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決勝戦レポート

浅井康太(三重・90期)

単騎の浅井康太が激戦を制す

4年連続で出場したグランプリで浅井康太は初の単騎戦。ライバルたちが強固なラインを形成して臨んだレースでも浅井は冷静だった。近畿ラインから組み立てる考えもあったが、「(稲垣裕之が)赤板前から脚を使う状態だったので、やめて関東ラインから」虎視眈々と戦況をうかがった。京都コンビを受けて3番手に入った武田豊樹の仕掛けが遅かったのは想定外。それでも「そのタイミングでは内しかなかった」と武田の仕掛けに合わせて2コーナーから内に切り込むと、神山雄一郎を飛ばして平原康多にスイッチ。浅井の真骨頂といえる自在性が大一番で生きた。
「(ここ数年)G1を獲れてないし、グランプリもいい成績を出せてなかったので本当に今回は夢のようです。優勝するイメージはあったけど、まさか優勝するとは思ってなかった。グランプリは特別なレースだと思ってたので、そのなかで勝てたのはすごく嬉しい」
ゴール後は何度もガッツポーズ。同時に「親父が競輪を教えてくれて、幼稚園の頃から選手を夢見てきた。その親父が8年前に亡くなって頑張らないとと思ってきた」。こみ上げてくる気持ちに目を潤ませる場面もあった。
グランプリ初優勝で賞金1億160万円(副賞を含む)を獲得。新田祐大を逆転して初の賞金王に輝いた。
「初めて(賞金王に)なって嬉しいですね。この優勝はファンのみなさま、練習グループのみんなや先輩たちのおかげ。この気持ちを忘れず来年も走りたいと思う」
来年からはチャンピオンユニフォームを身にまとった浅井の新たな戦いが始まる。

前受けから下げた新田祐大は8番手。前で争う近畿、関東勢に対し、バックから反撃を開始したが浅井をとらえることはできなかった。
「山崎さんが作戦を立ててくれて、そのとおりにいきました。動き出しは早かったけど、あとはタイミングを計って思ったところで踏んでけということだった。残り2周半から動いて、打鐘からペースが上がったので車間が空いた。それもあって最後の最後に力みすぎた部分があった。キツい、苦しいレースになりました。来年もグランプリに出場して、来年こそは優勝をつかみ取りたい」

昨年とは前後が入れ替わり、今年は武田の番手からグランプリ初制覇を狙った平原康多は直線で浅井、新田のスピードに屈した。
「自分で踏んで負けたんだから仕方ない。抜かれたのだから力がないだけ。前でやりあってるのを見てるのもどうかと思ったんで。優勝を獲りにいったけど、獲れなかったのは力不足です。自分で行くまでのタイミングが難しかった。村上さんが番手まくりだったから苦しい。その山を乗り越えられたし、出し切っての3着なので納得です」

神山雄一郎は勝負どころで浅井に内をすくわれ平原との連結を外してしまった。
「平原に離れたとこに浅井に入られて万事休す。平原が頑張ってくれて、俺が付いて行けばワンツーもあったかも。踏んだり止めたりして脚に来て、踏み出しで空いてしまった」

ライン2車でも稲垣裕之は武田豊樹に対して真っ向から勝負を挑んだ。村上義弘も武田の反撃に必死の応戦を見せた、平原が放った2の矢に飲み込まれた。
「稲垣が頑張ってくれた。武田さんの気力もすごかったし、平原もすごい強かった。僕らは自分たちができることをしっかりやったと思います。こういう経験というのは僕ら近畿の若い世代につながると思う…、つなげていかないと。(稲垣と一緒のグランプリに)なんか興奮しました」

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レース経過

 号砲で新田祐大が勢い良く飛び出して、正攻法に構える。新田に山崎芳仁が付けて福島コンビが前受け、中団に武田豊樹-平原康多-神山雄一郎の関東勢、これに単騎の園田匠、浅井康太の2人が続き、稲垣裕之-村上義弘の京都コンビが後攻めの形で隊列は落ち着く。
 青板周回のバックから稲垣が上昇。これに合わせて武田も動いて両者で踏み合う。稲垣が赤板で強引に前に出ると、武田は3番手で態勢を立て直す。単騎の浅井、園田が6、7番手に入り、新田は8番手に置かれる。稲垣は別線の動きを確認しながらペースアップ。そのまま一列棒状の態勢で最終ホームを通過する。2コーナーから武田がまくると、車間を空けて準備していた村上が番手まくりで応戦。武田が厳しいと判断した平原は自力に転じて外を踏み上げ、3コーナーで先頭に躍り出る。さらにバック前に内を進出した浅井が神山を飛ばして平原を追うと、直線鋭く抜け出してグランプリ初制覇を果たした。バック8番手から大外をまくり上げた新田は2着まで。直線で末を欠いた平原は3着に敗れた。

 

車番 選手名 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
1 6 浅井 康太 三重 90期 SS 11.4 追込み
2 2 新田 祐大 福島 90期 SS 1/2B 11.2 まくり
3 8 平原 康多 埼玉 87期 SS 1/2B 11.6
4 1 園田  福岡 87期 SS 3B 11.6
5 9 村上 義弘 京都 73期 SS 3/4B 12 B
6 7 山崎 芳仁 福島 88期 SS 3/4B 11.6
7 3 神山 雄一郎 栃木 61期 SS 1/2B 11.9
8 5 武田 豊樹 茨城 88期 SS 1/2B 12.2
9 4 稲垣 裕之 京都 86期 SS D 15 H

野口大誠が若手の頂点に

 「今回、野原君が脚質(力)的に1番上だと思ってたので、最初からその後ろと決めてました」と選択が見事的中。野口大誠の抜群の勝負勘が優勝を引き寄せた。若手の戦いらしくレースは早めからハイペースになるなか、野口は慌てずにじっと勝機を待つと直線で一気のフルモガキ。105期ナンバーワンの意地とプライドを見せ付けた。
 「単騎だったけど、そこ(野原の後ろ)を逃したら優勝はないと思ったので集中していきました。ギアも3.85から92に上げて一発かけてきたので、それが的確に当たりましたね。最近はF1とかしか走ってないけど、大きい舞台でこれだけの大声援をもらえてホント嬉しかったです。1年を通してここで優勝することを目指してやってきたので、今年は良い年になったと思います」
 初タイトルを手にしたが、野口にとってこれは単なる通過点。さらなる高みを目指すべく、「まだまだこれから努力していかないと」と今一度気持ちを引き締める。「今日はまくり追い込みたいな感じになったけど、九州を代表する先行選手になって、九州を盛り上げられる選手になりたい。記念の決勝に乗ることもだけど、G1に出場しないことには何も始まらないので」。

 

 川口聖二は4コーナーを先頭で立ち上がる絶好の展開。野原にも競り勝ち優勝を手にしたかと思われたが、ゴール寸前で手からスルリとこぼれ落ちた。
「持ってないですね、悔しい。2着も9着も一緒ですから。もうああなると思ってたし、やり合ったところをバックで捕らえて谷口(遼平)君とワンツーって感じだったけど…。野口さんが強かったし、僕が力不足でした。中部の連覇を止めてしまったので申し訳ない」

 

 野原雅也も川口と体をぶつけ合い、懸命にゴールを目指したが力及ばず。
「誰かがカマすと思ってたし、モガキ合いになると思ってました。川口君は車間を斬ってたのでちょっと…。
もう少し待つか早めでしたかね。川口君の後ろに入ろうとも思ったけど、自分の勢いも良かったので外を踏みました。一瞬の迷いが4コーナーで肩1つ川口君の方が出てました」

 

 「完全にビビってしまった」と話すのは谷口遼平。「バックのところでアンコになって引いてしまいました。あそこでしっかり踏んでいれば自分にもコースがあっただろうし、俺が普通に付いて行ってれば野口さんも来れなかったと思う。谷口君を援護できなかった」と4着に終わる。

 

 栗山俊介は余力を残して5着。番手回りの難しさを知る。

 「元砂君が引いてもいいように構えてたし、杉森さんに入られないようにと思ってました。自分で行ける感じはあったけど、杉森さんも余裕がありそうだったから見てしまった。任せた結果なので仕方ない。良い雰囲気のなかで走れたのでよかった」

 

 杉森輝大はバックから自力に転じたが、飲み込まれ6着。
「(ホームで栗山の)後ろが居ないのが分かったけど、そこで切り替えるのは。僕に力があればもう1回(まくって)行けたと思うと力不足でした。良い経験になったし、来年につなげられれば」

 

 元砂勇雪は力の差を痛感させられる結果に。
「2車でも行こうと思ってたし、出切れなかったので完全に力負け。渡邉君のところが5車並んでいる感じなってたから、押さえに行くのに脚を使ったし、フタをしてもいつでも来られる状態になってたから、理想の展開ではなかった。良い緊張感のなかで走れたけど、力がないのを実感しました」

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レース経過

 号砲で川口聖二が勢い良く飛び出して正攻法に構える。川口には谷口遼平が付けて中部コンビが前受け、渡邉雄太-杉森輝大が3、4番手に収まる。これに日野博幸、野原雅也、野口大誠の単騎3人が続き、元砂勇雪-栗山俊介の奈良コンビが後攻め形で隊列は落ち着く。
 青板周回のバックから元砂が早くも上昇開始。渡邉ラインにフタをすると、渡邉は車を下げてすかさず反撃に出る。これに合わせて元砂も仕掛けて打鐘前から両者で激しい踏み合いに。最終ホームで元砂を強引に叩いた渡邉が主導権を奪う。ハイペースの流れの中、7番手の野原が最終1コーナーからまくり上げる。これに合わせて川口も踏み上げ、さらに杉森もバックから番手まくりで応戦。杉森を乗り越えた川口が外から迫ってきた野原に踏み勝って直線で先頭に立ったが、野原のまくりを追っていた野口が外を強襲。粘る川口をゴール寸前で捕らえて優勝を飾った。2着には野口が入り、最後まで諦めずに踏み続けた野原が3着。

 

小林優香が4代目女王に

 昨年は悔し涙を流したこの大舞台で、今年は嬉し涙が溢れ出した。
「ホッとした気持ちが強いです」
圧倒的な強さを誇り連勝街道を突き進んだ昨年だが、グランプリは3着に敗れた。それから1年…。女王となるためにやってきたことが実を結んだ。
「1年前は前検のときから体が硬くて。なので今年は平常心だけを心掛けてました。やっと自分自身が信じたスタートラインに立てました。去年はスタート後方で、後方のまま終わっちゃったんで、今年は前にいないと思ってました。スピード的にも乗ってましたね」
 グランプリ前の2戦は決勝でいずれも敗れた。しかし前検日に「負けるときにはこうなるって分かった。勝つときどうすればいいか分かってよかった」と敗戦を糧にした。そして「グランプリ前の2戦はこの勝ちに繋がる負けだったんだと思います」。一発勝負の大一番で同じ失敗は繰り返さなかった。
 賞金の1千万の使い道を問われ「自分で買った抹茶アイスを食べたいです」と記者を笑わせた表情はどこにでもいる21歳の女子そのもの。しかし、バンク上では名実ともに“絶対的女王”として来年もガールズを引っ張っていく。
「落ち着いてみるとまだまだだし、もっと最強になるために練習しないと。来年に向けて慢心することなく練習して、しっかり無敵になれるように。そのための体作りをして後続を引き離すレースをしていきたいです」
 

2着に敗れた石井寛子だが、悔しさよりも充実感の方が上回った。
「本来の持ち味は出せましたし、レース運びも100点満点です。でももう少し(で勝てる)って感じじゃなかったですね。アクシデントもあって落車するんじゃないかって、恐怖もありました。それでもずっと大きな舞台では5、6着が続いてて。満足っていったらダメなんでしょうが、久しぶりに3連単にもからめましたし、もっともっと頑張ろうと思いました。レース間隔を空けたら体も全然違いました。自分としてもそっちの方があってましたね。10月から怪我も多かったんですが、休めたことがよかったです。感覚もやっと戻ってきましたし、また来年のグランプリに向けてやっていきたいです」

 

3着入線の石井貴子が失格となり、4着入線の小林莉子が繰り上がって表彰台に。
「ホーム過ぎでは落車を覚悟しました。梶田(舞)さんも落車明けだし、自分も落車明け。誰も転ばなくてよかったです。自分の力不足を痛感しました。展開的にももったいなかったです。ホームで接触して怯んで3番手になったのが反省ですね。あそこで踏んで(小林)優香についていかないと。来年1年間はさらに考えながら力をつけていきたいです」

 

有言実行で先行勝負に出た奥井迪だが、レース後は悔しそうな表情を浮かべた。
「弱かったです、自分の力不足ですね。ただただ悔しいです。自分が出るまでは楽でしたし、後ろも上手く併走になってくれてよかったんですけど。(最終)3コーナーでも一瞬合わせられたと思ったんですけどね。あそこで合わせられてれば。そこが私の弱さですね。また次に向けていきたいです」

 

昨年は見せ場を作り、「今年は獲りにいく」と語っていた山原さくらだが5着に終わった。
「小林(優香)さんより前にいて先まくりが自分の勝負の形。でも車番も悪くて、スタートも苦手ですし出れなかったです。私の出番があるとしたらホームで駆けるしかなかったんですけど、接触もあったりして。それでも出なかったですけど、バックでまくり勝負にいけました。そこは来年磨いて、またこの場に戻ってきたいです」

 

梶田舞は最終ホームで石井貴子と接触。その後は後方に終始してしまった。
「避けたつもりだったんですけど…。自分も転ばなくてよかったです。自分がやろうと思って組み立てたレースはできました。また次あるんで頑張ります」

 

石井貴子の初グランプリは失格という結果に終わった。
「失格ってのが私らしいですね。厳しくいって脚が足らないのが現状でした。あそこで取りきらないと勝負権がなかったのでしょうがないです」

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レース経過

 スタートは昨年のガールズグランプリと同様に梶田舞が取り、以下は石井寛子、小林優香、小林莉子、奥井迪、山原さくら、石井貴子の並び。
 赤板の1センターから奧井が動き、後位は赤板前から追い上げた石井貴が続く。奧井が梶田に並びかけた打鐘で誘導が退避。引いた梶田が番手で粘り、石井貴と併走になる。しかし、石井貴は最終ホームで梶田をキメて先行態勢に入った奧井を追う。奥井の3番手に切り替えた小林優は、1センターから反撃を開始。バックでは踏み直した奧井と力比べとなるが、直線入り口でまくり切る。小林莉を制して小林優の仕掛けを追った石井寛がゴール前でタテに踏むが差は縮まらず。そのまま小林優が力強く押し切ってガールズグランプリ初優勝を飾った。2着は石井寛。3着には石井貴が入線するも、梶田をキメた行為で押圧失格となり、小林莉が繰り上がった。