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73#

決勝戦レポート

平原康多(埼玉・87期)

平原康多が復活のV

 勝負を分けたのは赤板ホームの動きだった。先行するであろう小松崎大地に対し、中団は松岡貴久も欲しい位置。平原康多は小松崎の上昇に合わせて俊敏に中団を奪うと、2コーナーまくりで鮮やかに前団を飲み込んだ。開口一番、「1年ぶりの優勝です」。平原は照れくさそうに笑うと続けてレースを振り返った。
 「予想以上に大地がハイペースで駆けちゃったんで。師匠(岡部芳幸)がついてるし、頑張りたかったんでしょうね。もう松岡がカマしてくるようなペースじゃなかった。最低限の位置を取らないとレースにならないし、行けるかどうかわからないけど、力を出し切って神山さんとゴール勝負。それができたんで。何かホッとしました。嬉しいです」
 優勝は昨年の当所記念以来1年ぶり。今年の前半も落車3回と乗り切れなかった。
 「本当に思うような結果を残せなくて、自分自身が情けなかったけど、それ(落車)を言い訳にできないし、実力のない1年と感じてた。でも試行錯誤しての今なんで、プラスに考えて。ここからいい走りをもっともっと見せられるようにしたい」
 優勝の余韻にひたる間もなく、16日からはサマーナイトフェスティバルが待っている。「すぐにサマーナイトがあるし、余裕をこいてる暇はない。後半戦は始まったばかりだし、前半の分をお客さんに取り戻してもらえるように」。相性のいい小松島の地で再び強い平原が帰ってきた。

 平原の上がりタイムは10秒9。さすがの神山雄一郎もお手上げといった感じでクールダウンを始める。
 「強すぎたね。強烈です。すごい。スピードの乗りがすごかったし、抜ける雰囲気じゃなかった。一杯です。でも離れなかったからよかった。すげえ強いです」

 関東ライン3番手の高木隆弘を岡部芳幸がけん制。大きく空いたインコースを踏んだ有坂直樹が3着に食い込んだ。
 「待ったけど戻ってこないから、もう待てないよね。久々の競輪祭です(笑)」

 バック最後方からコースを突いた小倉竜二だったが4着まで。悲願の地元記念優勝は今年もならなかった。
 「ちょっと遠いっすね。赤板がポイントだったけど、抵抗する間もなく貴久が(平原に)押さえられた。3着ぐらいは行きたかったけど、岡部さんのでバック入れてしまったんで」

 記念決勝では初めての師弟連係は平原の前に完敗。番手を回った岡部芳幸は「しょうがない俺の力不足。アシストできなかった」。逃げた小松崎大地は「もうちょっと混戦を誘えればよかったですけど…」とそれぞれレースを振り返った。

  • 優勝者の写真です
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レース経過

 スタートで各車見合ったが、小倉竜二が先に出て誘導の後ろを取った。初手は松岡貴久ー小倉、平原康多ー神山雄一郎ー高木隆弘、市田佳寿浩、小松崎大地ー岡部芳幸ー有坂直樹の順で並ぶ。
 レースが動いたのは青板周回の3角から。まずは小松崎が上昇していくと、平原が合わせて中団を取りにいく。赤板で小松崎が先頭に立つと、中団に平原。引いた松岡が7番手で、市田は最後尾となる。一本棒のまま打鐘を通過し、小松崎は何度も後ろを振り返ったが敵陣の反撃はなく、市田が切り替えて7番手に収まっただけ。すると、小松崎は4角から腰を上げて一気にペースアップ。最終ホームを通過し、小松崎が懸命に逃げるなか、2角手前から平原が早めにスパートする。平原は猛スピードで前団に襲い掛かると、バックで小松崎を抜き去った。
 そこからは神山との直線マッチレース。神山は懸命に詰め寄るが、平原が力強く押し切って当所記念連覇を達成した。岡部が3番手の高木を大きくブロックすると、有坂が空いた内を抜け出して3着に入る。

車番 選手名 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
1 3 平原 康多 埼玉 87期 SS 10.9 まくり B
2 7 神山 雄一郎 栃木 61期 SS 1/2B 10.8 マーク
3 6 有坂 直樹 秋田 64期 S2 5B 11.3
4 1 小倉 竜二 徳島 77期 S1 1/2B 10.8
5 2 小松崎 大地 福島 99期 S1 1/2W 11.5 H
6 4 市田 佳寿浩 福井 76期 S1 1/4W 11.1
7 9 松岡 貴久 熊本 90期 S1 2B 11.1
8 5 岡部 芳幸 福島 66期 S1 1B 11.7
9 8 高木 隆弘 神奈川 64期 S1 2B 11.9