見ていればチャンスはあると思っていました。(北津留が)行き切ったと思ったんですけどね。もうワンテンポ早く行っていたら(ワンツーが)決まっていたかも。最後は(北津留)翼に90パーセントくらいスピードをもらって。勝手に吸い込まれていきました」


 志佐が木暮に叩かれると、桐山敬太郎(写真)は中村淳をさばいて3番手にスイッチ。さらに、武田豊樹もすくって野原を追いかける。最後は追い込んで2着も、俊敏な立ち回りを見せた。


 「木暮が切りに来たので、志佐君はパニックになっていましたね。迎え入れても良かったけど、野原が行きそうだったので。(切り替える)準備をしていました。(切り替えてからは)内を見て落ち着いて。1着だと思ったけど、中川さんは規格外。(状態は)反応できているし、外を踏めているので問題ないです」


 すくわれた武田豊樹は切り替えて、すぐさま桐山を追走。ゴール寸前で粘る野原を交わして3着に入った。


 「中村さんがいないのをわかっていなかったです。後ろの確認を取れていなかったですね。木暮君には悪いんですけど(切り替えた)。でも、まさか木暮君が先行勝負に出るとは。関東の後輩も(木暮が先行した)レースを見ていると思うし、後半戦は強いラインで戦えると思う」


 野原雅也は果敢に攻めたが、4着で準決敗退。2年連続での地元記念優出はならず。


 「あそこで待ったらダメだし、力を出し切った結果です。自分のタイミングと距離で勝負をして、勝ち上がれなかったです」


 

12R

選手の写真です。
脇本雄太選手
選手の写真です。
山崎芳仁選手

 青板を通過し海老根恵太が早めに上昇を始めて、前受けの脇本雄太(写真)は誘導を残したままサッと後方に下げる。赤板2コーナー手前で佐伯辰哉が押さえるが、その上を山崎芳仁がすかさず出ると脇本が襲い掛かる。村上博幸を振った芦澤大輔が、主導権を奪った脇本を追いかける。脇本、芦澤まで出切って、山崎が3番手に飛び付く。村上は脇本を追い切れず、5番手に降りる。後続をクギづけにした脇本はさらに加速。最終2コーナー手前で芦澤が置いていかれ、セーフティーリードをたもったまま脇本が楽に逃げ切った。


 「自分の駆けたいタイミングで行かせてもらった。ジャンのバック線で(後ろが)芦澤さんだっていうのは確認した。だけど、あれ以上緩めてやめてしまうと、誰かを引き出すことになる。だから、しっかり駆けるところは駆けようと思った。4コーナーからはもう全開で踏んだ。(決勝は)近畿ひとりになったけど、全開で頑張らないと。(連係する中川誠一郎とは)ナショナルチームで一緒に練習をした時期もあるし、(競輪での)連係も何回かあるんで信頼していきます。あとは自分の気持ちとの勝負。気持ちが強ければしっかり仕掛けて、(中川と)ワンツーができると思う」


 佐伯の動きを見た山崎芳仁(写真)が、好判断で押さえて前に出る。先行も辞さない積極性が、結果的に逃げた脇本の3番手を生んだ。あとは芦澤が離れると、最終バック手前からのまくりで成田和也と決勝に進んだ。


 「佐伯が駆けるかどうかわからないし、あれだと踏んで(脇本を)出させちゃうのかと。それだったら自分で行って、(脇本が打鐘の)3コーナー過ぎまで来なかったら駆けちゃおうと。(脇本ラインが)2車で来てたのもわかった。そこからは芦澤がちぎれたのが見えて、まくっていく感じで(脇本に)追いついた。最後は詰まっていけているし、いまの僕なら上デキ。でも、(脇本を)交わして行ける感じはなかった。1、2着じゃないけど、成田さんと上がれたんでよかった」


 山崎に付けた成田和也が、そのまま流れ込んで3着。いつものように静かに振り返る。


 「ワッキー(脇本)が先行していたし、(脚が)回っていた。俺は回転してくれた方がいいんで良かったです。山崎もいい判断だったし、本当にすごいですね。自分はこの暑さに慣れてきたのもあって、(調子は)悪くない」


 脇本後位を競り勝って続いた芦澤大輔だったが、その後の脇本の驚異の加速力に離れてぼう然とする。


 「スピードメーターがずっと上がっている感じで、僕は一息入れるところがなかった。せっかく(番手を)取り切ったのにもったいない」


 


 


≪最終日6R「S級ブロックセブン」≫


 直近の競走得点最上位の柴崎淳は、前回のサマーナイトフェスティバルを853着と、いまひとつ波に乗れていない。それでも、1カ月後に迫った大舞台に向けて準備を進めている。


 「(6月)函館(記念)の前にギックリをやってしまって。腰ではなくて背中ですね。いまは感覚を戻すために、長く自転車に乗っています。サマーナイトのあともガッツリ練習をしていたし、(ブロックセブンの)前検日の朝もやってきました。オールスターまでに、いい時の状態に戻していきたい」


 東口善朋も6月静岡FIの落車からパッとしない。それでも、今回は柴崎の番手を得ただけに、チャンス十分だ。


 「静岡の落車から良くないです。脚の感覚は悪くないんですけどね。でも、練習はしっかりできているし、練習の感じも良くなってきています。これから上向いてくれたら。チャンスが来たらモノにできる脚づくりはしているので、1着を取っていい薬にしたいです」


 吉本哲郎は前回の高松FIを319着など、春から成績が上昇。今回も積極的な組み立てで、別線撃破を目論む。


 「高松は準決で大瀬戸(潤一郎)がブロックをしてくれたおかげです。脚も問題ない。今回は先行ができそうなメンバーですね。相手は強いですけど、思い切っていきます」


 7月京王閣FIでは、最終バックを2日間取って291着と2連対した新山将史。一発には注意したい。


 「ここまでは練習もしてきたし、休養もして。(弟の新山)響平ともやってきました。出し惜しみしなければ、結果はついてきている。(ブロックセブンは昨年10月に)走りましたけど、その時は竹内(雄作)さんとの2分戦だった。そこではなにもできなかったので、今回はなにかやりたいです」