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決勝戦レポート
平原康多(埼玉・87期)
貫禄を見せつけた平原康多
2年ぶりの地元記念奪還へ。周囲の期待を一身に背負った平原康多(写真)が、プレッシャーを跳ね除けて見事優勝を果たした。
「最後は1着だとわかりませんでした。牛山さんが見えて、2着だな。でも、やることはやったから、納得だなと。今日でやっとホッとできます」
長島大介に前を託して臨んだ決勝だったが、一筋縄とはいかなかった。竹内雄作に合わせて踏んだ長島が4番手を確保するも、追い上げてきた稲垣裕之に絡まれる。さらに、平原も西川に締められて脚力を消費してしまう。西川を飛ばしてバックから自力に転じるが、今度は併走となっていた稲垣と接触。それでも、最後まで懸命に踏み続けて見事完全優勝を果たした。
「稲垣さんが追い上げてきたのは意外でした。叩きに行く感じではなかったですね。西川さんに締められて苦しかったけど、譲れないところなので。仕掛けた時にあおりがあって、稲垣さんを追う形になってスピードが死にました。声援のおかげで力以上のモノがでましたね。それが勝因です」
今年はこれで8戦7勝。そして、3連対率は100パーセントと驚異の成績。次走の2月奈良記念でも結果を残し、今年最初のG1・全日本選抜競輪へムード最高潮で挑む。
「良いスタートが切れましたね。今年はしっかり頑張りたい。ちゃんと一戦、一戦自分の走りを見せたいです。去年はそれが見せられなかったので。(全日本も)頑張りたい。気を抜かないように」
牛山貴広がキッチリ続いて2着を確保。1番人気に応えた。
「ホームで稲垣さんが来る前に行くって話でした。でも、それは展開なので仕方ない。そこからは(平原に)離れないように。前を信頼してたし、平原君が1着を取る感じでいけるだろうから、付いていけばチャンスはあると。2センターで平原君にハウスしたけど、コケなくてよかった。(直線では)内にいっぱいいたので、そこだけは抜かないとと思って。1番人気で決まって良かったです」
中団外併走からまくった稲垣裕之だったが、優勝まではあと一歩届かず3着。
「今日はどっち(長島、竹内)が先行でも4番手と思ってた。長島君はカマしに行くと思ったけど、動かなかったので(追い上げた)。中団外併走からでも行けると思ったけど…」
車間を切っていた吉田敏洋は、チャンスをモノにできず4着。レース後は悔しさを爆発させた。
「俺は何をやっとるんだ。情けない。今日は俺が弱かっただけ。(立川、大宮と決勝で番手を回ったが)結果を残していないのでダメでしょう。早いうちに痛い思いをしたほうが楽かなって思ったけど、ダメ過ぎる。自分が残念ですね」
単騎の小埜正義は関東勢の後ろからアタックしたが、平原の横で力尽きた。
「長島君は何をしたかったのか分からなかった。引いてすぐに行くかと思ったけど。結果的に待ってた方がよかったのかもしれないけど、一か八かと思っていきました。出切れなかったですね。3コーナーのところで牛山君はハウスして落車しそうになってたし、あれが全てでしたね。最後はコースもなかったし」
後続のもつれを他所の風を切った竹内雄作だったが、結果は7着。無念の表情で口を開いた。
「(稲垣が追い上げたのは)全然気付かなかったです。出切ってからはペースで踏んでいて。でも、それで残れていないのはダメですね。いい勉強になりました。(今シリーズから使用した)フレーム自体も今後考えます」
初の記念決勝となった*長島大介は、見せ場なく終わる。
「稲垣さんが前を取ってしまったのかと。竹内さんの(押さえてくる)スピード次第だったんですけど、僕が引き切るのが遅くなってしまって。もう1回行ければよかったんですけど。そこから稲垣さんも来てしまって。でも、ああなったら引いたらダメだってことだったので、任された以上は取り切ろうと。まだまだでしたね。上位選手の自力は違う。自分も脚はもちろんだけど、位置取りも甘い。勉強になりました。次は自分から『後ろを回って下さい』と言えるような自力選手になりたい」
レース経過
稲垣裕之が別線の動きを見ながら出て、稲垣―西川親幸で前団に構える。長島大介―平原康多―牛山貴広に単騎の小埜正義、竹内雄作―吉田敏洋―志智俊夫が後方で周回を重ねる
赤板の1センターから上昇した竹内に合わせて長島も動くが、竹内が2コーナーで主導権を握る。竹内に吉田―志智の追走。打鐘を通過し中部勢にかぶった長島が4番手に引き切ると、8番手の稲垣は一度中団まで追い上げる。最終回、竹内がペースを上げて逃げる。稲垣は4番手で長島と併走。西川に踏み勝った平原が、その後位で様子をうかがう。稲垣は2コーナーから再び踏み込んでまくりを打つ。バック手前で平原は稲垣を追いかけて、小埜のまくりに合わせて、その上をまくって出る。3コーナー過ぎに稲垣に接触してスピードが鈍った平原だったが、直線半ばで前団をとらえて地元記念制覇。平原マークから牛山が、外を鋭く伸びて2着。3着に稲垣。絶好の展開も吉田は4着。
着 | 車番 | 選手名 | 府県 | 期別 | 級班 | 着差 | 上り | 決まり手 | H/B |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 平原 康多 | 埼玉 | 87期 | SS | 14.7 | まくり | ||
2 | 7 | 牛山 貴広 | 茨城 | 92期 | S1 | 1/4W | 14.5 | マーク | |
3 | 5 | 稲垣 裕之 | 京都 | 86期 | SS | 3/4B | 14.8 | 捲残 | |
4 | 9 | 吉田 敏洋 | 愛知 | 85期 | S1 | 3/4B | 15.1 | ||
5 | 3 | 小埜 正義 | 千葉 | 88期 | S1 | 1/2W | 14.8 | ||
6 | 4 | 長島 大介 | 栃木 | 96期 | S1 | 1/4W | 14.8 | ||
7 | 2 | 竹内 雄作 | 岐阜 | 99期 | S1 | 1/4W | 15.3 | H B | |
8 | 6 | 志智 俊夫 | 岐阜 | 70期 | S2 | 1B | 15.1 | ||
9 | 8 | 西川 親幸 | 熊本 | 57期 | S1 | 3B | 14.8 |